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「今月の環境」(6月1日2002年〜)




6月25日: ドレムス教授との会談
6月24日: 東京発シカゴ経由オルバニー
6月21日: 廃車時フロン処理費用3000円
6月20日: 地球温暖化と水素エネルギー
6月18日: 食品の安全が話題
6月13日: カナダも京都議定書批准に後向き
6月11日: ロシア、議定書批准に消極的
6月11日: シベリアの森林火災多発 朝日10日朝刊
6月9日: 全原発廃炉に3兆円 朝日朝刊
6月9日: 環境サミット準備会合失敗
6月7日: 協和香料の禁止物質使用問題
6月5日: 京都議定書批准書を国連に提出(6月4日)
6月5日: シナリオA、B、C  6月3日の朝日朝刊
6月4日: 携帯電話で通勤電車に電磁波充満? 6月3日朝日夕刊
6月3日: ノートパソコンの電池持続時間と車の燃費
6月2日: マイナスイオンと学界人

6月2日: マイナスイオンと学界人

こんなメールのやりとりをしております。これは、私からの返信です。

先日、マイナスイオンがメディアに余りにも取り上げられること自体、半分不本意だと記述しましたが、その理由は、こんなところにあるのです。学界の旧習のために、学界人としての存在が危うくなるのです。

安喰 哲也様

まず、人を批判する場合には、本名を使い、ホットメールなどの無料メールでは
なく、所属の分かるメールを使ってやりましょう。それが現在のネット上の礼儀
です。それが嫌なら、2チャンネルでどうぞ。

一時代前には正しかったと思われるご意見をいただき、それなりに感謝。このよ
うな意見がもっとくるだろうと覚悟していたのですが、やっと来ました。この手
のメールの第1号です。世の中は確実に変わっているということを実感できまし
た。

個人的には、このような見解は、「学界=象牙の塔的」であって、ひとつの好み
のタイプではありますが、読者からのメールで、「似非科学にだまされるのは、
学界人がそれは嘘だと言ってくれないからだ。一般市民では分からない。学界人は
もっと発言をすべきだ」、というものを受け取ると、どうやらその必要性が高い
ようで、学界内の倫理観・見識の方を変えるべきでしょう。

最近、科学が複雑怪奇になっていると思う一般市民が増えていて、個人的に、そ
のギャップを少しでも消すことが、科学に対する社会的認知を得る方法だと思っ
て、学界からの顰蹙は無視することにしております。

マイナスイオンはもとより全くの専門外。しかし、環境学などは雑学ですから、
従前の学界人としての見識に従って、その分野のすべての論文を読んで、かつ実
験をしてからでないとモノが言えない、といった対応では誰も環境の真理に迫れ
ない。

本HPでマイナスイオンを取り上げた理由は、「マイナスイオン」などという
「社会現象」に対してモノを言いたい、特に、「ダイオキシン」「環境ホルモン」
「化学物質」という「社会現象」との対比においてモノを言いたい、ということ。

とはいえ、マイナスイオン関係についても、某社の研究者から論文を貰って、そ
れなりには読みましたが。

>  安井至 先生
>
> 怪しいいもんは何でも自分で先ず実験するか、過去の研究論文を全て検証しましょう
> よ。推測、憶測のオシャベリでモノ言わんと(空気イオンの研究は100年くらい以
> 前からありますよ)。そしたらマイナスイオンの嘘、ホントが大体わかります。では
> では大センセイの名に恥じぬよう頑張って下さい。研究者間では実証の提示がないと
> 馬鹿にされますよ。

6月3日: ノートパソコンの電池持続時間と車の燃費

 最近、常用し始めたレッツノートCF−R1の電池の実力が分かってきた。仕様上6時間が持続時間の電池であるが、外出先でAirH”を接続したままでも、どうも4.5時間はいけそうである。カタログ値との比を「達成率」とでも呼べば、75%以上。

 これまで使ってきたfivaであるが、カタログ上10時間の電池が、5.5時間程度だったから、「達成率」は55%だった。これまでの経験上、ノートパソコンの実力は、大体こんなものである。WindowsがXPになって、むしろ多少、改善されたぐらいである。

 この「達成率」だが、車の燃費についても常々大問題だと思っている。その気になれば、普通のユーザでもなんとか実現できる最高燃費をカタログに示すべきである。燃費のサイト、http://e-nenpi.comを見てもらうと分かるように、3月分の燃費から、燃費達成率が表示されている。「達成率」の高さでは、外国車であるスマートの高さが目立つ。なんと96〜97%である。

