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No!塩ビシンポジウムの速報  03.09.2000add03.10






暫定版Ver02 (質問者の氏名などは全く不確実)

 平成12年3月9日、日比谷公会堂において、公開シンポジウム「塩ビとダイオキシン」が行われた。主催は、ダイオキシン・ゼロ宣言 No!塩ビキャンペーン委員会である。
 広い会場の約6割程度が埋まっていたので、恐らく、1000名程度の参加者があった模様である。参加者の内訳は、恐らく、半数が塩ビ関係者あるいは企業人、半数が市民としての参加だったように思える。
 実は、本郷で会議があって、45分遅刻して参加した。そのため、最初のスピーカであった、佐々木修一氏(塩ビ工業・環境協会専務理事)の報告は全く聞けなかった。次の植村振作氏(大阪大学助教授)の「ダイオキシンは食塩からはでない」は、8割程度聞けた。その後、原田浩氏(塩ビ工業・環境協会環境委員会渉外部会長)、藤原寿和氏(塩ビとダイオキシンを考える」東京市民会議 事務局長、実際は都庁職員)と続いた。
 ここで休憩に入り、その後は、質問票に書かれた質問に答える形で進行した。

 さて、結論的には、最初の両者の主張はばらばらであったが、その後、質問に回答するという段階になって、全体としての論調が多少正しい方向を向き始めたような気配が見られた。要するに、このような集会は「どうも有効でありそう」に思えた。ただし、植村氏の「ダイオキシンは食塩からはでない」という主張は、科学的にみても間違っているし、また、思い込みを訂正させられるなどといった場面もあって、「No!塩ビ」サイドもミスキャストだったと反省しているのではないだろうか。万一、それを意図した選択であれば、見上げたものだが。
早くも、同シンポジウム参加者2名からご感想をいただきました。独断で、匿名として掲載します。ご両名とも、両サイドを切っておられます。私もほぼ同意見。


C先生:行ってきた。とはいっても遅刻したが。資料代500円はその質から言って高いが、まあ会場費の一部負担ということで納得した。MD2枚に録音をしてきたので、聞いてくれ。(録音は、植村氏の発表の途中から。それでもよろしければ、テープなどの形で差し上げることも不可能では有りません)。

A君:なるほど。

B君:確かに最初は噛み合っていない。全く。

A君:ちょっとまとめますかね。まず、植村氏の主張。

植村氏の主張:食塩もダイオキシンの原因であるということは科学的根拠がない。工業会のデータでは、食塩に焼却炉の中に存在しない活性白土というものを加えて実験をしており、極めて特殊な条件である。日本化学工業会は、水俣病が発生した当時、旧日本軍が廃棄した爆薬が原因だといった。塩ビ工業会の食塩もダイオキシンの原因だというのは、かつての水俣と同じ態度である。塩ビとダイオキシンは関係があることを早く認めて、それを前提として議論を進めて欲しい。
 食塩電解の際の塩素を有効活用している。塩素を使えなくなったら、苛性ソーダを作る方法を別途考えなければならない。塩ビの生産を減らして欲しい。


B君:ちょっと植村氏の発言はおかしいね。活性白土というものは、粘土の一種だが、食塩と酸性酸化物、例えば酸化ケイ素とか、酸化イオウとかを混ぜた状態で加熱すれば、塩化水素が発生するのは当然。活性白土は焼却炉の中にないと主張しているが、焼却炉中には、紙がある。紙には、粘土や炭酸カルシウム分が相当含まれている。植物にもシリカ(酸化ケイ素)は含まれている。植物が自立するには、セルロースだけでは駄目なんだ。何か骨になるようなものが無いと。稲ワラにも大量シリカが含まれている。

A君:無関係なところで、「水俣病」を持ち出すというのは、古典的市民活動家の技で、これははっきりいってとんでもない。

C先生:OHPが見えなかった。今回、他の方々のOHPも見えなかったが、大学の先生が使うOHPが見えないというのは、余りにもお粗末。また、途中で、マイクなしで話をするのも、大学の先生としてはとんでもない。まあ、ミスキャストだった。

