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ペットボトルはペットボトルへ戻そう
      98.11.04
  







 消費者は「過剰品質を要求しない」と言おう

 前回の質問編でも述べたように、ペットボトルのマテリアルリサイクルというとなぜかYシャツや作業着、あるいは、絨毯へのリサイクルが主流。ところがリサイクルは本来水平リサイクルがベスト。理由は、同じものに戻しておけば、市場規模などを考慮しないで済むから。ペットボトルも、「技術的には」、ペットボトルに戻すことができる。しかし、現実には行われていない。その理由を考察する回答編。



C先生:今日は先日の回答編。ペットボトルをペットボトルに戻さない本当の理由を探ってみよう。

E秘書:皆さんの参考になるようにと、ペットボトルに入ったウーロン茶を持ってきました。はいどうぞ。この容器がいかに良くできているか、味には関係ないですけど、観察してください。それにこの服ですが、プリーツプリーズ(中川さんご指摘感謝)という100%ポリエステルのものです。ペットボトルと同じ素材とは思えないほどのお値段ですが。

A君:それいくらするのですか。単なる興味ですが。

E秘書:高いものですと、上だけで2万円ぐらいかしらね。

B君:やはり原料費はほとんど無視できる。樹脂としてのポリエステルなら100円分も無いのじゃないでしょうか。

E秘書:これはデザイナーブランドですからね。まあ、当然でしょう。デザイン料ですから。
 もう一つ、このウーロン茶はかびは入ってないと思いますが、最近、JTの桃の天然水とか、かなりかびの問題が出ましたね。かびは、飲物に入っていたのでしょうか。

C先生:いや、あれはペットボトルに問題が有った。普通のペットボトルは製造後1カ月以内に飲料を詰めるのが普通だが、どうも数カ月放って置かれたものを使ったようだ。ペットボトルにも、保存が悪ければかびは生える。いかに透明で綺麗でも、有機物の宿命みたいなものだ。

E秘書:ということは、ペットボトルは洗ってから使っているという訳ではないということですか。

C先生:リターナブルボトル、例えばビール瓶の場合には、新品でも洗ってから使っているが、ワンウェイボトルの場合には良く知らない。ボトラー関係の方、情報をお知らせください。

E秘書:まああの値段ですからね。いちいち洗っていたらコスト的に合わないかも、ですね。
 洗うといえば、ビール瓶などにタバコの吸いがらを入れる不心得者が居ますが、タバコのヤニが付いたビール瓶は綺麗に洗えるのでしょうか。 

C先生:苛性ソーダを使って洗っているので、まず落ちるだろう。ガラスの場合、汚れは表面に付着しているだけだからね。

E秘書:聞きたいことはこれで終わり。それではごゆっくり。

A君:なんだかE秘書に主導権を握られぱなしだったね。

B君:まあそんなものさ。

C先生:さて、いよいよ本題に入ろう。もう一度、復習をするが、ペットボトルに使用されているポリエステル樹脂は、綺麗に洗ってフレークにして、それをペレットに戻すことができる。それをまたペットボトルに戻すことは、十分に可能だ。ただし、ペットボトル用の樹脂は、特別仕様でかなり重合度を上げてあるらしい。溶かし直すと、重合度が若干下がるかもしれない。今、使っている書類フォルダーは、実はキッコーマン製のリサイクルペット製だが、手触りからは、そんなに特性が悪くなっているという感じでもない。

A君:一旦使ったペットをまたボトルに再利用すると、健康上の問題があると考えている人もいるようですが。

B君:スイスなどでは、ペットボトルはミネラルウォータ用にはリターナブルで使われている。それで問題は生じていないのだから、洗浄は可能だし、毒物が染み込むこともないという証拠になるのでは。

C先生:まず問題は無いだろう。ある1本のボトルで、万一若干の汚染物が樹脂に染み込んでいたとしても、フレークにしてまたペレットにするから、多くの綺麗なペット樹脂と混じることによって、濃度は非常に薄くなるだろう。

B君:しかも、どうしても気になるというのなら、ボトルの内側には新しい樹脂を、外側にはリサイクル樹脂を使うという手もある。

A君:とすると問題はいよいよ外観だけか。透明度が若干下がるということ。これが問題なのですね。

C先生:その通り。容器製造業の関係者に聞くと、飲料業界の容器に対する要求はべらぼうに厳しいらしい。日本の消費者の目は厳しいから、多少でも欠陥があってはいけない。ということで過剰品質になるらしい。

