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  マイナスイオン討論会に向けて  12.01.2002





 最近、テレビのコマーシャルをみて感じることだが、マイナスイオンなる言葉がめっきり減ったように思える。これまで本HP等で「マイナスイオン=健康に良い」の非科学性を指摘してきた良い影響が出始めているのではないかと思う次第。

 そして、いよいよ12月6日に山口大学で、マイナスイオンを取り上げた討論会が行われる。そこで、話す内容は、マイナスイオンに対してかなり厳しいトーンになっている。そのため、マイナスイオンにも若干良い部分もあることも、認識していないわけではないという言い訳が必要か、とも思っている。

 最新のDIME(12・5、2002)の「国民的”謎”究明」マイナスイオン記事も大体そんなトーンだった。利きそうな製品も、DIMEの記事には取り上げられている。勿論、健康対応商品ではない。しかし、本文が短くて、余り効果的に説明されていない。ここで補充してみたい。


C先生:「マイナスイオン=健康によい」で一儲けを目論んだ人には、どうも仇敵扱いをされているようだ。しかし、市民を騙して一儲けというのは、マルチ商法と大差無い事になってしまう。少なくとも、「プライドある商売」を心がける人は、絶対に避けるべきことだ。

A君:マイナスイオンという「非科学的な名称」を使い、「健康によい」という非科学的な商品の効能をうたうことで、本当に良いものがあるという可能性もぶちこわしたと思います。

B君:自業自得。

A君:自業自得とも言えますが、それ以外にも、真面目な商品が損をしたということは多少あるのでは。

C先生:マイナスイオンも、その実態は、静電気の一種と考えることにする。そして、この静電気を制御することでなんらかのメリットがある商品を上げてみたい。

A君:シャープのプラズマクラスターイオンのように、最近は、これも除菌イオンなどと主張しているようですが、確実な作用があるものもありますから、それも含めて議論すべきでは。

B君:12月6日に山口大学で行うマイナスイオンシンポジウムのにシャープの講演を依頼したら、「マイナスイオンという名称が関わる講演会には出ない」というポリシーで断られたそうで、これはこれでご立派。

A君:プラズマクラスターは、確かに、プラス、マイナス両イオンを出しているようですし、また、通常の放電法よりもエネルギーの制御をしっかりやって、不要なオゾンの発生量が少ないようですからね。

C先生:まあ、そんなところにして、(1)静電気制御の効果、(2)物質を分解する効果、(3)細菌を殺す効果、といったところに分けてリストを作ってみるか。

A君:細菌や物質を分解する効果については、すべての装置について効果的かどうかといわれれば多少疑問がありますが、まあしょうがない。

B君:C先生のオフィスにある加湿器は?

C先生:まあ良いことにするか。(4)消費電力の少ない加湿器としての水破砕型発生装置。

A君:こんな表になりますか。
(1)の静電気制御の効果: ヘアドライヤー、埃の荷電を制御する掃除機や空気清浄機
(2)の物質を分解する効果: 冷蔵庫、空気清浄機
(3)の細菌を殺す効果: エアコン、空気清浄機
(4)の水破砕型: 加湿器

B君:まず、ヘアドライヤーだが、髪の毛をプラスチック製のブラシで擦ると静電気が起きる。擦る材質にもよるのだが、大体は、髪の毛側がプラスに荷電する(静電気のプラス、マイナスについては、MinusStatic.htmをご参照下さい)。そして、髪の毛同士が同じ符号の電荷を持つから反発して浮き上がり、始末が悪い状態になりがち。ドライヤーの使用は、ビダルサスーンが言うように、完全に渇くジャストなタイミングで止めなければならないのだ。ところが、マイナスイオンドライヤーであれば、プラスの電荷をマイナスの電荷が消すから、髪の毛が乾いた状態でも収まりが良くなる。メーカーによれば、マイナスイオンによって髪の毛が水を吸収すると言うが、この説明は納得しがたい。

