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循環型社会と省資源・省エネルギー  12.03.2000




 先日、幕張で開催されていたウェステック2000と同時開催されてた廃棄物学会のパネルディスカッションで、「循環型社会は省資源・省エネルギーをもたらすのか」について、プレゼンテーションをし、議論をした。この手の議論をするには、どのような形で循環を組むのか、ということがかなり基本的な条件である。そのため、カスケード型のリサイクルを考慮外の図を作成して、議論をしてみた。


C先生:今日は、先日の廃棄物学会のパネルディスカッション、ならびに、12月7日に行われる日本化学会のシンポジウムで議論になる「循環型社会と資源・エネルギー」について、ちょっと整理をしてほしい。要するに、省資源・省エネルギー型社会が、循環型社会というものによって実現されるのかどうか。

A君:早速ですが、C先生が先日の廃棄物学会で使っていた図をちょっと変えてこれを元に議論しましょう。



B君:どこを変えたんだ。

A君:矢印の太さなんですが、何でも議論できるように、同じ太さにしてあること。だから、本当は、マスバランスによって矢印の太さが変わると良いのですが。

B君:それは、JAVAか何かで作らないと無理だな。まあ、そのうち。

A君:早速ですが、いきます。ここでの省資源・省エネルギーという考え方は、本来は、地球からの入力を減らすということですね。ですから、左の方に描いて有る地球から出ている2本の矢印を細くすることが目的。

B君:しかしリサイクル法は、むしろ、右側に描いた地球への2本の矢印の太さを細くすることが目的になっているような気がする。廃棄物・埋め立て量の削減ということになるが。

C先生:そうだな。特に、1995年にできた容器包装リサイクル法は、その時点における最終処分地の不足が最大の問題意識だったからな。今年できたリサイクル法の中では、建築廃材リサイクル法が同じような意識かもしれない。

A君:そうですね。現在日本に存在しているリサイクル法それぞれについて、どのような意図があるかを、この図を使って議論できそうですね。

B君:そりゃそうだな。容器包装リサイクル法から行くか。まず、容器については、97年からペットボトルとガラス瓶について施行されてきたが、その目的がもしも最終処分地の延命だけを考えているものだとしたら、少なくともペットボトルについては、いきなり焼却処理という中間処理をして、地球へ戻すのが本来の選択なのではないか。だが、これでは、武田先生と同じ議論になってしまう。だから、やはり、大義名分としては、どこかに省資源・省エネルギーがあったというべきではないのか。

C先生:いや、そうとも思えない部分がある。これは、例のダイオキシン騒ぎを理解しないといけないのだが、その当時の自治体に焼却という中間処理への抵抗感ができてきたことを上手く利用したと言えるのではないか。プラスチックを燃やせばダイオキシンという報道が多かったことを巧みに利用して、焼却という処理そのものを減せると見た。

A君:なるほど。だからといって、そのまま埋立をすれば嵩張るから、最終処分地が不足しつつある自治体ではその寿命が問題だ。名古屋市は、態度をコロッと変えて、「分別」「分別」という都市になったようですから。

B君:そうか。だから、自治体がリサイクルに流すか、中間処理に流すかの選択をできる仕組みになっているのか。そのバルブの絞り具合を自治体に任せた。それでも、多少は、リサイクルに回るだろうという読みがあった。

A君:しかし、自治体にとっては、中間処理もそれなりに問題があり、リサイクルのために回収をすればそれなりの費用がまた掛かる。まさに、苦渋の選択を迫られる訳ですね。

C先生:現在、リサイクルをする場合に自治体が負担する費用が問題になっているが、余りメリットがないのに自治体がリサイクルを推進するのは、以上のような状況の他に、地方交付税という飴があるらしい。容器包装リサイクル法に則って回収を行っているとそれなりの算定基準にはなっているらしい。確実な話は分からないが。

