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   OECDからの環境勧告 04.28.2002
      諸外国は日本の環境政策をどう見ているか




 平成14年1月9日から11日、パリのOECD本部において、OECD環境政策委員会・環境保全成果ワーキンググループパーティーが開催され、日本の環境政策の取り組み状況が審査された。平成5年以来9年ぶりである。
 
 本報告は、4月に発表された環境省の資料による。

 日本に対する審査については、平成13年の5月にレビュー・ミッションが来日しており、ヒアリングが行われた。審査の「結果及び勧告」は、1月の審査会後に発表された。

「結論及び勧告」からの抜粋
1.日本の環境政策の成果

(1)環境管理(ほぼ全文) 1990年代において、日本の環境法制は大いに進展した。また、環境政策の実施に当たり効果的に政策手法が組み合わされている。
 規制は厳格で適切に施行され、強力なモニタリング体制がとられている。大気質は引き続き改善し、硫黄酸化物、窒素酸化物などにおいて、経済成長との切り離しが達成され、低公害車の利用台数も増加している。公共用水域の水質についても、環境基準の健康項目はほぼ達成され、生活環境項目も徐々に改善している。循環型社会の構築を図るための努力が進められており、90年代には廃棄物排出量が安定し、一般廃棄物のリサイクル率も飛躍的に向上した。
 自然環境と生物多様性に関する包括的かつ定期的な目録(緑の国勢調査)が確立されている。

(2)持続可能な発展に向けて(省略) ここは余りほめられていない

(3)国際的な環境協力(省略) 温暖化ガスの削減対策が遅れているとの指摘

2.日本の環境政策が抱える課題(全面省略)

3.日本の環境政策に対する勧告・指摘事項

(1)環境管理
*経済的手法の活用が不十分
*財政支援措置と汚染者負担原則の整合性が不十分
*土壌汚染に対する環境法制が必要
*窒素酸化物、非メタン揮発性有機物、微小粒子状物質を削減すること
*自動車交通管理の強化が必要
*湖沼、内湾、内海の富栄養化対策が必要、特に、農業起源
*生態系保全に関する水質目標が必要
*循環型社会に数値目標を
*拡大製造者責任の適用を拡充すること
*廃棄物対策における経済的手法の活用、特に、ゴミ処理費用の有料化
*自然環境のための補償基金などの資金メカニズムが必要
*損なわれた生態系の再生事業が必要

(2)持続可能な発展に向けて
*戦略的環境アセスメントの体系的実施
*環境関連税制を再構築
*環境に悪影響を与える分野別補助金の削減
*道路燃料および自動車税制の見直し
*環境情報への市民のアクセスの改善
*教師を含めた環境教育の強化
*化学物質管理に生態系保全の視点を入れる
*化学物質のリスクコミュニケーションの強化
*農薬の使用に関する規則について農業者の指導の継続と監視

(3)国際的な環境協力
*京都議定書の発効を目指すこと
*運輸、民生部門におけるエネルギー需要管理手法の開発
*国境を越える大気および海洋の汚染および渡り鳥問題について取り組み強化
*輸入木材を持続可能に管理された森林からに限定
*環境目的のODAの増額


C先生:ざっと読んだ第一印象は、OECDの査察団は良く日本の状況を把握しているということだった。日本の環境管理・対策の弱点をずばりと指摘している。

B君:本HPでも、自動車グリーン税制や温暖化対策大綱のところでも問題にしたように、日本の環境管理・対策の本音は、「この不景気をなんとかしてくれ」、「それには、環境というキーワードを使ってなんとかならんのか」、というものだもんな。

A君:実際、企業経営の体力・耐力が落ちるところまで落ちました。マイナスイオンなどという半分インチキ商品にしたって、製品を販売している企業としては、本当のところは、もっと情報開示すべきなのですが、情報を開示すると折角の売れ筋の商品が売れなくなる可能性があって、本当の情報は出せないというのが本音ではないですか。