 一方、トヨタのAT車についてのデータを示している別のページで指摘されているように、新型車ほどなぜか「達成率」が低い。メーカーは、10・15モードに特化したチューンをしたテスト車を使うのだろう。となると、使い方によって実燃費は違います、といった言い訳は通用しない。10・15モードは、すでに、現実から乖離した試験法になってしまったと言えるのではないか。第3機関による実燃費の認定制度の導入が必要なのではないか。


6月4日: 携帯電話で通勤電車に電磁波充満? 6月3日朝日夕刊

 東北大学の本堂毅助手が日本物理学会の論文誌で発表。車内で複数の携帯電話を同時に使用した場合の電磁波強度を算出。当然のことながら、電車は金属で作られているために、ガラスから出て行く分を除けば、電磁波は反射して内部に充満する。例えば、50人が0.4Wの携帯電話を持っているとすると、総電磁波出力は20W。車内の電力密度は、世界保健機構(WHO)の協力機関が定める国際基準値の数倍にも達しうることが分かった。

 ラッシュ時には、1車両に300人もが乗車することを考えると、もっと強い場合も容易に想定されるという。

 本堂氏「電子レンジの大型版だと考えれば良い。密閉空間での電磁波の影響を考慮し、予防原則を考える必要がある」。

 電磁波の人体影響については、携帯電話、放送用アンテナ、送電線、などから出る電磁波について、脳腫瘍、白血病などとの関連が指摘されている。WHOも昨年、高圧送電線からの電磁波が「発がんの可能性がある」との見解を示した。

C先生:ときどき出ては消える電磁波の健康影響。今回は、満員電車=電子レンジ論。

A君:電子レンジ論なら、電子レンジのことをもっと考えないと。

B君:電子レンジでご飯を温めるとき、お茶碗1杯のご飯なら2分。さて、お茶碗2杯分なら何分かかるでしょうか。

A君:いかん。もう主導権を取られた。はいはい。4分です。出された電波は、結局、水分を含んだ吸収体(今の場合はご飯とかヒト)に吸収されます。満員電車に300人乗っていて、300台の携帯電話があれば、1人の人が吸収する電磁波は、結局のところ1台分に過ぎない。

B君:ピンポン! 大正解!!

A君:車の中で1人で携帯電話を持っていることと、なんら違いは無いですね。人間のような吸収源が多数存在していると、電波強度が平均化されて、かえって安全かもしれない。

C先生:まさに、その通り。車に携帯電話を持って乗ると危ないことになる。待ちうけしているときの携帯電話からの電波出力は低い。だから、もっと危険なのは、車の中で通話をしているときだということになる。

A君:結局、満員電車だけが危険な訳ではない。もっと危険な場合があるということで。

B君:携帯電話に限らないが、電磁波で発がんの話もリスクとしてはかなり低い。

A君:高圧線からの電磁波というよりも低周波磁場の影響による白血病ですが、疫学的には確かに否定できないのですが、WHOが発がんの可能性があるとしたとの記述は恐らく不正確で、IARC(WHOの下部組織)が発がん性グループ2Bに高圧線を分類した、ということなのでは。

B君:多分そうだ。ちょっと調査が必要かもしれないが。

C先生:グループ2Bというのは、先日の「化学物質による発がん考http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/ChemCarcino.htmのHPで述べたように、「まあ多分大丈夫なグループ」と解釈しても良い。定義は「人に対して発がん性があるかもしれない」という分類なのだが、このグループには、コーヒー・漬物・ガソリンなどが含まれているので。


6月5日: 京都議定書批准書を国連に提出(6月4日)

 衆議院、参議院で承認された京都議定書だが、6月4日に国連大使が日本の京都議定書批准書を国連に提出した。これで、先進国としては、EU、日本の準備が完了したことになる。

 京都議定書が条約として発効するには、いわゆる55−55の条件を満たす必要がある。55カ国以上の方は問題無いが、55%については、ロシアが鍵を握っている。ロシアは、米国に対する配慮からいつ批准するかについての明言を避けている。

C先生:この京都議定書批准の話が、新聞報道で大きく取り上げられない。ワールドカップの日本−ベルギー戦(中山美穂−辻 仁成入籍も?)で号外がでたが、それに匹敵する大事件なのだが、どうもそういう理解に乏しいようだ。