A君:費用負担の原則は、容器包装リサイクル法のバランスが悪い部分だ、というのは識者の常識ですよね。

B君:そうだな。A君の関係する家電リサイクル法では、自治体は全く費用負担をしないで済むからな。容器包装リサイクル法でも、家電リサイクル法のように、拡大製造者責任という考え方をより強化すべし、というのが一般的な識者の考えだから。

C先生:そうなんだが、どうやら、自治体が多少負担したとしても、リサイクル法の存在による最終処分地の延命はプラスになっているはずで、自治体は結果的に余り費用負担をしていないのだ、という乱暴な議論があるようだ。

A君:以上をまとめると、やはり、容器包装リサイクル法では、省資源・省エネルギー的な発想は無いということで良いでしょうか。

B君:多分そうだろう。省資源・省エネルギー的観点からみれば、リターナブル瓶をもっと優遇しなければならないのだが、そのような仕組みにはなっていない。自主回収容器というものがあるのだが、その基準が90%以上の回収率が基準。これは厳しい。そうでないと、その容器を複数回つかった場合にも、毎回負担金を払わなければならないから、リターナブル瓶を使おうというインセンティブがでない。もっとも、自治体によっては、もっと低い基準でやっているというところもあるようだが。

C先生:そのうち議論してもらおうと思っているのだが、びん商という商売があるのだ。話を聞くと、清酒瓶などを自主的に回収してそれを酒蔵に再利用して貰おうとしても、再利用瓶でも新瓶でもリサイクル法による負担金が同じなので、余り売れないそうだ。

B君:やはり、それはおかしい。2回使えば、廃棄物の量は半分になっている。法律的に問題はあるだろうが、細かいところを特に木目細かく対応して貰わないと。

A君:それでは結論で良いですか。容器包装リサイクル法には、省資源・省エネルギー的発想は無いということで。

B君:よし。

C先生:そうだろう。だから、新しい循環型社会基本法との整合性が悪い。今後、リデュース的発想をきちんと持ち込むことが重要だ。

A君:それには、リサイクルの費用負担をもっと事業者側に振ること、リサイクルに流れるところのバルブを自治体が決めるのではなく、国が目標値を設定すること、でしょうか。そうすれば、結果的に、省資源・省エネルギーにつながる可能性がある。

C先生:それには、次世代の容器包装リサイクル法を待つことになるのかもしれないな。

A君:次に行きます。家電リサイクル法。これの法律の特徴は、リサイクル費用を消費者が負担することですね。

B君:それに、リサイクルと中間処理を分けるバルブは、すべてがリサイクルに流れるようになっていること。

A君:だから、消費者が何をするかが問題。小型のテレビの料金が、大型のテレビと同じだということになったので、特にその不法投棄が心配。それに、消費者の意向を汲んだ妙な商売がでて、不法投棄が増えることも可能性としては有りそう。

C先生:リサイクル費用を消費者が負担するということだが、実際には、かなりメーカー側の持ち出しになっているのではないか。だから、メーカー側も実質上負担しているのではないだろうか。だから、最低限、リサイクル処理がやりやすい製品ができるという効果はあるし、処理がしにくい物質は使わないという変化はでる可能性がある。具体的には、難燃剤を含んだプラスチックなどだが。

B君:消費者が費用を負担するから、製品をなるべく長く使おうとすることになれば、結果的には、入力側も出力側もReduceになるが、この程度の価格だと余り影響はでないだろうか。

