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   COP3閉幕−−政治ゲームから実践段階へ

                                        12.12.97New






皆様ご存知のように、COP3がドタバタ劇のごとき幕切れを迎えまして、議定書が採択されました。

それによれば、日本6%、米国7%、EU8%、ロシア0%、その他、温暖化ガスは代替フロンなどを含める、バンキングあり、ネット方式あり、などなどでした。途上国関連は自発的参加も×になりました。

最後のドタバタ劇は、大木環境庁長官が内閣不信任案におびえたのか、京都から急遽東京に向かいかけて、途中で連れ戻されたということまであって、さらに、日程が完全に1日遅れて、通訳団は総引き上げで、代表団の皆様は本来の最終日10日からほとんど寝ていない状態だったのではないでしょうか。

まあ、ご苦労様でした。特に、日本代表団の方々はご苦労様でした。



C先生:地球の能力を政治的に奪い合う会議であったCOP3の結論=議定書が、徹夜の審議とスケジュールが1日遅れて決まった。中身の詳細とその評価については、そのうち逐一議論したいと思うが取りあえず、感想と疑問点でも述べてみようか。

A君:まず、最大の驚きは、米国が7%削減という案を飲んだことですね。特に、発展途上国に関する条項の一部が削除されたにも拘らずこれを飲んだということは、何なのでしょうか。ある米国の上院議員は、「こんなものは葬り去る」と発言してますよね。ゴア副大統領の環境イメージアップのための政治的ポーズ、すなわち、上院が条約批准に同意しないだろうということを前提としたスタンドプレーでないことを望みますね。ゴアは、クリントンの次の大統領を狙うのためか、もともと環境保護派であるというイメージを旨く強化したようですね。

C先生:A君にも、なんだか相当の批判精神が付いたようだが。

A君:欧米ならびに途上国各国の交渉に仕方から学んだだけです。

B君:EUと米国の政治取引のやり方は、まあ相当なものだ。EUのビャルゴー氏がいうように、日米欧の削減目標は同一というEUの主張は、最初から「戦略だった」そうだからね。日本、米国、EUの3国の比較に限れば、日本が実質上最も厳しい数値で合意してしまったことになるのじゃないかな。米国は、裏でロシアと排出権の取引をすることが決まっているようだから、ロシアの削減率が最終段階で5%削減から0%になったので、これでなんとかできるし、EUは、石油を北海油田から出る天然ガスに切り替えるだけで、10%削減ぐらいは簡単に達成してみせて、バンキングという仕組みを使って、将来のために貯金までできるのではないだろうか。

C先生:B君にしてはおとなしい発言だね。

B君:それは誤解です。A君が過激になっただけで、こちらは変わりません。

C先生:COP3のお影で、何が正常な感覚なのか分らなくなってきたのかな。余りにも政治取り引きがすさまじいもので、「めまい」がしたぐらいだ。こちらまでなんだか影響を受けたようだ。
 まあ、感想だが、まず今回のCOP3の結論で、代替フロンも取り込まれたことは、個人的には評価したい。まあ、状況がより厳しくなったような気もするが。この他に新しく付け加わった考え方で、もっとも怪しいのが「ネット方式」だね。森林による吸収量を放出量から差し引くという考えだが、原理的には導入すべきだろうが、どうやって算定するのだろうかね。森林というものは、良く知られているように、若い間には、二酸化炭素を吸収して固定するが、十分に成熟すると、植物の呼吸や落ち葉の腐敗などによる二酸化炭素の放出と吸収量がバランスして、差し引きゼロになる。だから、二酸化炭素を吸収するには、植林をするしかない。単に存在している森林は、二酸化炭素吸収には役に立たないのだ。日本のような現状から言えば、「森林を切って、炭焼きでもやって、炭は保存して、植林をする」ことでもやらないとね。これが自然保護とは言えないだろうが、林業の復興には貢献できるかもしれない。

A君:今回の会議では確定しなかったけれど、排出権の取引をどのようにやるか、といった問題には大変興味がありますね。

B君:スロバキアとかエストニア、ラトビアなどが8%削減に合意したのは感心してしまう。さて、日本の問題に戻ると、これからは日本がこの目標値をどのように旨く使うか、この議論をやりたい。

C先生:同感だね。確かに色々と問題もあるし、途上国の問題も先送りだから、これから継続的に議論して行こう。恐らく、12月12日付けの朝日新聞社説にあるように、抜け道を探るようなことはしないで、省エネルギーに勤めることが本当(=環境調和的)なのだろうが、COP3の決定過程をつぶさに見ると、それだけでは駄目で、相当戦略的な考え方も持ち込む必要があるようだ。国際社会の交渉の難しさ、各国の交渉に出てきている人々のすごさを考えると、まず、日本人全体として、もっと議論にも実践にも「タフ」でなければならないような気がする。余りにもイノセントな感覚だけでは、今後、生存できないね。今回の会議で、日本のNGOは何を学んだのだろうかね。

 上のような観点も含めて議論をしたいところだが、まあ、本日は詳細がまだまだ分らないので、ここまで。