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プリウスも夏は大食い  報告2回目 07.30.98







 6月3日に納車されてから、まもなく2カ月が経過、まだ、1500km程度の走行で、いろいろな条件をすべて経験した訳ではない。平均燃費は、まずまずの条件ならば都内の運転でも確かに15km/リットル程度は行くようだ。ただし、最初の5分間は暖機運転のためか、エンジンが掛かっている時間が長いので、燃費が悪い。いくらなんでも5分間で着いてしまうところに車で行くのは、やはり無駄なのだ。
 先日、訳あって、本郷まで重い物を運んでみた。しかも4名乗車で。当日、東京の天気は快晴、気温34°という日であったが、昼過ぎの交通渋滞の中で、燃費メーターのデータだから、余り信用できないが、どうやっても平均燃費が8km/リットルしか行かなかった。


C先生:参ったなあ。夏になるとさすがのプリウスも燃費が上がらない。条件が悪いと、10km/リットルを切る。

A君:参ったなあ。夏になると暑くて眠れない。エアコンをかけっぱなしにして寝ると、風邪を引きそうだし、電気代も高くつくし。

B君:参ったなあ。今年の夏は妙に夏ばて状態。なんでだろう。暑気あたりか。扇風機も風邪の原因になりそうだし。

C先生:全員いろいろと参っているようだが、今日は、プリウス報告第2回目。燃費と気温の話。アイスクリームでも食べながら、元気にやろう。
 さてさて、上に、燃費が8km/リットルしか行かなかったと書いたが、原因は、明らかだ。4名乗車と荷物といった重さのせいではない。明らかにエアコンのためのエネルギー消費である。エアコンのエネルギー消費も条件によって様々だろう。日照、気温、乗車人数、それに外気導入か空気循環か。いずれにしても悪条件だと、プリウスのエアコンは、10分間で、0.1〜0.15リットルのガソリンを消費するという仮定で計算すると、大体説明がつくようだ。

 まず、走行距離だが、10kmを走ることにする。
 そこで、例えば、平均時速30kmであれば、所用時間20分。走行に必要なガソリンは、燃費を15km/リットルとみて、0.66リットルぐらい。エアコンに必要なガソリンが、0.2〜0.3リットルぐらい。合計0.86〜0.96リットルで、燃費が10〜11km/リットル。
 もしも、平均時速が20kmに下がると、所要時間30分。エアコンに0.3〜0.45リットル必要で、燃費が9〜10km/リットルに下がる。
 もしも平均時速が10kmに下がると、所用時間60分でエアコンに0.6〜0.9リットル、さすがに、このぐらいになると制動回生(ブレーキ時の発電)も働かなくなるから、合計1.4〜1.7リットル必要になって、燃費も6〜8km/リットルという値になる。上のテストでは、この最後の状況が、実現されてしまった訳だ。

A君:平均時速が10kmになると、なんとエアコンに必要なガソリンと、走行に必要なガソリンの量が余り違わないことになるということですか。

B君:もともと燃費が良く、しかもプリウスのように渋滞になっても余りガソリン消費量が増えない車だと、エアコンを使うかどうかが燃費に大きく影響するのだろう。普通の車だと、渋滞になると燃費が大幅に下がり、同時に、エアコン用のガソリンも増える。

C先生:プリウスに瞬間燃費計が付いているのが良いような良くないような。思わず、エアコンの設定温度を高めにしてしまう。
まあ、エアコンを切って窓を開けて走れば良いのだろうがね。
 それはそれとして、10分間のエアコンを動作させるのに、0.1〜0.15リットルのガソリンが必要ということは何を意味するのだろうか。まず値段の比較からやってみてくれ。

A君:家庭用との比較から行きます。電気代ですが、1kWhの値段を20円と仮定すると、家庭用のエアコンが1kWだったとして(10畳用ぐらいか)、これをフル運転で1時間使うと20円。プリウスだと、1時間なら0.6〜0.9リットル。リットル90円として54〜81円。車のエアコンの方が値段としては高く付くようです。もっとも、ガソリンの価格の6割はガソリン税。それを除いて、正味の油の価格だけを比較すれば、まずまず家庭のエアコンと同程度の価格。

B君:それでは、次は、エネルギー比較をやりましょう。家庭用エアコンはやや大型のものだと、1時間で電力1kWhを使用。これは、3600kJだから、約800kcal。火力発電所の発電効率を40%だとすると、2000kcal分の重油などを発電用として使用したことになる。
 一方、プリウスのエアコン1時間で0.6〜0.9リットル使用。これは、ガソリン1リットルを8000kcalとすれば、4800〜7200kcal程度に相当する。プリウスのエアコンは、2〜3倍以上のエネルギーを使用していることになる。これはエンジンで駆動する形式のエアコンの効率や断熱効果が悪いのか。家庭用は10畳用、プリウスは2畳程度しかないのだから。ガラス面積も大きいし、屋根の断熱だって、プリウスは対策を考えたようだが、他の車ではほとんど考えられてない。

