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長野冬季五輪と自然保護

--- 滑降コースに関する長野五輪対国際スキー連盟






昨日、標高1765mスタートで決着しました 12月02日

 11月28日に予想した高さよりもさらに15m上でした。特別保護地域を2ヶ所通過するようですが、そのうち1ヶ所はジャンプで超すらしいです。なんか妙ですが。

 まあそれらは些細なことでして、NAOC事務局長が言うように、これでNAOCは満足して良いのでしょうか。彼らは何を得たのでしょうか。FISの案を35m引き下げることには成功しました。確かに、FISの言うがままにはならず、FISや、あの堤さんが会長のSAJ(日本スキー連盟)にかなり抵抗できたことは事実でしょう。それで、彼らの面子は立ったのでしょうか。何か、彼らが失ったものの方が大きいような気がしますが。自然保護派から見放され、国際的な信用を失い、国内的にも「妙な面子にこだわる不可解な連中」印象を与え、などなどで。

 滑降レース自体が旨く行くことを祈って、この項は終わりです。

 最後に、特別保護地域内を毎年60万人のスキーヤーが滑ることを問題にするのかどうか。これは市民と環境庁、さらに長野県の問題かも知れませんね。




いよいよ決着へ(11月28日)

これまで迷走を続けてきた滑降コースですが、12月1日には決着を迎えるようです。予想される結論は、スタート地点が標高1750m付近、そして、特別保護地域を多少通る形。大体のところは、FISの案に近いものであって、NAOC側からみれば全面妥協ということになるでしょう。

C先生:想像では、NAOCの事務総長(もと自治省のお役人)、副会長(長野県知事)を除くほとんどすべての関係者の本心は、もともとそんなところに有ったのではないだろうか。やはり、自然保護は五輪招致のためにやむを得ず取っていた「ポーズ」だったのではないだろうか。勿論、この妥協案を実施することによって、特別保護地域の生態系に決定的な悪影響がでるとは考えにくく、一般スキーヤーが年間60万人も滑走している影響に比べれば、全く些細なことでしょう。しかし、それなりの対策、例えば、コースを固めるための食塩などの薬剤の散布を少なくすることを希望したいですね。
 いまだに残るなぞは、「NAOC事務総長と県知事の本心は何だったのだろうか」ということ。 単にFIS、JOC、などへの対抗意識だろうか? 「他の人間は黙れ! 長野県関係者が決めることだ」、が本心だったとすると、ありそうな話で、割合と理解し易いです。 しかし、それは無理。このような結論になるのは当然で、我々から見れば、「もともと、五輪は国家的行事であって、「長野国体」とは違う」、と思いますよね。




追加情報(11月18日?)

AERAの11.24号にかなり詳しい記事があります。

 それによれば、やはり想像したとおり、NAOCの本心は自然保護などには関心はなくて(記事によればゴール地点では、FISの要求により3ヘクタールの森林を伐採した)、あくまでも面子にこだわり続けているだけで(環境保護ですでに方針を変更しているため。スキー場に自然保護を被せた矛盾を指摘されたくない。FISへの対抗意識。などなど)、さらに、国立公園の中をスキーヤーが滑ることの善し悪しを議論したくなかったらしい。しかし、この最後の部分については、残念ながら逆効果だったようですね。



実状??(11月10日)

 我々なりに理解した状況が、次のようなものである。まず、問題となっている地域は、スキーヤーが八方尾根黒菱と呼んでいるゲレンデではないかと思われる。ここは、国立公園の自然保護地域になっていて、恒久的建造物の建設などはできない。ところが非常に不思議なことには、その地域のすぐ外側には、リフトが設置されていて、なんと年間60万人近いスキーヤーが自然保護地域を滑っているという。オリンピックの滑降コースのスタート地点は、長野五輪側(NAOC)は自然保護の観点から黒菱のゲレンデの下から(標高1680m)にするとの提案を国際スキー連盟(FIS)にしているが、 FISは、それでは滑降競技にはいささか短くて、十分ではない。あと何メーターか上からのスタートにせよ(標高1800m)、と迫っている。長野五輪側は、なぜかこの提案を強く拒否している。そもそも滑降競技は、八方尾根のある白馬村ではなくて、もともとは志賀高原岩菅山で行われる案であったが、そのために滑降コースを開拓しなければならず、環境面から問題があるとされて、白馬村に移動した経緯があるらしい。


C先生: 余り自然保護派とは言えない我々3名のコンビではあるが、全く自然保護の話題を無視しているわけではない。自然保護は、それ自体意味があることには全く同意していて、ただその意味を絶対的なものとして位置づけていないだけである。

 長野冬季オリンピックは、もともと環境重視でいくとの方針であるが、もしも環境絶対主義で行くのならば冬季オリンピックの開催などはやめるのがベスト。やると決めたならば、その自然保護と開催することによる若干の自然破壊との調整は、なんとか付けなくてはいけない。どのようにして調整をとるべきなのだろうか。

 自然保護議論の練習問題として恰好なものがこの滑降コーススタート地点問題である。さて、諸君はどう思う?

