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  下橋中学におけるシンポジウム 10.07.2002




 11月6日、日曜日なのに、午前5時に起きて、6時52分発のやまびこに乗車。目的地は、盛岡市である。旭化成特別顧問の瀬田重敏氏に誘われて、盛岡市下橋中学の文化祭におけるパネルディスカッションにパネリストとして参加した。この話のきっかけは、瀬田さんが2002年3月に行われた中央環境審議会の地域報告会で、上野教諭による下橋中の試みの報告を聞いたことのようだ。安井は、同じ地域報告会でも、宮崎会場に参加したので、上野教諭とは初対面である。

 今回のように、中学の文化祭に参加するのは初めて。

 瀬田、安井、校長、の3名+1年生、2年生、3年生の各パネリスト。それに、コーディネータ2名でパネルディスカッションが始まった。


司会:小川さん、安藤さん(なかなかご立派な司会ぶりだった)
下橋中学のアンケート結果に基づいて:
 地球環境は悪化している。未来は少し暗い。と感じている生徒が多いようだ。これについてどのように思うか。

パネリスト1年生:悪化すると答えた人が多かった。しかし、このまま続くという人もいた。学習の過程で、世界の森林が破壊されていることを学んだ。やはり悪化している。

パネリスト2年生:最近変に暖かだったりする。地球環境が悪いから、未来に対する明るい希望を持てないのだと思う。

パネリスト3年生:規制をするには厳密な科学的な証明が必要。ものすごい種類の化学物質があるのに、データが不足している。環境ホルモンは大問題だ。

フロアーからの質問:

3年生:旭化成はサランラップを作っている。塩素を使っている製品である。これは環境破壊ではないのか。どのように考えているのか。

瀬田:確かに、サランラップは塩素を使っている。塩素を使っているものが本当に悪いのか。塩ビは悪いとされている。必ずしも悪いとは言えない、と思っている。塩ビというものほど使いやすいものはない。アメリカではどんどんと生産量が増えている。窓枠などには、塩ビは使われている。木の窓枠の代替には、塩ビ最適。ダイオキシンの問題も解決に向かった。

3年生:環境ホルモンが重大な影響を与えているのではないか。

安井:環境ホルモンの話だが、歴史的には、98年に環境庁が67物質の「環境ホルモンの疑いのある物質」のリストを作ったことから始まった。それ以来、マスコミは、この表にある物質を環境ホルモンと呼び始めた。今年になって、6月14日に環境省は報道資料を出している。それによれば、このリストの中から優先的に研究を行ったフタル酸エステルを中心とする10物質について、まだ検討中ものものもあるが、ヒトに対する環境ホルモンとしての影響は、ほぼ否定できて、通常の毒性物質としての取り扱いでよいということになった。しかし、新聞、テレビは、いずれもこの報道を行わなかった。マスコミは、新しい事件が起きたことの報告をするのは得意だが、その問題が解決したことを報道することは原則的に不得意だからだと思われる。
 除草剤中の不純物であったダイオキシンが1970年頃、環境ホルモンとして、ヒトにも若干の影響を与えたかもしれない。しかし、最近問題になっている物質は、ヒトに対して影響を与えないだろうということになってきている。しかし、環境に対して悪影響を与えているのは事実である。例えば、魚や貝に影響を与える。

瀬田:環境ホルモン国際会議に今年もある。学問的に学者の先生がどう見ているかは、安井氏の説明でよい。農薬とか、天然に無い化学物質を作って、そのものや不純物が、環境ホルモン作用を持っていたら、大変だと考えている。できるだけ正確な情報を得るが、状況は研究の進展によって刻々と変わっている。

校長:環境問題で言いたいことはいっぱいあるが、大量に物が作られ大量に消費していること、大量に廃棄していることが問題だと思う。これが中学生の生活に悪い影響を及ぼしている。青森県との境目に大量のごみが不法投棄されている。大人が利益を得るために、大量消費をしている。バスセンターから歩いてきたが、タバコ、タバコのケース、缶が散乱している。

