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代替フロン「環境庁」対「通産省・業界」 

朝日新聞97年9月7日朝刊








状況の説明:


 12月に京都で開かれる気候変動枠組み条約第3回締結国会議に向けた日本の議定書案作成で、代替フロンとSF6の取り扱いをめぐって政府内部で対立が強まっているらしい。

 代替フロンが開発されたのは、特定フロンがオゾン層破壊物質であるとして、製造禁止になったためで、オゾン層に対しては悪影響を持たない代替フロンが現時点では主流になっている。環境庁は「規制対象にすべきだ」と主張、通産省・産業界は「現時点では規制は難しい」と主張しているという。

 代替フロンは冷媒として、冷蔵庫、エアコンなどに使われている。これを使わない方法も無い訳ではない。ヨーロッパでは、グリーンピースが開発したと言われているプロパンなどを冷媒にした冷蔵庫があるという。しかし、それには別途リスクがあるのも事実。アンモニアであれば、漏れたときの中毒。プロパンだと爆発などの危険性がある。カーエアコンなどには使いにくい。

 代替フロンは、フロンと違ってオゾン層破壊力は弱いが、地球温暖化ガスとしては、フロンと同様に強力であると考えて良い。

 さて、こんな状況で何を考えればよいのだろうか。




B君: なんだか構図が見えてくるようだが、本当のところは全く見えない。問題は、「規制」の中身だから。

C先生: 本当だ。このような議論をするときに、何を基本的原理原則として用いるのか、それはこのホームページ全体の主張であるのだが、「その物質を用いることによるリスクと、それを用いることによって得られるベネフィットとのバランスをどこで取るのか」、これが最も重要なのだ。

 このバランスをどこで取るかについては、まず、その物質のライフサイクルシナリオ(揺りかごから墓場までの一生のシナリオ)をどのように決めるか、特に、使用後にそのまま排出することを前提としてシナリオを作るのか、それとも99%以上の回収を目指したシナリオを作るのか、それによって、バランスポイントが変化するからね。

 勿論、他にも使用可能な物質があればそれとの比較検討ということになる。

B君: 両官庁はどのような代替フロンについてライフサイクルシナリオを提示しているのだろうか。どうやら、その提示すらしていない可能性がある。その議論からやらないと感情論的な議論にしかならないから、まともな結論が出る訳が無い!!!!

A君: このホームページが推薦するライフサイクルシナリオは、C先生の主張である「完全回収、再利用を前提としたシナリオ」ですね。その理由はなんですか。

C先生:いや、なんでもかんでも完全回収再利用という訳ではない。それは、物質の性格によって異なるからね。もっとも、代替フロンなどは完全回収再利用でいくべきだ。なぜならば、この物質は、天然には存在せずかつ分解しにくいものだから。二酸化炭素のように、天然に大量に存在しかつ大量に循環している物質の制御は、「使用量を減らすことによる排出制限」によって行うしか方法はない。鉄あるいはコンクリートのように、天然の土壌、石などの中に類似物質が大量に存在しているが、自然には循環していない物質の場合には、「適正廃棄」が正しいね。すなわち、リサイクルを基本としながらも、リサイクルのために莫大なエネルギーが必要な状態になったら、「環境影響を最小にする形で廃棄する」やり方だ。もちろん、最終処分地の余力を考えてのことになるが。

A君: 代替フロンの回収にはどのぐらい費用が掛かるのですか。

C先生: 特定フロンの回収に要する費用と同定度の費用がかかるとすれば、それは600億円/年程度だろう。この費用を誰が負担するのか。業界は自分達に押しつけられると言うが、「儲けをゼロにしても負担する」なら業界が負担していることになるが、負担の実態は、どんな形になったとしても最後は消費者である。要するに、「代替フロンを使っている機器を消費者が購入するときに、その機器全体としてのライフサイクルシナリオを実現するためのコストまで負担する原則」と、それに実効を与えるデポジット制、ですべて解決が可能である。600億円/年は高くない! 

B君: 代替フロンの処理が本当に行われるかどうか、気体だから把握しにくいですね。

C先生: 実際にどうやるのか、これは税金の仕組みの中でやりましょう。本ホームページの本来の主張は、民活・規制緩和なのだが、これは例外。なぜならば、目に見えない気体だから、適正処理されたかどうかの把握が困難。そこで処理税を高目に設定して、再利用を推進するとともに、処理量に応じた生産量の調整を組み合わせて不法排出を監視するぐらいにしないと。

A君: 今回代替フロンと同時に問題となっているSF6と呼ばれるガスを調べました。電力会社で「ガス」と言えばこのガスというぐらいに重要な絶縁性ガスで、このお陰で電力が供給できるといっても過言ではないようです。このガスの処理費用は本来電力代に含まれるべきものでしょう。となると、そうでなくても世界的に高いと言われ続けている日本の電力がますます高くなる可能性があります。それは、「日本の製造業にとってマイナスだ」というのが産業界の主張になりそうです。

B君: しかし、SF6、代替フロンを処理するには人と金が必要。ということは、日本国内に新たな産業の創出が行われることを意味し、必ずしもマイナスばかりではない。日本全体としてみれば、プラスの可能性すらある。

C先生: 結論と行こうか。まず、規制を行わないことは全く考えられないね。何も規制しないなら、COP3京都会議を返上すべし、だね。そこで重要なのは内容だが、具体的な規制が、「代替フロン類の製造規制・使用規制」の方向になるのなら、本ホームページは絶対反対を表明する。有用な物質は、使える自由度を確保すべきだからだ。そこで、「完全回収を含む排出規制」にするのならば、全面的に賛成である。