A君:BSデジタルテレビが、売れているようですからね。あれは、30万円以上するので、処理費用の2700円程度は問題にならないのではないでしょうか。

B君:それは、メーカー側の期待なんじゃないか。でもなあ、洗濯機などは壊れるまで使うだろうから、余り影響はないかもしれん。

C先生:だとすると、家電リサイクル法は、省資源・省エネルギーになるのかならんのか。

A君:希望的には商売が減るのがいやだから、「ならない」、のが意見ですが、多少、処理しにくい製品は徐々に変わるでしょう。

B君:消費者が多少の買い控えをするぐらい。

C先生:だとすると、やはり、家電リサイクル法の本意は、静脈産業創生型のリサイクル法ということになるが、そんな結論で良いかい。

A君:結構です。

B君:そんなもんだろうが、中古品市場を上手くつくって、リユースに行けないだろうか。

A君:それでは、食品リサイクル法に行きます。

B君:12月3日の朝日新聞の朝刊に出ていたが、メタン発酵とか飼料化とか、いろいろと工夫をしているようだ。

C先生:食品リサイクルというと、コンポスト化になると考えがちだが、そもそもコンポストであれば、もっと安定した原料があるのだろう。食品廃棄物からでは、何が原料になるか、毎回違う可能性が高くて、製品の安定性という意味で難しいのではないだろうか。

A君:メタン発酵は、コストがどうなんですか。

B君:割合と高いらしい。その他にも、乳酸を作って、それを生分解性プラスチックの原料にしようといった考えもあるが、これもコストは問題になるだろう。

C先生:いわゆる「高価なリサイクルプロセス型」になりそうだな。

A君:多分そうですね。食品の場合には、再生は無いでしょう。雪印乳業の一部ではあったようですが。となると、「高価なリサイクルプロセス」に回すことを避けようとすると、結果的に廃棄されるものを減らすしかないでしょう。

B君:たった20%程度のリサイクルが目標だそうだから、そんなにも変わらないのではないか。

C先生:いや、流通現場は結構厳しいからね。多少は利くだろう。

A君:だとすると、やはりレストランなどでの過剰サービスは消えるのでしょうか。米国のように、ドギーバッグがでるような状況になるのでしょうか。

B君:そうだな。余りにも低い日本の食糧自給率を改善するには良いかもしれない。

C先生:というと、食品リサイクル法は、食糧自給率を改善するためのものということか。これはなかなか良い解釈だ。

A君:結論がでたとして、建築廃材リサイクル法はどうですか。

B君:これは、分別をやることになるだろうが、所詮、使えるものは少ない。だから、やはり費用分担をユーザがきちんとやるように、ということと、最終処分地の延命を多少でもということなのではないだろうか。

C先生:現在、建設関係は極めて景気が悪い。だから、建主に費用を負担して欲しいというところが本音で、そのための法律なのかもしれないな。

A君:不法投棄の罰金がなんと1億円になったということですよね。しかも、依頼者の責任も問題にされることになりますから、建設業としては厳しい状況になるでしょう。となれば、せめて費用ぐらいはきちんと払ってくれれば、多少高いかもしれないが、信頼の置ける処理業者を選択できるというのは本音でしょうね。

B君:建築廃棄物リサイクル法も、どうやら余り省資源・省エネルギーにはならないようだな。これまた、建築主がその費用負担をどう考えるか、ぐらいのところか。

A君:リサイクルがなかなか難しいですからね。それに、建築物のように100年持たせることで廃棄をする頻度をもっと下げるべきですよ。

C先生:そういえば、先日東大工学部2号館に入ったが、内部は完全に改修されて、実にきれいになった。松本楼なるレストランも入っていた。欧米の大学と同じく、外観は古いが、内部に入るときれいという状況が実現できていて、なかなか良い。あれならば、多少、省資源・省エネルギーにはなりそうだ。それには、パリやロンドンなどのように、町並みの保存を考える方が効果的なのだろう。

B君:となると、今回のリサイクル法は、省資源・省エネルギーには直接的にはつながるものは余り無いことになる。

A君:もっとも重要なのは、やはり容器包装リサイクル法。本来は中身だけが商品であるものに付属する容器包装ですから、そこでこそ、省資源・省エネルギーにならなければ駄目ですね。

C先生:先ほどの図を眺めると、やはり、リサイクルへの流れのバルブをもっとリサイクル側に流して、しかも、事業者による費用負担をもっと増やさないと、そのようなことにはならないだろう。