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  マイナスイオンについてのコメントと質問 02.03.2002




1.さる方からのコメント

 先日また某番組でマイナスイオンの話がありました。マイナスイオンが眉唾なのはともかくとしまして、噴水や温泉で深呼吸している映像が以前に某番組でも放送されたことがあります。このような場所にはレジオネラ属の細菌が繁殖していることがあり、肺に多量に吸い込むと重篤な感染症(在郷軍人病)を引き起こしかねません。つまり、身体に良いどころかかえって危険です。(数年前に一度、テレビ局に抗議のメールを出しましたが、回答はありませんでした。)公衆衛生のためにも、一文で結構ですので、この注意事項をご掲載いただければ幸いに存じます。

C先生:「その通りだ」、と思います。先日、温泉のお湯を間違って飲んで(吸い込んで)、レジオネラ菌に感染して死んだという事件があったばかり。冬は比較的可能性が少ないが、水温が40度ぐらいになる夏は噴水も危険かもしれない。

A君:レジオネラの感染があって、その原因がホームセンターに置かれていたデモ用の24時間風呂だったというような話も聞きますね。

B君:元祖レジオネラ感染症は、ホテルのエアコン用の冷却塔。屋上にあった冷却塔の水にレジオネラ菌が大量発生し、ホテルの周辺にばら撒かれたことが原因で起きた。

C先生:どこにでも居る菌なので、逆に問題。


2.質問メール:その1

 特に、マイナスイオンの件で、私自身がこれを信じていましたので、結構ショックを受けております。

 私が、マイナスイオンを信じる様になったきっかけは、電磁波の人体への影響に始まります。
 
 私が仕事で、パソコンを使う関係上、ディスプレイから出る(と言われている)電磁波の人体への影響の緩和する方法はないかと思っていたところで、「トルマリンゴ」に出会いこれを使うようになりました。

 「トルマリンゴ」には、当然トルマリンが入っていることを知り、トルマリンがマイナスイオンを発生させること、マイナスイオンがリラックス効果等に効果があることを知り、とあるお店で(東急ハンズ)トルマリンの鉱石を見つけたので、トルマリンを持つようになりました。

 このトルマリンを、ワイン等に入れると、明らかに味がマイルドになるような気がしました。

 私や私の妻は、こういう「迷信系」はあまり信じない方なのですが、このワインの味が変わったことをきっかけに、トルマリンとマイナスイオンを信じるようになりました。

 現在も、トルマリンの3倍マイナスイオンを出すと言うマイナスイオンセラミックを使った腕輪をつけていますし、ディスプレイの前には、水を入れた容器にトルマリンの鉱石を入れておいています。

 前置きが長くなりましたが、電磁波の人体への影響とその影響の軽減にトルマリンは効果があるのか?について、もし可能であるならば、お教え願えませんでしょうか?


C先生:まず、電磁波の人体影響にトルマリンから出るマイナスイオンが利くかという話。

A君:大体、電磁波が人体にどのような悪影響を与えるか、それ自身が良く分かっていないことです。

B君:実は、電磁波といっても、周波数がピンからキリまである。当然のことながら、波長の短い電磁波は光と呼ばれ、紫外線は、浴びすぎれば皮膚がんの原因になるし、もっと波長の短いガンマ線、X線など、これは有害に決まっている。だから、電磁波がどうのこうのという議論をしようとすれば、その周波数を特定する必要がある。

C先生:この方は、パソコンのモニターから出る電磁波が人体に悪影響があると思っているようだが、スウェーデンは、確かにモニターからの電磁波に対して規制を作った。現時点では、日本で売られているモニターも同様の自主規制で作られているようだ。しかし、最近では、液晶ディスプレイが普及した。液晶は電磁波が出る要素が無い。どうしても電磁波が気になるのなら、液晶ディスプレイに変えるのも一案。

A君:CRTタイプのモニターから電磁波が出ていると考えられるのは、まあ、2種類でしょうか。一つは、CRTの内側の話で、電子を加速して使っていますから、何か物質にぶつかれば電子の運動量が変化して電磁波を出す。CRTなら電子線のエネルギーがX線が出る範囲内。もう一つは、CRTの側面にある吸盤状のアノードキャップあたりでコロナ放電をする可能性があること。放電すれば、周波数が様々な電磁波が出る。