A君:次は原氏の主張。

原氏の主張:塩ビは地球環境という面から見ても有益な樹脂である。悪い面も塩化水素がでるというところなど、無い訳ではない。良い面も悪い面も見て欲しい。ダイオキシンの発生を防止するには、焼却炉を改良する方が合理的である。ダイオキシンと塩ビとの科学的研究では、無関係という文献と関係ありとする文献は、やく半々。平成9年から平成10年にかけて、ダイオキシンの発生量は半分になった。一般廃棄物の焼却炉からの発生量について言えば、1/3ぐらいに減っている。この間、塩ビの焼却量が減ったわけではない。自治体の苦労によって、焼却条件の改善が行われたからだ。要するに、焼却炉の改善だ。
 フタル酸エステルも最近またまたチェックされている。環境ホルモンの被害は出ていない。むしろ影響が無いのではないかという結論が出ている。塩ビとして何か対処すべき状況にあるとは思わない。
 リサイクル技術の開発を進める。ダイオキシン問題と直接関係無いが、資源循環型社会の実現を目指す。通常のプラスチックのマテリアルリサイクル率は12%。それに対して、塩ビのリサイクル率は19%。


B君:これも、余りにも業界的だな。その焼却炉の改善にかかったコストの半分ぐらいは、塩ビ工業会が負担すべきだったのではないか。ダイオキシン発生の最大の要因である焼却炉中の塩化水素の発生は、半分ぐらいが塩ビ、半分ぐらいが食塩だろうから。

A君:フタル酸エステルについては、確かに、再検討が行われている。発ガン性については、ランクが下がったし、まあ、そんなに心配するようなものではないと思う。環境ホルモン性については、ヒトや哺乳類については、まあ「何が問題なのかが問題」というレベルだろうから。
 次は藤原氏。

藤原氏の主張:
 製造段階における塩ビモノマーの発ガン性の評価ではグループ1である。すなわち、発ガン性がある。かつて塩ビ病が発病した。最近でも、漏れないように管理されているはずなのに、PRTRの排出実態では、1937トン/年ものモノマーが出ている。アメリカの4倍もの量である。
 環境ホルモンは影響が確定した訳ではないが、否定されていない。これをそのまま伝達することが責務である。
 焼却以前に塩ビ製品は破砕機に掛けられる、その段階で、塩ビ製品が含まれるものは、中に含まれている鉛や水銀が大気中に飛散したり、可塑剤が飛散したり、さらには、破砕による高熱によりダイオキシンが生成する可能性がある。残念ながら、粗大ゴミ破砕施設でダイオキシンが生成するという確認はなされていないが。しかし、神奈川県で水銀が高くでている、あるいは、芳香族炭化水素の発生が認められている以上、ダイオキシンが生成している可能性は否定できない。
 塩ビにはメリットはあるが、可塑剤、安定剤を使わなければ駄目。恒久的に使えるものではない。そのために有害な化学物質を使わざるを得ないことが、色々な環境負荷を掛けている。
 塩ビの焼却によって出る塩化水素を塩化カルシウムが焼却灰に入って、それが塩害を起こす可能性がある。
 本当の科学に基づいた議論は避けるつもりは無いが、不毛な議論はもう止めたい。
 ドイツの工場の大火災で、発生したダイオキシンによって、様々な食品が汚染された。卵については、バックグラウンドが24に対して、53.7という値になっている。1995年のプラスチック貯蔵倉庫の火災において、土壌のサンプルの分析値が680ppt、などといった汚染が認められている。
 塩化ビニリデンからPCBの発生も出ている。塩ビの議論はもう不毛な段階になった。早く止めよう。


