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  スーパーへ水汲みに 10.20.2002




 朝日新聞10月17日夕刊のマリオン欄より。

 スーパーの浄水スタンド。マイナスイオン水、アルカリイオン水、ピュアウォータ、麦飯石でろ過した水。こんな水をスーパーが新サービスと称して提供を始めた。

 マリオンの記者は、「『安価で安心』人気上昇」という見出しを使い、どうも、このようなサービスを肯定的に捕らえているようだ。昨年の朝日新聞の反水道水キャンペーンに対する反省を全くせず、「市民の水道水の味と安全性への不信は根強いようだ」としている。

 しかし、このサービスが本当に「安価で安心」なのか
この記事もご参照下さい。Week020901.htm#label09212


C先生:この水サービスは、容器さえ買えば無料というところもあるようで、集客が目的ということのようだ。しかし、「安全性」が水道水への不信の原因だとしたら、実は、水道水の方が安全という場合もありそうに思える。

A君:飲料水としての提供と、調理用の水としての提供、この2種類があるようですが、消費者は、それをどのぐらい分かっているのやら。

B君:まあ「消費者の自己責任」だが、調理用ということで提供されていることが何を意味するか、その解釈ぐらができる知識は必要だ。

C先生:何種類かの水が提供されているが、そのすべての特性を理解しているとはとても思えない。

A君:その記事の記述にも、ほとんどそんな説明がないですね。

B君:記者が分かっていない。まあ当然のことだが。

C先生:マリオンの記者が、「安心で安価」といった見出しの記事を作って、そのために、何人かが体調を崩したとしたら、朝日新聞はその責任を取るのだろうか。

A君:責任を取ることはありえないですね。誰かが体調を崩したとしたら、そのスーパーにとって致命的打撃になることも、全く考慮していない。

B君:無条件に安全だと信じ込んでいるのだろう。市民は、何も分かっていない記者が記事を書いているという可能性・危険性をしっかりと認識すべきだ。

A君:マイナスイオン水なる水があると書いてあるだけで、この記者の水というものに対する知識量が知れてしまいますね。

B君:この話、スーパーという流通業が客寄せのために始めたのだ。それだけでも胡散臭さがあると思わなければならないのに、この記事の記者には、そんな批判精神が無い。

A君:サントリーなどのミネラルウォータを作っている企業も、黙っていないで、こういった記事は「不正確な記述があって社会的に害悪を流している可能性が高い」、という警告を朝日新聞に対してすべきだと思いますね。もう、新聞広告を出さないぞ、と言えば、多少利くでしょうから。

C先生:まずは、各種の水の処理法について概略の説明を。

A君:まず、簡単な説明をします。

(1)逆浸透膜法:微量のイオン類を除けば、ほぼすべての不純物が取れる。ただし、純粋すぎて飲用に適しているかどうか疑問。さらに、水道水中の塩素が取れてしまうので、ボトルの洗浄が不完全な場合には、細菌の繁殖の可能性が高い。完全な滅菌状態にするのは、事実上不可能だから、まあ、1日以内に使い切るか、加熱する調理用にしておくのが無難。
(2)アルカリイオン水:電気分解を行って、陰極側の水を言う。電気分解の際に、何か添加してから行うか、どうか、方式に多少のバラエティーがある。ただし、この方法では、不純物の除去は行われない。
(3)麦飯石ろ過水:多少のイオン交換能と吸着能がある天然石でろ過するもの。却って妙な不純物を加えている可能性も高い。
(4)マイナスイオン水:こんな水は無い。この名前を使っているものは、まず、それだけで怪しい。実態がなんだか分からない。

B君:逆浸透膜がどのようにWebで説明されているのか、と調べてみた。
http://www.netwave.or.jp/~mmc/ro.html
 このページの記述はかなり正確だと思われるので、推薦。

http://www.mizukan.com/5kansyo/naka_b3.html
 このページは相当なるミスが含まれているので、非推薦。

http://www.kyoho-epoch.co.jp/kankyo/mizu/index.htm
 このページでの主張は、正しい部分が多い(特に、ミネラルバランスを保つような逆浸透膜機器が存在しないことを主張しているところなど)。しかし、水道水がすごく汚れているといった印象を与えようとしているところがあって、多少問題あり。特に、性能表で用いた原水というものは、いくらなんでも「まともな水道水」ではないだろう。

A君:一般家庭用に、逆浸透膜法で作った浄水が必要とはとても思えないですね。もしも逆浸透膜法による浄水器を買おうとすると、価格も20万円以上といったところです。

C先生:それぞれの方式について、分かりやすい方法で評価基準をまとめてくれ。

B君:都市で配水されている水道水の飲料水としてのリスクの大きさは、
(1)細菌類 > (2)ヒ素 > (3)トリハロメタン >(4)重金属類> (5)硝酸・亜硝酸
だと言えるだろう。
 ただ、害があるというわけではないが、感覚的なものも大きい。
(1)臭気 > (2)赤錆 ぐらいか。