A君:2008〜2012年の第一約束期間で1990年比マイナス6%の温暖化ガス排出量削減。一方、米国は、予想では、1990年比で+30%の排出量増加。となると、非常に荒い近似ですが、日本がそのときに流通させる物量も、現時点の15%マイナスにする必要があります。

B君:物量とエネルギー使用量は大体比例するから、当然そんなことになる。一方、米国は、物流を増やせるというこれまでの経済の延長線上でやる。これは、普通に考えれば、勝負にならない。

C先生:だから、アメリカンスタンダードからの離脱をしないと駄目なのだが、まだ、薄々感じてはいるのだろうが、産業界の誰もが、それを積極的に認めようとしない。

A君:それがロシアの批准と関係しているのでしょうね。米国が参加しない京都議定書の枠組みでは、排出権売買が行われるとしても、排出権の市場価値がかなり低くなると予想される。となると、ロシアは余った排出権を米国と日本に売って儲けようと思っていたのだが、日本に売るぐらいでは、思ったほど潤わない。だとしたら、石油生産国として大量の石油を掘削して販売する方が有利かもしれない。

B君:日本の産業界は、排出権を買ってなんとか誤魔化そうということを考えているのだろうか。

C先生:ODAの一部だと思えば、なんという金額でもない、という解釈なのかもしれない。

A君:しかし、排出権を買ってしまったら、それこそ、何の改革にもならないし、将来のための競争力強化にもならない。無駄なODAが行われることと等しいですね。

B君:循環型社会をどのようなものにするのか、そもそも循環型社会とは何か、そんな議論が行われて、二酸化炭素を本気で削減するのか、削減しないのか。また、削減策にしても、資源・エネルギー生産性を極限まで高めた商品開発といった方向性でやるのか、それとも、環境産業育成なのか。あるいは、環境負荷を下げた省エネ・省資源生活への転換で対応するのか。

C先生:それが、最近発行された循環型社会白書におけるシナリオA、C、Bに相当するものだ。この議論をすることが必要不可欠。


6月5日: シナリオA、B、C  6月3日の朝日朝刊

 その循環型社会白書のシナリオA、B、Cの紹介が、6月3日の朝日朝刊くらし面に掲載された。このようなシナリオを提示することが極めて重要。

 詳細は、後日また。


6月7日: 協和香料の禁止物質使用問題

 アセトアルデヒド、ひまし油、プロピオンアルデヒドなどの食品添加が日本では認められていない物質を使った香料が出回っていて、そのためにかなりの量のスナック菓子などが店頭から回収された。

 本日の新聞によれば、さらに別の物質、イソプロパノール、2メチルブチルアルデヒドも使用されていたとのこと。

 これらの物質は、日本では使用禁止であるが、米国などでは、使用が可能。

C先生:この問題で実害がでることは無い。敢えて言えば、回収が必要であったとも思えない。役所が、「今回は回収すべきでない」といった指示をだせば、その方が正しかったように思う。 まあ、メディアと市民運動がそれを許すとはとても思えないが。

B君:この企業の企業倫理なるものがどうなっているのだ、という問題は極めて重大な問題だ。決して許容できるような問題ではない。恐らく、これで、この企業も寿命を終えることになる。

A君:食品業界には倫理なるものが無いとしか思えない事件が多発していますが、何故なんでしょう。参入が比較的容易である故に、また、移ろいやすい消費者を相手にしているためもあっ競争激烈。そのため、いかなる方法を採用してでも、自らの生存だけを図る近視眼的な業界なんでしょうか。

C先生:それにしても、食品添加物の基準が米国と日本で全く違うということは驚きだ。米国からの食品は、そのまま販売が許可されていて、同じものを日本で使えないという理由はどこにもなさそうだ。それに対して、食品業界が文句をつけないのも、いささか奇妙。馴れ合いなのだろうか。このあたり、内部事情を知らないのでなんとも分からない。

B君:それにしても、こんな話があると、NGOのコメントが出て、「子供が食べると何が起きるか分からない」といったものになるのは、なんとかならんか。今回の場合には「何にも起きない」、ことぐらい分からないのだろうか。

E秘書:香料の話は全く気にしませんが、もう一つあった「指先入りおにぎり」の話は駄目。あれ以来コンビニのおにぎりが食べられない。

A君、B君、C先生:へーー。意外と繊細なんだ。


6月9日: 環境サミット準備会合失敗

 8月に開催されるヨハネスブルグサミットの準備会が未合意なまま閉会した。92年のブラジル・リオ地球サミット以来の環境サミットである。しかし、リオで決まった「アジェンダ21」という行動計画を検証して、進んでいない部分の促進策を世界実施文書として採択することになっている。最終準備会合は、文書案を取りまとめるのが最大の目的だった。