A君:塩ビの中に水銀が含まれているのですか? 破砕機に掛けただけで水銀が出るなどという話は始めて聞いた。

B君:破砕で水銀がでるとしたら、それは、蛍光灯類だろうよ。

C先生:実は、質問タイムにもその問題が指摘されて、藤原氏はその際に訂正した。そんなことは言わなかったと。しかし、録音を聞いて貰えば分かるように、どう考えても、そのように言っている。しかも、「破砕によって、残念ながらダイオキシンの発生は確認はされていないが、水銀、芳香族炭化水素が出ることは確認されているから、ダイオキシンが出る可能性は否定できない」といっているよね。どう思う。

A君:さて。論評不能。

B君:市民に不安を与える様々なテクニックを十分に身に付けている。

A君:不毛な議論は止めたい、ということは、塩ビを止めさせたいということ?

B君:当然。

A君:塩化カルシウムによる塩害が問題だったら、生ゴミ中の食塩も問題になりそう。

ここで休憩15分

A君:ここで補足が入る。植村氏

植村氏の補足:補足と称して、机の上で実験を開始。食塩と活性白土を使って、それぞれの単独、混合物について、300℃に加熱し、試験しで塩化水素の発生を確認。(ここから、マイクなしでOHPで話を始めるので、何を言っているか分からない)。最近のダイオキシンが減ってきた理由は、規制や炉に金を掛けてダイオキシンを出ないようにした。それが結果的に、最近発生量が半減した。こういった論理的な誤魔化しを止めてほしい。こういうことを発表する前に、業界は議論をしたのか。塩ビを処理するための費用の話が入ってこない。
 活性白土を意図的に混ぜることによって、食塩からも塩化水素が発生していることを示しているのが、工業会の実験の実態である。

A君:この理解は妙だな。活性白土を入れたのは、実際の焼却炉の状況に近づけるためのはず。

B君:植村氏は思い込みだけの人みたいだな。論理的誤魔化しをするなといいながら、自分でやっている。

佐々木氏の補足:フタル酸の評価がIACによって再度なされた。ランクが3になった。お茶程度である。普通のものである。火災についての塩ビの影響。塩ビが火災に際して、特別の死傷、ダメージを与えたとか、浄化に金が掛かったということはない。内分泌撹乱物質は、基本的には野生生物の疫学調査を行い、それからヒトといった順番でよい。予防原則が安易に使われている。予防原則はころばぬ先の杖である。その方法が適切でなかったとしても、そのことによるデメリットが少ない場合適用すべきことである。

A&B君:コメントなし。

藤原氏の補足:火災でダイオキシンが出てないとは言っては無い。ヒトに疾病が発生したことではない。芳香族炭化水素もでていて、その方がリスクが高い。芳香族炭化水素も塩ビが原因だったのでは。
 大阪の母乳については、昔高かったといえる。その追跡調査をやらないのは問題だ。農薬中の不純物からであることは事実だろう。昨今は横ばいである。今後どのように推移するか見ていかなければならない。
 焼却炉をきちんと管理すれば問題が無いと言えるのか。高温で管理していても、過小評価している可能性がある。年1回のダイオキシン分析では分からない。


A君:ちょっと藤原氏が苦しくなっている。大阪の母乳の追跡調査をやるといっても、どうやってやるのだろう。もしもやれるのならば、大賛成だけれど。

原田氏の補足:かつて農薬からのダイオキシンの発生が多かった。益永・中西先生のデータを示す。過去のデータから見れば、現状の発生量は少ない。だから安心という訳ではない。食塩でもダイオキシンという記事が出てくる。安岡先生の実験に基づいている。塩化水素がでないではないか。塩ビ工業会がやった実験の真意は、実際の都市ゴミ焼却炉に近い状況でやりたかった。条件が良かったかどうか分からない。
 渡辺正先生のダイオキシンの解釈の記事。急性毒性が問題なら、食物から体に入るダイオキシンの1400年間食べ続けると、半数致死量を超える。ダイオキシンの危険度はこんなものとも言える。
 塩ビの排出量は120万トン、塩素の量は、60万トン。植村先生の一般廃棄物中の塩ビから来る塩素の量は93万トンだといった。

