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ディーゼル車の排ガス規制強化  
     98.12.21






 中央環境審議会の大気部会は、14日、ディーゼル車の排ガス規制を2007年までに2段階で強化するように求めた答申をまとめ提出した。光化学スモッグや呼吸器障害の原因になる窒素酸化物NOx、スス成分の粒子状物質(PM)の排出量を2002〜2004年に現在より3割削減、さらに2007年をめどに現在より6割強削減する。環境庁は99年夏までに大気汚染防止法に基づく基準値を改正する方針で、自動車メーカーは新たな技術開発を迫られる。ディーゼル車は、台数が全体の18%であるが、NOx排出量の75%、粒子状物質(PM)のほぼ100%を占める

ディーゼル車の新しい排ガス規制値  
軽量車から重量車になるにしたがい、2002年から2004年と目標年がずれる。

乗用車 同左 トラック/バス 同左 同左 同左
小型車 中型車 軽量車 中量車 重量車
グラム/km 同左 同左 同左 |グラム/キロワット時 同左
NOx 0.4 0.4 0.4 0.7 4.5 6〜5
0.28 0.3 0.28 0.49 3.38 3.38
PM 0.08 0.08 0.08 0.09 0.25 0.7
0.052 0.056 0.052 0.06 0.18 0.18




C先生: 次に問題にすべき汚染だと考えてきたディーゼル排ガスの規制がいよいよ強化されることになった。軽量車を中心に2002年から開始され30%削減、そして、12トン超えの大型トラックが2004年に25%削減となる予定。第2段階だが、2007年にはさらに半分にする長期目標も定められた。今日はこの話題だ。

B君: ディーゼルの排ガス規制に関しては、これまでも大問題だと考えてきた。日本の場合には、排ガス規制と言うとNOxばかりが議論されるが、個人的には、粒子状物質PM(あるいは浮遊性粒子状物質SPM)と呼ばれるディーゼルの黒煙の原因が問題だと考えてきた。なぜならば、PMにどのような物質が含まれているか、未知な部分が多いからだ。ダイオキシンが含まれているという説もあり、ベンツピレンといった発ガン物質が含まれるという説もある。まあはっきりいって何が含まれていても驚かない。石油はもともと天然起源だから、どのような微量元素を含んでいても不思議ではない。一般の人々が、天然物は安全で人工物は危険だと考えているようだが、良く素性の知れた人工物の方が、素性の知れない天然物よりも安全だということは多い。少々話題がずれてしまったが。

A君:アレルギーの原因もPMというのはどうですか。花粉症はアレルギー症の一種で、杉の花粉がその原因だと言われているが、杉の花粉で真黄色になる山里の近くには意外と花粉症の人は少ない。むしろ都会病ではないだろうか。その原因のひとつとして考えられるのが、このディーゼル排煙からのPMではないだろうかと思うのですけど、どうでしょう。

C先生:そのような話は勿論有りうる。まあ、環境ホルモン問題と同じで、否定できない議論を繋いでいるだけという非難を受ても防御のしようがない程度の仮説ではあるが。でも、アトピーを含めてなんだかそのような感じがする。勿論都会生活者は、土に触れないことで体内細菌のコロニーのバランスが狂っているために、自己免疫機能が動作不良を起こしてアレルギーになるという考え方もある。

B君:先ほど述べたように、ディーゼル排ガスでは、NOxよりもPMの方がもっと規制対象になければいけないと思うのだ。しかし、日本には不幸な歴史があって、疫学的には必ずしもはっきりしないが、測定値としては比較的簡単に出せるNOxだけが交通公害の原因だとされてきた。今回の規制値もNOxよりもPMに重みを掛けたものにすべきだったのでは、と考える。

A君:そういう考えもありうるが、NOxだってやはり酸性・酸化力の強い物質だし、体に良いわけはない。しかも、技術的に可能かどうか、これが問題なのではないでしょうか。企業は規制が掛かると大変なんだ。