 しかし、途上国の開発資金の確保策をどう記述するかをめぐって、これまでの国際合意以上の資金支援と貿易上の保護を求める途上国と、拒否する先進国が対立した。

 6日、途上国側は、突然、開発資金の問題が片付かなければ文書全体の交渉に応じないと交渉を半日間ストップさせた。7日、南アが途上国、先進国の双方が都合のよい解釈ができる調停案を提示、合意を図った。

 先進国側は、調停案に多少の修正を加え、妥協しようとしたが、途上国グループのベネズエラが「調停案は受け入れるが、修正交渉はしない」と宣言し、交渉は決裂した。

 途上国が強硬姿勢をとっている背景には、「アジェンダ21」を先進国が履行していないという反感がある。アジェンダ21には、途上国援助をGDP比で0.7%にするという記述がある。0.33%から0.7%まで増加させるという約束だった。しかし、実際には、0.22%まで下がってしまった。また、アジェンダ21にある「貿易を通じた持続可能な開発の推進」も実現せず、途上国の債務は、10年間で34%増えた。

 米国のドリアンスキー国務次官は、「途上国の自己責任や国内の民主化、行政の透明性」などを援助の条件として文書案に盛り込むように求め、表現について細かく注文をつけた。途上国は、援助を道具にした内政干渉だと反発した。

 世界各地からのNGOのメンバーもいらだっている。「環境問題はどこかに吹っ飛んでしまった」、とグリーンピースは述べている。資金問題が交渉終盤を独占したことを批判。

 グリーンピースなどの環境NGOは、エネルギー効率や生物多様性保護などの数値目標を文書に盛り込むことを求めていた。

 途上国のNGOには、先進国が資金を出し渋っているように映っている。インドネシアのNGO、「先進国は我々の国の資源を使い、繁栄してきた。途上国が資金問題で先進国に抵抗したのは当然だ」。

C先生:この手の話は、まさにその通り。環境と開発に関するサミットとか言っても、現実には、貧困が環境破壊であるという途上国側の切り札と、先進国の援助するがそれには援助の効果がきちんと分かるような国内の体制を整備せよという援助を見せ札にした要求、この両方のせめぎあいが行われている。

A君:このように状況が悪くなったもの、米国流のグローバリゼーション=アメリカンスタンダードが原因だと言えませんかね。

B君:人間的な絆が切れて、社会に亀裂が走る。これがアメリカンスタンダードだとすると、その延長線上に、この話があることは納得できるのではないか。

C先生:このような傾向がどんどんと続くと、最後は戦争状態に至るような気がする。

6月9日: 全原発廃炉に3兆円 朝日朝刊

 日本原子力発電(電力会社9社が出資する企業)の調べによれば、標準的な原子炉1期の解体から放射性廃棄物の処分までに必要な廃炉費用が、約550億円であることが分かった。現在52基ある商用原発をすべて廃炉にするとなると、約3兆円かかることになる。

 原発の寿命は40年が目安。廃炉作業では、原子炉から核燃料を抜き取ったあとで、放射化などが起きてしまった部分とキレイな部分を分けて買いたい。110万キロワット級の原発で、約50〜55万トンの廃棄物が発生、うち、1万トンが長期管理が必要な放射性廃棄物。
 
 東海第二原発の解体費用は388億円。原子炉圧力容器などの放射性廃棄物の処理・処分費用は157億円。合計で545億円。

 廃炉のほか、使用済み燃料の再処理や、そこで生ずる高レベル放射性廃棄物の処分なども含めた後処理の総費用として30兆円といった概算もある。

C先生:原発の寿命とは何か。これが分からなかった。なぜならば、ほとんどすべてのものは置き換えることが可能だからだ。結論として、圧力容器の寿命だろうという推測をしたところ、専門家から正解との情報を貰った。

A君:寿命を延ばすことで、解体コストを削減するのがベストですが、圧力容器の寿命を延ばすことは可能なんでしょうか??

B君:寿命を延ばせば、廃棄物の発生も抑えられるから正解だ。しかし可能なのか?

