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廃棄物か資源か 05.05.2001






 循環型社会における重要な問題の一つが、「廃棄物か資源か」である。例えば、廃タイヤが集まったときに、それが廃棄物なのか資源なのか、その区別が難しいということである。現在の法律では、有価かどうかがその一つの判断基準になっているが、循環型社会では、容器包装の場合のように、新たな製品を作った事業者は、廃棄物になった容器包装の処理費用を負担しなければならないことになっている。これは何を意味するかと言えば、「誰かが金を払うことが決まっていると、本当は負の価値をもったものであっても廃棄物ではなくなる」、ということを意味する。しかし、現状の法律では、そのようなものであっても、廃棄物としての枠組みからは外さないことになっている。すると、「資源を集める場合にも、廃棄物処理業の許可が必要」といった事態になって、循環型社会にとって、一つの問題が生ずることになる。
 さて、「廃棄物か資源か」、うまい区別はあるのか。



C先生:この問題は、かなり難しい。なかなか良い解が無いことを最初から指摘しておこう。

A君:まず、すでに法律がある容器包装や家電の場合と、それ以外とで状況はかなり違いますね。それに、収集・回収段階と、それ以降のリサイクル段階でこれまた考え方を変える必要があるし。

B君:収集が自動的に行われる場合、例えば、建築物や自動車のように、不法投棄を別にすれば、処理の第一段階を業者が取り扱う場合と、容器包装のように、自治体が取り扱う場合との差があるだけではないか。

C先生:それに、あえて加えれば、リターナブル瓶のように消費者が業者に戻すというものもある。

A君:家電の場合、この3月までは、自治体が粗大ゴミとして取り扱っていたのが、今回の法律で、業者が取り扱うものに変化したということですね。ということは、業者が取り扱う場合には、家電方式が良いといういことになりますか。要するに、業者はその価格を公開して、消費者がそれを支払う。

B君:家電の場合でも、収集手数料がなかなか決まらなかった。「タダで引き取ります」といって経済産業省に怒られた量販店もあったぐらいだ。だから、自動車の場合も、引き取り手数料を業者が決めることにすると混乱があるかもしれない。建物の場合にもまあ同様だが。

C先生:業者が取り扱うとはいっても、例えば農業資材のような場合には、通常の消費者相手とちょっと違う。まあ、収集手数料を公開することにすれば、それで良いのだろうが。

A君:となると、この議論を拡張すると、容器包装の場合のように、自治体が取り扱う場合でも、その料金を税金から切り離して、いくら掛かっているか公開して、この価格で自治体は処理しています、もしも、もっと安く収集してくれる企業があれば、そこに委託します。とすればかなりクリアーになりますね。その際、どのような分別を課して収集するかによってコストが違う、あるいは、集まったものの価値が違うという問題ありますが。

B君:そんなに単純には行かないだろう。そんな方式が実現するには、まだまだ10年以上かかるだろう。なぜならば、自治体にとって、収集事業は一つの業務な訳で、結構な人間をそれで養っていることが一つ。もう一つは、焼却炉を持っているもので、発熱量がある程度あるゴミが必要。紙、プラスチックを分別してしまったら、焼却のために集まってくるものが、生ゴミ、紙おむつ、ティッシュなどばかりになってしまう。

C先生:今の枠組みの中でも、たしかに容器包装も自治体が金を払って業者に委託するという手はあるだろう。実際にそれを行っているところもあるらしいから。
 しかし、容器包装については、現在法律があるが、それを前提に考えるか、それとも自由に考えるかで答えが違う。ここでは、容器リサイクル法を改正するとしたら、どうするか、という立場だから念のため。
 となると、収集までの費用は、本来の原理原則に戻れば、容器包装を使った事業者の責任、すなわち、製品価格に上乗せして消費者が払う形にすべきだろう。しかし、そうすると、消費者が回収に協力しない場合に手も足も出なくなるので、消費者が排出時に支払うことを原則にしていて、もしも協力が十分でない場合には、事業者がデポジットを採用できるような形にすると良いだろう。

B君:家庭からでる容器包装に家電みたいな「後払い」を適用するのは難しい。全部、そこいらへんに捨てられてしまうだろう。やはり先払い+デポジットにするのが簡単ではある。

