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「今月の環境」(2月2003年)




2月20日: シュレッダーダスト7割再生義務化
2月18日: ロンドンのロードプライシング
2月18日: 「たばこ規制枠組み条約」の最終策定交渉
2月16日: ニューヨークの地下鉄の治安回復
2月16日: 土地汚染区域 評価0円
2月14日: 環境税具体案、今夏めど
2月13日: メタンハイドレート研究着手
2月11日: NPOのカネミ油症被害者の会の調査
2月11日: 本が売れない理由
2月09日: 朝日新聞書評 「異議あり! 生命・環境倫理学」
2月08日: 排ガス低減に新車以外も規制視野
2月04日: 横浜で家庭用燃料電池の試運転開始
2月03日: 畑で薬を作る AERA 2月3日号
2月02日: 環境ホルモン by 週刊朝日2/7号
2月02日: コロンビア号空中分解


2月20日: シュレッダーダスト7割再生義務化

 車の解体で出るシュレッダーダストのリサイクル率が決まった。2006年度に30%、10年度に50%、17年度から70%のリサイクルを義務化することになった。

 2015年に車のリサイクル率95%以上という目標を定めているので、こんな値になった。なぜなら、80%程度のリサイクルはすでに行われているので、20%出るシュレッダーダストの70%をリサイクルすれば、そこから、0.2×0.7=14%の上積みが期待できるからである。

 ちなみに、シュレッダーダストは、年間55〜75万トン発生している。

C先生:シュレッダーダストは、まさしく、ごちゃごちゃの混じり物。金属、プラスチック、布、ガラスくずなど。分別しようがないので、埋め立て処分。

A君:ただし、どうも、リサイクルといっても発電のための焼却は認めるようですから、できるだけ、金属・ガラスを取り除いて、可燃物にすることで実現できるのでしょう。

B君:自動車も、高価な商品だからできることだ。また、ユーザも金を出しやすい。全体としての効果は、まあ、絶対量としては少ないから、余りはっきりしないだろう。

C先生:廃棄物の量を減らそうと思ったら、建築物の解体をもっと精緻に行なうのが一番のように思えるが。理由は、やはり量が多い。

2月18日: ロンドンのロードプライシング

 ロンドン市は17日から、市中心部への車の乗り入れを有料化。1律5ポンド(960円)。平日の午前7時から午後6時30分の間に、「混雑ゾーン」=21平方キロに侵入する運転者に渋滞税が課せられる。電話やインターネットで当日中に納めないと、80ポンドの反則金。これにより、10〜15%の台数減を見込んでいる。

2月18日: 「たばこ規制枠組み条約」の最終策定交渉
 
 公衆衛生分野で初の国際条約を目指す「たばこ規制枠組み条約」の最終策定交渉が、国連欧州本部で始まった。ブルントラントWHO事務局長が、「喫煙死時計」の除幕を行なった。

 この時計は、99年10月以降、喫煙に関連する病気で死亡した人数を表示したもの。除幕時は、1332万人。28日までの会期中、刻々と人数が増える。

 6回目の政府間交渉となるが、たばこ広告の全面禁止など厳しい規制を求める「反たばこ派」と規制強化に慎重な日本や米国の対立が続いている。

2月16日: ニューヨークの地下鉄の治安回復
    特命リサーチ 200X より

 「落書きを消す」。これが1984年に開始し、91年に大半の落書きが消されてから犯罪発生数が減少を始めた。ラトガース大学のケリング教授の提案だった。その後、軽犯罪の取り締まりを強化して、その結果、94年には凶悪犯罪がなんと半減した。

 この手法に着目したジュリアーニ市長は、ニューヨーク市警にも導入した。落書消しと歩行者の信号無視、空き缶の投げ捨てなどを取り締まった。そして、やはり凶悪犯罪が減少した。

