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あなたはPETボトルから作ったシャツを着るか?
            98.10.22
  







日経ECO21をほめた。しかし、全面的に賛同した訳ではない。当然のことながら、いくつもの問題点はあるのだ。その一つがリサイクルというものに関する考え方の甘さである。その典型が、PETボトルから繊維を作って、ユニフォーム、Yシャツ、スポーツ衣料などにするというもの。今回の日経ECO21には、東洋紡、帝人が広告ページを出している。また、宝焼酎のエコペット焼酎というものも紹介されている。帝人のページは、記者が記事を書いているようなニュアンスでもある。記事ではPETボトルから作ったシャツを買うことを奨めているが、本当にそうなのだろうか。


C先生:本日諸君に検討して欲しいことは、PETボトルのリサイクルだ。最近の傾向として、PETボトルから繊維を作って、これで作業衣、ユニフォームなどを作るということがはやっている。しばらく前になるが、絨毯を作るというものもあった。これが本当に良いことなのか、これが本日の課題だ。まあ、事実関係の整理を例によって頼む。

A君:出番ですね。PETは、動物などの”ペット”とは全く関係なくて、ポリエチレンテレフタレートなる樹脂の略称です。化学的に表現すると、アルコールと有機酸からの反応でできるエステル結合というものが無限につながった高分子(ポリマー)ですから、ポリエステルと呼ばれることも有ります。ポリエステル繊維、商品名ですと、テトロン、テリレンなどがそうです。要するに、ポリエステル繊維は、PETを紡糸して繊維にしたものです。だから、PETボトルがポリエステル繊維になって、そして、Yシャツになっても何の不思議も無いのです。
 問題点は何かということですが、衣料の品質について言えば、どうしても不純物が入りますが、それが健康にどうこうということは全く有りません。ただし、染色のような微妙なプロセスでは、その不純物のために染めむらがでることがたまには起きるということだけでしょう。PETボトル用の樹脂はどうも光沢がでるように作られているらしいですが、その光沢は繊維にするときになんとか消せるようです。ですから、衣料品を作ることに特に問題があるという訳ではありません。
 リサイクルプロセスですが、PETボトルは、ほとんど純粋なPETだけに分離することが可能で、きれいに洗浄してフレークを作り、そしてペレットに戻すことができます。

B君:そうです。そこまでは合意。しかし、やればできることと、これを「よし」とするか、これは別問題。何が問題か、と言えば、このようなリサイクルは誤魔化しだということだ。リサイクルでもっとも問題になるのは、リサイクル製品が売れないということ。さらに、その売れないことを消費者の責任にすること。同じことは、古紙リサイクルの場合にもよく言われますよね。古紙から作った再生トイレットペーパーが売れないということです。PETボトルからのシャツも売れないと思う。古紙の場合とPETボトルの場合は、全く同じなのか。私は違うと思う。
 どこが違うか、と言えば、古紙の場合にはリサイクルルートが完全にできあがっていて、紙から紙がちゃんと作られていることです。すなわち、水平リサイクルに近い状態が実現できている。ただ、紙の繊維には寿命があるから、何回か使われて短くなった繊維の一部分は捨てざるを得ないという状況になり、かなり短くなった繊維でトイレットペーパーを作ることが極めて合理的なのです。このように、紙の一生の最後にトイレットペーパーを作ることには、それなりの必然性があって、このような状況を消費者は理解して再生トイレットペーパーを買うべきなのです。
 PETボトルも、容器包装リサイクル法ができてから、回収率は順調に上がっています。リサイクル率は20%に近いところになったはず。さて、リサイクルの原理原則から言うと、PETボトルも水平リサイクルがベスト。なぜならば、同じものに戻せば、リサイクル品が売れないことはあり得ないから。それなのに、Yシャツなどにリサイクルしようとしている。これは誤魔化しだと言いたい。だから、PETボトルから作ったYシャツは売れなくても当然。

C先生:そろそろ選手交代かな。今回のような話題だと、3者とも意見がほとんど変わらないからね。
 そう、PETボトルは本来水平リサイクルすべきものだ。技術的にはできる。他の種類の樹脂がわずかに混じる可能性はある。とはいえ、これが健康問題を起こす可能性はまず無い。厚生省あたりは、カビや有害金属などが使用済みPETボトルに付着している可能性があって、健康問題を起こすと言っているようだが、これも消費者のお行儀次第だ。たばこの吸い殻などをPETボトルに入れる不心得者が居なければ、まず問題は無いはず。しかし、実際には、やってみなければ分からない。しっかり洗浄して落ちないような汚染があるとも思えないのだが。
 どうしても、使用済みPETボトルから作ったフレークが食品に直接接触するのがまずいというのなら、内側の食品に接触する部分にはバージンのペレットを用い、外側には再生ペレットという使い分けも可能なのだ。
 だから、技術的には、PETボトルはPETボトルに水平リサイクルが可能ということになる。
 なのに、実際には水平リサイクルは行われないのだ。そこで誤魔化しのYシャツリサイクルがもてはやされる。何が問題なのだろうか。

 今日は、ここまでにして、本Webページをお読みの方に答を考えて貰おう。


 読者の皆様へ。宿題です。なぜPETボトルは水平リサイクルできないのか。答:その一つはコストです。水平リサイクルをすると、やや高くつくようです。他にも答えがあります。さて? そういえば、どこかに書いたような記憶が........