C先生:技術的には、PMを大幅に減少させることができると思う。例えば、フィルターを使ってトラップして、それを燃焼させるといった方法がある。この方法はいささか対症療法だし、装置の価格が高くなってしまうという問題点があるものの、実現は可能だと考えている。一方、ヨーロッパなどでは、コモンレールディーゼルという方式が注目を集めているが、これはシリンダー内に直接軽油を噴射する方式のために、燃料が細かい霧になって完全燃焼するからPMが出にくいという方法だ。日本では、日産プレサージュに搭載されている2.5リットルのディーゼルがこれに近い。日産はこんな技術的に優れたことをやっていながら、宣伝が下手だ。
 ヨーロッパでディーゼルが注目されている理由は、その燃費の良さだ。3リットルカーという言葉があるが、これは、日本のように排気量が3000ccで燃費は5km/リットルというものの正反対で、3リットルで100km走る車を意味している。我がプリウスでも、5リットルカーが良いところ。とてもとても3リットルカーにはならない。燃費を稼ぐひとつの方法がコモンレールディーゼルという訳だ。しかも、PMは少ない。ただNOx排出がいささか多いが、これはヨーロッパでは余り問題にされていないようだ。もちろんNOxは触媒で減らすことも可能で、それには触媒の寿命を長くするために、燃料中のイオウ分を低下させる必要がある。イオウ削減は石油会社はコストアップになるといってる。でも、石油関連の製品の値段は多少上がった方が良いのでは。こんな乱暴なことを言うと運輸関係からは怒られるが。(石油関係者から御意見いただきました。「NOx触媒はまだ実現が難しい。イオウ量削減は、EGR(排気ガスの循環装置)によるエンジンの傷みと、PMの酸化触媒の劣化防止のため」。ということですので、この文章は少々表現が不正確のようです。)

B君:いずれにしても、近い将来、都市部の最大の大気汚染の原因が取り除かれるのは大賛成だ。やや遅かったが、絶対的に遅すぎたという訳でもない。関連して、あのRVという車、燃費は悪いしディーゼルのものなどは排気公害からも最悪だから、都市への乗り入れを禁止したらと思う。トラック、バスのディーゼルは、ある程度までは必要悪で仕方がないと言えるが。

A君:あのRV車でずいぶんと稼いだメーカーは多い。でも、なんであんなものがこの狭い日本で必要なのか分からない。スキー場に行く道で、道路から落ちているのは重たいRV車が多いというし、あの車が自在に走れるところがそんなには無いのが日本というところだと思うが。

C先生:RV車は重たいから燃費が悪い。だから燃料費の安い軽油を使うという発想だろうが、レジャー用の車なのだから、燃費が悪くて経済性が悪くてもそれを当然だとして受け入れる、これが大人としてのまず第一条件だろうね。勿論、燃費の悪い車を使うことは社会的に徐々に容認されないようになる。大きな車は時代遅れという時代は、もうすぐそこまで来ている。だからといって、プリウスのような低燃費車を無理矢理普及させるために優遇策を取るのは、なんとなくすっきりしない。その優遇策のためにプリウスが売れてもあまりうれしくない。現在、プリウスに乗っている人は経済的には決して見合うことは無いのを承知で買っている。まあ、ある種の志がある人達だと思う。その意味合いが無くなってしまうのも残念なのだ。

A君:少々環境エリート的発想すぎませんかね。

B君:45万円もするバッテリーが何年もつか分からない。しかしプリウスを買う。その心意気は評価すべきだろうよ。

C先生:車自体のできは、たしかにそんなに悪くはないのが救いだな。
 少々話がずれてきたが、元に戻してディーゼル排煙だが、一般市民の皆さんはどう思っているのだろうか。先日来、究極の三択というのを考えて、みんなをいじめている。なぜか日本には住む場所が3個所しか無くなってしまった。1:ゴミ焼却場の隣、2:原子力発電所の隣、3:バス(ディーゼル)の駐車場の隣。どこに住むか? というやつなのだ。さあ諸君ならどこに住む。

B君:えーと、まず、ゴミ焼却場の隣は嫌だ。個人的には、ダイオキシンだけがゴミ焼却場からの排出物だと思っていない。黒煙が出ているような状態だと、相当妙な物質、例えば、ディーゼル排ガス中のPMと類似の物質が出ていると考えるべきだ。そのほかにも、揮発性の重金属なども排出されている。ディーゼルのPMは、個人的理由だが、花粉症なので嫌いだ。原子力発電所の隣は、普段出ているものは分かっているからまあ安心だが、非常に少ない確率ではあるが、大事故の可能性もある。確率の低い事故といえば、自分に隕石がぶつかることだって有りうるし、自分の感性から言えば、そうなればあきらめるということで、原子力発電所の隣かな。

A君:まあ、ゴミ焼却場は避けたい。原子力発電所の事故で死ねればよいが、生き残ったことを考えると、特に子どもの場合には悲劇的だ。自分だけなら別に構わないが、家族揃ってとなると避けたい。バスの駐車場の隣は、室内に外気を取り入れるのは深夜だけにして、バスが動く時間帯には空気清浄機をじゃんじゃん回せば住めないこともない。それをやれば、ゴミ焼却場の隣も同じかも。

C先生:先日、何人かに聞いたところ、環境研究者では原子力発電所の隣という人が多かった。さてさて、皆々様においてはどのようにお考えでしょうか。個人的には、環境面だけを考えれば原子力発電所の隣なのですが、ただ、今の原子力発電所は不便なところにあるので、便利なところにあるバスの駐車場の隣を選択する可能性も有ります。冗談が多少過ぎたようで、失礼しました。