 落書きが多い地域では、軽犯罪が起きやすい。軽犯罪が多いと凶悪犯罪が増える。これをブロークン・ウィンドウ理論:割れた窓を放置しておくと、連鎖的にその場所で凶悪犯罪が起きる。これは、フィリップ・ジンバルド教授の実験。車のナンバーを外し、ボンネットを開けて放置しても、1週間で何も起きなかった。しかし、フロントガラスを割ったところ、10分後に2名の親子がバッテリーを持ち去って、続いてタイヤが持ち去られ、さらに落書きがされて、そして1週間後に完全に破壊された。

 誰にも管理されていないと感じた場合には、そのものを略奪や破壊しても罪悪感が薄いからである。

 落書きを消すことによって、罪悪感を取り戻すことができる。凶悪犯罪を防止するには、小さな犯罪を許さないという意識を取り戻すことが重要である。社会的な連帯も取り戻すことができる。

 日本でも札幌警察がブロークン・ウィンドウ理論を取り入れた。すすき野で違法駐車を徹底的に取り締まることから始めた。1日700台あったものが1年後に200台まで減少。ぼったくり店も1/3に減少した。犯罪率が12%減少した。

C先生:軽犯罪として、自転車の通行違反、歩行者の通行違反などを取り締まる時期に来ていると思う。それによって、日本社会の連帯も多少復活するのでは、と期待してしまう。

2月16日: 土地汚染区域 評価0円

 朝日新聞朝刊1面

 土地汚染対策法が2月15日に施行された。これにともなって、滋賀銀行は、法的に土壌汚染区域と指定された既存担保の土地の評価額を、浄化が完了するまで「0円」に下げることを決めた。取引先の企業などに汚染土壌の浄化を促す狙い。評価額が汚染発覚で下がるのを未然に防ぐため、有害物質を取り扱う工場などの土地を新規担保としない方針も決めた。

 土壌汚染防止法は、2002年5月に成立したが、この法律は、工場閉鎖にともなって工場跡地がマンションに転換されるときに土壌汚染が見つかる例が増加し、その対策として成立した。

 土壌汚染が見つかった場合には、都道府県知事が管理台帳に「指定地域」として記載、公示する。併せて、覆土や拡散防止などの人体への健康被害をくい止める処理を土地の所有者らに求めている。しかし、土壌の完全浄化までは義務付けておらず、汚染土壌が残っている限り「指定区域」として記載される。

 滋賀銀行は、融資先には土壌浄化への取り組みを促し、応じない場合は貸付利率の引き上げや新規担保の提供などを求めていく。さらに水質汚濁防止法で定められた有害物質を取り扱う工場などの土地を一覧表にし、各店舗に通知する。票に記載のある土地は原則、新規担保として取得しない方針。

C先生:土壌汚染というものは、他の汚染とはかなり性格が違う。ひとつは、自然に浄化される可能性が極めて低いこと、もう一つは、地下水汚染を除くと、ヒトの体への暴露経路が考えにくいこと、この二点。

A君:強いて言えば、土壌中にはあらゆる元素が含まれていること。バックグラウンドを考えなければならないこと。

B君:さらに言えば、元素が含まれているからそれが悪いということにはならない。水や酸に溶けない限り、体内に取り込まれても、そのまま排出されてしまうから。

C先生:しかし、有機塩素系化合物のような汚染と重金属系の汚染とは区別して考えるべきものだ。

A君:最後に記述されている滋賀銀行の取り組みは、いささか行きすぎのところがあります。水質汚染防止法で定められた有害物質を取り扱うと、それだけで問題にされるというのは、製造業で生きている日本なる国の存在そのものを否定する部分があります。

B君:有害物質でない物質など無い。有害性が非常に高い場合には、使わないという選択もあるが、どんな物質だって有害性はあるから、要するに管理が問題だ。

C先生:そのような考え方をリスク管理的思想と言う。少しでもそれに、水質汚濁防止法に載っていない物質なら使わないといった思想をハザード管理的思想と言う。この考え方は、消費者しか存在しない国の発想である。

A君:滋賀県には、多数の製造工場がありますが、こんな考え方でよいのでしょうか。

B君:滋賀銀行はやはり批判の対象にすべきだろう。

C先生:琵琶湖の水質を保全しなければならないのは事実だから、厳重な管理が必要であることは当然。しかし、水質汚濁防止法にある品目を使わなければ良いという発想は、極めて単細胞的だ。