C先生:まあ、収集・回収に関しても、問題は簡単ではないが、本来、本日の議論はここから先なんだ。まだ、整理をするには早いから、なんでも良いから考えを述べてくれ。

A君:以上のような仕組みになれば、どこかに様々なものが集まることにはなりますね。そして論点は、と言われれば、いかにして資源化を進めるかですね。

B君:ただ、それが廃棄物か資源化物かが問題になる。その区別にもっとも重要な前提は、と言われれば、焼却税、埋立税を掛けることだ。この税金は、その製品を製造した事業者が負担し、リサイクル業者の補助金に使用すればよい。そして、その補助金を加えて、価値が負ならば、廃棄物。正の価値になれば資源化物。

C先生:それは、一つの考え方だ。となると補助金の額をどうやって決めるかになるな。焼却税、埋立税の上がりの大部分を補助金に使うとしたら、配分割合をどう決めるが問題になるが。

A君:補助金の額は、そのリサイクル業者がもっているリサイクル設備によって変わることになりますか。

B君:いや。それは変だ。ある標準的なリサイクル設備を考えて、その設備で処理したときに、出てくる再生品の価格をR円とするか。このR円は、そのときの相場によって動く。この標準的なリサイクル設備を動かしたときに、掛かる費用を国が認定して、その費用をT円とする。もしも、R−T>0ならば、このリサイクルは自動的に行われる。だから、放置してよい。もしもR−T<0なら、その集まった資源の価値は、負だということになる。この負の価値を認定して、そのような集まった資源量×負の価格の合計を算出し、その分の2倍とか3倍の焼却税+埋立税を取ればよい。

C先生:となると、R円もT円も変動するが、それを年次で追いかけるということになるかな。さらに、多少にインセンティブを上乗せしないとだめで、それもそれぞれの資源について、トンあたりの補助金上乗せ分を決めればよいか。当然、このような仕組みの管理費が掛かるし、焼却・埋立を避けようと思うなら、税金を高額にすれば良いことになるな。

A君:うーーん。分かったような分からないような。その標準的な設備以上の設備をもっている場合には、どうするのですか。

B君:補助金の額は決まる。その設備の善し悪しによって再生品の価格が決まる。だから、それから先は自由経済原則で動く。投資に値すると思えば投資すれば良いし、そうでなければ、やらなければ良い。これは、現在の容器包装リサイクル法の場合でも同じだが。

A君:しかし、これで本当に回るのだろうか。例えば、今あるごちゃごちゃに混じったプラスチックが10トンほど、ある会社のヤードに溜まったとします。これを埋め立てるか、あるいは、リサイクルするか、それはどうやって決めるのですかね。

B君:自然に決まるのではないか。そのプラスチック10トンに対する補助金の額は、前年度実績で決まっている。そのプラスチック10トンには、札束が付いていると考えればよい。その価値は昨年であれば、上乗せ分と等しかった。これをいくらで処理業者が買うか、これは入札で決めれば良い。勿論、それを資源として引き取って、焼却してしまえば、違反行為だから。どんな処理をするかは、その入札条件に入れる。

C先生:となると、その入札の判断には、価格だけでは駄目だとなって、公的機関が介入しなければならなくなるな。これも今の容器包装リサイクル法と同じか。

A君:もっと考えないと、これで全部回るかどうか、良く分からない。いろいろとチェックが必要のように思いますが。ちょっと考えさせて下さい。

−−−−休憩−−−−−

A君:やはりこの方法には欠点があります。それは、容器包装リサイクル法と同じ欠点なのですが、移行期を考えていないことです。どのようなスケジュールで、リサイクル率を高めるのか、その計画を示して、それに沿った形で、計算をやらなければ駄目ですね。前年実績を基準とするという考え方そのものが駄目だと思います。
 例えば、最初の年をどうするのか、これを考えると分かります。まあ、10%ぐらいがリサイクルされるとして計算しますと、埋立税・焼却税が低くて、リサイクルをしようとするインセンティブが無いことになります。
 だから、それぞれのものに対して、最低目標リサイクル率を決めて、その量がリサイクルされたとして計算を行うこと。例えば、50%ぐらいに。さらには、その目標リサイクル率を年次で徐々に理想と思われるところまで上げる必要があります。

