________________


   マイナスイオン代理戦争  07.06.2002




読者の「M」さんから、吉岡さんに質問状を送って欲しいという依頼があった。その結果、吉岡さんから回答が来た。それに対して、「M」さんがコメントを付けたものがこれである。

いわば、「M」さんが、代理戦争を引き受けてくれたことになっています。

吉岡さんからの反論ですが、その中身に、価値はほとんどありません。吉岡さんは、「マイナスイオンを広く捕らえていて」、固体中、水中でも通用する概念を提案するといわれますが、実際のところ、「未完成な大気イオンの化学」と違って、液体中、固体中の「イオン」の化学はすでに確立しており、特に水溶液系については、「陽イオン・陰イオン」「酸化・還元」「酸性・アルカリ性」などの概念でどのような現象でも説明が可能です

水関係でも様々なオカルト主張がありますが、いずれも、確証のないものです。このあたりは、天羽さんの専門サイト「水商売ウォッチング」
http://wwwacty.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~atom11/index2.htmlをご覧下さい。

これで、今回のマイナスイオン騒ぎは一応の幕にしたいと思います。


吉岡様 from「M」

お忙しい中、早速のご返事ありがとうございました。●は吉岡さんの回答。

●私はマイナスイオンというものを安井さんよりも広義に考えています。それは定義したように「放出可能な電子を持つ物質」であって、その定義が満たされれば、それは大気中にあってもよいし、水中にあってもよいし、あるいは固形物の中にあってもよく、そしてその化学的構造は問わないのです。安井さんは「大気イオン」という言葉を提案していますが、大気イオンは私が考える「放出可能な電子を持つ物質」の一部でしかありません。

 →「放出可能な電子を持つ物質」なら「還元剤」という昔から決まった言葉があるではないですか(高校の化学で習います)。「マイナスイオン」の定義が曖昧だからといって、勝手に定義をすりかえてしまうのはいかがなものでしょうか。
あまりよい例えではありませんが、大阪に住むある人が東京の友人に「いまから新幹線で東京に行く」と電話で伝えました。東京の友人は新幹線だから3時間後には東京に来るものと重い、3時間後に東京駅で待っていました。しかし大阪の人はいくら待っても姿を見せず、10時間後にようやく現れました。新幹線なのにどうして10時間もかかったのか、東京の人が質問すると、大阪の人は「私は新幹線という言葉を『遠方に人や荷物を高速に移動させる物』という、より広義の意味で使った。実際には各駅停車できたが、定義はまちがっていない」と答えました。
吉岡様の仰ることは上記の例えのように感じてなりません。言葉は大切です。正確に使う必要があるかと思います。「マイナスイオン」では、化学の素養のある人ならほとんどが、「負に帯電した分子(or粒子)」だと思うのではないでしょうか?もちろん「負に帯電した分子」=「還元剤」ではありません。まったく異なるものです。もちろん「電子担体」という導電性高分子やポリマー電池あたりで使われそうな言葉を用いても誤解を招く元にしかなりません。

●私は先の手紙で述べたように、生命現象は化学反応であり、それは電子の働きに集約されると考えています。

  →異論はありません。というか、生命現象が化学反応で成り立つことは常識だと思います。

●生命活動に関与する「電子担体」は、水と空気と食物の中に存在することが可能で、実際に存在しています。マイナスイオン空調機やマイナスイオン発生器は、電子担体を部屋の空気の中に作り出します。
私がご紹介した磁気の器具は、電磁誘導の法則によって水そのものを電子担体にして、飲料水や浴用水として供給します。抗酸化作用を持つ食品は、食物の形で電子担体を供給します。

  →ようするに電子供与体として還元剤を体内に取り込むことがよい、ということですか? 私は「酸化」=悪、「還元」=善、という考えも理解できないのですが。

●イオン測定器について
確かに湿度はイオン測定器の大敵であるようです。水滴が多いところでは長時間の測定はできないようです。しかしたとえば同じ室内で同じ時に、イオン発生器やイオンを出すサンバイザーを測定器に近づけると測定値が急上昇するという事実を私は提示しています。この事実は、イオン測定器が何かしら有意のものを測定していることを示しています。ただし、測定器についての疑義は私ではなく、メーカーの技術者と直接議論してほしいと思います。

  →今回のお返事の中で、一番理解できるご回答です。たしかに「何かしら有意のもの」を測定している可能性はあると思います。でもそれがマイナスイオンなのかどうかは証明できていません。「水滴が多いところでは長時間の測定はできない」というところが、この測定器の信頼性を示しているような気がしますが。

