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覆面座談−家電リサイクル法と密輸出
        08.14.98

本記事へのご意見をいただきました。
 K氏からのご意見






覆面座談−家電リサイクル法と密輸出

C先生:家電リサイクル法なる新しい枠組みが成立し、2001年4月には実施される。この法律によれば、廃家電製品を消費者が廃棄するときには、数1000円の処理費と手数料を支払うことになる。処理は、製造者の責任だが自分自身でやる必要はなく、他の業者に委託する方法が多く採用されるだろう。しかし、問題がある。それは、売ったテレビや冷蔵庫、エアコンなどのうち、処理に回る数量の推定ができないことだ。さらに問題になる可能性があるのは、本来なら中古品としてまだ使えるものも処理に回ってしまうこと。これらの状況を実は誰も把握していない。通産省、厚生省を含めて。この法律を審議した産業構造審議会の専門部会も同様だろう。
 そこで、この問題に関するプロを集めて、新聞の論説委員と私がコーディネータということで、覆面会議を開催することにした。その結果が、次のようなものである。専門用語の解説は行わない。
 こんな議論ができる人脈ができたことは、現在、研究会として活動を続けているR2F(家電再利用再資源化研究会、Reuse&Recycle Forum for Electric Appliances、会長=C先生)の成果のひとつだろう。

出席者:A新聞論説委員(座長)、B商社廃プラスチック担当、
    C先生、D商社回収金属担当、E廃棄物処理業、F環境コンサルタント
日時:平成10年8月13日


座長(新聞):本座談会の趣旨を説明したい。家電リサイクル法はできたが、これが施行されても、この法律の狙った通りの動き方をしないと危惧する。ゴミを出さないないことが目的であれば、製品を長く使うインセンティブが法律的に盛り込まれている必要がある。家電中古品を使うことが太い流れになっても良いと思うが、本法律の中では何も触れられていない。大量生産、大量廃棄の流れが変わらないのではないだろうか。
 収集、運搬、再商品化に関して決められた法律であるが、あるメーカーにお宅のどこに新設備を作って実施するのかと質問したら、自分でやるという計画はない、という。これまでは処理業界に渡すと埋め立て処分場に行ったが、この流れを変えて、再利用できる部分を再利用する、それだけなのだと言う。これだと、廃プラスチックから公園のベンチができるだけだ。ごみを少なくするだけという法律にすぎない。
 中古製品をどうするかについて通産省の見解は、中古品を利用して貰えるならばそれは大変結構だ。しかし、現時点で中古品はまだ市民権を得た形になっていないようだ。一方、日本では廃棄物として集められた製品が、中国などにスクラップ資源として輸出されている。そして、中国では、大部分の製品は修理されて使用されているという。このようなことが半ば闇で行われている。これは問題なのではないだろうか。

C先生:この問題は、中国などにおける商品の価値と、日本における中古品の価値が違うことに本質的問題がある。特に修理に出そうと思っても、輸送費、手数料、修理費などの人件費が高い日本では、見積もりを取ったとたんに、ゴミがひとつ増える結果となっている。
 日本でも一部中古品市場はある。家電製品といってもオーディオなどが中心だが、八王子村内電機では中古品を買い取ってくれる。秋葉原では、ソフマップなどがコンピュータが引き取りをしている。

商社プラ:リサイクルショップはあるにはある。パソコンだとハードオフがある。リース会社が廃棄物と判断した品物は自分で廃棄するか、良いのも悪いのも専門会社に1000円程度で引き取って貰う。リース業者はできるだけ安く処分して貰いたい。このように、パソコンは、家電とは違った動きになる。

商社金属:廃家電の中古品化は店によって全く異なる。YKK(ヤマダ、コジマ、ケーズ)、デオデオ、ベストなどではすべてポリシーが違う。関東系YKKは、店舗に任せている。夜中の11時ごろに国籍不明の人が廃家電を求めてバックヤードの中に取りに来る。絶対に横流しをしていない量販店もある。