C先生:オゾンをつかって静電気を制御するという方法は、半導体工業においてしばしば使われているらしい。半導体は高電圧に弱いから、パチッと放電する静電気程度で回路が破壊されてしまう。そのために静電気の制御は重要なのだ。

A君:半導体産業と同じ発想でヘアドライヤーというのは、ちょっと高級そうでよいかもしれませんね。

B君:静電気を制御するためには、結構大量のオゾンを発生させなければならないようで、ヘアドライヤーからでいているとされているマイナスイオン量は多い。オゾンによる健康への影響が多少心配。

A君:使用時間が比較的短時間のドライヤーなら、まあそれほど健康に悪いということも無いのでは。

B君:換気を行うことは推奨しておこう。

A君:次が、埃の静電気を制御することによって、埃の巻き上げを効果的にする掃除機。

B君:日立製のXV−XF10なるものがDIMEには紹介されている。ところが、HPを見ると、「発生するマイナスイオンが2分間で森の中と同じ状態を作る」などと言っているから、これで減点だ。

A君:ただし、静電気を制御すれば、空中に浮遊している埃も落ちるはず。

B君:データも一応出ているがどんな測定をやったのか不明。煙を使ったらしいが。

A君:吸い口側のマイナスイオンはある種の工夫ではないですかね。

B君:図を見ると、恐らく、ブラシの材質を塩ビなどにしたのではないか。もっともマイナスの静電気を帯びるから。そのマイナスで、プラスに荷電している細かい埃をかき集め、中和して集塵しやすくしているようだ。まあ、単純な仕掛けだ。マイナスイオンなどというより、静電気制御と言うべきだ。

C先生:同感。同様の製品が、松下、東芝などからもでているようだ。いずれも、マイナスイオンなどといわないで、静電気を制御しているということをしっかりと説明すべし。マーケティングにはまだ問題あり。マーケティングの担当者の頭が「消費者迎合型のコチコチ」になっているのだろう。

A君:次に行きます。冷蔵庫です。DIMEでは、日立のR−K46RPAMが紹介されていますが、ほぼすべてのメーカーが同じようなものを出しています。

B君:その日立は、イオンラッピングなどといっている。マイナスイオンが野菜の鮮度を保つというが、きちんとした説明は無い。抗菌作用ではないか、と思わせる記述があるが。

A君:保水性、還元性だという説明もちょっと見えますが。

B君:非科学的だな。

C先生:どこかのメーカーが植物ホルモンであるエチレンをマイナスイオンが分解するから、野菜の劣化というか老化が防止できて長持ちすると主張している。これは、メカニズムとしてはあり得ることだ。

A君:それは東芝ですね。キャッチコピーは、「光プラズマ」によるエチレンガス分解・脱臭・除菌で食品の新鮮保存を実現。

B君:りんごはエチレンを出すことで有名。だから、りんごと野菜を同じ野菜室に入れておくと、野菜の老化が早い。

A君:しかし、「光プラズマ」ってマイナスイオンなんでしょうか。ということで調べてみたら、実は良く分からなかった。光触媒+マイナスイオン+プラズマだということなのですが、まあ、いい加減な図で、その発生機構などがわかるような科学的な図では無かった。オゾンは出ているようですので、その効果ではないかと思われるのですが。

B君:これもマーケティングの連中が問題。自分が分かる程度の図が良い説明図で、技術屋だけが分かる図など、一般市民向きではない、という「市民を馬鹿にした思い込み」、「市民のレベルは自分よりも低い」という思い込みあるからだ。

C先生:「オゾンはイメージの悪いもの」、「マイナスイオンはイメージの良いもの」、といった決め付けがあるのだろう。消臭にオゾンが効くのは当然だから、なんらかの効果はあると思われる。

