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民主党の循環法   04.15.2000




本HPでも報告したように、循環型社会基本法は、自公案が固まってきて、その線で国会を通過するのではないかと考えられている。民主党は、独自の「循環経済法」(資源循環・廃棄物管理法)をまとめ、現在web上で、パブリックコメントを求めている。期限は一応5月9日までである。ご関心の向きは、何かコメントをお書きになることをお奨め。
http://www.dpj.or.jp/


C先生:最近の政治は、これまたインターネットのお陰で、パブリックコメントなどを求めることが普通になってきた。大変に良い傾向である。循環型社会基本法についても、民主党は政府・与党案に対抗して、かなり進んだ法案を検討しているようだ。

A君:確かにそんな感じですね。まず、政府・与党案は、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などの上位の法律になる基本法を作るといった方針。ところが、民主党案は、法律を一つだけ作って、それですべてのリサイクル法をカバーしてしまおうという方針のようですね。

B君:しかし、それは相当危険な手法だな。どうなっているか興味深々。なぜならば、リサイクルが必要な事情はそれぞれ大幅に違うから。

A君:「製造者に製品廃棄物の引き取りを義務化」。「焼却税・埋立税の導入」、「リサイクルが技術的に可能なものについては、埋立処分を禁止」、といった思い切った原則を確立しているようです。

B君:おお。それはすごいぜ。そこまで思い切ったことは言えないよ。だって、「技術的にリサイクルが不可能なものなどない」。エネルギーを無限に消費して良いのならば、なんとかなる。となると、何も埋立はできないことになる。

C先生:「製造者に製品廃棄物の引き取りを義務化」ということは、恐らく正しい方向だ。「焼却税」はかなり疑問。「埋立税」は有り得るように思う。「技術的にリサイクル可能なものは強制リサイクル」は、B君の指摘の通り熱力学の無視。

A君:産業廃棄物、一般廃棄物の区別も止めるようで、家庭系廃棄物、事業系廃棄物のニ分類のようですね。家庭系廃棄物の処理の義務は、「市町村は、その区域内における家庭系廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処理しなければならないものとすること」

B君:それは、しかし、退歩ではないか。家庭からペットボトルが排出されたら、それは、その処理を市町村がやるのか?

A君:えーーと。それが基本原則ですが、「指定製品に係る省資源及び廃棄物の管理」という項があって、第三種指定製品というものがあって、「現状において廃棄物としての排出量が多いにもかかわらずリサイクルが進んでいないもの、有害物質を含有し、又はその処理の過程において有害物質を発生させるおそれがあるもの、その再資源化が難しいもの又は環境への負荷が大きいもの等回収率の引き上げが特に必要なものとして政令で定める製品については、回収責任を負う者の指定及び目標とする回収率の設定を行うものとすること」。となっています。ペットボトルがこれに指定されれば、事業者を回収責任に負わせ、回収率も設定が可能のようです。

B君:回収率の設定は分かったが、リサイクル率は設定できるのか。

A君:うーーんんん。なんだか、回収率がリサイクル率の意味として使われているような気がする。これは、妙ですね。民主党さん、リサイクル率、回収率などの検討ページをそのうち作りますから、ご参考まで。
 でも、回収率が満足されない場合には、デポジット制度を措置できるようですよ。

B君:デポジット制度か。

C先生:最近、デポジット制度については、考え方がちょっと変わった。昔は、デポジット制度こそがリサイクルの可否を決定する要素だと思っていたが、事実はどうもそうでは無いな。達成すべきリサイクル率と回収率を法的に決めれば良い。もしも、回収率が達成できなければ、事業者が自分の判断でデポジット制度を作れば良い。

B君:それよりも、その文章気になる表現が多いな。有害物質に関する記述なのだが、有害物質とはなんなんだろう。劇物・毒物かな。それとも、発ガン性がある物質か。定義をどのように考えているのだろう。いずれにしても、世の中の物質には、無害な物質と有害な物質の2つにくっきりと分かれると思っているのでは無いだろうか。

A君:そうですね。別のところにも、気になる記述が多いですよ。例えば、第ニの八:「有害性、爆発性等の性質を有する物質を含有する廃棄物については、次に掲げるところにより、その処理を行うものとすること。
1.代替物質による使用の削減及び発生抑制
2.使用過程における回収及びリサイクル並びに無害化及び安定化
3.無害化及び安定化が不可能なものの適切な無害化処理技術が開発されるまでの暫定処理として保管及び管理」


B君:確かに有害物、無害物が完全に二分できるという意識が見える。

C先生:細かいところは別として、この法律で、適切な処理・リサイクルが行われるだろうか。

A君:最後に近いところに、「国は、製品等の原料採取から廃棄に至全段階での環境負荷の評価(ライフサイクルアセスメント)に関する指標を整備すること」、という恐るべき記述があるんですよ。

B君:ええええ。ちょっと待った。その「指標」ってなんだろう。

C先生:「指標」ねえ。なんだろうね。良く分からないね。ライフサイクルインパクトアセスメントをやれということかね。

A君:ライフサイクルアセスメントがなんとなく無視できないという感触をもっていることが薄っすら見えますね。

B君:それはそれとして、ライフサイクルアセスメントが法律に盛り込まれれば画期的。

C先生:しかし、万人が認めるインパクトアセスメント法など存在しないが、そのときの環境大臣が「エイヤ」と決めるのかな。
 さて、そろそろ結論に行こう。

A君:余りにも画期的すぎて、実現不能の部分が多いように見えました。それに、リサイクル率、回収率、再商品化率などの使い分けが未成熟。

B君:ライフサイクルアセスメントを導入するという考え方がありながら、「技術的に可能なら強制リサイクル」といった思想は矛盾。

C先生:焼却が悪というのは、条件による。なんでも焼却すれば良いというものではないが、最良の処理法が焼却という場合もある。となると、焼却完全回避は却って環境負荷を増加する可能性が高い。焼却回避が象徴的なんだが、要するに、現在ゴミとリサイクルに関する自称プロの方々が言っていることを無批判にすべて盛り込んだように思える。

A君:「省資源及び廃棄物の管理に関する施策」と言いながら、省資源に関する記述が弱い。埋立税に踏み込むのならば、同時にバージン資源税という発想が欲しい。

B君:もっと簡単に「炭素税」あるいは「エネルギー税」はどうなんだろう。記述が全く無い。

C先生:まあ、色々と問題があるから、パブリックコメントを求めていると理解しよう。拡大製造者責任が一つの基本原則になっていることは理解できた。もう一つの基本原則として、「総合的な環境負荷をミニマムにする」というものを採用することをお奨めしたい。
 皆様も、パブリックコメントに参加されることをお奨めします。