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リサイクル率の復習  04.15.2000




 先日、三菱電機の上野さんに御指摘いただいたリサイクル率の定義について、ちょっと復習してみた。題材は、家電、容器類などまでで、それ以外の対象は、まだまだ不勉強。


C先生:リサイクル率について、ちょっと復習してみよう。確かに似たような「XX率」が多いから、整理整頓。

A君:そうですよね。回収率、リサイクル率、再使用率、再生材料含有率、再商品化率、カスケード率、などなどいくらでもありそう。

B君:回収率といっても、どこから回収するか、これで違う。例えば、ある容器に使用される材料の回収率を定義するとき、消費者が使用した容器を回収したものだけを考えているのか、そうではなくて、製造プロセスから出てくる端材などの回収も含めるのか。これで全然違う。このような論争が、金属系素材のライバル間でしばしば行われるのは、ご存知の方も多いはず。

A君:そうですね。確かに両方とも回収したものであるのは、事実ですからね。

C先生:先日、一応の結果まで出た「容器間比較プロジェクト」では、アルミ缶は、再生地金含有率で表現した。一方、ライバルのスチール缶は、申告されている回収率は似たような数値なんだが、本体の構成だけから見れば、すべてバージン素材。この勝負、同じ金属でありながら、全く特性が違うので根が深い。

A君:アルミ関係の主張は、当然、「再生素材使用率で比較しなけば公平でない」。確かにそんな気がします。

B君:うん。確かに。リサイクルの基本は水平リサイクル。だからアルミ側の主張は正当に思えるのだ。しかし、鉄という材料は、用途がいくらでもある。だから、ペットボトルの場合と違って、回収された鉄が余るというような事態は考えにくくて、カスケードは駄目とも言いにくい。ペットボトルがなんと言おうと駄目なのは明々白々。

C先生:次。回収率とリサイクル率・再使用率は同じではない。例えば、ビールの大瓶は、99%の回収率で、再使用率は96%ぐらい。この差の3%分は、検査ではじかれて、カレットになる。しかし、これもリサイクルに回るので、どう表現すればよいのだろう。この場合のリサイクル率はどう定義するか、と聞かれたらどうする。

A君:それは無理。

B君:考えるだけ無駄。

C先生:再商品化率という言葉は、容器関係では余り使用されないな。それは、単純な製品だから、回収をきちんとすれば、大体再商品化が行われるからだろうか。

B君:しかし、先日の川崎市でペットボトル山積み事件のように、回収されたのに、マテリアルリサイクルされないで、高炉還元に回ったものは、ちゃんと罰点としてカウントしないと。

A君:再商品化という定義をきちんとやらないと駄目では無いですか。要するに、費用を掛けて処理を行い、無償もしくは有償で引き取られればそこで、責任を果たしたことになる。このような条件を満足した割合を再商品化率と定義するのですよね。

B君:容器包装リサイクル法では、この4月回収対象になった「その他プラスチック」に対しては高炉還元は、「再商品化」。しかし、ペットボトルの場合には、マテリアルリサイクルだけが「再商品化」になっている。その理屈がきちんと説明されている訳では無い。

A君:ペットは、分子構造中に酸素を含むから、発熱量がもともと低い。だから燃やすともったいない材料なのに、熱回収などでリサイクルと言われては困るからでしょう。

C先生:家電の場合には、50%〜60%の再商品化率が設定されているが、この値が決まったときには、まだ容器包装リサイクル法でプラスチックのエネルギー回収も方法によっては再商品化と認めるという規定が無かった。だから、というか、それとは関係は無いとも言えるが、家電における再商品化率は、マテリアルリサイクルで達成しなければならない。プラスチックをマテリアルリサイクルで有償の状態まで持っていくのは、単一種類のプラスチックからなる製品以外は非常に難しい。となると、金属類、ガラス類だけで、この再商品化率を達成しなければならない。だから、50〜60%という再商品化率でも、達成はかなり難しい。

A君:ヨーロッパで始まる家電リサイクル法では、リサイクル率が90%といっても、それは、回収率されて処理されればそれでカウントされて、その重量が90%といった値になるようです。ですから日本の家電リサイクル法の数値とは全く意味が違う。

