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高資源生産性エコグッズ? 08.21.2000




 これまでも述べてきているように、環境負荷という意味は、かなり広い意味で捉える必要がある。エコグッズというと、なんらかの環境負荷が低い商品を意味するが、その中には、資源生産性の高い商品、すなわち、ライバル商品と比較して、少ない資源使用量で立派な性能をだしている商品もエコグッズに該当する商品だと思う。日本のような小資源国では、資源使用量を極限まで低くした製品の開発が必須である。そして、それが日本の科学技術立国の一つのやり方なのだろう。
 本「高資源生産性エコグッズ?」記事は、本日現在は通常の記事だが、今後、機会を見て、独立ページとして常時掲載することにしたいと思う。


C先生:今回、この記事を書く気になったのは、SONY製のスピーカを購入したからだ。

A君:えーーっ。スピーカがエコグッズなんですか。それは変でしょう。

B君:A君の会社、今やスピーカは作っていないもんなあ。

C先生:まあまあ、抑えて抑えて。だから「エコグッズ?」とクエスチョンマークが付いているだろ。さてさて、その製品はといえば、これだ。

図の説明。スピーカと比較のためのCDケース。 

ソニーSRS−Z1。要するに、パソコンやポータブルCD/MDプレイヤー用に簡単につなげるアンプ付きスピーカなのだが、通常のパソコン用のものと比較しても、極端に小さい。幅も奥行きも8cmしかない。高さは、台が付いているので、18cmとちょっと高いが。

A君:そんなに小さいのですか。これまでの音響学の常識から言えば、低音を再生するには、ある程度のサイズが必要ということですよね。それでは、音のバランスが悪いでしょう。

B君:まあ聞いてみようじゃないか。

しばらく、試聴。

A君:ちょっと想像を絶する音ですねえ。目をつぶったら、このサイズのスピーカから出ている音とは思えない。

B君:しかも、目をつぶると良く分かるが、演奏者の音像の定位がしっかりしていてクリア。こんなスピーカは聞いたことがない。相当に高価なスピーカで聞いたときの「ふわーとした感じ」が出る珍しいスピーカだ。

A君:それは、音源が実質上点音源になっていて、各周波数での位相がきちんと揃っていることが効いているのでしょうね。

C先生:そうなんだろうね。驚いたかい。このサイズ、この重さでこの音。これまでのオーディオの常識を破るもののように思える。この製品がエコだというのは、ご想像の通り、投入資源量に比べて、機能が極めて優れているからだ。アルミを使っているし、マグネットもサマリウム系のものなので、本当はLCA的検討をやりたいところだが、少なくとも、重さだけで比較すれば、同等の性能のスピーカの重さで1/6ぐらい、体積だと1/10ぐらいで実現できているようだ。価格も1.8万円とまずまず。今回のキーワードである「資源生産性が高い製品」はエコプロダクトだということで、お奨め。

A君:家庭用で手軽にCDを聞くとしたら、まあ、CDラジカか、マイクロコンポ。これだけの音質のものと比べたら、明らかに小さい、軽い、さらに、安い。環境負荷も多分低い。しかも、こだわりある製品ということで、少なくともゴミになりにくいでしょうね。

B君:しかも、かなり長くつき合えそうな感じだ。昔買ったNikonFなどというカメラも、もう使わないが、ゴミにしないで未だに持っているが、そんな感触のある商品だ。久しぶりに秋葉原を巡って、個人的逸品を探したくなった。

C先生:次がこれ。

A君:えーーー。また、こんなもの。インテル製のFC−PGAタイプのペンティアムVではないですか。なんでこれがエコグッズなんですか。

図の説明:
左=一世代前のCPU、金属が多い。 右=現在のCPU、金属はピンの足と配線だけ。

B君:分かった。消費電力だ。

C先生:消費電力もそうだが、この軽さ、この使っている材料、本当は、すべてがコスト削減のなせる技なのだが、それが結果的に資源生産性を高めているように思う。こんな材料をつかっても、製品価格は、ほとんど変わらないのだからね。

A君:しかし、消費電力が低い、資源生産性が高いといっても、半導体というものは、実際のところ製造に要するエネルギーが異常に高いんですよ。すなわち、クリーンルームの運転に掛かるエネルギーが大変。

C先生:それが問題だろうね。さらに、半導体プロセスでは、様々なケミカルが使われている。

B君:そう。温暖化ガスの一種PFCやSF6がエッチングガスとして使用されているようで、現時点では、分解処理されないで恐らく簡単なトラップを通すだけで、そのまま放出されている。半導体製造装置の企業は、この安定で長寿命なるケミカルを分解処理する装置を開発中なので、そのうち、分解処理されるようになるが、PFCにしてもSF6にしても、安全無害なガスを分解すると有毒ガスになるという矛盾も秘めている。

C先生:話を戻して、このCPUは現状では、プロセスルールが0.18ミクロンと細かいので、消費電力も少ない。だから、発熱量も少なくて、ファンも最小限ですむ。だから、音のほとんどしないパソコンを組むことが可能だ。

A君:また、メーカー製ではできないことをやって、悪ゴリをしたのでしょう。

C先生:まあ、そんなところだ。
 そして、最後の商品、これもパソコン関係というか、我がモバイル機器であるNECのモバイルギアUのデータ蓄積用に使っている。ちょっと見ると、デジタルカメラに使われているコンパクトフラッシュメモリーのように見えるが、なんと実は、半導体ではなくて、通常のハードディスクなんだ。

図の説明:右下にあるのがマイクロドライブの実体。左は比較用CDケース。

IBM製のマイクロドライブという。これで、340MBの容量があって、これまで自分で作ったほとんどすべての文書ファイルがここに収まってしまう。

A君:これは、1年以上前からある製品ですよね。いまさらでは無いですか。

C先生:そうも言えるが、最近、やや安価になった。いくら資源生産性が高くても、価格も低くないとちょっとね。

B君:最初にハードディスクを買ったときを思い出すと、それは、なんと5MBだった。NECの製品で、8インチのフロッピーと合体した製品だった。体積にすると、どうだろう、1万分の1以下ではないだろうか。容量を考えると、100万分の1とも言える。

C先生:さてまとめだ。IT産業というものは、本当に取り扱うものは、情報という無形のものだから、物質量は極限までゼロにできると考えるのが普通。だから、IT用のハードウェアは、どんどん資源生産性が高くなる。それが、スピーカのような一般家電の世界に広がれば、これは新ステージの開始だ。
 これに対して自動車の場合には、多少違う。やはり消費者は、大きさとか豪華さとか、あるいは、乗り心地といったものを求めるから、どうしても重量とサイズが小さくならない。自動車に対して資源生産性が求められるような時代になってはじめて、自動車エコ時代の到来とでも言えるだろう。現在までのところ、排気ガス中の有害ガスの低減や、燃費の向上だけが勝負になっているが、これは、まだまだだ。