________________

ペットボトルはやはり止めよう  02.20.2000




 このところ、新聞(共同通信によって各紙に配信)、テレビ(NHKスペシャルの2月11日放送、14日NTVズームイン朝など)などのメディアでホットな話題のひとつは、川崎市のある場所に積み上げられた「回収されたペットボトル」である。市民から回収されたペットボトルが、結局、「再商品化」されないのである。
 昨年の暮れに一部報告をしたが、現在、容器の環境負荷の比較を行っている。その結論は、「どうも、ペットボトルは、今後の循環型社会に適合した容器にはなりそうもない」、のである。最終結論はもう少々お待ち頂きたいが、今回は、この話題。



C先生:この間、日本テレビ系列の「ズームイン朝」なる番組に登場したが、見てくれたかな。リサイクルされない「回収されたペットボトル」の話題だったのだが。

A君:いえ。でも、誰かが見たと言っていましたよ。

B君:あんな朝早い時間は寝ている。でも、新聞で読んだという人から話を聞いた。

C先生:そんなことだと思った。回収されたペットボトルがなぜリサイクルされないのか、その説明からやってもらおうか。

A君:はいはい。最近のリサイクル事情ですが、リサイクルが回るには、必須の条件があります。それは、(1)経済的に有利だから、(2)法律で決まっているから、このいずれかです。ペットボトルの場合には、(1)は成立していませんので、(2)の法律があるからという理由でリサイクルされます。ということは、リサイクルすればするほど、誰かが損をすることになります。そのまま捨てるのが、その人にとってはもっとも有利なのです。さて、その人とは誰でしょう。

B君:何を言ってるんだ。製造者に決まっているだろ。

A君:9割正解。地方自治体もある意味でそうです。

B君:まあね。地方自治体は、最終処分地が無いところでは、大量のペットボトルを埋立てする訳には行かないから、経済的理由だけで方針を決められない。今後、数10年を考えると、埋立ては回避すべきだ。しかし、地方自治体がどのぐらいの長期ビジョンを持っているか、極めて疑問だ。短期的にみれば、ということは今の費用面だけから見ればペットは燃やしてしまうのが、恐らくベストだろうな。

C先生:となると、川崎市はなぜペットボトルを集めたのか? これが次の問題。

A君:理由は良く分かりませんが、川崎市は、ペットボトルも資源回収として取り扱うことにしたから、大量のペットボトルが集まった。東京都では、資源回収としてペットは集めていない。スーパーなどの店頭回収ルートによるものが主たるもの。これは、集めることによる費用を地方税から支払うことを拒否していることを意味して、それはそれなりの見識。

B君:容器包装リサイクル法が、この4月から実施されると、ペットボトル、ガラス瓶などだけでなくて、包装紙やその他のプラスチックなどもこの法律の対象になる。しかし、「その他プラ」を回収する自治体はほとんどいない。なぜならば、回収しても、再商品化される可能性がほとんど無いからだ。費用が掛かって、それを地方税から支払うのが割りに合わないから。

A君:しかし、豊島区は「その他プラ」を集めるのではなかったのでしたっけ?

B君:どのような判断に基づくのか、興味のあるところだ。川崎市も、豊島区も、リサイクル派の住民の圧力が高いのだろうか。そのような自治体では、集めることになるのではないだろうか。実態は調査を要するが。

C先生:今後の調査対象にしよう。これも、まず、本ホームページの読者がどのようにお考えか聞いてみよう。メールをお願いします。
 そろそろ、リサイクルされる量がどのようにして決まるか、説明してもらおう。

A君:それは、「再商品化の能力から決まる処理予定量」と「自治体などによる収集量予定量」を比較して、その「少ない方」。

B君:「予定量」というところがまずミソ。そして、「少ない方」というのが、次のミソ。まず、自治体が来年はこのぐらい集めますと予定量を申し出なければならない。一方、処理予定量は、事業者の利益代表であるリサイクル協会の方で決めて、もしも、収集予定量が、処理予定の予定量を上回ったら、自治体に対して、「そんなに集めないでくれ」という回答が来る。この回答は法律に則っているので、命令に等しい。実際、来年度については、自治体が申し出た量の14%カットが回答されたらしい。

F君:ご無沙汰です。今、ちょっと聞いていたのですが、容器包装リサイクル法というのは、そんな法律なんですか。自治体がお金を掛けてわざわざ集めても、それを再商品化する義務が無いのですか。二重の意味で馬鹿げていますね。大体からして、自治体がなぜ費用負担をしなければならないのですかね。それに、集まったものに対して、なんでリサイクル義務が無いのでしょうか。