司会:対策をしないと未来は暗いですよね。

校長:9月28日の新聞を見ると、企業も生活者の一人として、改善をしていくという決意の表明をしている。例えば、キュピーマヨネーズ。容器の改善なども行っている。望みはある。

瀬田:日本という国は、過去において環境先進国であった。川をいかにして活かすか、伊達政宗の時代、武田信玄の時代。治水、川の水の量を変えない、森林を育てる、といったことが行われていた。世界全体でみても、アメリカは白人が入るまで、大森林地帯であった。その後、300年の間に森林の80%が失われた。砂漠の中にある石の建築物(ピラミッドなど)は、木が無ければできないものだ。木を運搬のためにコロとして使った。そのために、中東も昔は森林であって、それを使って文明を築いたが、植林をしなかったために、砂漠になった。そして、文明は滅びている。先日、中国の黄土高原を視察したが、植林に命を掛けている日本人もいる。
 第2点、日本には、ものを大切にする文化があった。その後、大量生産・大量消費・大量廃棄の文化が入って、日本中がそれに浮かれた。同じことは世界的に起きた。
 第3点、日本には、まだこれは問題だと思う心が残っている。環境問題に中学生が関心を持つ、といった過去の心がある証拠である。
 企業も、社会も、国も、環境を大事にする心を育てることで、明るい未来はあるだろう。

パネリスト1年生:利便性を求めて、他国の国の森林を使いすぎている。環境破壊をしている国に思える。

パネリスト2年生:資源を使いすぎている、ものが多すぎる国。物質的に豊かだけれど、環境よりも経済を優先することが多い国。

パネリスト3年生:2010年に6%削減することが不可能だろう。自然エネルギーの割合が低い。原子力を推進する。放射線廃棄物は問題だ。電力使用量を3割を減らせば良いのではないか。

フロアーからの意見:

2年生:目先のことだけ考えて。本当に大事なのは何か。環境に関する勉強をさぼりすぎている国だと思った。

3年生:良い生活をしているからこそ地球を傷つけている。考えを実行に移せる国だと思う。

3年生:6%二酸化炭素排出量を下げる。ドイツは、徹底して対策に取り組んでいる。日本は、環境が悪くなることに無関心。

2年生:日本は、環境の対策について、一人一人の意識が低い。

3年生:工業や経済を優先している国。自分の生活をまず、成立させなければならない。両立が重要。

1年生:日本は経済のことを考えているだけだと、思っている。


校長:たまに酒を飲む、そのあと、タクシーに乗ることもある。たまにタクシーに乗ると、これで客が3人目だと言われる。仕事に従事している人のことを考えることも重要だろう。

安井:日本人の寿命は、女性は世界一である。しかし、日本のように、男女の寿命に差がある国は無い。それは自殺者が年間三万人と多いからである。特に男性の自殺者が多いからである。環境問題が人の命を大切にする、という考え方であるのなら、自殺者にも思いを馳せる必要がある。最終的にどこに軟着陸するのか、という考え方が重要、すなわわち、ソフトランディングが重要。最終的なところとして、500年後を考え、100年先を考え、30年先を考え、そして、10年先を考える。これがソフトランディング。
 近未来について言えば、京都議定書を満足させるには、使うものの重さを20%減らして、20%の価値の高いものを買う、といった考え方が必要だろう。