B君:渡辺先生のダイオキシン問題は、急性毒性だけを問題にしているが、それでは駄目だ。発ガン性もほとんど問題にならない。

質問タイム

佐々木氏への質問

田坂氏(ICU):農業用ビニルの野焼き量。セベソで死者がでていないが、胎児、乳幼児の極低レベルでの影響をどのように考えるか。

回答:データなし。燃やされているというデータは農水省からある。2番目:医者ではないが、いわゆるTDIを決めたときに、その配慮がされていると考えている。

上田氏(アジア学生文化協会):PVCは製造時にエネルギー使用は低いが、処理時にはエネルギーが掛かるのでは。

回答:学者のモデルがあるが、プラ処理協のデータがある。

村田氏(循環資源研究所):塩ビをリサイクルすると塩素が不要になる。食塩製造時の塩素をどのように処理するか

回答:塩ビが価格が安いのは、苛性ソーダが主製品で塩素がタダだからというのは全く間違い。むしろ、塩ビを作るために塩素を作っている。

伊藤氏(ノリタケカンパニー):リサイクルはどの分野で行われていますか、身の回りで見たことがない。

回答:パイプなど硬質塩ビの分野で行われている。一般の日用品からのリサイクルシステムは出来上がっていない。政府も循環社会基本法を作る。リサイクル審議会における審議が基本になっている。

坪田氏:塩ビでないといけない用途はあるのか。わざわざ塩素を含んだ製品を作る必要があるのか。

回答:塩ビが使われるのが問題だとされている製品でも、実は塩ビが良い。その例が透析用のバッグである。

B君:この回答は、ちょっとまずかったのでは。むしろ、電源コードなどの例を出すべきだったと考えるけど。

井上(生活クラブ生協):最適条件で焼却すれば、ダイオキシンは出ないというのは科学的か。バグフィルターなどで発生したものを取り除いているのでは。

回答:一次合成とある温度域で再合成されることの問題か。行動基準と運転管理基準がある。両方相まって、良い燃焼条件と管理で問題を回避している。

B君:この回答も多少ずれている。完全燃焼と温度管理をすれば、ダイオキシンは極めて少量しかでない。

萩原(塩ビとダイオキシンを考える会):プラスチック容器の中の化学物質の調査したが、塩ビ中に79種類もの物質が含まれていると知って驚いた。その情報を開示せよ。

回答:意図して性能を向上させるために入れるもの以外にも関連する物質に加工工程で変わった、あるいは、不純物が混じったということもある。できるだけ開示をする姿勢には賛成。加工業者の協力を求めたい。



植村氏への質問:

松山(塩ビ環境協会):硬質塩ビに可塑剤は使えません。すべての塩ビ製品に可塑剤を使わないとの発言は訂正されますか。

回答:意図的に加えないというだけではないのか。

会場とのやりとりがあって、
回答:訂正します。

古賀氏:ダイオキシンの塩素源として、NaClなどは有意。食塩からもダイオキシン発生の記事について。

回答:過去のダイオキシン汚染源は農薬だ。私を含めた強い市民運動があって、農薬は規制された。HCl発生の私の実験に先程ケチがつけられたが、300℃というのは実験装置の問題であってケチをつけられるようなものではない。

古賀氏:琵琶湖のデータの1918年の底泥にもダイオキシンが含まれるが、その解釈は。人口も少ないし、塩ビが使われていたとも思えない。

回答:質問の意味が良く分からない。人口は考えたことがない。

B君:司会者の方は分かっていたようだ。まともな議論ができないのかな。要するに、ダイオキシンが「天然物でもある」ことを、植村氏は知らない。

倉島氏:昭和44年のダイオキシンの発生が増えたということであるが、農薬からの残留物であると考えるがどうか。

回答:そう思う。

阿部氏:NaClを含む有機ゴミ焼却が問題だと思う。実験で、食塩を熱してもHClが出ないと述べているが、NaClに水素発生源がなければ、HClは出ない。水分が有ればでる。