C先生:ところが、この事情を新聞記者もよく知らないらしくて、日経の記事でも、日本のリサイクル率が低いと攻撃されていた。

B君:エアコンは比較的楽に再商品化率の達成がなされるだろう。洗濯機は達成がつらいかもしれない。なぜならば、素材としての価値の低い材料から構成されている。最近、洗濯槽がステンレスになったとはいっても、これは材質が13クロムなので、鉄と同様磁石に付く。となると、シュレッダーされてしまうと、後始末が大変。

A君:テレビも、最近の平面テレビは、昔と違って、パネル部分(画面の部分)のガラスが透明なものになっているらしいですね。その理由は、周辺部と中心部とでガラスの厚みが違うから。真空に耐えるためには、どうしてもそんな構造になるということです。厚みが違うのに着色したガラスを使っていると、中心部の輝度が高くなって、ミバが良く無い。ところが、現在回収されている普通のブラウン管は、光の透過率が50%程度のガラスが使われている。だから、ガラスのリサイクル率は、今のように、テレビが大型化している間は良いが、サイズが一定になったらかなり苦しいでしょうね。となると、ガラスのリサイクル率に依存しているテレビの再商品化率の達成も、数年後には苦しくなるのでは。

C先生:残る冷蔵庫は、やはり苦しそう。昔は鉄の固まりだったのに、最近プラスチックを多用しているから。そのうち、政令で決められる再商品化率を上げると厚生省、通産省ともに言っているが、それには、容器包装リサイクル法の再商品化と同様の考え方を導入するのだろうか。まあ、2〜3年後かな。

B君:容器包装リサイクル法の場合の、その他プラスチックの再商品化率の考え方は、非常にトリッキーだ。まともな定義によれば、その材料が有価から価値ゼロになら無い限り、再商品化が達成されたとは言えない。例えば、プラスチックの油化の場合であれば、再生油の価値が正になれば、確かに、再商品化がなされたことになる。ところが、ガス化だと、これは多少難しい。なぜならば、ガス化されたものが、ボンベに詰められて売られることはない。パイプの中で有価になったと見なすからだ。高炉還元剤としての利用はさらにトリッキーだ。例えば、かなり処理をしたプラスチックであっても、やはり価値は負。すなわち、高炉を持つNKKなどに処理を依頼することになる。だから、本当の意味では、まだ再商品化の条件を満たしていない。しかし、高炉に吹込まれた瞬間には有価物になっている、と見なして、再商品化だということになっている。誰も、有価物になったものに、触ることはできない。

C先生:熱回収をリサイクルの一種だと言うのがもともと無理なんだよな。高度熱回収とか言って、別の条件を設定する方法もあったとは思うが。

A君:カスケード率というのがまだ説明されていませんが。

B君:これは、水平リサイクル率の反対の概念だ。リサイクルはなるべく水平に。しかし、低級なものへのリサイクルはカスケードと呼ばれる。その割合。ただ、こんな言葉が本当にあるのか。

C先生:地球環境負荷を考えると、やはり、再生資源利用率みたいなものを高くする必要がある。ここでは、材料レベルのリサイクルの話ばかりしてきたが、部品レベルの再利用がさらに有利で、もっとも優れたものは、やはり製品そのものの再利用。今廃棄されているテレビで、比較的新しいものは、どうも資源として中国、ベトナムなどに輸出されているようだ。これが問題かどうか、それ自身問題。なぜならば、地球レベルでの有効活用とも言えるし。ただ、廃棄物だった訳だから、先方での環境負荷を高めている可能性もあって、何が行われているのか、実際に見ないとなんとも言えない。自動車の場合には、廃車ギリギリの車も、かなり正式にロシアなどに輸出されているが、テレビの場合には、全くアングラなので、それが問題だといういう言い方もある。

A君:ゼロックスのコピー機などは、部品レベルで相当高度に再利用がなされているらしいですね。やはりOA機器のように、リースが基本のものはやりやすいのでしょう。

B君:だから、21世紀には、パソコンなどもリースになるという話が、その延長線上。

C先生:まあ、合理的な方法で循環させることが鍵であることは事実。一方、なんでも循環させれば良いというものでは無いことも事実。その正当な評価のためにも、リサイクル率がだれもが納得できる形で定義されることが重要だろう。