C先生:決定的に言えるのは、ガソリンエンジンの熱効率の悪さ。10%からいくら良くても20%は行かない程度。だから、エンジンで駆動する限り、効率的には絶対的ハンディキャップがある。プリウスの場合、車の駆動用動力に電気が使われているのだから、エアコンの駆動も電気でという設計も有り得たはず。それをやらない理由は内燃機関で発電することによって、さらに効率が下がるから。そのまま動力を使ったほうがまだましだからだろう。

A君:となるとプリウスが発電をやってモーター駆動をする理由は何ですか。駆動力にガソリンエンジンの動力をそのまま使わない理由は。

B君:それは、決まっている。ブレーキを掛けたときの発電によるエネルギー回収=回生制動と呼ばれる方法が可能になること、また、停車時にアイドリングが不要であること、また、モーターの特性として、ゼロ回転で最大トルクを出すから、車の最大のエネルギー使用である発進時に有利なこと。まあ、回生制動によるエネルギー回収が大きいのでは。

A君:となると、ブレーキを掛けないような運転では、メリットは無いことになる。

C先生:その通り。だからプリウスは都内の専用のタウンコミュータとして優れているのだ。だから、タクシーは、今後すべてハイブリッドにするといった選択がありうる。まあ、タクシー会社がそのような選択をするかどうか、経済的インセンティブを与えないと難しいだろうが。

A君:アイドリングストップで燃費は本当に上がるのですかね。

C先生:これは若干疑問。神奈川だったか調査をしたようだ。余り短時間のストップだと逆効果という話だったのでは。

B君:長距離をブレーキを掛けることなく、運転できるような状況だと、どんなことになるのですか。現時点では直噴ディーゼルエンジンが効率が高いのではないかと思うのですが。

C先生:先日、甲府まで行ってみたが、まあ、それほど感心するような燃費ではなかった。道路は空いていたが、20km/リットルは確かに越す、といった程度で、都内でも15km/リットルも走る車としては、どうということはない値だ。その理由だが、特に、中央高速は笹子トンネルまでが登りなのだ。登りになると、プリウスのように余分なものをいっぱい積んでいる車重の大きな車は不利だ。軽量の車がベスト。帰りの燃費はかなり良かった。

A君:将来、無公害車としては電気自動車だと言われてますよね。この面はどうなのですか。

B君:純粋な電気自動車にもいろいろと批判がある。いわく、発電所のあるところに公害を押し付けて、都会だけが大気汚染無しで済ます方法だ、など。このように電気自動車というとしばしば無公害車としての性格しか議論されず、このような批判も真実なので、それだけ考えると意味が無いようにも思える。
 しかし、火力発電による電気を都会まで伝送するロスを考えても、電気自動車のエネルギー効率はトータルにみて高い。しかも、プリウスの省エネルギーの理由である回生制動、アイドリングなし、発進時の高効率は同じだから、さらに高い効率が期待できる。しかし、弱点は、エネルギー補給法と走行距離。さらに電池が重いために性能もまだまだ十分ではない。

C先生:やや先にはなるが、燃料電池を搭載した電気自動車が本命だろう。その理由は、まず、燃料電池は、発電効率が理論的には100%であること。さらに電気自動車がもともと高効率であること。この方式によれば、液体燃料を利用するから現在のガソリンスタンドと同様のインフラが使えることもあって、実現可能性も一番高い。
 要するにプリウスのようなハイブリッド車は、21世紀の本命車、多分燃料電池車までの繋ぎ技術なのだ。
 プリウスに若干の改良の提案をしてみよう。まず、最初の5分間エンジンが掛かっていることを防止するために、車庫にいるときには、家庭用電源につないで充電をする装置を搭載すること。プリウスの積んでいる電池は大した量ではないから、すぐ充電可能だろう。このような形式にすれば、ご近所への配送といった超短距離用途にも効率良く使えそう。
 次に、タクシー専用ハイブリッド車を作ることも提案したい。タクシー用にもっとも向いている。
 車のエアコンの効率の改善は急務だろう。天井の断熱材をもっと使用(プリウスでは多少使用しているらしい)、ベンツのSシリーズのような合わせガラスの利用。もっとガラスの色を濃くすることも必要。とはいっても、色の濃い板ガラスは作るのが難しいので、プラスチックフィルムを張ることになるかも。カラスプリウスなどと呼ばれて、品が落ちるかもね。