A君:付録です。ちなみに、滋賀銀行の言う「水質汚濁防止法にある有害物質」とは、推測ながら、多分、健康項目のことだと思うのですが、以下のような物質です。26項目。

カドミウム / 全シアン / 鉛 / 六価クロム / ひ素 / 総水銀 / アルキル水銀 / PCB / トリクロロエチレン / テトラクロロエチレン / 四塩化炭素 / ジクロロメタン / 1,2-ジクロロエタン / 1,1,1-トリクロロエタン / 1,1,2-トリクロロエタン / 1,1-ジクロロエチレン / シス-1,2-ジクロロエチレン / 1,3-ジクロロプロペン(農薬) / チウラム(農薬) / シマジン(農薬) / チオベンカルブ(ベンチオカーブ)(農薬) / ベンゼン / セレン / 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 / ふっ素 / ほう素

B君:土壌汚染対策法第2条第1項の特定有害物質と同じかどうか。そのリストは以下の通りでやはり26項目。ただし、これは、地下水に溶出してヒトに摂取される可能性がある物質。

カドミウム/鉛/六価クロム/ひ素/総水銀/アルキル水銀/セレン/ふっ素/ほう素/シアン/ジクロロメタン/四塩化炭素/1,2-ジクロロエタン/1,1-ジクロロエチレン/シス1,2-ジクロロエチレン/1,1,1-トリクロロエタン/1,1,2-トリクロロエタン/トリクロロエチレン/テトラクロロエチレン/ベンゼン/1,3-ジクロロプロペン/PCB/チウラム/シマジン/チオベンカルブ/有機燐

A君:一項目だけ違うようですね。硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素が有機燐に変わっている。

C先生:やはり土壌汚染という観点から言えば、有機燐だ。窒素は、土壌汚染としては余り意味がない。有機物の分解でできるから、農地などの土壌中にいくらでも存在している。一方、工場の土地では問題にならない。

A君:このあたり複雑ですから、滋賀銀行は読み方を間違えたのでは。


2月14日: 環境税具体案、今夏めど

 鈴木環境大臣は、「環境税は必要だ。税制には国民の理解が欠かせず、もう具体案を示す時期だ」、との見解を示した。そして、今年夏をメドに環境省としての具体案をまとめる考え方を明らかにした。25日から中央環境審議会の専門委員会で作業に入る。

2月13日: メタンハイドレート研究着手

 経済産業省は、03年度、海底に大量に存在するといわれているメタンハイドレートを日本近海で掘削する研究に着手する。

 100億円を投じて、本州沿岸の深さ2000mの7〜10ヶ所で掘り出し、埋蔵量や成分を研究し、13年後の実用化を目指す。深海での大規模な採掘は、世界でもはじめて。

 メタンハイドレートは、メタンに水分子がくっついた氷状の固体。日本近海の埋蔵量は、国内の天然ガス消費量の100年分にあたる7.4兆立方メートルとの試算もある。

 事業は石油公団など三団体が04年1月、東海沖から熊野灘にかけての南海トラフを掘削する。ドリルパイプで数10m分の地層を抜き取る。

C先生:メタンハイドレートがあるのは事実のようだが、掘るのに必要なエネルギーの何倍が戻ってくるか、これが問題。

A君:石油の良いところは、一度油井を掘れば、最初は自噴してくるので、エネルギーが不要というところですね。

B君:それが液体の優れたところ。もしも、固体のメタンハイドレートがコスト的に使えるのなら、石炭だって使える。

C先生:温暖化がもしも本当に深刻なら、50年後には、相当量の二酸化炭素削減を行なう必要がある。しかし、いかに二酸化炭素放出量で不利とは分かっていても、やはり石炭に戻るのではないか。それが駄目なら、自然エネルギー15%と省エネの断行しかない。

2月11日: NPOのカネミ油症被害者の会の調査

 NHKのニュースだった。突然のことだったので、録画できていない。内容は不確実。

 カネミ油症の会は、カネミ油症被害者の女性150名に対して調査し、59人から健康に関する回答を得た。その結果、29人が婦人科関係で治療や手術を受けた。子宮内膜症5名、その他、子宮筋腫などを経験、そして、死産・流産の経験者10名。