C先生:このあたりの状況を、市民はしっかり分かって欲しい。

F君:でも、なんでそんなことになったのでしょうか。

A君:それは色々理由があったようです。事業者保護を主張する官庁が有ったこと、自治体も、清掃事業の一部を手放す覚悟ができなかったこと、などなど。

B君:でも、他にまだ理由があるな。要するに、ペットボトルを集めても、使い道が無い。

F君:ペットボトルから、作業着やユニフォームが作られているじゃないですか。

C先生:再生ペット樹脂をポリエステル繊維にするのは、アップワードリサイクルといって、「嘘のリサイクル」だ。しかし、用途はそれだけではない。ボールペンの外側や、その他の用途も相当ある。

F君:でもトータルとして見れば、用途が不足なんですかね。

C先生:そうだ。鉄のように、無限に用途があるものや、アルミ・ガラスのように水平に回るものと違って、ペットには、そのような用途がない。だから、リサイクル率が20%程度しかないのに、アップアップだ。

F君:それなら、再生ペット樹脂からもう一度ペットボトルを作れば良いですね。

A君:そろそろ厚生省もペットtoペットを許可すべきでしょうね。

C先生:それも当然。しかし、安全性などを確保しようとすると、バージン素材を内側に、外側にリサイクル素材といった積層構造にする必要があって、まあ、リサイクル率が50%を確保できるかどうかだろう。

B君:家電リサイクル法のように、リサイクル率の目標を定めて、それを実現できない容器は罰則的な課徴金を課すべきだろう。なぜならば、現在最終処分地が不足といって騒いでいるが、そこに埋め立てられているものはプラスチックが主体で、しかもペットボトルが多い。容器の目標値で妥当な値としては、まず、50%。順次70%ぐらいまで上げるのが良いと思う。

A君:それはキツイ。でも仕方ないかもしれない。

C先生:「最終処分地の寿命を縮めている主役には罰を」、なんだろう。プラスチックは埋立ての効率も悪くて、嵩張るし、しかも埋立て後の安定性も悪いし、良いことは無い。

F君:燃やすのはどうなんですか。

C先生:ペットは、製造に要するエネルギーも余り低くは無い。しかも、分子構造中に酸素を含んでいるので、発熱量が低い。だから、石油と同じだとはとても言えない。ペットを作るのに使った石油を、直接燃やせば4〜5倍の熱量を得ることができる。ポリエチレンやポリプロピレンなら、2倍程度の違いだから、まあ許容範囲かもしれない。

A君:でも最終的には燃やすんでしょう。

C先生:どうもそうらしい。川崎市の山積み回収ペットボトルは、国の費用でNKKに運ばれて、そこで、燃料に使われるらしい。国が費用負担する理由がどこにあるんだ。馬鹿馬鹿しい。

F君:でもなんといっても、ペットは便利ですからね。特に、500mlのものは。

B君:それは認める。だから高くても良いのだ。消費者がその利便性に対して対価を支払い、容器が適性に処理されるような社会システムを構築すべきだ。リサイクル率を高めに設定して、その条件を満たさない容器には、高めの課徴金というのが正しい。これが、環境に関する次世代の原則「拡大製造者責任」だ。容器包装リサイクル法も、なるべく早くこの原則に切りかえるべきだ。ペットボトルは、1本あたりプラス100円か。

C先生:完全実施以前に、欠陥が目立ってしまう法律は、まあ不完全だということだろう。
さて、詳しくは、そのうち報告するが、包装容器の環境負荷の実態は、それを作るエネルギーでも資源でもない。また、輸送に要するエネルギーでもないし、排気ガスでもない。結局、ゴミ、すなわち、廃棄物としての環境負荷なんだ。包装・容器はゴミなんだ。だから、B君の主張が正しいようだ。プラスチックゴミ≒ペットは、現状では埋立ての負荷が大きいから、課徴金も高めということになるだろう。

A君:そうだとすると、これまでライフサイクルアセスメント=LCAの研究者がやってきた容器の比較研究は何を意味しているのでしょうね。

B君:そうだ。これまでの研究は、ほとんどすべてが、二酸化炭素発生量、これはエネルギー消費量にほぼ比例するとも言えるが、これだけを指標としてきた。そんな研究は、ある意味で「犯罪的な研究」だったということではないか。要するに、指標として極めて優先順位の低い項目を用いて環境負荷全体の議論をしてきたわけだから。

C先生:そうかもしれない。LCAも、さらなる進歩と社会的な認知が必要ということだ。
 さて、将来の話をしよう。今後、ペットが高いリサイクル率を実現することが可能だろうか。まず、ペットtoペットを試みる必要があるが、最終的には、「どうもやっても無理」では無いだろうか。このように考えると、日本の環境、主として廃棄物対策にとって、これ以上ペット容器を増やすことは得策とは思えない。但し、すでにヨーロッパ諸国では使用されているが、ミネラルウォータ用のペット製のリターナブルボトルが出現すれば、その環境負荷はかなり低いだろう。それがペットの生き残る最終形だろう。