処理業:NEBAは表向きは「売っていない」。間接的に系列的な回収処理業者を通して売っている。小売店は大っぴらにやっている。家製協も黙認。

商社プラ:廃棄物なのか中古品なのか、有償なのか無償なのか、マニフェストがでるのかでないのか。マニフェストが出たら追跡が可能になる。

座長(新聞):マニュフェストを出すかどうかの基準だが、これは「ごみ」と消費者が言うのかどうかなのか。

環境コンサル:はっきりしていない。再商品化がどう規定されるかで決まると思う。

商社プラ:自然に決まるのでは。中間業者が買いますと言えば商品。500円ででも。

座長(新聞):この法律を決めた通産省の産業構造審議会では、廃棄時に消費者が負担することになっている。その根拠は、廃棄まで10年以上かかる商品だけに、廃棄時の費用算定が不可能だということだ。しかし、今の年金制度のように、社会全体として時間差をもって処理費用を負担するという今の年金と同じ考え方で行ける。

環境コンサル:内部化の話題だが、自分は外部化に賛成。10年後のリスクの話は限定的で、倒産してしまう企業をどのように面倒みるのか。外部化の欠点は、不法投棄の推進になること。内部化の欠点は、処理をメーカーだけが独占することになるが、これは必要は無いのではないだろうか。

商社プラ:自分も、内部化は良くないと考える。ただ、外部化になったことを消費者は知らない。本当に払うことになったら、パニックになるだろう。

座長(新聞):外部化しているために、一旦マニュフェスト伝票がだされたら、それは如何に使えそうなものでもゴミにしなくてはならないという難点がある。それに、同じテレビといっても、個々の品物によって処理費用が違うのではないか。

商社プラ:これはいわばサービスの提供だから実費を貰うのではなくて、これは一定の価格でよい。

処理業:ボーナス付きのデポジットがよいと思うが、これは独占禁止法にひっかかるか。そこで、自分の提案はあるファンドを作って、認定シール付きの部門別マニフェストで伝票を製品に張る。製造業者がこれを張れば良い。

C先生:管理費が高くつきそう。

商社プラ:廃プラスチックの場合には、特別の法人があって、ファンドをもっている。廃プラの処理をするときには、そこから費用を貰える。地方自治体が処理する場合だと1/3、そこが2/3。

座長(新聞):ファンド方式は外国でもあるし、日本でも可能。内部化・外部化の問題もファンド方式でやることができる。今の法律のままではメーカーが無責任状態になる。

C先生:自分は、内部化、外部化両方採用案だ。処理費用は内部化、マニフェスト手数料を廃棄時に徴収するのが良いと考える。

環境コンサル:内部化すると、輸入が問題。量的には多くないが、意図的倒産がありうる。

商社プラ:プラスチックと同じ方式がよいと思う。ファンド式。

座長(新聞):実際に掛かるよりは低めのところでの徴収になるのならそれでよい。

C先生:環境対応型の製品を作ることで処理費用に差が出て当然。むしろ、内部化することによって、製造者の企業努力が進行する。

商社プラ:松下電器の新型テレビにマグネシウム合金を使っているが、この話は本音なのか? それとも宣伝効果なのか。

処理業:処理料は一定の方がよい。ある程度なんとかカバーできる。

商社プラ:廃棄物かどうかについては、RDFの話をやるときに、これを有価で引き取るか、家電も引き取るときの有価。

座長(新聞):自分のところから流れたら自分のものではない。

処理業:全商品リースならば、もっともやりやすい。

座長(新聞):リースにしたい。

環境コンサル:リース・レンタル社会になると、ふたたび大量消費型にならないか。

商社金属:中古品の流れが必要。大いにやるべし。

商社プラ:保証問題・責任問題がでる。メーカーとしてはやりたくないだろう。

商社金属:中古保険などもある。調査すべきだ。

処理業:輸出の実態はこんなものだ。テレビなら25インチ以上が出ている。買い上げ価格2000円。33インチだと1万円。エアコンは3000円。冷蔵庫は最近はロシアへ保温庫として。コンテナ一杯80台で、5万円。中国も冷蔵庫も持っていくようになった。洗濯機はまだ喜ばれない。
 輸出されている割合は、関東で30%。関西で40〜50%。日光の今市の業者が買いあさっている。北海道の業者が関東まででばっている。中間処理業者。勝田のあずまは群馬まで。

商社金属:去年あたりが外にでた量がピークだったか? 