C先生:カネミの被害者の実態を真面目に調査する必要がある。毒性はダイオキシン類、正確には、ダイオキシンの親戚みたいなフラン類+コプラナーPCBが原因だと思うが、それだけではなくて、毒性の低いPCB本体にも代謝過程でフェノールになるだろうから、環境ホルモン性があるに決まっているのではないか。

B君:ビスフェノールAの影響はいくら研究しても分からない。しかし、カネミ油症を再度調査しなおせば、かなり重要な情報が得られるのではないか。

2月11日: 本が売れない理由

 昨日、日本文芸家協会が「書籍流通の理念を目指して」と題したシンポジウムを東京・新宿で開いた。急成長した新古書店、ベストセラーを大量に貸し出す図書館、流通の目詰まりと言われる取次会社、この三者が一堂に会して白熱した議論があった。販売額だが、なんと、ピーク時に比べて、3500億円のマイナスで、2割減だという。

C先生:最近、本が売れないという。このシンポジウムは、その状況になんらかの解消のきっかけになるのだろうか。

A君:それぞれの主張をまとめますか。
まず、新古書店。ブックオフは700店。業界全体の売り上げは7年間で4.5倍の900億円だそうです。「作家にとっては、ブックオフでいくら売れても、原作者にはなんの払いも無い」。坂本社長の反撃は、「売り上げの300億円は、もしもブックオフがなかったら捨てられている本です」。資源の有効活用で、独自の値引きシステムが需要を掘り起こしている。

B君:その坂本社長の言い分はやはり妙だ。古本屋は昔からの商売だが、今の新刊本の売り上げのダウンに対して、若干の責任はあるだろう。

A君:次に、図書館。公共図書館の貸し出しは、かなり強力。ハリーポッターを例にとった推定では、90万回近くが公共図書館からの貸し出しで読まれた。図書の購入費は、公共図書館全体で350億円。日本の出版販売額の1.5%。

B君:佐野眞一氏の「図書館栄えて作家滅ぶは実態ではない。危険な議論」、というのも分かるような気もする。

A君:最後に取り次ぎ会社。大手2社による寡占状態が長く続いてきた。書店にとっては、仕入れを代行、流通と金融の役割を果たす。トーハンの金田社長は、在庫の集中管理などの改善点を紹介して、「数多くの新刊が洪水のように出て、読者が選択しきれない状況こそ問題」。

B君:その指摘は真実を突いている。

A君:ブックオフの坂本社長は、新古書店7社で作る「リサイクルブックストア協議会」として著者になんらかの対価を支払う姿勢を表明した。また、図書館では、貸し出しに対する保障を著作者にする公共貸与権の検討を開始するらしい。
C先生:出版という形の情報伝達が限界を迎えていることは事実だろう。

A君:大体、リストラ・リストラで人減らしをやると、皆が忙しくなって、本などを読んでいる時間が無くなるのが大問題。

B君:本を買っても、しまう場所が無い。これが根本的。

C先生:最近、雑誌を買う場合でも、薄い雑誌を選択してしまう。これは、雑誌をゴミにするという意識がどうしても働くからだ。

A君:文芸作品は別として、雑誌などから各種の情報を得るのなら、インターネットなどで十分ということもありますね。

B君:インターネットで的確に情報を探し出す技術を身に付ければ、紙のメディアが必要ない。新聞もいらないという人が多い。

C先生:本も、お宝として購入したくなるような本を、じっくりと作らないとだめな時代になったのだろう。ところが、作る側にそんな時間を掛ける余裕が無くなっている。「しっかりと遊ぶ」余裕がない。なんだか、日本経済と同じ閉塞状態にあるようだ。