回答:水分を含まなければHClが出ないのはその通り。水分を含んでいる白土では上手く行った。業界の方が行った実験は水分を常時供給するといった非常に巧妙な方法を用いたものだと想像する。活性白土のようなものが、生ゴミの中に入っているのか。

会場から:入っているという声。

B君:余りの無知蒙昧! 

A君:産業界というところが、自己防衛のためなら、どんなデータ捏造などといった悪をやるという理解なのか。時代錯誤もはなはだしい。そんなことがばれたら、それこそ最後だ。

石田氏:塩ビ起源でHClが93万トンも出る訳が無い。

回答:65万トンでも差し支えない。食塩からは非常に少ない。現場が努力していることも
認識してほしい。

B君:植村氏は結局のところ何も分かっていないみたいだな。


原田氏への質問:

関根(グリーンピース):塩ビ工場からもダイオキシンが発生している。その発生メカニズムを教えて欲しい。すべてのモノマーの工場がそのようなプロセスを持っているか。マテリアルリサイクルの際にどのぐらいの新品を入れるか。

回答:塩ビ工場、塩ビモノマー工場からである。一部触媒工程があって、そこでごくわずかなダイオキシンが発生すると言われている。高沸点不純物廃液として出てくる。これを焼却処理をしている。極一部のダイオキシンは廃水中にも出る。これが規制対象になった。これに対しても、廃水処理をしているので、排出量は0.2g/年/日本全国程度である。
 
杉山氏(日本消費者連盟):焼却炉を完全にすれば、塩ビを大量に生産してよいというが、それは、地球環境と整合しない。

回答:燃やすことはなるべく減らす時代になる。大量生産してよいと言ってはいない。

大田氏(毛呂山ごみを考える会):焼却設備を整備することが最良としているが、有害な化学物質で土壌や環境を汚染していることを認識していない。

回答:焼却炉を立派にしてどんどん燃やすという考え方ではない。

B君:このあたりの市民運動からの質問は、あまり論理的でない。

多田氏(久米設計):品質が落ちるダウンリサイクルなのではないか。

回答:ダウンリサイクルという言葉は聞きなれないが、ほとんどケースで、元の品質のプラスチックには戻りにくい。パイプは水平に近い。農業用ビニルはサンダルになったり、自動車の敷物になったりしている。色々な添加物を加えるから具合が悪いというが、それを含めて環境に悪影響を与えないようにしている。

大久保氏(廃棄物処分場問題ネットワーク):廃棄物の焼却・埋め立てを止めるという方針が国の方針なのに、なぜ焼却ばかり述べるのか。

回答:ダイオキシンを無くすには、焼却炉の整備だと言っている。


藤原氏への質問:

戸田氏:ダイオキシンを抑制することを主眼としているが、塩ビを排除することと同義なのか。私は冤罪のように思っているか。

回答:脱塩ビ社会の実現で、縷縷申し上げたつもり。ダイオキシンを一例としているだけで、総合的に見たときに塩ビという素材のデメリットが大きいと見ている。

柿沼氏(筒中プラスチック):塩ビを削減すると、どういった方向に向かうのか。代替物のリスクを含めて。

回答:採血バックも塩ビ以外の素材が出ている。代替素材がアプリオリに良いと思っている訳ではない。リスク評価をした上で、どちらを選択するのかという立場である。可塑剤、安定剤を必要とする塩ビよりも、別のものが良いかもしれない。LCAで塩ビが良いといっても、その評価はまだ確立していない。電解エネルギーがどのぐらい計算されているのか。大気汚染、水質汚濁、埋め立て影響なども評価できていない。海外のものを含めて、データが
必要。

