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 ディーゼル乗用車禁止へ  07.17.2000






 朝日新聞朝刊1面のトップ記事。他の新聞に同様の記事は無い模様。ということは、朝日の杉本記者のスクープかもしれない。
 環境庁は、ディーゼル乗用車と3.5トン以下のディーゼル車を、2002年以降、実質販売禁止する方向で検討に入ったようだ。NOxが減らないことに危機感をもってのこと。これで大気がきれいになる、と賛成される方も多いだろうが、実は、個人的には、「多少疑問あり」である。これが本日の話題。まだ、流動的なので、短めに。

C先生:環境庁がディーゼル乗用車を規制する方向のようだ。確かに現状では、ディーゼル乗用車(含むRV車)を容認することはできない。燃料費を節約するために、すなわち、自分の懐を守るために、公的資源である環境に負荷をかけているのが、ディーゼル乗用車・RV車の実体だからだ。しかし、個人的には、だからといってディーゼルを直接規制するのは、後で理由を述べるが、反対だ。諸君らはどう思う。

A君:もしも、ディーゼルエンジンそのものを否定すると、これは焼却するとダイオキシンが出るからという理由で、塩ビを規制することと同じ考え方ですね。やはり理論的にはおかしいと思います。

B君:そもそも環境庁という環境を守る省庁が、ディーゼルというエンジン技術の規制を行うなら、それはおかしい。エンジン技術そのものが有用か、無用か、という判定をできる省庁だとは思わない。しかし、よくよく読むと、今回の規制は違うのではないか。改正案は、(1)3.5トン以下の中型ディーゼルとディーゼル乗用車に、クリアすることが事実上不可能なガソリン車と同等の排ガス規制を適用することで実質的に新たな販売は禁止、すでにある車は猶予期間経過後、走れなくなる。(2)大型ディーゼルトラックも、猶予期間の後に、2005年から出てくる最新規制車に代替させる、(3)30台以上の車を持つ事業者に、走行量の削減や低排ガス車への転換によって、NOxとPMを削減する計画を作らせ、国と自治体へ提出させる、(4)特定地域を拡大(詳細省略)、(5)2010年の環境基準達成を目標にするが、途中の5年後に効果を点検し見直す。
 これなら、乗用車としてガソリン車だろうが、ディーゼル車だろうが、区別するということは無くなって、公平で良いようにも思えるが。

C先生:私も、同様に考える。乗用車としてなら、ガソリン車だろうがディーゼル車だろうが、同じ規制で良いと思う。しかし、一番根本的な思想が一つ落ちているように思える。それは、「車の環境負荷は、NOxとSPMだけではない」、ということだ。騒音のような問題もあるには有るが、排ガスに限って言えば、二酸化炭素だって立派な環境負荷だ。ガソリンや軽油の消費だって、環境負荷だ。だから、NOx、SPM、SOx、CO2などを総合的に組み合わせて環境負荷を表現する指標を作って、それをすべての乗用車に適用すべきだことにならないか。

A君:そうですね。ディーゼル車が、ヨーロッパで受け入れられている理由は、どうも余りはっきりしないのですが、巡航距離が長いことにあるように思います。それだけ、燃費が良いということになります。もっとも、km/リットルで表現した燃費であって、km/g−CO2とすると、なんともいえない部分は有りますが。それでも、ディーゼル機関の方がまあ熱効率が高いといえるようですから、その特性を生かせるようなシステムは残すべきだと思います。

C先生:ディーゼル車のメリットで、その熱効率が高いということは一つあるのだけれど、その理由は圧縮率が高いことなのだろう。ガソリン車だとノッキングを起こしてしまうので、余り高い圧縮率にはできない、と思っていたら、最近モデルチェンジをしたプリウスの新しいエンジンは、圧縮率がなんと13。まだディーゼルよりは多少低いが、これでレギュラーガソリン対応なんだから驚く。

B君:もしもディーゼルの燃費が本当に良くて、二酸化炭素排出量削減に利くのならば、若干の大気汚染は許容するというやり方にも合理性がある。

C先生:そうなんだ。だから、ディーゼルという形式を禁止することは、絶対反対。

A君:しかし、環境庁としては、交通公害裁判で国が負けるものだから、安閑としては居られないという思いが強いのでしょうね。

C先生:それはそうだが、温暖化対策は現在大きく遅れている。COP3の6%削減公約を本当に守る気があるのならば、二酸化炭素のことをもっと考慮すべきだろう。自動車工業会が反対するだろうから、なかなか実現は難しいだろうが、環境庁としては、二酸化炭素を含めた排出規制を考えておくことは有意義だと思う。その理由は、ディーゼルエンジンには、高効率以外に、もう一つのメリットがあるからだ。それは、「雑食性」だ。どんな燃料でも走ること。その狙いは、植物性油脂や廃食用油。それならばバイオマスだからということで、二酸化炭素の排出量=ゼロと考えることも不可能ではない。だから若干でも、そんな燃料で走る車が出てくれば、二酸化炭素削減に貢献するだろうから。

A君:自動車工業会が合意しないということは、大型の乗用車だと二酸化炭素の排出量が多い。これを排出規制に入れられたら、高額の車が売れない。それは困るということでしょうか。

B君:当然だろ。排出規制を満たさない車は走行禁止にするのではなくて、満たさない規制分の罰として、かなり高額の課徴金を課す。これができれば、これまで挑戦して実現が不可能だった、燃費による車の税金の変更に国レベルで実現できることになる。そして、大型車が売れなくなる可能性が高い。これを環境面からやれれば、環境庁の仕事だ。

C先生:ところが、同じ環境問題でも、温暖化関係は、主たる担当省庁が通産省なんだな。だから、やはり環境庁ではやはり無理なのだろうかな。