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杉並病の調査結果発表 03.26.2000




以前、本HPでも昨年取り上げた杉並病(杉並病の解決法提案 new09.25表紙へリンクを張りました)の原因について、東京都の調査委員会は以下のような見解を発表した。


原因は不燃ごみ中間処理施設「杉並中継所」の汚水から発生した硫化水素と、中継所のわきの公園の植栽に使われた添え木の防腐剤が原因と思われる。調査委員会は、健康被害と中継所との関係を一定程度認めたことになる。

調査結果によれば、中継所に持ち込まれたごみにまかれた水や、ごみから出た汚水は、集計所内の排水槽に集められる。しかし、設計段階で水槽が大きすぎたために、1996年の中継所の稼動開始当時は、汚水が長時間水槽内にたまり、硫化水素が発生していたと断定。この汚水が水槽から下水道を流れる際、気化した硫化水素が下水道管を逆流して中継所周辺の住宅内に流れ込んだ、としている。

さらに、中継所と同時期に整備された区立井草森公園の植木には、ナフタリンなどを含んだ防腐剤をしみ込ませた添え木1800本が使われており、夏場の強い日差しでこれらの薬品が一気に揮発して、付近の住民に影響した可能性もあると見ている。

中継所の排水槽は、住民が健康被害を訴え始めた96年夏に都清掃局が使用を休止し、翌年4月までに改修した。現在は、汚水を数時間で下水に流す構造になっているという。添え木も防腐剤はすでに揮発し、刺激臭は無い。


C先生:以前に杉並病を取り上げたが、そのときの推論では、家庭用の各種洗剤や溶剤などが問題なのではないだろうかと結論した。今回の結論だと、これらが、圧搾工程で流れ出し、下水に溜まって硫化水素が発生し、それが被害者のところに到達する。我々の推論段階ではどのように到達するか、良く分からず、場合によっては空気中に放出されて、それが漂うのかと考えた。

A君:今回の下水道経由の経路は確かに確率として高いように思いますね。

B君:しかし、下水からの気体が逆流しないように、普通、家の下水には、U字管が設置されている。だから、下水からの経路も妙では無いか。その被害者の家に、U字管が設置されていなかったのだろうか。

C先生:そのあたりの詳しいところは不明だな。報告書でも入手しないと。それに、硫化水素というガスがどうして出たのだろう。これも検討を要するのではないか。

A君:硫化水素ですが、実験室などでは、硫化物に酸を加えて作りますよね。大体イオウ分がどこにあるのでしょうか。

B君:食物には、イオウを含むタンパク質がない訳では無い。スカンクが臭いのも、メルカプタンなるイオウ化合物のためだから。

C先生:これも不明だな。報告書を読みたいものだ(未入手)。廃棄物関係でイオウを含むものとしては、ゴムがある。ゴムは強度を高めるために、加硫というプロセスがあって、イオウを加えている。しかし、ゴム分が汚水に混じるか?

A君:硫酸イオンは無いでしょうか。

B君:中性洗剤、LASのSは直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウムのスルフォン酸のS。すなわち、イオウのSだが。

C先生:風呂用洗剤とか台所用洗剤とかの主成分だから、無い訳では無い。酸素が欠乏した状態になっているだろうから、嫌気性の分解菌が分解過程で硫化水素を出さないとも限らない。

A君:酸と硫化物の反応ということで、塩素系の漂白剤の主成分である次亜塩素酸とLASが混じるとどうなりますかね。

B君:どうにもならないのでは。でも、実験してみるか。


実験1:たまたま家にあった次塩素酸ナトリウムを含むパイプ詰りを溶かす液体と、LASが主成分の台所用洗剤を混ぜてみる。驚いたことには、細かい泡がでてきて、何か気体の発生が始まった。写真1が泡がでている状態。臭いはなにやら塩素か塩化水素のような感じだが、それ以外にも何かが混じっている。硫化水素分があったかどうかは確認できず。銀製のスプーンか何かで確認すべきだったか。


 写真1:泡がでている状態。写真2の2種類の液体製品を混ぜた。


写真2: 混ぜた二種類の製品。パイプの詰まりを溶かす液体。次亜塩素酸ナトリウムを含む。もう一つは、食器用の中性洗剤。主成分はLASである。

実験2:上で用いたパイプの詰りを溶かす液体と花王製の台所用洗剤、モアエクセレントを混ぜた場合には、何も起きなかった。モアの主成分は、アルキルグリコシドでLASではない。


B君:驚いたね。この発生したガスは間違いなく有害だろう。余り吸いたくは無いな。

A君:やっぱり。でも、このパイプの詰りを溶かす液体には、酸性の液体と混ぜては駄目だと注意書きが有りますからね。こんなことをしないように、ということなのでは。

B君:それはそうだ。ただし、混ぜたLAS洗剤には、一応中性だと書いてある。

C先生:通常の下水に流れてしまえば、それほど濃度が高い訳では無いから何も起きないだろうが、杉並中継所の汚水は、こんな実験のような状況が起きていたとしても、全く不思議ではない。このような強力な洗浄剤などは、本来、デポジットでも掛けて、店舗で回収すべきではないだろうか。そうでないと、不燃ごみ中継地などで何が起きるか分かったものではない。