 

A君:新聞を繰り返して読んだのですが、どうにもNAOC側の主張の意図が分からないのです。なぜならば、NAOCは長野県などの職員から構成されているはずで、彼等が環境保護絶対派とは思えないので。副会長は県知事みたいだし。

 

B君:僕も新聞を繰り返し読んだけれど、報道されていない何か別の要素があるような気がします。

 

C先生:とうとうサラマンチIOC会長までからんで来て、また、NAOC内部の対立構造も見え始めてきて、なかなか大変なようだ。

 今日(H9.10.30)の新聞報道によれば、FISにNAOC案を飲ませるためにサラマンチ会長がしたという提案が、(1)リフトを止める、(2)圧雪車を入れない(3)一般スキーヤーを滑らせない、とういうものだったそうだようだ。

 さて、さて。それでは、若干の原則論から議論しようか。

 

A君:このような自然保護に関するような環境問題を考える基本は、その人間活動によって、どれぐらい生態系が破壊されるか、その回復にどのぐらいの期間を要するか、あるいは、回復不能なほど破壊されるのか、などといった情報を基本として、その破壊の程度がどれほど重大であるかと、破壊される生態系の貴重さとを合わせて、総合的に判断するという方法論を取るのが普通ですよね。

 

C先生:まあそんなところだろう。

 

B君:今回、滑降コースを1800mに上げたとして、生態系に対してどのような影響が考えられるだろうか。毎年毎年60万人のスキーヤーがその上を滑っていることと、五輪滑降コースを作ることとの差が問題となるわけだろうが。ほとんど変わらないのでは、という気がする。

 

C先生:スキーヤーとしてのキャリアの長さからの判断で一言。滑降コースを作るためには、まず人がつぼ足で踏み固める。とにかく「かちんかちんの氷」の状態にしなくてはならない。場合によっては、塩などを使う場合もある。だから、通常の圧雪車が入るときに比べれば、影響が後後まで残る可能性がある。

 

B君:でも春になって雪が溶けると、普通のゲレンデはスキーヤーが捨てるごみだらけ、特に、たばこの吸殻だらけというじゃないですか。だから、そんなに差は無いのでは。

 

A君:このような議論が、NAOCを始めとする関連諸団体でなされているのでしょうかね。どうも余りまともには取り組んでいないような気がするのですが。

 

C先生:少なくとも報道されていないね。やや早いが(肩と肘も痛いので?)、結論に行くか。さあどうする。

 

B君:これまで毎年毎年60万人ものスキーヤーを滑らせておいて、今シーズンになって、突然「自然保護」を言うのは、全く理解不能。とにかく、国際的にも日本の自然保護というのは何なのだと思わせてしまう。NAOCの主張は国辱ものだ。一方、FISの案は妥協案としても良く考えられている。スタート地点も保護地域の外のリフト直下に設定するようだし。1800mスタート賛成。そして、オリンピックが終了したら、それを記念に、そのリフトを撤去しよう。それが本当の自然保護になる。オリンピックがこういう形で自然保護の役に立つのは大変良い。

 

A君:これまで60万人のスキーヤーが滑っていた。だからFISの案が自然破壊だというのは、理屈が通りにくい。でも、地元の利益を考えると、リフトを止める訳にも行かないのだろう。まあ、今回のNAOCの対応には合理性が見られないので、FIS案全面支持。その後、自然保護に関しては、環境庁などとの協議で決めれば良いのでは。

 

C先生:そうだなあ。もしもNAOC案で強行するのならば、リフトはオリンピック開始時までに撤去すること。それが出来なくても、今年はチェアを付けないで、少なくとも今後このリフトは使用しなことを宣言すること。もしもFIS案で行くのなら、滑降コースを設置することによる生態系への被害が何によって最も大きいのかを調査し、例えば、塩を使わないなどといった対応を取ること。

 それから、新聞などへの要望だけれど、これまでの報道をいくら読んでも、NAOCの本音が分からない。もっと突っ込んだ報道が欲しいところだ。どうもこのまま行くと、NAOC案のまま実施されて、オリンピックの選手からも観客からも不評ばかりになって、しかし、問題のリフトは永遠に残るという最悪の形(これがNAOCの面子を立てるためなのかも知れないが)になりそうな気がする。何が「面子」なのか、しっかり報道してください。


 皆様のご意見は如何ですか。この問題は、間もなく決着しますが、それまでに自然保護団体だけではなくて、一般市民も発言することが必要だと思います。