瀬田:日本人に心がある。他国の森林破壊は事実かもしれない。森林は、輸入の安い木材を買っているのも事実。環境と経済が問題だ。貧困が最大の環境破壊だ。植林をするだけの経済がない。そして、自分たちが住む環境が悪くなって、収入が減っている。
 ヨーロッパの風力発電はすごい。スペインの大西洋側に行くと、山の峰に風力発電が並んでいる。しかし、景観の破壊がある。低周波音が聞こえる。携帯電話の電波を邪魔する。渡り鳥がばたばたと倒れて死ぬ。(後日、瀬田さんから訂正のメールが入りました。私のメモミスのようです。風力発電は設置場所の選定が重要。もし渡り鳥の通り道に設置することになると、渡り鳥が被害を受ける可能性がある。と訂正します。)コストも本当に安いかどうか分からない。日本のトーメンがこれを推進しているが、そんな欠点もある。技術開発からすれば、リチウム電池は、日本が開発し、日本でしか生産していないものである。太陽電池にしても、日本の技術は高い。これからの電池といわれている燃料電池も、日本の技術はすごい。

司会:日本をどうな国にしたいか。

パネリスト1年生:各地で行われている運動が、各地に広まればよい。規制もさらに厳しくする必要がある。ごみの規制が減るような。

パネリスト2年生:環境先進国を見習う。スーパーでも、簡易包装だ。

パネリスト3年生:最適生産、最適消費、最適。二酸化炭素の放出削減のための、不法投棄の減少。世界を変える大きな力。

フロアーからの意見:
2年生:吉田:普段の生活のなかで、小さなことでもやっていって、一人一人が意思をもってやってほしい。

3年生:環境に配慮した商品だと、環境に配慮した商品の方が高くなる。安い商品に税制上の配慮を。

2年生:最近は物質的に豊かであるが、それに伴って環境が悪くなる。一人一人がもっと環境関心をもって行けば良い。

2年生:経済を良くすべきだと思う。

3年生:日本が環境破壊をしている国になったのは、後先を考えなかったからそうなった。

2年生:物質にあふれていて、経済を良くするために、物を使いすぎている。環境先進国を見習って、法律を変えれば、市民も人間も環境に意識が向かう。

3年生:国で規律を作ることが重要。

校長:最後の発言だ。新聞に「ごみ袋土に帰る」。「北の国から」の良野で生分解性プラスチックをごみ袋にしはじめた。環境創造岩手宣言。中学生でもできることが書いてある。中学生ができることは何か。ものを大切にする、勿体無いということ、しっかり意識を持とう。

司会のまとめ:現実をもっと知る必要がある。第一部、第二部を通して。日本には心が残っている。だから、がんばれば、明るい未来がある。

パネリスト1年生:環境への考え方。考えされられることが多かった。

パネリスト2年生:これからは、自分たちが日本を作るのだ。

パネリスト3年生:確実に地球は破壊されようとしている。。

安井:今回のこのパネルディスカッションで、この学校の生徒さんが、正義感にあふれていることに感心した。新しい言葉かもしれないが、フェアネスという言葉を覚えて欲しい。「公正さ・公平さ」という意味である。「今さえ良ければ、自分さえ良ければ」。これに対抗するための言葉である。日本の明るい未来は、あなた方が作る。多分できるだろう。

瀬田:本当に来て良かったと思う。日本の未来を確信することができた。

校長:地球環境報告。人類の未来を脅かす実態。人類を滅ぼすのは、環境の破壊だろう。物を大切にすることが、未来の人類のためになる。


C先生:中学生の価値観を決めるのは、学校教育だろう、特に、強い思いを持った先生方だ、ということを強く確信した。実際、このように正義感が強く、フェアネスを実践できる若者がいることは、実に心強い。

A君:正義感が強い中学生が育ちつつあるのは、すばらしいことです。中学の先生が流す環境情報は、中性洗剤は駄目とか、今回も多少、有ったようですが、塩ビは絶対に駄目とか、そんなことが多い。これは改善の要があるのでは。

B君:中学の先生に正しい環境知識を伝達することが、もっとも重要。

C先生:今進行中のCRESTの最終ターゲットを、環境教育教材の作成に定めた。もちろん、職業や男女、環境観などによって、もっとも適切な情報を盛り込んだものにする予定である。是非、中学、高校の先生向きの環境教材を作って見たいと思う次第。