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ダイオキシン測定業者の登録制度  05.18.98
  






やや古い情報ですが、平成10年5月5日の www.asahi.com にこんな見出しで記事が載りました。

■ダイオキシン測定で登録制廃止後も調査業務を独占
 厚生省が通知で自治体を「拘束」、測定料金は米の2倍超す
 


C先生: ダイオキシンが色々な記事になる。しかし、このタイプは始めてだ。厚生省が通知を出して、ダイオキシン測定業務の発注先を特定の研究会(東レリサーチセンターなどを中心に24社による「廃棄物処理に係わるダイオキシン類測定分析技術研究会」)に所属している業者だけにするよう指導していたという。ダイオキシン分析料も1検体あたり以前の90万円といった値段からは大幅に安くなった。現在、30〜35万円だという。しかし、米国では8〜13万円で、米国と業務提携をしている業者は、20万円以下に設定しても、顧客が取れないという。
 厚生省は本当に自治体を拘束していたのだろうか。調査をした訳ではないのだが、このような話が起きても不思議ではない、という経験はいくつもしている。
 内情暴露という訳ではなく、推測ではあるが、霞ヶ関−地方自治体という構造を元にして、この現象を考察してみよう。



C先生:今回は、ぼやきを聞いてもらうために集まって貰ったようなものだ。A君にしてもB君にしても、余り関係のない話しだろうから。
 
B君:とはいっても、私も分るような気がするのですよ。誰のことが分るのかといえば、それは地方自治体の担当者の気持ちが。

A君:会社も古くなると官僚みたいなものですよ。例えば、環境関連のことを社内に通そうとすると、その壁の厚いこと厚いこと。

C先生:なるほど。となると、若干議論ができるということか。今回の記事の肝心のところは、厚生省の通知が本当に有ったのかどうかというところ。実際の通知は、記事中によれば、

>自治体が拒む根拠の一つは昨年2月に厚生省水道環境部環境整備課長名で出された通知にある。「測定分
>析にあたっては、測定分析の一定の技術レベルを有する。測定分析に必要な設備がある」などとされてお
>り、国内に設備がない業者を排除する理由とされている。 」

となっており、どうも、その研究会に所属している業者を指名せよといった直接的な表現ではなかったようだ。しかし、地方自治体の担当者がどう思うか、これが問題。それには歴史的な背景を考えないと、実は、それも記事の中にも記述があって、

>財団法人廃棄物研究財団が1991年に始めた登録制度は、厚生省が都道府県あてに、廃棄物処理施設の
>調査に登録業者を使うよう求める通知を出したこともあり、登録業者が自治体のダイオキシン測定を独占
>していた。だが、登録業者から排除された業者らの反発で96年5月に廃止された。

ということがあった。
 当事者としての厚生省は、次のように言っている。

>これに対して厚生省環境整備課は「通知は、国内に分析機があることを条件にしたわけではない。外国の
>業者と提携してもいい」としている。

B君:こんな状況だったら、自治体の担当者はこれまでの前例にならうという無難な方法を取るに決まっている。これが僕が分ると言ったのはこのこと。前例を破る理由が特になければ、破らないし、それに加えてダイオキシンの分析のような問題は、予算がふんだんにあって、余りにも多数の測定ができても地方自治体としても困るという事情もあるだろうから。

A君:当社の事務体制も似たようなものですよ。会社も創業50年以上になると、動脈硬化+金属疲労があらゆるところで見られますから。やはり、前例のないものをやってもらうのは大変なんですよ。
 C先生のところの民間等との共同研究員の登録にしても、実は、契約書を交わしましたよね。ところが、契約書という言葉が出てくると、法務部あたりが非常に敏感に反応を示して、正に困ってしまった。これが実態ですからね。環境研究とか、LCA研究とかで特許が出るとも思えないのにね。

C先生:どうもこの話しは長くやっても仕方がない。まとめにいこう。推測だが、こう言うことだったのだろう。96年以前は、たしかに厚生省が登録業者を使うように指導していたのだろう。これはいい加減な業者がいたため、信頼できる業者を選定せよということだったと考えるのが、もっとも素直。本音は別のところにあったかもしれないが。
 ところが、規制緩和の世の中になって、そのような指導が通用しなくなった。そこで、96年に登録制度をやめさせた。
 霞ヶ関側は、このような規制緩和の動きの中で、自治体も中央と同様に変わると思っていた。ところが、地方自治体は余りにも保守的で、まったくの前例主義を続けた。
 さてどちらが悪いのだろうか。答えは、まあ、両方とも悪い。霞ヶ関は、自治体のこのような本性を知っていながら放置した。自治体は、霞ヶ関の本音がどこにあるかを読みすぎて、保守主義に走った。
 こんなことをやっているのが、現在の行政の姿。厚生省を文部省に、地方自治体を国立大学事務局に置き換えると、いやになるほど類似したことが起きている。これをひとつひとつ変えないと駄目なのだ。