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アメリカ訪問メモ 10.08.2000




今回の訪米では、2箇所を訪問。いずれも、LCAの最新情報を得るためであった。最初の訪問先がシンシナチにあるEPAの研究所。そして、シアトルのワシントン大学。



EPAシンシナチを訪問

出席者:
Mary Ann Curran USEPA
Jane C. Bare USEPA
Alex Gordon USEPA

○:LCAはSeniorマネージャーのための意志決定ツールである。

○:最近のLCAを適用した例題としては、ガソリン添加物としてのMTBEか、エタノールかというものがある。

○:エタノールにすれば、すべて安全というものでもない。ガソリン分解菌よりエタノール分解菌が勝つと、ガソリンによる汚染が出てくる?

○:コスト的にも、エタノール入りのガソリンはパイプラインで輸送できないので、別途エタノールを輸送して、ガソリンスタンドで混ぜる必要がある。

○:LCAのデータの所在を明らかにするLCAccessなるシステムを開発中で、この秋の間には公開予定。

○:インパクト分析については、どうも複雑になりすぎて、ブラックボックス化した。

○:インパクト分析は、分かりやすく、かつ、透明でなければならない。

○:LCAがリスク分析的な分野に入り込むことに、もともとのリスク分析屋たちはそれを快く思わない。ということは、米国EPAのインパクト分析は進歩しないということだろう。

○:米国市民にあなたは環境派ですか、と聞けば、ほとんどすべての人はイエスと答えるだろう。

○:しかし、それは、自然保護に寄付をしているとか、であって、自分は大きな車に乗り、大量のエネルギーを消費している。

○:リサイクルなどについて関心を持つ人は少ない。

○:きれいな空気、きれいな水を求める市民は多いが、自らの生活がそれに関連しているとは思わない。

○:ガソリンは安いこと、これは絶対的条件。

○:ゴア大統領候補も、最近は環境についてトーンダウンしている。

○:Curran女史にダウンタウンまで送って貰ったが、車はフルサイズだった。

○:Sustainabilityという言葉は、環境とは無関係とは言えないまでも、余り環境用語だとは思われていない。むしろ、雇用の確保、医療の充実、少年犯罪の減少などといった、社会問題の解決という意味に使われることが多い。

○:しかし、LCAの一つの役割が、SustainabilityIndexを与えることである。

○:自然保護といえば、最近の都市のスプロール化による野生生物の生態域の断片化が問題となっている。

○:しかし、農家にとってみれば、自分の敷地内に保護対象生物が見つかるのはやっかいなので、調査を拒む傾向がでてきている。

○:インパクト分析においても、土地利用による野生生物種への影響をどのように考えるかが大きな問題になっている。

○:Sustainabilityにとって重要なことは、一つは、非可逆性だろう。すなわち、資源などの有限性である。もう一つは、地球のもつ環境能力を超さないことだろう。

○:環境も、人間の健康と同様、やはりある点以上に無理をすると元に戻れない。


ワシントン大学におけるLCA対話

出席者:
Joyce Smith Cooper, Assistant Professor, Department of Mechanica Eng. UW
David Briggs, Professor, Forest Management, Engineering & Papr Science Division.
Bruce Lippke, Director, Rural Technology Institute, College of Forest Resources.
Rita C. Schenck, Ph.D. Exective Director, Institute of environmental Research and Education.

○:会議を申し込んでおいたのは、Joyceだけなのに、なぜ、このように多数の人々が出てきたのか、未だに不明。ただし、Schenckは、ISO14040関係の米国代表でがんばっていたらしい。なかなかの見識だった。

○:しかし、米国人同士がぺらぺら会話をはじめると、結構厄介。

○:Joyceのプロジェクトは、さすがにGary Davisのところに居ただけあって、電子機器や自動車。電子機器としては、テクトロの産業用機器の廃棄に関するLCAをやっているとのこと。

○:テクトロなどの産業用機器の寿命は20年ぐらいあって、とても再利用ができる訳ではない。しかも、PCBだの水銀スイッチだの有害品のオンパレードだろう。となると、どの程度無害化を行うかということに尽きるので、LCAなどはいらないと思うのだが。相手が4名も居ると、その詳しいところが聞けないので不明。メールでも出すか。

○:自動車は、なんと燃料電池車について、インフラの整備からすべてを考えてのLCA的研究だそうだ。これは全くあり得ない研究ではないが、シナリオがあまりにも多様で、そのすべてを検討すると相当なことになりそう。しかも、技術的な完成度によって恐らくエネルギー効率などが大きく違うし、寿命も違うだろうから、現状では不可能なのではないだろうか。これまた詳しいところが聞けなかったので、全く不明。

○:Briggs&Lippkeは、どうやら農学者らしい。林業のLCAをやっているとのこと。林業というおおまかな括りであれば、いわゆるInput-Output分析でもやっているのか、と思ったら、そうでは無い。なにやら林業における技術的革新がLCA的に評価できるか、という興味かららしい。よく分からないが、LCA的に余り興味ある研究とも思えず。

○:Schenckは、風貌からいっても西海岸的自然環境保護派。実際、LCAでは、インパクト分析に興味があるといっているが、その対象は、なんと生物多様性に対するインパクトだそうだ。これはほとんど不可能な研究エリアだ。日本ではどうしているか、というから、日本は人口がそのうち減り始めて、自然保護は自動的に行われるようになるだろう。米国のような都市のスプロール化が自然破壊につながるという時代は終わった、と答えたが、言い過ぎだったかもしれない。

○:ということで、ワシントン大学におけるLCA問答は、予想外の展開で成果ほとんどなし。すべてがプリミティブな状態で、あと何年かしたら、どうなったかを調べることで良さそう。しかし、現在Assistant ProfであるJoyceはまだテニュアがないから、それまでワシントン大学に存在できるかどうか、これは分からない。

○:シアトルはなかなか自然と町が融合しているきれいなところだ。大都市としては貧弱だが、まあこんなものだろう。現在、アメリカでも儲かっている企業が存在しているところだけに、治安は良さそうだった。