A君:次にいきますか。シャープの除菌イオンとその類似品。

B君:シャープの冷蔵庫は、庫内だけでなくて、キッチンを除菌イオンで満たしてくれるようだが、「いらぬお世話」だ

C先生:この話は、日本人の細菌というものに対する考え方そのものを変えないとだめだ。細菌というものは病原菌だけではない。無差別にすべての細菌を殺すような空気中で育てたら、子供が正常に育つかどうか、実験をしたことが無いから、まあ証明されていない。今の日本人は、東南アジア諸国に行くと下痢をする人が多い。それは、腸内の細菌のバランスが悪いからだ。「そんな人間を育てる実験」をすることが、シャープは良いことだと思っているのだろうか。

B君:この点は、大メーカーとしての責任をどのように考えているかだ。マーケティング部門に商品の開発と宣伝を任せている経営陣が問題なんだ。市場が求めるものなら何でも売ってよいのか。大企業は市場を正しい方向へリードすべきではないのか。

C先生:現在の経営者は、大メーカーの場合でも、サラリーマンなんだ。だから、自分の任期内に業績を上げないと、首になる。だから、社長といえども、日本全体の有るべき姿などといった考え方は持っていない。

B君:大体、シャープの社長は誰なんだ。そういえば知らないな。

A君:町田勝彦という人ですが、詳しくは知りません。

C先生:ちょっと調べてみたらエコノミストの12月3日号にどうもインタビュー記事があるようだ。

A君:以上で、マイナスイオン有効活用の商品の(1)〜(3)が終了。残りが加湿器ですね。

B君:加湿機は重要だ。最近話題になっているのが、インフルエンザがそろそろ猛威を振るうころだということ。歴史を振り返っても、1918年のスペイン風邪で日本の患者数2380万人、そして死者38万9千人。1968年の香港風邪で、患者14万人、死者2000人。なぜ加湿機が重要かというのなら、インフルエンザウィルスは、湿気に弱いのだ。

A君:当時よりは格段に進歩した医療を活用しても、厚生労働省は「3200万人が発病し、3〜4万人の死者が予想される」としています。

C先生:最近、直火の暖房よりも、エアコン、電気ヒーターといった「乾燥機同様のシステム」が使用されている。ガスや石油の直火なら、燃焼によって相当量の水を出すから、乾燥防止面では良いところもある。

A君:ガスだと換気をしなければという気になりますが、エアコンだと余りそんな気にもならないですね。

B君:加湿機を買おうとしてカタログを見ると、消費電力が問題。加湿能力0.7L/時といった機種だと300W以上にもなる。ハイブリッド型とか言うが、実際には加熱方式だからだ。消費電力が問題なのは、プラズマテレビに限らない。

C先生:昔は、超音波発振子を水の中に入れて、そこから霧状の水を出す方式が主流だったのだが、水が24時間溜まっている状態なので、そこに雑菌が発生することがあった。レジオネラ菌でも発生したら死に至る。また、水滴が大きいためだろうか、水道水中のカルシウム分を空気中に飛ばすものだから、テレビなどの画面が真っ白になり、ガスの炎がオレンジ色になるという副作用があって、超音波式は終わった。

A君:DIMEで紹介されているテレビショッピングでよく見る「イオリー霧」は、超音波式ですね。

B君:珊瑚入りカートリッジとやらを使っているようだが、塩素の吸着剤なのだろうか。この方式だと除菌剤などを使わなければならないはずで、それは個人的には除菌は嫌だから、構造的な欠陥が改善されているとは思えない。それに、構造の割りには高い。

C先生:それで、DIMEで紹介されている松下のF−B04G2なる空気清浄機が、実は加湿機だということだ。オフィスでは、昨年、この前の機種を冬季に運転してまずまずだった。40W程度の消費電力で、0.35L/時の加湿能力がある。まあ、昨年のものは騒音がすごくて、家庭では使えないものだったが、今年のモデルは、どうなのだろうか。価格が高いのも欠点かもしれない。

A君:また購入してテストすれば良いのでは。

C先生:そろそろ終わるが、DIMEの記事のp175に掲載された、クレジットカードからタオルまで、トルマリンやセラミックスなどを使っている商品は、すべて、微弱放射線を出す商品だと思われるので、その記述が欲しかった。