B君:そうかもしれないな。最初の年に目標リサイクル率が50%、仮に実際に回収された量が10%とすると、50%がリサイクルされたとして負の価値の総額が決まる。だから、埋立税・焼却税は最初から高い上に、90%分の税金が取れる。10%だけが実際にリサイクルされるのだが、そのときには、1.8倍の埋立税・焼却税が入り、補助金対象は1/5しかない。上乗せを払えることになるな。これなら相当税金が余るが、確実に回る。そして事業者も参入するだろう。そして、その目標値が達成できることになる。

A君:となると余りはどうするのでしょうね。

B君:それは、他の環境保全、あるいは、土壌汚染などの過去の汚染の除去に使う。

C先生:このような方式になれば、あるものが廃棄物か資源化物か、それも補助金額を加えた額が正か負かで資源か廃棄物かが分かれることになる。まあ、今のゼロの価値を境目にして分けているものが、負の価値を境目にして分けることになるが。

A君:確かに回りそうですが、本当に回るか、検討して見ませんか。

B君:良いだろう。まず、何を例にするか。農業用ビニルを例にするか。これは、廃棄するとき、使用者は、その収集に掛かる費用を負担することになる。収集業者がいなければ、それを作る必要があるので、収集の義務をやはり製造者に負わせることになる。家電リサイクル法と同じだ。

A君:それで、とにかく、集まってくる。しかし、集まった農業用ビニールの品質はばらばらということになりますね。

B君:そうか。引き取る業者は、その品質に応じて、引き取るか引き取らないかを決めることにしないと、ここで問題が生ずる。

C先生:そうすると、多くの農家が限界まで使ったビニールは埋立処分しかできなくなって、リサイクルするには、まだ新しいうちに廃棄するといったことになりかねない。このあたりに問題がどうしても残りそうだな。「長く使ったビニールは埋立以外は無理」とはならないような製品製造技術を開発する必要がある。

A君:それができたとしても、泥だらけのビニールと、そうでもないビニールだったら、引き取り費用に差がないとおかしいですね。

B君:しかし待てよ。それは自然とそうなるのでは。標準的なシステムをというものを作ることにしたよな。それを何段階かに分ければ良いのではないか。例えば、泥を洗う工程を入れる場合、入れない場合、などなどだが。

A君:泥の場合には、それである程度は解決可能ですね。しかし、他の異物の混入が多いと、それで価値が変わるのですが、それでもある程度の正の価値を持たせるような補助金にすれば解決しますかね。

C先生:農家側に立って考えれば、収集料金は別としても、もしも正の価値で引き取って貰えなかったら、いきなり埋立税の対象になるから、経済的負担はいきなり大きいことになる。となれば、妙な異物は自分で取るようになるのではないか。
 引き取る側にしても、その異物で値引き交渉をして、いやなら引き取らなければ良いのだから、なんとかなるのではないか。

A君:もしも売れなければ、それは、農家が埋立税・焼却税を含めて、お金を払って廃棄物業者に引き取って貰う。これは当然廃棄物。もしも売れれば、それは資源化物。区別もそれなりにできますね。これが本日の課題に対する答えになるのですが。

B君:しかし、それにしても複雑だな。こんなシステムができるのだろうか。

C先生:容器包装については、だから最初から除外するのが、もともとの提案なんだ。「すべての容器、包装は、ある定められた割合の再生原料を含む素材を使用すること」、と決めて、それを満たさなかったら課徴金を掛けるか、非常に高い回収率を義務化する。それで枠組みは終わり。そのかわり、容器包装は現状の廃棄物の枠組みからはずさない。ただし、埋立税・焼却税の対象物。

A君:となると、容器包装には、どんな再生原料含有率を決めるかですね。

B君:すべて50〜60%が容器の場合の最低限。将来ともこれを満たせない可能性が高いのが、紙容器とスチール缶だが、これらには、多少の課徴金と回収率を強制すれば良いのでは。包装だと、かなりバラバラになりそう。ラップ関係などがどうなるか。

C先生:容器包装、それ以外のもの、それぞれの枠組みが一応提案できたみたいだが、果たして、みなさんのご感想はいかが。
 基本的な考え方としては、家電リサイクル法を基本にして、まだまだいくつかの個別法を考えることになりそう。自動車リサイクル法が、かなり後退したものになりそうという報道があるが、これはこれで難しい問題があるからなんだ。それはまた後日。