A君:そんなことを考慮して、飲料水として用いられることを前提に、評価項目として、次のようなものを用います。

(1)塩素を除去しないこと。塩素を除去すると細菌の繁殖を招きかねない。塩素消毒で生成する次亜塩素酸が全く無害という訳ではないが、有害とも言えない。
(2)臭気成分の除去。
(3)トリハロメタン類の除去。
(4)細菌類除去。クリプトスポリジウム除去。
(5)赤錆の除去。
(6)重金属イオン類の除去。
(7)ヒ素の除去。
(8)カルシウム、マグネシウムなどを過度に除去しないこと。余りにも純粋すぎる水は、それが健康によいかどうか、微妙。
(9)農薬・ダイオキシン類など有機性物除去。
(10)硝酸イオン、亜硝酸イオンの除去。
(11)価格が高すぎないこと。消耗品代を含む。

逆浸透膜法 アルカリイオン水 マイナスイオン水 麦飯石ろ過水 以下比較用家庭用浄水器 中空糸型 活性炭+中空糸
(1)塩素を除去しないこと。注1 × ×
(2)臭気成分の除去。 × × ×
(3)トリハロメタン類の除去。 × × × ×
(4)細菌類除去。クリプトスポリジウム除去。 × × × ×:注3
(5)赤錆の除去。 × ×
(6)重金属イオン類の除去。 × × × ×
(7)ヒ素の除去。 × × × × ×
(8)カルシウム、マグネシウム、ナトリウムを過度に除去しないこと。注2 ×
(9)農薬・ダイオキシン類など有機性物除去。 × × × × ×
(10)硝酸イオン、亜硝酸イオンの除去。 × × × ×
(11)家庭内で用いる場合、価格が高すぎないこと。消耗品代を含む。 × ×
ABCによる総合評価 × × × ×
ABCによるコメント 過剰性能。体に本当によいか疑問。細菌の繁殖の危険性あり。 効果不明 こんな水は存在しない。そもそもインチキである可能性が高い。 麦飯石の組成によるが、それが不明 どうしても必要なら、これで十分 細菌を逆に増やしてしまう可能性がある
注1:除去すると細菌の繁殖を招きかねない。塩素を水に溶かすと生成する次亜塩素酸が全く無害という訳ではないが、有害とも言えない。 そのため、セラミックスチップ処理と仮定して評価している。
注2:余りにも純粋すぎる水は、それが健康によいかどうか、微妙。
注3:殺菌能力のある塩素を活性炭が吸着してしまうために、細菌を培養してしまう可能性あり

C先生:この表を見れば、どの浄水器も完全なものではないことが分かる。多くの家庭では、浄水器を使うとしても、単純な中空糸フィルター型で十分だということが分かるだろう。

B君:方法論別に、どのスーパーがどのような対応をしているか、それを解析して、我々の評価(ABC評価)を書いてみよう。


各メーカーの対応の評価 by ABC

(1)逆浸透膜法 調理用との表示が必要。しかし、調理用だとすると、利点もあまりない。トリハロメタンは、調理中に減少するので。

☆東急ストア:1回10円。そのほかに会員制あり。
ABC評価=調理用として売っているので良心的。

☆Odakyu OX:専用ボトルを買って、1.9リットルボトルで30円。調理用として使うべきだという注意書きが必要だが、それが無さそう。 
ABC評価=調理用との表示が必要。。

☆大丸ピーコック:専用ボトルを買えば、あとは無料。
ABC評価=調理用との表示が必要。。

☆サミットストア:専用ボトルを買えば、あとは無料。
ABC評価=調理用との表示が必要。

(2)アルカリイオン水
☆西友:加熱用、調理用として供給している。 
ABC評価=水道水よりも安全性が高いとは思えない。何か良い効果があることも疑問。塩素も多少は残っているので、逆浸透膜法の水よりは水道水に近くて安全性も保たれているかもしれない?

☆イトーヨーカドー:専用ボトルであれば無料。
ABC評価=水道水よりも安全性が高いとは思えない。何か良い効果があることも疑問。塩素も多少は残っているので、逆浸透膜法の水よりは水道水に近くて安全性も保たれている?

(3)麦飯石ろ過水
☆イオン:会員は無料。非会員は50円。
ABC評価=これは麦飯石なるものの組成と性能次第。だから、いつでも安全とは限らない。ミネラルとは鉱物であるが、まさに不純物でもある。ヒ素の含有量は逆に増えている可能性あり。チェックしたい。

☆マルエツ:ペットボトルでも給水可能。平均的に2リットルで80円。飲料水としての許可を保健所から取った。
ABC評価=飲料水としての許可をとったのであれば、ペットボトルの取り扱い、洗浄の方法、1日以内に飲みきるといった情報の開示が必要不可欠。これは麦飯石なるものの組成と性能次第。だから、いつでも安全とは限らない。ミネラルとは鉱物であるが、まさに不純物でもある。ヒ素の含有量などをチェックしたい。

☆西友:西友は、ほぼ全種類の水を取り揃えているようだ。しかし、すべて調理用としているとのこと。
ABC評価=麦飯石を通した水を調理用に、これは恐らく無意味。基本的に調理用は軟水の方が良い。麦飯石には若干のイオン交換作用があるので、軟水化している可能性はあるが、逆に、ある種のミネラルの溶け込みによって、硬水化している可能性もある。調理用で硬水が適しているのは、例外的。それは、肉をゆっくりと煮る場合のみ。

(4)マイナスイオン水
☆ヤマイチ:マイナスイオン水が何を意味するか全く不明。
ABC評価=即刻、中止することを推奨。インチキ商品を取り扱うデメリットを考えるべし。