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 家電リサイクル法の読み方 04.11.99




 家電リサイクル法関係では、前回、リサイクル率が決まったことを取り上げた。妙なことではあるのだが、未だに官庁は縦割り社会。この前の新聞記事は、通産省からの発表に基づくものであったようで、今回、厚生省の発表に基づく記事が出た。しかし、朝日新聞の解釈は間違っているようだ(訂正文が出たかな?)。



C先生:法律とか法令とかの解釈はなかなか難しい。今回、厚生省から発表になったことは、家電リサイクル法の実施にあたっての解釈の仕方を示す政令ができるということであったが、新聞記者も肝心の解釈を間違っちゃったようだ。

A君:新聞記者が間違うようでは、一般人向け記述からは程遠いということですね。

B君:日本語で論理的な文章を書こうとすると難しいからね。主語、述語が無しでも文章が書ける(さて、この文章の主語は、「我々は」が省略されているのかな?)。しかも、法律・政令などには、すでに存在している法律というシバリがあって、その用語を別の意味には使えない。だから、分かりにくくなるのも当然。

C先生:今回、まずキーポイントになったのが、「等」という言葉なんだな。等が付くか付かないかで、意味が違う。「再商品化」=マテリアルリサイクル、「再商品化等」=マテリアルリサイクル+エネルギー回収、という意味なのだけれど、色々な言葉の使用上の事情から、直接的にそのように書けない。これがどうも混乱の元。
 もう一つの混乱の元が、「再商品化」の基準を算出するにあたって、今回は、鉄、銅、アルミ、ブラウン管ガラス、を対象とした計算式を示しているため、「再商品化」の対象も、これらの4種に限られると誤解しやすいこと。

B君:「等」という言葉は、役人は本当に良く使いますよね。法律として完全を期するものだから、それを若干柔軟に適用できるものにしようとすると、「等」が活躍をすることになる。

A君:今回のリサイクル率では、エネルギー回収は含まれないのですよね。

C先生:そうだ。今回の基準値、「エアコン60%、テレビ55%、洗濯機・冷蔵庫50%」は、「再商品化の%」でなければならないから、プラスチックなどを燃やしてエネルギー回収をいくらやっても、算入することができない。
 今回の基準値に算入するのは、「マテリアルリサイクル」が、唯一の方法。しかし、対象物質は、基準算定に使われた鉄、銅、アルミ、ガラスに限らない。プラスチックなどでも、それをマテリアルリサイクルすれば、それは算入してよい。この点、朝日新聞の解釈は間違っていた。
 しかし、家電リサイクル法の一つの重要な狙いが、埋立ての回避にある以上、なるべく早めにエネルギー回収の基準を決める必要がある。

B君:容器包装リサイクル法が完全実施されると、回収されたプラスチックをやはり再商品化する必要があるが、そのときには、エネルギー回収が当然行われることになりますよね。

A君:エネルギー回収といったって、色々とレベルがあるはずで、単にお湯を沸かしたぐらいで、エネルギー回収だと言われても困りますよね。

C先生:容器包装リサイクル法でも、高炉への吹き込み、ガス化、油化、コークス炉利用、の4種類は特別に取り扱うことになるのだろう。

B君:もしも埋立てを回避するのであれば、もっと直接的な記述法がありそうに思うが、やはり難しいのだろうか。例えば、埋立てたら課徴金を課すとか。

A君:誰がいつその課徴金を払うシステムにするのですか。

B君:一つのやり方は、埋立て税。最終処分をする業者から取る。となれば、最終処分の料金が必然的に上がるから、埋立て処分される量を減らすことにつながるだろう。

A君:そんな簡単な方法なら、すぐにでもできそうですね。

C先生:日本の行政は、まだ、課徴金という考え方を導入するには早いと考えているようだ。あるビジネスを育成しようと思ったら、2種類の考え方、「飴と鞭」の両方がある。現在、行政が使う方法は「飴」型で、その理由は、比較的文句が言われない方法だからかな。「鞭」型にすると、ある特定の業種に不利益が集中すると考えられているようだ。

A君:法令の解釈はこのぐらいにして、家電リサイクル法の問題点の議論をしたいのですが。なぜならば、まだ、我々の業界としても対応がきちんと決まらない。それは、家電リサイクル法が実施されたときに、何が起きるか、いまだに予測不能の部分が多いからなんです。

B君:行政というものは、法律それ自体に矛盾がなければ、それがどのように機能するかについては市場の自由意思に任せるというのが基本的方針だからね。

C先生:家電リサイクル法については、それに関わるものにとって、(1)実施時にどのような事態が予想されるか、(2)リサイクル率をどのように上昇させていくべきか、(3)施行後5年後の見直しをどのようにすべきか、といった3つの検討課題が残っているように思える。
 (1)実施時だが、料金がどのようになるか、これが問題その1。さらに、どのぐらいの製品がどのルートに流れるか、これが問題その2。この2つの問題は、お互いに密接に関連しているが。

A君:どのルートという話ですが、現在考えられているルートを図示すると、次のようなものです。想定しているメインのフローは、当然ながら、小売店、メーカールート。
 どのルートに渡っても、処理基準は実質上同じ。消費者から、事業系のルートに載せるのは、裏技を使う必要があるようです。



B君:それぞれの料金がどのようになるのだろう。

C先生:この予測が難しい。家電業界の雰囲気では、処理に必要な全額は消費者から取れないから、一部内部負担になるという。となると、市町村ルートは、税金の補助が無い限り、存続が難しいことになる。メーカールートの処理コストが特別に高くなるような理由が無い限りという条件付きだが。

A君:料金・コストについては、全く分かりません。

B君:現在、優良処理業者の選別が行われているという状況らしいが、処理する量がわからないと料金もわからないのでは。

C先生:まあ、一つの予測だが、メーカーの処理費用が一部内部化されてくるように思える。本当の意味での内部化ではなくて、旧製品の処理コストが新製品のコストに上乗せされるという意味の内部化だ。「スライド型内部化」か。
 そこで、恐らく、実施される2001年頃には、家電製品はすべて若干値上げになるのではないだろうか。単純に値上げする訳にもいかないから、家電のインテリジェント化が進んで、そのための値上げというシナリオになるだろう。どんな形でインテリジェント化されるか、簡単に言えば、2001年製の家電には、スピーカーが搭載されるのでは。冷蔵庫・洗濯機などがしゃべるようになる。今の自動販売機がしゃべるのと同様に。

B君:当然のことながら、コストが「スライド型内部化」をされれば、メーカールートがもっとも安くなるだろう。市町村ルートは、消滅するのではないだろうか。

A君:もしも、市町村ルートに税金が投入されたとすれば、そんなことは無いのではないでしょうか。

B君:それは、住民に訴訟を起こされたときに、勝てない危険性があるから、税金の投入は無いのでは。もっとも、市町村ルートの処理施設の整備に、国からの補助金が投入されれば、コストがもともと安い可能性があって、なんとも言えないが。

A君:事業系のルートとの混線は、本当に起きないのでしょうね。

B君:そのルートに乗せるために、消費者から処理費を取ったら違法行為になるから、タダで引き取る場合に限る。現在、テレビなどは、半分ぐらい海外に出て行ってしまうというから、海外に出せる程度の品物であれば、むしろ有価で引き取る業者がいる。そのとき、たまたま引き取ったものの、海外に出せないような粗悪品が、このルートで処理されるといった程度か。

C先生:今回のところは、こんなところにしよう。今後、どのようにリサイクル率を上げるべきか、施行後5年の見直しはどのようになるべきかについては、また別の機会で。