C先生:分からない。


6月11日: シベリアの森林火災多発 朝日10日朝刊

 シベリアの森林火災が多発している。今年の2月からですでに6400キロ平米が消失した。昨年同期比で消失面積は3.7倍になっている。
 異変は森林火災だけではない。エニセイ川やレナ川の洪水が深刻である。下流の北極圏の氷が解けないうちに上流で雪解けが起きて、川がせき止められるのが原因。

 シベリアの温度は、90年代だけで0.9度の気温上昇が観測されている。

C先生:シベリアの温度変化とアルベドを調べると、温暖化が本当に進行しているかが分かる可能性がある。なぜならば、二酸化炭素の増加を原因とする温暖化では、極地付近の温度上昇が著しいとされているから。

A君:この森林火災の発生は、その傍証ぐらいにはなるのでしょうか?

6月11日: ロシア、議定書批准に消極的

 排出権の売買ができる保証を求めているらしい。年内批准は困難との見通し。


6月13日: カナダも京都議定書批准に後向き

 川口外相は、カナダ外相と会談。カナダは、連邦政府、州政府との関係、あるいは、産業界の反対などで、批准が困難な状況であると表明した。

 これで、ロシア、カナダ、オーストラリアは、批准に対して後向きであることが確定した。しかし、ロシアは、そのうち批准する可能性ありか。

6月18日: 食品の安全が話題

 このところ、香料と食品添加物、中国野菜と農薬、などの問題があるためか、食品の安全性が問題になっている。

 この問題で気になることは、「食品の検査の責任をどこに負わせようというのだろうか」、ということ。「中国野菜と農薬」の問題は、現在の日本の消費者が、「安いデフレ商品を買う性向が強い」ために起きた問題であるが、食品の検査を厳密にしようとすれば、それを行うのは、当然、公的・半公的機関になって、公務員などの数が増える「大きな政府」を目指すことになる。

 大きな政府は消費者にとっては、増税になるから、費用負担は増える。安い野菜を安心して食べようと思うと、税金が高くなる。

 一方、安全だけれども高い野菜を買うという方向になれば、食品の検査はそれほど厳密ではなくてもよく、信頼関係に基づいた制度設計をすることになる。すなわち、野菜は高くても、税金は安くなる。

 非認可食品添加物問題は、国内の倫理問題。しかし、これを「信頼関係」が無いことを前提に防止しようとすると、やはり検査費用がかさむ。すなわち、「大きな政府」を目指すことになる。

 食品の安全問題は、このいずれを選択するのか、という問題に帰着するのだが、そのような意識があって報道がなされいるだろうか。消費者は、こんな風にものを考えているのだろうか、ということが気になる。

 個人的には、無農薬栽培が良いとは思わない。しかし、不適正な農薬使用を許すような国からの輸入野菜は拒否したい。「大きな政府」は決して悪くは無い。北欧型は、大きな政府である。ただし、効率の悪い大きな政府は不要。

 加えてさらに問題だと思うのは、AERAの増刊号「安全が食べたい」のような報道。これが、問題を、「自分さえ良ければ」という「利己的なもの」にしている。その解釈は、恐らく次回の本記事へ。

6月20日: 地球温暖化と水素エネルギー

 このところ、今月の環境の記事が滞りがちであるのは、当然、理由はワールドカップである。本日現在、トルシエ日本に関しては「あった」と過去形になってしまったが。さらに来週から米国に出かけることも、時間が取れない理由の一つである。

 さて、昨日の朝日新聞には、水素エネルギーで地球温暖化が解消できるといったトーンで、記事がまとめられていた。本当のところは、正しくもあり、正しくもなし、である。

 なぜかといえば、それは「何時実現?」に対する答えがまだ無いからであり、さらに、「何から水素を作る」に対する答えもまちまちだからである。

 京都議定書の枠組みが問題になるのが、まず、第一約束期間である2008年から2012年。

 水素を用いた燃料電池車が、それまでに間に合う、すなわち、京都議定書対応策として、燃料電池車が有効であると思っていたら、それは大間違い。数100台走り出せばよいところ。

 本命は、都市ガスを燃料とする家庭用の熱電同時供給システムであるが、これもコストが高いので、果たしてどうなのだろうか。

 燃料電池車を含めて、それ以外のシステムは、インフラ整備が間に合わない。水素貯蔵の問題などは、遠い将来の話である。まず、すべての研究者は、家庭用あるいは業務用小規模熱電同時供給システムに注力すべきである。