B君:この理解は、我々と余り違わない。

中澤氏(旭電化):廃棄物処理より検知された水銀、鉛が塩ビからという根拠は。

回答:水銀、鉛が塩ビからと言ったのでしょうか。水銀が塩ビ製品そのものから出るといったつもりは無い。

田中氏:フタレートの発ガン性について。また、内分泌撹乱性について、環境中の存在量と閾値との関係をどのように考えるか。

回答:正確には、グループ3になった。ヒトに対する発ガン性は問題ではないが、動物には問題。内分泌撹乱性については、はっきりとあるものが存在している。これについてもっと評価する必要がある。環境中にかなりどこでもフタレート見つかる。閾値というが、リスクだ。中西先生は、ベンゼンに比べればダイオキシンは低い。高いものは対策を取るのは当然。地域によっては、産廃の所沢、和歌山の橋本のように高濃度のダイオキシンは無視できない。フタレートについても地域的な濃度を考えなければならない。

新井氏:環境対策はトータルで考えなければならないが、塩ビを代替品に変えた場合の悪影響について調査しているのか。

回答:市民団体ゆえにできない。行政と学者がやるべき。アスベストの場合に、ロックウールとの比較を行った。発ガン性の比較を行った。ゼロではないが、ロックウールの方が良いということで選択された。代替品のリスクアセスもアメリカ並にやって欲しい。

最後のパネラーのまとめ:

植村氏:沢山質問が来た。いつも私が話をする会場とは、今日は顔ぶれが違う。反論の意味の質問を業界の方がやったからだろう。知人の研究者曰く、塩ビの生産は減るだろう。しかし、使うところは残るだろう。といっている。長寿命のために、分子量の長いものを作る必要があるだろう。分子量が小さければ成形しやすいが耐久性が無い。長寿命のものを作ると、成形ができない。研究者もそろそろ限界だと思っている。
 間違いなく、食塩だけからは塩化水素はできない。紙の中の粘土を積極的に利用したのが、業界の実験で、それを私が見破った。

会場から嘲笑!

佐々木氏:フタル酸エステルの環境ホルモン性について、低濃度で逆U字効果があったと主張しているが、それは、実験的な間違いだ。岡山県で7トン炉で、酸化鉄を加えてダイオキシンの発生を抑えているという実例もある。塩ビの位置付けだが、オランダでは、塩ビを除いても、大幅に減らしても、エコロジカルな効果はないと結論されている。だからといって、塩ビを大量に燃やせとは言ってない。建設的な討論を続けたい。

藤原氏:燃焼管理について、スウェーデンからのレポートで、塩素系のダイオキシン以外にも、このところ、臭素系のダイオキシンがかなり急激に増えている。塩ビだけをいじめているのではないか、といわれるが、臭素系のダイオキシンについても、削減を目指している。高温で焼却すれば本当に大丈夫なのか、まだ分かっていない。ガス化溶融炉で、臭素系と塩素系で挙動が違う。厚生省の基準で本当に大丈夫なのか。通産省もいずれ塩素系化学製品については、禁止になっていくという見解を示した。塩素で成り立っている日本の産業構造をソフトランディングしなければならないという調査もしている。あらゆる有害化学物質の転換を図っていかなければならない。

原田氏:3つ述べたい。朝日新聞の意見広告を始めて見たとき、誤解して喜んだ。「No!塩ビ」を「No1塩ビ」と読んだ。
 2番目。林俊夫氏の本からの引用「住民の不安感をあおることによって、特定の人にとって有利な方向に行政を導こうとしている」。
 3番目。今回の参加者、主張は違うけど、共通の目的がある。共通の標語がある。それは、「減らすのは、塩ビでなくて、ダイオキシン」。

