地球温暖化問題解決への提案
 −−COP3で日本政府は何を言うべきか。

  調停に基づいて、いろいろな問題の解決ができる、と提案をした。このような考え方が、何に有効であるかといえば、この枠組みを基本とすれば、環境問題の解決策を考えるときに、漏れ落としなしにすべてを考えることができることである。それでは、各種問題の解決法を調停によって分類するとどのようになるかを考えてみよう。

 ここでは、地球温暖化問題である。その結果は次のようになる。解決法として考えられている方法論を上げ、それぞれに○、×によって、何か重大な問題を引き起こす可能性があるかどうかを示した。すなわち、その解決法が当該調停法に悪影響を与える可能性がなければ○、悪影響を与える可能性があれば×としてある。そして、その行の最後に、その方法論の実現の可能性を高、低、多少、と3段階で示した。

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  世代 生態 国内 国家 健康 費用 実現 左は調停の種類
自主省エネ     ×   実現不能だが...
排出権市場   ×   実現不能!
環境税   ×     多少 外国に前例があるから
CO2処理 × ×   ×   × 多少 国家プロがあるから
原子力増加 ×   ×       多少 今は無理
天然ガス増加 ×           もっとも容易
フロン類完全分解   × 金が掛かる
森林増加   × × 気が長い


 地球温暖化の対策技術として、何が良いかという検討を、調停という立場から考えるとどうなるかという見本である。地球温暖化の原因は、二酸化炭素、フロン、メタン、亜酸化窒素といった温暖化ガスを放出することにあり、二酸化炭素は、あらゆる人間活動に伴って放出されため、その削減は経済活力の低下を意味し、国家間で現在厳しい駆け引きが行われているのが現状である。

 その解決策であるが、まず、自主的な省エネルギー努力という対策を行ったとして、それが調停にどのように関わっているかを示している。まず、世代間調停であるが、エネルギーを節約して、将来世代に残すことが可能だから○である。上述のように○は、問題・悪影響が起きないことを意味し、×は問題・悪影響が起きることを意味している。 生態系に対しては、温暖化対策はすべて○のはずで、特別のことがない限り記述しない。 国内では自主的という限りにおいては、文句はないはずである。国家間でもそうなのだが、自主的といいながら、実際上条約に準ずる扱いになることを考慮すると、やはりそうともいえず、国家間調停に重大な問題がおきるであろう。そこで×。健康問題に関しては、燃料消費が減れば、NOx、SOxなどの発生量が減るから、問題は起きない。 現状では、二酸化炭素に関する国内的な費用負担の問題はないと考えられている。 最後の実現性であるが、自主的な省エネルギーが実効がでるようになるには、それなりに経済的インセンティブが出てくる必要があり、現在のエネルギー価格では、はっきり言って無理である。そこで、実現性は「低=なし」と評価。国 際的な枠組みを作るべく京都のCOP3が開催されるわけだが、罰則規定もない枠組みでいくら目標値を定めても実効はでないだろう。

 その改良型が排出権市場を設定するといった方法である。これは、人口一人あたりの排出量を世界的に決め(必ずしも均一に決める必要はない)、その排出量を超す二酸化炭素排出に対しては、国際的な市場を作って、国家間で金銭的取り引きを行うという方法である。これで、国家間の調停の仕組みができるため、問題は起きにくいと考えられる。しかし、現実問題として、どのような法的な枠組みを作ればそのような国際的市場ができるかとうことに関しては、全く五里霧中の状態で、国際的な合意もまず取れないと考え、実現性は「低=なし」という評価。

 環境税は、すでにスウェーデンなどでは実施されている方法論で、炭素税であれば、使用している化石燃料中の炭素量に対して、エネルギー税なら発熱量に対してい課税することになる。日本国内の法律として、税を新設すれば良いのであるが、運送業や他の製造業から反対がでることが予想されている。現在、二酸化炭素排出量は、民生部門、運輸部門、産業部門に分類されるが、このところ発生量が増えているのは、民生、運輸の両部門であり、産業部門は景気が悪かったこともあって、横ばい状態である。民生部門に関しては、エアコンの使用、自動販売機、スタンバイ電力など、快適性や利便性のためのエネルギー使用が増加しているのが原因である。運輸部門は自動車の増加、トラック輸送の増加などが原因である。実現性は、政府の覚悟次第。多少は有るかも知れない。

 CO2処理という解決法は、火力発電所などからでるCO2を分離し、液化炭酸にして海洋に沈めるという方法論をまずイメージしている。このような方法論では、日本全体で、10億トンを超すCO2発生量をすべて処理するなど不可能。現在大量に生産されている鉄、セメント、ガソリンですら1億トン程度だから。10%処理するとしても、その装置のために、いくら投資をすれば良いのだろうか。生態系影響を考えても、海洋処理は危ない。海溝が近くにある日本のような国は良いが、内陸の国ではこのような処理がやりにくい。したがって、国家間調停にも問題あり。
 その他、二酸化炭素と水素を反応させてメタノールを作るといった方法もRITE(地球環境産業研究機構)が研究している。この方法では、まず、必要な水素を再生可能エネルギー源から得るために、砂漠での太陽光発電や水力発電を利用した水電解工場を作る必要があり、そこまで日本から液化した二酸化炭素を運搬する必要がある。この方法は、一見二酸化炭素を処理して最終的な排出量を減らしているように見えるが、実際のところは、「二酸化炭素をエネルギー運搬手段として利用している」に過ぎない。よって評価しない。

 原子力発電を増加させることによって、二酸化炭素の発生量を減らすことは可能である。実現性ありの評価は、技術的にありうるということであって、最近の社会情勢から言えば難しい。まず、社会的アクセプタンスが低い。電力会社としても、現時点では天然ガスシフトの方が、設備コストなどの点から有利であり、社会的な困難さを克服してまで原子力シフトをしようという動機はない状況である。

 天然ガスシフトをすること、これが、現在の電力会社などの一つの選択である。天然ガスによるコンバンドサイクルによって、発電効率50%が達成できることもあって、社会的にも受容されやすい。世代間調停という立場から見れば、将来世代にバランス良くエネルギー源を残すべきであって、天然ガスのみに依存することは必ずしも最良の策とは言えない。

次がフロン類の完全分解である。オゾン層破壊に関する国際的枠組みによって、フロンは製造中止にはなった。しかし、現在使用中のフロンが冷蔵庫、エアコンなどの機器の廃棄に伴って、ほとんど処理されることなく大気に放出されている。罰則規定がないから、誰も金をかけても処理しようとはしない。フロンは単にオゾン層を破壊するだけではなく、立派な温暖化ガスである。しかも、温暖化への寄与率も、二酸化炭素が55%ぐらいであるのに対して、24%とかなり大きい。大気中の濃度が極めて低いフロンでありながら、このように寄与率が高いのは、それだけ赤外線を効率的に吸収するからである。廃フロンを完全に分解することができれば、地球環境対策としては、一石二鳥である。

 そこで結論だが、自主的省エネルギーだけで、問題が解決するならベストではある。しかし、それは無理というもの。となると、日本政府に残された選択肢としては、かなり金が掛かるが(600億円?)、第一には、フロンの完全分解を行うことを宣言する。これを目玉として、あとは自主的省エネルギー、森林増加の援助あたりでがんばるしか無いのではなかろうか。


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