C先生:そのあたり、突き詰めれば「技術者としての倫理観の問題」だと思うが、そんなことが言えない状況まで経済が落ちたのだろう。

B君:行政の倫理観も問題。竹中大臣、塩川大臣、柳沢大臣、全員辞めてもらうしかない。いくらなんでも、そろそろ責任を取ってもらいたい。

A君:それは、それとして、経済的な手法の活用が不十分である、とかいう指摘ですが、全くそう思いますね。既存の経済の構造を変える気が無いのではないか、と疑いたくなります。

B君:やはり省庁の縦割り構造が邪魔をしている感じはする。しかも、省内の局の縦割り構造も影響しているのではないか。

C先生:それはよく言われることだ。省益を守ることが霞ヶ関の住人としての最大の使命だとか、場合によると局益の方が重要だとか。いずれにしても、国益を考えた発言が少ないということだ。

A君:経済的手法で、環境負荷を下げることができるものはいくらでもあるのですがね。しかし、環境税も当分実現の見込みは無さそうですから困ったものだ。

B君:OECDの勧告にあるが、土壌汚染の法律はできそう。

C先生:窒素酸化物(NOx)の削減、揮発性有機物(VOC)、粒子状物質(PM)の削減が勧告されているが、この順番なのだろうか。重要度は、逆順のように思うが。

A君:重要度までは考えて記述していないのでは。

B君:自動車の総合的管理が重要という指摘も、もっと二酸化炭素排出量削減に向けた管理ということに限定すべきでは。1.の成果の記述では、日本は依然として二酸化炭素削減が難しいという記述になっているのだし。

C先生:その後に続いてくる拡大製造者責任とか、ゴミ有料化なども全日本的スケールでそろそろ実施を考慮すべきだ。

A君:目黒区は考え始めているということですよね。

C先生:まあ、危険物のデポジット制を主張しているというところはそうなのだが、目黒区単独では難しい。

B君:大分先の方になるけれど、教師を含めた環境教育が重要だというのは、同感。
C先生:渡辺正先生(同僚)などは、教師の環境観が最悪だから、子供がダイオキシンが最大の環境問題だということになるとの理解だ。

A君:合成洗剤反対派の教師も多いようだし。

B君:農薬の使用についても、農家がルール違反の使用をしていることは知っているような口ぶりだ。農薬もルールに従った使い方をしていれば、それほどのリスクがあるというものでもないのだが。例えば、出荷直前の殺虫剤の使用などは禁止されているはずなのだが、実態は闇。

C先生:化学物質関係の検討でも、生態系への影響を現在考慮するかどうかというところにあるし、コミュニケーションについても、これからの緊急課題だということになっている。だから、この件については、OECDの指摘は正しく、それに対する対応もかなり迅速に取られようとしている。

A君:企業の環境関係者の立場から見れば、化学物質対策として、VOC対策、リスクコミュニケーション、を重視すべきだという結論になりますね。

B君:市民レベルから見れば、まずは、「京都議定書の批准を支持すること」、「民生部門での省エネルギーにもっと関心を持つこと」、「正しい環境情報にもっとアクセスすること」、「ゴミの減量に協力すること」、といったことだろうか。

C先生:全体としては、まず、環境問題は未来世代を考えることだという共通認識をもう一度確認すること。さらに、これまでの人間中心主義的な環境対策を、若干ではあっても生態系を重視する視点を加えることが、必要な変更点だろう。

E秘書:もう終わりですか。ちょっと聞いていたら、全面肯定のようだったのですが、本当にそれで良いのですか。日本側がなんらかのリーダーシップを持っていて、外国からの圧力によって政策を通そうとかいった裏の意向があるのではないですか。

C先生:OECDの会議にでた感じでは、比較的各国の意向が正確に反映させようとしているようには見えた。環境関係では、EUの先進的な思想を押し付けてくるのか、と思っていたが、日本の状況を評価しつつ、不足点を指摘するという態度のようで、まずますだと思った。

E秘書:それにしても、OECDからのミッションに対応した日本側のメンバーは誰なのでしょうか。その意向がかなり入っているのでは。

C先生:うかつにも知らない。公表されているのかどうか、聞いてみよう。