処理業:浜松の川島。リサイクル村を作った。中国、ベトナムの人を作って外国人に経営させている。シンセン(中国)では、中古品として使えるものは使っている。使えないものはパーツ取りをやる。故障を直す。処理は手分解。その後はちゃんと処理している。他人はどうやっているかと聞いたら、写真を見せてくれたところ、油の海だった。100人位で酸素切りをやっている。黒い煙。シンセンでこんな様子。適正処理の点から見れば落第。

商社金属:中国の海南市3キロ四方に100個所も中古市場がある。中国環境庁もうるさいので、いつでもみにきてくださいといっていた。最終処分は法律にあった形で処理すれば良い。

処理業:大陸型バザール方式が多い。

商社金属:中古家電として輸出しているのは、誰もいない。名目はスクラップだ。税金を誤魔化している。これが問題。

処理業:黙認を続けると日本は問題を起こす。

商社金属:日本の金属リサイクル量が3年前から減っている。

処理業:月間10万tonの銅が輸出されている。業界紙はつかんでいる。

商社金属:家電だけとすれば20万ton/年ぐらいではないか。

座長(新聞):通関統計で分からないのか。スクラップとして出ていると、内訳がないか。

処理業:中国が輸入を止めることもある。もともとは駄目なのだから。インボイスを誤魔化している。重さも誤魔化す。ある業者は、軍隊を買収しているため通関も心配がない。関所を通るたびに、いくらか払うこともない。

商社金属:どうするか。家電メーカーに聞いて欲しい。国内でリペアして海外に売ろう。処理するのが費用が掛かるから。

C先生:中古の場合、ブランドをどうするか。変えないのか? 変えないと保証問題がつきまとう。

座長(新聞):中古品市場が育つにはどうするか。インセンティブを掛けても、修理をしてでも売ると税金をまけるか。

商社プラ:まだ使えるのに捨てている。

座長(新聞):昔は、町の電気屋が直した。

商社プラ:家電メーカーの基本姿勢、新しいものをどんどん売ろう、これは変わらない。

座長(新聞):日立、東芝、は儲からなくてもやるといっている。

商社金属:中国を含めて国際修理分業をする。議論はすべきだ。

処理業:ODAに乗せるのが良い。

商社プラ:ODAは無理だ。中古品を押しつけることになる。相手国のプライドを傷つける。

座長(新聞):中古品市場をきちんと育てる。

商社金属:アメリカには中古保険がある。修理用保険。

C先生:家電リサイクルのアンケートをぜひやろう。主婦など知らないのではないだろうか。

処理業:酒屋がただで引き受けるという広告を出した。テレビとエアコン。支部に電話したら、これを売っているのではないか。おそらく売っている。

座長(新聞):毎週聞いている。25台/週。チェーン店全体で。これでは商売にならない。

商社金属:解決の方針で再重用なことは、今闇で行われていることをを表社会に出す。メーカーが煙たいが。

環境コンサル:値段設定ができない。

処理業:回収する最先端に経済的原理を適用するは反対。処理料が値切られる。そして、不適性処理や不法投棄につながる。

商社プラ:ファンドを作るのが良い。不足分は国が補助する。廃プラとどうように。通産はいつでも産業界寄りだ。EUでの話だが、法律が決まれば、リサイクルが増えるが、今は20%。