B君:私も消費者の一人のつもりだけれど、容器に金を払っている訳ではないから、多少の透明度の低下など、全く気にならないが。

A君:家具とか耐久消費財なら外観も気になりますが、飲み終わればそれでお役御免になる飲料容器の外観を気にする人が何人ぐらいいるのでしょうか。

C先生:非常に興味のある問題だな。ときには、たちの悪い消費者がいて、文句を付けることもあるだろう。業界にはその手の消費者のブラックリストがあるらしいからね。しかし、飲料業界の人々でも、消費者の何%が容器の質を気にするか、本当のことは知らないだろう。勝手に自分たちだけでそう思い込んでいるだけだろうね。消費者が本当はどう思っているか、とにかくこれは明らかにする必要があるね。

B君:飲料業界とはいっても、本当に容器の品質にうるさいのは、実は、いわゆる品質管理の担当者ですよね。そこに日本人らしい生真面目さがでて、若干でも外観が悪い容器を使えない。なぜなら、そのために売れなくなったといって営業関係者にしかられないようにという理由だ。ということで本人も過剰品質だと思いながらも、その方向を追及することになるのでは。

A君:営業関係者が鍵を握っているのは確かでしょう。われわれ電機系企業でも、商品企画段階で、そんなものは売れないと営業関係者に言われると、その企画がつぶれますからね。

C先生:営業関係者としては、商品にわずかでも欠陥があれば、それが本質には無関係な容器の外観であっても、売れ行き不振になって、その責任をとらされるのは自分達だという思いから、過剰な品質を要求するのだろうね。そこで、常套的に使う言葉が、「そんなものは売れない」なのだ。すなわち、消費者の意識は、彼らのよって「勝手に想像されて利用されている」のだ。

B君:現在、三菱マテリアルは、ビールなどのアルミ缶の原料を100%アルミ缶からのものにすると頑張っていますよね。同じようなことがペットボトルでもできる状況が間もなく来そうですよね。もう少々リサイクル率が高くなれば。そこで、「我が社のペットボトルは理想的な水平リサイクルを行っております」、これを宣伝文句に使おうといった発想がでないものでしょうかね。

A君:飲料業界はコストに厳しいというからね。リサイクル品のコストが多少高いという現状では、無理なのでは。でも出て欲しい。

C先生:コストの問題、これは社会システムの問題になるのだろうね。バージン材料にはバージン税を掛けるとかいったシステムがそろそろ必要なのだよ。

A君:全く別の見方ですが、さきほどのE秘書の100%ポリエステルのプリーツプリーツですが、ペットボトルからあれを作ることが可能ならば、それはそうしても良いのでは。

B君:それはどうかな。原料費が価格全体の1%にもならないような高級衣料品だからこそ、若干高くつくリサイクル樹脂でも使えるという面は確かにある。また、細い繊維にすれば、樹脂本体に多少色が付いていても、問題が少ないというメリットもある。しかし、ユーザの手に1週間も存在しない容器と、上手く使えば5年から10年は着られる洋服とを、同じ品質の樹脂で作る必要はどこにも無いと思うが。容器は外観はある程度無視して、水平リサイクルが可能な程度の「容器グレード=普通グレード」で作れば良い。これが現状のペットボトルの場合には、極上の特別グレードで容器を作っていて、逆になっている。それはおかしい。

C先生:ペットボトルのリサイクルの図を書いてみた。一瞬で使命を終えるペットボトルを10年着れる洋服用にリサイクルするのは、技術的には可能でも、やはりアップワードリサイクル(あるいはアップストリームリサイクル)に相当するだろう。なぜならば、飲料の場合には中身に対してお金を払っていてペット樹脂にお金を払っている訳ではない。服の場合にはポリエステル繊維そのものにも、わずかではあるが金を払っている。だから、材料などがより吟味されていることが当然だ。という訳で、ペットボトルから衣料品を作ることは、誤魔化しの一種と認定することが妥当だと思う。
 消費者として、「ペットボトルが水平リサイクルされるのならば、若干容器の見栄えが悪くなってもそれを買います、過剰品質は要求しません」、と表明することが重要だろう。
 読者の皆様、反対意見がお有りならば、大歓迎です。賛成意見もどうぞ。

B君:最後に私自身の研究としてお願いが有ります。本ページをお読みになった方、リサイクルしたペットボトルで透明度が若干悪いものと、今のように非常に高品位のものが有ったとき、若干見かけの悪いリサイクル品をお買いになりますか。リサイクル品を「買う」、「買わない」だけで結構ですから、メールをいただけないでしょうか。結果によっては、そのようなデータを用いて、飲料メーカーの営業関係を説得できるかも知れませんから。メールの送り先は、本ホームページの表紙に有るアドレスです。