コーディネータのまとめ:
 これから率直な話し合いをやりたい。4名のパネリストには感謝したい。匿名で妙な質問を書いてくる人がいて、こういう人が問題だ。市民と企業がどのような接点を持てるかという挑戦をこれからも行いたい。
 

産業界のU氏からのご感想:無断拝借。お読みいただければお分かりのように、U氏は少なくとも化学業界の人ではないです。

本日の公開シンポの率直な感想です。
 
 1)藤原事務局長:
 ・中身のない弁が多いのは、いつものことですが、正直でした。曰わく、
   @ダイオキシンだけが問題ではありません。象徴として取り上げたのです。  
   A塩ビは、消費者身近で分かり易いので対象にしました。
 つまり、魔女を作り上げたことを告白したのです。 でも、運動に携わっている消費者代表?の活動家には「真意」は聞き取れなかったで しょう。
 ・相変わらずの、「良いところ取り」の海外情報崇拝。
  これは、本日の双方ともにそうでした。自分のデータで論じましょう。
 ・だから、都合の悪い最新の海外情報がでると、論に窮まるのです。
 2)植村助教授:
 ・私は化学の専門家ではありませんが、机上実験などは中学校の理科の先生以下の印 象を受けました。
 ・日本の環境運動を信用ある活動にするには、もう少し質の良い学者を担ぐべきで す。
  (せめて、査読のある学会発表の論文で勝負して下さい。恥ずかしくて海外に出せ ません)
 ・業界代表の、佐々木氏の説明のほうがよほど学際的でした。
 ・塩の話は素人でも笑ってしまいました。
 ・一世代前の公害学者です。環境を論じるのは無理。はやく引退して下さい。
 3)佐々木専務理事、原田部会長
 ・よく勉強していますが、本日は「さくら」がいっぱいいたからいいけれど、世界の 流れからはかけ離れています。
 ・塩ビを生き残らせるための努力と、ロビー活動が全く感じられません。
 ・同じ産業化に身を置く者として、理解はしますが今の塩ビ業界の姿勢は支持できま せん。
 ・塩ビのユーザーである、家電、自動車、電線がどんなに苦労しているかわかってい ません。
 ・なんでも、ドイツとは、言いませんがもう少し謙虚にドイツの事例を勉強して下さ い。
 ・同じプラスチックで、魔女にされた発泡スチロール業界の対応を見習うべきです。
 @全国に、回収センター「エプシープラザ」を設置し、回収の責任とPRをしまし た。
 A途上国を含め、国際的なPRをしています。
 B回収の必要性を、米国の例に習って、学校教育への支援をしています。
 ・やはり、「農業」と、「建設」を主要顧客に持つと、感覚が鈍くなるのだと思いま した。
 ・通産化学課が、プラスチック業界を再編しようとしていることは当然です。
 その他:
 ・反対派も、業界も代替品への回答が出来なかったことは、昔の「何でも反対党」を 思い出します。
 ・公害反対運動には、私は理解し支持もします。
 ・しかし、今も環境運動はあまりに、「非科学的」です。
 ・双方とも「はじめに答えありき」では、単なるセレモニーです。
 ・今日のシンポをNHKが完全取材していました。どんな報道にまとめるか楽しみで す。

同じく、参加者からのご感想:またまた無断借用。S氏は化学系企業人。

失礼ながら植村先生に代表される思い込みの強さと、業界側の戦略のまずさ(と僕は思いますが)もあって、議論はあまり噛み合っているとはいえず、レベルも低い議論だったと思いますが、双方が直接対話する機会として、悪くはないなと思って帰ってきました。

植村先生の的外れな実験も、ある意味では塩ビ業界サイドの食塩説を強調しすぎたことの反動でもあるでしょう。ゴミ焼却中の塩素のかなりの部分が塩ビ由来であるなら、その対策費用の応分の負担をすることも真剣に考える必要があるでしょう。それが嫌なら分別しにくい、使い捨ての用途から足を洗っていく(僕はこの方がいいと思いますが)べきでしょう。