6月21日: 廃車時フロン処理費用3000円

 10月1日から、廃車に際して、フロン費用の負担を求められることになるそうだ。フロン回収破壊法に基づく措置で、代金は3000円程度になりそう。

 ユーザは、郵便局やコンビニでフロン券を購入して廃車にする自動車とともに引き取り業者に引き渡す。フロン券は、引き取り業者、回収業者、フロン類破壊業者の手を経て、最終的にはメーカーに戻る。メーカーは、業者の請求に基づいて、回収費用やフロン破壊費用を振り込む。

 国内で保有されている自動車は7500万台。そのうち、95年末で生産が禁止された特定フロン=CFCが使われている自動車が2000万台。CFCの回収率は、2000年統計で、カーエアコンで13%、家庭用冷蔵庫で13%、業務用冷凍冷蔵庫は57%。

C先生:CFCだけが問題というわけではない。その後のオゾン層に対する影響をもつ塩素を含まないフロンが使われるようになってきているが、これが強烈な温暖化ガス。

A君:温暖化防止大綱によれば、フロン類の放出による温暖化効果はプラス2%に抑えるとなっていますが、これって、プラスで良いのでしょうか。

B君:二酸化炭素の発生を抑えるよりはずーっと効率的なんだけど、ある業種に対する気兼ねで、プラスになっているような気がする。



6月24日: 東京発シカゴ経由オルバニー

 米国に留学していたのは、今を去る27年前。その教授が引退ということで、ご挨拶に行くことにした。レンセラー工科大学(RPI)という日本では無名な大学だが、ガラス関係では有名であり、また米国最古の工科大学として著名。

 今回は、久々にユナイテッド航空の、しかもエコノミーに搭乗。理由は、家内が一緒だから。席は、エコノミーでは比較的前の方で、やや座席の間隔が広いところ。思ったよりも前後の余裕があって、また、隣が空席だったこともあって、ビジネスとの決定的な違いは無かった。まあ、10時間50分のフライト時間だからかもしれない。あと2時間長いと、どうだったか。

 昨年9月のテロ以来、初めての米国入りなので、セキュリティーがどのぐらい厳しくなっているものか、と心配した。特に、今回は、同じくRPIの教授で、ガラスの専門家、友沢先生のお宅へのお土産として、梅干をかなり大量に持っていたもので、もしもチェックされたら取り上げられるのではないか、と心配していた。

 ところが、予想に反して全くフリーに近い状態だった。一応税関申告書には、食物を持っているというところにチェックを入れたのだが、係官には無視された。

 シカゴは暑い。現地時間12時前に到着したが、すでに30度。皆さん半袖かノースリーブ。当方長袖。きょろきょろ見渡したら、それでも長袖の人もいる。まあ米国も広いから当然。

 夕方、オルバニー空港に到着。レンタカーにてホテルにチェックインして、早速友沢教授のお宅に伺う。積もる話が弾んで、アルコールが醒めるを待って、ホテルへ戻る。

6月25日: ドレムス教授との会談

 午前中、隣の州になるが、マサチューセッツ州のウィリアムスタウンなる町の美術館を見物に。ここは、小さな町だが、その割には立派な美術館がある。特に、ルノアールの絵が多数ある。今回は、特別展でクリムトの風景画をやっていたが、初めて見た。モネとなんとなく似た手法だが、見慣れないものを見てしまったという感想。

 午後、ポスドクの時のボス、ドレムス教授との会談。色々な話をしたが、今のRPIの学長は、女性で黒人。クリントン政権のときの原子力委員長だった人らしい。この人は、役に立たない学問はやらないという方針。日本でも、同じようなことを言っている人が居る、という話になった。もともと、産学連携推進派であるが、それは、産学連携をやると決めた時に、妙なしばりがあることは良くないということで規制緩和を目指したきただけで、「大学人は本来産学連携だけを目指して研究などをしてはいけない」という主張をしている。

 すぐに役に立つ学問と、そうではない純粋の学問とは、その達成すべきレベルというものが違うのだ。すぐに役に立つことを目指せば、それこそ、企業研究と同じレベルでやめればよい。純粋の学問を目指すときには、やはりとことん突き詰めることが重要。

 この差を表現すれば、今の人類に役に立つ学問を目指すことと、将来の人類に役に立つかもしれない学問を目指すことの差だと言える。

 本来、両方とも必要なのである。しかし、為政者あるいは管理者は、目前のことにのみ目が行き勝ちである。

 最後に、ドレムス教授が、ブッシュ大統領が京都議定書からの離脱をしたのは、おろかな行為であると評したので、非常に満足してしまった。アメリカ人全員が、ブッシュの小型版という訳ではない。