●電子状態の攪乱について
生命体をとりまく電子の状態に攪乱が起きて、生命活動が影響を受けるまでには時間がかかります。
「日常茶飯のイオンの変化」程度では影響を受けたとしても分からないでしょう。きのう電子状態が乱れて今日からガンになるということではありません。何年、何十年という時間がかかります。体内で電子不足の状態が長期間続くことが病気をもたらします。そういう状態を引き起こす周辺の電子状態の攪乱が問題になるわけです。それは、空気の悪い都会で暮らす、塩素たっぷりの水を飲む、高圧線の下に住む、食物からミネラルが失われる、強い紫外線を浴びる、などなどです。

  →質問の答えになっていません。私は何をもって「攪乱」としているのかをおたずねしたのです。「空気の悪い都会で暮らす、塩素たっぷりの水を飲む、高圧線の下に住む、食物からミネラルが失われる、強い紫外線を浴びる」という状況が、どのように電子不足を引き起こしているのか、全く説明されていません。そもそもミネラルとは無機物ですよね。たとえば亜鉛イオンやマグネシウムイオンを過剰に摂取すると、より電子不足の状態になるのでは?典型的な陽イオンですから。

●赤血球について
「赤血球がそれ以前はプラスに帯電していた」とは言い間違いでした。「マイナスに帯電していなかった」と言い換えますのでご了解下さい。赤血球はヘモグロビン(鉄)を含んでいて、地球には磁場がありますから、赤血球は常に少し磁化されています。

  →寡聞にして知らないのですが、ヘモグロビンは磁化するのですか?鉄が含まれているから磁石になるわけではないですよね?赤血球は常に磁気を帯びているっていうのは初めて聞いたのですが。なにか参考となる資料など教えていただけますか?

●顕微鏡で見る画面は静止状態ではなく、動いています。赤血球がごちゃごちゃと動いていて、ときどき白血球がやってきます。赤血球の帯電状態の測定などは、市井の人間には出来ないことです。

  →どのような条件で観察されているのですか?細管中を人為的に流しているのですか?それともブラウン運動ですか?また、言わせていただければ、吉岡様もUさんも決して「市井」の人間ではありません。上記の現象をもとに商売をしようとされている「業界人」です。製造者には製品に対する責任があります。

●磁気器具の効果について
先の手紙でいくつか述べた効果は、現在全国の2万件の家庭で起きている事実です。それは今年中に6万件ほどになるでしょう。来年には30万件を突破するでしょう。再来年には100万件になります。そのとき海も川もずいぶんときれいになっているはずです。統計は私たちがとっています。世の中は変わりつつあるということです。(私たちが変えつつあるのです)

  →「幸運のペンダントを買ったら宝くじに当たった!恋人ができた!病気が治った!」みたいな商品の、購入者からの喜びの声の広告みたいですね。やはり私の質問に対しては、なにもお答えになっていません。

●また、水の界面活性は増し、熱伝導は上がります。
たとえば、この水の中に生卵を1日つけておくと卵が割れます。水が卵の中に浸透するのです。普通の水道水ではこれは起こりません。これはどこでも実験可能で再現可能です。風呂場のカビもなくなります。これも界面活性のせいかも知れませんが、しかし他方では、水を浄化するバクテリアを育てます。

  →「界面活性が増す」とはどういう状況ですか?熱伝導率は上がるのですね?風呂場のカビをなくして、有益なバクテリアを育てる。という矛盾した、しかし人間にとっては都合の良い現象は、やはり容易には信用できません。

●私の思考は、これらの事実をどう見るか、どう説明するか、というところから始まっています。別に「マイナスイオン」を擁護しているわけではなく、事実を認識し事実から出発するということです。

  →そのお考えは正しいと思います。しかしながら事実を説明する過程が、どうも論理性に欠けているように見受けられます。もちろん、文章では思考の結果のみを記述されていると思いますので、思考の過程までは、私にはうかがい知ることはできませんが。

お返事をいただきましたが、やはり論理的に納得できる部分はほとんどありませんでした。私の中ではより「オカルト的」な印象が強まりました。以前、自宅に「活水器」という、やはり磁石の力で水を活性化するという高い機械を売りつけにきた業者がいました。一通り説明を聞いてから、私が大学院まで化学を専攻していたこと、現在も化学メーカーの研究所で勤務していること、特許も何件も出願しているが出願するだけでは何も意味がないこと、を伝えたあとに、技術的なことについていくつか質問しようとしたところ、その業者は逃げるように帰ってしまいました。すべての業者がそうだとは言いませんが、今回のお返事で、私が納得できるようなお返事をいただけなかったのは残念です。

しかしながら貴重な時間を割いていただき、丁寧にお返事をいただいたことに対しては深く感謝いたします。いつの日か私が理解できる理論やメカニズムを提唱していただけることを楽しみにしております。