座長(新聞):ドイツの循環経済法も不景気になると形だけ。

商社プラ:不法投棄はメーカーのコスト負担になる。

座長(新聞):不法投棄は電話をすれば、メーカーが回収せざるをえないだろう。

商社プラ:ファンドは第三者機関。団体交渉権を持てるようにしておけばよい。

C先生:ファンドの運営費用をまかなうなら、バージン資源税を新設して、すべてのリサイクル活動の運営費用を援助すべきだ。

商社プラ:米国のある州では、発泡PSにはリサイクル品を2割入れなければならないという法律がある。そこでリサイクル品が不足している。バージンが100円、リサイクル品120円。フロリダなどだが。

座長(新聞):アメリカは、リサイクル品を入れた主張するような誤魔化しは無いのか。

C先生:米国は、そのような誤魔化し不正に対する罰則が厳しい。また、裁判になったときに、聖書に手を置いて宣誓をするため、うそをつかないようだ。日本は、裁判でも平気でうそをつく。宗教観の差は大きい。

座長(新聞):清掃事業費は地方自治体内で実費主義にすべきだ。独立採算性。今は、補助金が欲しいから、その分、清掃事業費を高めに言う。独立採算にして住民税を安くする。この見合いで。

C先生:日本のゴミ行政全般の改善のきっかけになれば。

商社金属:この話をどこまで明らかにしてよいか、問題だ。家電量販店の店長などにしてみれば、消費者から引き取った廃棄物がいささかの金になって、店員達との交際費に使えているという側面がある。いわば利得というより小遣いだ。些細なことを問題にしないで欲しいと言われそうだ。

座長(新聞):いずれにしても2001年までだ。2001年に法律が施行されると、いろいろなことが一気に変わるだろうから。

C先生:消費者が払う金額が高ければ、それなりに社会は変わる。

環境コンサル:高いと不法投棄が増えるばかりだ。

C先生:リサイクル率の値は政令で決めるが、高めにセットすべきだろうか。また、プラスチックの熱回収はリサイクル率の計算時に割引をすべきだろうか。

商社金属:高炉吹き込みによる処理の場合はどうすべきか。

座長(新聞):検討課題は多い。とにかく、市民レベルへの周知徹底がなされているとは言えない状況なのが最大の問題。中国などへの輸出問題。中古品市場の必要性など、色々と課題は多い。新聞紙上でも積極的に取り扱いたい。





K氏からのご意見

 たしか2年ほど前、TVを見ていると自動車用タイヤの側面に直径3cmほどの孔を
あけている場面があった。原料?として輸出するためにタイヤとして使えないことの証
という理由で孔をあけていたのである。実際は修理して古タイヤとして供するとナレー
ションしていた。
 同じく、日本の港に着いた外国の船員相手にワンボックスカーに積んである中古のT
V、冷蔵庫、ラジカセを波止場で販売している場面があった。
 最近自宅付近を「不用になったバイクありませんか。高値で買います。」とスピーカ
ーでアナウンスして回るトラックがある。これらのバイクは東南アジアに輸出されると
いう。ホンダのカブが一番人気とか。
 中古の家電製品は古道具屋で売っている。ほとんどが新品同様である。日本ではまだ
十分に使える製品を廃棄していると言われる。パソコンなどは使えても最新式のものと
の不整合で廃棄しているのである。しかし数量的にこれ以上の家電製品(TV、冷蔵庫
、エアコン)がスクラップ資源として輸出されている。税金のごまかしであるという側
面もある。廃棄物の輸出は問題であるのだが、なぜか廃家電が別名目で日本から輸出さ
れる。その量は掴めないらしいが、相当数が中国や東南アジアへ出ているという。現地
で安い工賃で修理・再生して再販される。しかしこれらの中古品が使用不能になったら
ゴミ捨て場に捨てられ放置されるだろう。

 この様な現実を見ると、日本メーカー・行政の対応は国内課題の解決だけでは済みそ
うもないような気がする。現状は廃棄物が少なくなってよいと考えるむきもあるが、ま
わりまわって輸入食品に有害物質が含まれてくる可能性もある。国境を越えた食物連鎖
である。とりこし苦労であってほしい。