2月09日: 朝日新聞書評 「異議あり! 生命・環境倫理学」

 岡本裕一著(ナカニシヤ出版・玉川大学助教授)について、評論家・山形浩生氏が推薦文を書いている。応用倫理学への疑問をはっきり肯定している、としている。

 この手の本が本物かどうか。例えば、過去にも「リサイクルしてはいけない」といった世の中の流れを揶揄する本が売れまくるということはあるので、この動きにも警戒が必要。

 この手の本を、買うべきか買わざるべきか。それが問題なのだ。買えば、この本の主張を部分的にでも肯定したことになり、買わなければ、内容を知ることができない。

 考えた末に、一応買うことにした。そのうち論評してみたいが、もしも読者諸氏がお読みになったら、感想をいただきたいと思う次第。

2月08日: 排ガス低減に新車以外も規制視野

 環境、経済産業、国土交通、警察庁は、自動車排ガスの低減策を公表した。この4省協議は、東京大気汚染訴訟で国に損害賠償を命じる判決がでたことから、行なわれてきた。

 低減策によれば、環境省が03年度から2年程度をかけて、使用中の車の排出ガス中の窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の濃度を調べる。

 簡便な検査法を開発し、車検制度に盛り込むことも考えられる。この他、軽油に含まれる硫黄分の濃度規制の導入、ディーゼル微粒子除去装置を付けるための費用を自治体と合わせて半額補助する、といった方策が考えられる。この半額補助には、03年度で道路特定財源から40億円をあてることなどが盛り込まれている。

2月04日: 横浜で家庭用燃料電池の試運転開始

 NHKニュース。 ニュースでは、中田市長と誰かが起動ボタンを押す画面がでてきた。その後、新日本石油の説明によれば、「家庭用燃料電池の最大の利点は、環境に良いことです。自分で電気を作って、廃熱も温湯の供給用などに使用できる」。

C先生:その通りなのだけど、現状で環境性能が良いとも言えないところが苦しいところ。

A君:画面を見ていたら、プロパンガスからリフォーマを通して水素を作って、高分子固体電解質型の燃料電池に供給しているようでしたが、この方式だと、エネルギー効率はあまり高くはないです。ただ、家庭用だから、給湯にも使えるのは事実。

B君:事実というよりも、まだまだ効率が悪いので、電気よりも熱を多く出してしまう。だから、実際には、お湯を大量に使う場所以外には、高いエネルギー効率が実現できない。

C先生:それに分散型の電源を都市に持ち込むと、ヒートアイランド現象がますますひどくなるという心配がある。現在、電力は、都市から離れた発電所で作られている。廃熱は発電所周辺を暖めている。ところが、分散型電源になると、都市ですべての廃熱がでることになる。エネルギー効率を高めることも重要なのだが、ヒートアイランド現象を解消することも重要だ。


2月03日: 畑で薬を作る AERA 2月3日号

 遺伝子組み換え作物といっても、最初から食用に作られたものは、それほど怖い結末に至るとは思えない。確実なことが言えないのは事実であるが、もともと食用に作られたものが自然に交雑したとしても、やはり食用に耐えるのではないかと思われるからである。

 ただし、このような考え方は人類偏重かもしれない。殺虫成分を作るように遺伝子組み換えが行なわれた作物によって、生態系が破壊される可能性が無い訳ではないからだ。

 ところが、最近米国で開発されている遺伝子組み換え作物が普及してしまうと、人類に対して本当に怖いことが起きるかもしれない。

 それは、薬用成分を含む作物を畑で大量に作ることである。免疫制御剤、血液凝固剤、肝炎やエイズのワクチン、避妊薬、虫歯予防薬、ヘルペス予防薬などに始まり、接着剤や漂白剤に至るまで、様々な試みが行なわれている。

 すでに、米国では、汚染事故が起きている。昨年11月には、ネブラスカ州で1750万リットルの食用大豆が薬用作物で汚染された疑いで回収処分された。前年に栽培された収穫漏れの種子から育った薬用コーンが、大豆と共に収穫、保管され、コーンの薬効成分が大豆に付着した。たまたま農務省の監視下だったために気付いた監察官が奔走して汚染大豆の出荷先を特定できた。

 危ない危ない。

2月2日: 環境ホルモン by 週刊朝日2/7号

大阪の築28年のマンション。水道管が錆びて赤水が出たということで、14年前にライニング工法という防錆工事をした。この工事の実体は、水道管の内側をエポキシ樹脂で固めること。

