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COP3が始まる前にもう一度 






COP3が始まる前に(平成9年11月29日)

 いよいよ12月1日からCOP3が始まります。どのような最終結論になるのでしょうか。C先生達は、今何を考えているのでしょうか。



C先生:いよいよだね。どうなるのだろうか。いずれにしても、もう一度、本質を見極める必要があるのだろうね。

A君:米国などでは、産業界がCO2排出規制絶対反対というスタンスを崩しません。大統領も恐らく譲らないでしょうね。

B君:日本だけどうもフラフラしているようで、ECの地域内で削減率を共同で達成することにも、日本政府は理解を示す気になったらしい。その代わり10%程度+差異化あたりで妥協しようとしているのではないだろうか。

C先生:しかし、これまでこのホームページでも述べているように、二酸化炭素の削減に対する科学的な根拠が必ずしも完全ではないこと、これが問題を難しくしている。未来予測だから当たらなくても当然なのだけれど、どうしても疑問点が残っていて、それに対して、各国の政府も学者も色々と言うようだからね。

A君:私の立場は、企業人の立場ですから。まあ微妙ですが、やはり心のどこかに二酸化炭素が本当に問題なのかどうかという意識が有りますね。その最大のところが、地球上を流れている二酸化炭素の総量が、1600億トン(炭素換算)もあって、人間活動によって追加された60億トン(炭素換算)程度、割合にしてたったの3.5%の増加によって、大気中の二酸化炭素濃度がこのように上昇しているということがまず信じ難いところです。そんなにも平衡状態が微妙で、たったの3.5%程度の増加で大きくバランスが崩れるとは思えないのに、現実には、二酸化炭素濃度は上昇を続けている。

B君:IPCCが言うように、30億トン(炭素)程度削減しなければならないという仮定は、現在の地球の様子が全く変わらないという仮定に基づいているけれど、地球への太陽活動の影響なども実は大変な大きさであって、有史以来地球の平均気温は、プラスマイナス3度程度なんらかの理由で揺らいでいる。その揺らぎと二酸化炭素の空気中の濃度の揺らぎとの相関は極めて高いことも知られている。だから、二酸化炭素規制反対論者の中には、温度上昇が先に起きていて、二酸化炭素の濃度の上昇は、その結果である、とする人も居る。

C先生:今のIPCCの理論では、二酸化炭素濃度が上昇して、気温が上がると、それによって海水中に溶け込んでいる二酸化炭素が大気中に放出されて、ますます濃度が上昇する。すなわち、一旦、濃度が上昇傾向になるとそれを止めることができないとなっている。これをポジティブフィードバックと呼ぶ。これが起きると発散状態に向かうことになる。
 ところが、歴史を振り返ってみると、そのような温暖化がここ数千年で何回も起きているにもかかわらず、必ずいつかは寒冷化に向かう。現在の知識では、なぜ寒冷化に向かうような反転が起きるのかが分らない。どこかに、ネガティブフィードバック機構があって、それが気温を引き戻しているのだけれど、それが何なのか分らない。

A君:まあ、確かに不明なのですが、20世紀に起きている温暖化現象は、すでに、温度にして、0.3度とも0.6度ともいわれてますが、その原因が二酸化炭素だけではなくて、フロンや亜酸化窒素などによる複合的なものだからということは無いでしょうか。

B君:フロンの影響が予想以上に大きいということは考えられるかもしれない。調べてみると、簡単なことだろうに一致しないデータを見つけることができる。
 温暖化への寄与率にしても、ハンセン(1988)によれば、二酸化炭素49%、メタン18%、亜酸化窒素6%、フロン14%、その他13%となっている。IPCC(1995)によれば、二酸化炭素63.7%、メタン19.2%、亜酸化窒素5.7%、フロン(CFCとHCFC)10.2%、その他1.2%だという。どうも計算の根拠が違うものと思われる。
 ちなみに、日本が単年度(1993)で放出している温暖化ガスの寄与率は、二酸化炭素94.4%、メタン2.2%、亜酸化窒素1.3%、HFC1.2%、PFC/SF6が0.9%だとされていて、これが本当ならば、やはり二酸化炭素の削減をしない限り、温暖化防止はできないことになる。

A君:その日本のデータはおかしくないか? 本来ならば、フロン類のCFC,HCFCの寄与が入っていなければならない。HFCは、代替フロンのさらに代替物として開発されたものだから、1993年当時ならば放出されているものとしては、CFC、HCFCが圧倒的に多いはずだ。

C先生:まあ、色々と議論を繰り返しても仕方が無い。科学的結論が無いのだから。ただ、ここで我々が取るべきスタンスとしては、いくつか有るように思える。
(1)二酸化炭素の削減そのものは、二酸化炭素が将来の温暖化に繋がらないと言うことが例え分ったとしても、化石燃料の消費削減という大きな意味があること。
(2)地球上における人類の生存のために、地球への負荷を下げることは正しいこと。それが、人類に直接無害な二酸化炭素であっても。
(3)バブルで膨れた日本人の生活態度を若干反省するには良い機会であること。
(4)省エネルギー技術の開発を、もう一度試みる時期が来ていること。
 などの理由によって、10%とか15%とかいった二酸化炭素削減を目標とすることは、現在の日本にとって有り得る選択肢であると考えよう。

A君:しかし、現在すでに不景気なのに、さらに不景気になることが目に見えている。

B君:もはや2.5%成長を100年間続けることなどは有り得ないのだ。

A君:しかし、途上国を放置しておいたら、全く効果の無い話で、それを先進国だけでやるのは、意味が無い。

C先生:まあまあ。議論がすれ違っている。まるでA君は米国、B君はEU代表のようだ。個人的意見として、まず日本全体が環境コンシャスになる第一歩として、10〜15%削減は良い薬だと思う。ただしこれで終わりではない。何が公平で、何が不公平なのか、EUの方法が本当に良いのか、IPCCの50%を超える削減率が本当に必要なのか、などについて、今後も継続的に真理を求めかつ議論を続けることが必要だろう。今回のCOP3でどのような合意に到達するにしても。
 日本では、5年に一度しか環境問題をマスコミがまじめに取り上げるチャンスが来ない。前回が1992年の環境サミットのとき。そして、今年だ。これをしばらく継続できるように努力することに両君も是非是非協力してくれ。