エポキシ樹脂は、ビスフェノールAを使っている。ライニング工法は、78年に大阪の業者が開発、80年代になって、全国に広まった。

ライニング工法は、一般の給水装置では、「性能を評価するのが難しく、原則的に認められていない」(厚生労働省)のだが、水道管を取り替える工事よりも安価なので、多くのマンションで施工されているのが実態らしい。

そして記事の最後に、何人かの研究者が登場する。

遠山千春氏・国立環境研環境健康研究領域長
 ビスフェノールAによる雄ネズミの精子減少の可能性について、「微妙な生理反応であり、不妊になるほどではない」

森千里教授・千葉大
「ビスフェノールAは女性ホルモン作用が弱いため、人が日常的に口にしうる量であれば、問題はないだろうというのが、研究者の間で常識になりつつある。ただ、妊婦の場合は別で、ビスフェノールAが胎盤を素通りして胎児の体内にまで入り込む。そこでどんな影響を及ぼしうるのか、まだはっきりしません」。

井口泰泉教授・岡崎国立共同研究機構
「影響がはっきりしないからといって、大丈夫だ言っていいものだろうか。少なくとも懸念がある以上、微量なりにどのぐらい溶出するのか、劣化や使用条件によってどう変わるのかといったことを業界はもっと明らかにすべきだ。適切な情報があれば、消費者も過剰に反応せずに安心して暮らせるのではないでしょうか」。

業界側からは、
西川洋三氏・ビスフェノールA安全性5社研究会
「胎盤を素通りするのは当たり前の話で、だから危険と言うのは不安をあおるだけ。超微量での影響を示唆する動物実験があるのは確かだが、国や業界側が大規模な再現試験や妊娠期間などを含めた多世代実験を何度もしても、問題がある結果は全く起きていない。現時点で、微量のビスフェノールAが人体に影響を与えるということは全く考えられません」。

C先生:14年前の話なので、いまさらだが、硬化時間を何時間ぐらい取ったのか。その後、使用初期にどのぐらいのビスフェノールAと硬化剤が水中に出てくるのか、かなり怪しい。恐らく、まずい水を飲まされたのではないか。

A君:今頃遅いですね。今はもうとっくに「絶対に安全」なレベルになっている。

B君:全く。ある意味で、人体実験だったのでは。ライニング工法を行ったマンションでの疫学調査を行うことで、ビスフェノールAの環境ホルモン性が大したことがないことが証明できるのではないか。

C先生:環境ホルモンの研究も、本来そんな研究をすべきなのだが、森先生も井口先生も細かい分子レベルの研究をやってきた。

A君:森先生の主張だと、大豆などというエストロジェンを大量に含んだ食品を食べた場合にも、何か起きることになりますね。それより女性ホルモン作用が弱いビスフェノールAで、何か特別のことが起きるというのも無理がありそうで。

B君:「影響がはっきりしない」という言葉を森、井口両先生が使用しているが、いくらやってもはっきりしないのではないか。今までの研究のやり方だと。

C先生:あれほどの研究費が投入されたのに、ビスフェノールAについて、未だにきちんとしたことが何も分からない。分子レベルの研究を続けても、もはや、何も分からないのではないか。フォン・サールの研究などに囚われていないで、疫学的手法に転換したらいかが。


2月02日: コロンビア号空中分解

 人にも、また、機械にも必ず寿命がある。まだ推測段階ではあるが、コロンビア号が空中分解した原因は、機体の老朽化ではないかと推測されているようだ。 → どうやらセラミックタイルが剥がれ落ちたため?

 日本時間2月1日の午後11時ごろのことだった。

 ところで、シャトルによる宇宙飛行にはリスクの評価がなされていたらしい。それによれば、事故の確率は245分の1と当初評価され、それが様々な改善によって735分の1になると推定されていた。

 発がん物質などへの生涯暴露では、10万分の1がリスクの基準になっていることと比較したら、宇宙飛行は極めて危険なのだ。