B君:CRTの内部で出るX線は、一応、厚いガラスで止まると考えて良い。そのようなガラスを使っているから。

C先生:アノードキャップの方も、若干シールドすれば電磁波を実質上止めることが可能だろう。

A君:パソコン本体の方から出る電磁波はどのぐらいの強さでしょうか。

B君:まあ推定だが、CPU周りで消費される電力を20Wとして、その1%が電波になるとしたら0.2W。10%だとして2W。ただし、ケースがシールドの役割を果たしているので、外に出るのは多少少なくなっているだろう。

C先生:まあそんなものかもしれない。しかし、最近のCPUのように、2GHzといった周波数だと、もっと高い割合で電波になっているのかもしれない。

A君:しかし、1W以下の電波だったら、発生点と体との距離を考えて、むしろ、携帯電話の方を気にすべきでしょう。携帯電話でも本当に悪影響があるかどうか、よく分からないのが現実で、脳腫瘍の原因だと言われつつ確証はなし。イギリスでは、これから大枚を投じて検証をするようですが。

B君:電子レンジも問題かもしれない。出力が大きいから。携帯電話は0.8Wだが、電子レンジは最低でも定格出力が400Wぐらいあるから。多少の漏れでも影響が大きい。潜在的な危険性は、パソコンよりも高い。

C先生:しかし、携帯電話は頭のすぐ隣で使う。電波の強度は、発生場所から距離の2乗に反比例するからね。しかも、電子レンジは短時間しか動作しない。

A君:いわゆる電磁波の人体影響で問題になったのは、高圧線ですね。その影響で小児性白血病患者が出るという疫学研究があって、どうも否定はできないようです。しかし、いくら実験的に再現しようとしても、再現はできていない。微妙な話。

B君:最近、メラトニン仮説などというものが出ている。電磁波の話は、今後も何度と無く、繰り返されることだろう。

C先生:いずれにしても、電磁波がどの程度のリスクがあって、どのぐらいの問題なのか。まあ、一般には、そんなにも重大な問題ではないのだろうと、一応は理解されているようだ。実際、損失余命のようなものを計算したとしても、多くても0.1日を越すことは無いだろう。一方、タバコの副流煙が30日というのが、私の計算。

A君:さて、そろそろトルマリンの出番でしょうか。

B君:トルマリンは、日本名が電気石。化学組成は複雑で、(Ca,K,Na)(Al,Fe,Li,Mg,Mn)3(Al,Cr,Fe,V)6(OH,F)4(BO3)3(Si6O18)。なんで電気石というのかといえば、この石を加熱すると、静電気が起きて、石の表面に灰などを吸い付けるから。

C先生:そのような効果を焦電性と呼んでいる。この焦電性があるかどうかは、その物質の結晶構造で決まる。結晶構造に対称心が無い物質には、すべて焦電性がある。トルマリンだけにある性質ではない。多数の物質が共通に持つ性質だ。

A君:トルマリンは上等なものは宝石になるぐらい綺麗です。実際、10月の誕生石ですからね。ある一端にはプラスの電気が、反対側の端にはマイナスの電気が溜まっているのですが、通常は、空気中のほこりや水分などを吸いつけて、電気は中和されているのです。ところが、温度が変わると、熱膨張が起きて結晶構造も変わるため、そのために電気の発生量が多少変わります。静電気が発生して、新たにほこりを吸い付ける能力を持ちます。

C先生:トルマリンの特性として、次のようなページがあるが、これは大部分は間違っている。

http://www.yin.or.jp/user/gunji-f/tormaline.html
http://www.d4.dion.ne.jp/~sekisuim/index2.htm
http://www.uitec.co.jp/abouttorumarin.htm
http://www.binchoutan.com/torun.html
http://www2s.biglobe.ne.jp/~echigo/sl3.htm

 例えば、「トルマリン鉱石には電位があるためにマイナス電極からは絶えずプラス電極に向けて電子が流れる。この電子の流れが静電気にほかならず直流の静電気を絶えず発生し続けている。天然唯一の発電機といえる」、などという大嘘が書かれている。
 もしも、こんなことが起きたら、無からエネルギーが発生してしまう。静電気は静電気であって、発電機になる訳ではない。

A君:トルマリンが流す微小電流が0.006mAで人間の電流と同じぐらいだからどうのこうのという話がありますが、この微小電流だって、トルマリンを放置しておいて流れるものではない。、電荷が偏って電圧が出ているということと、電流を流すということは全く違うということが分からない人がいるようです。要するに、コンデンサーと電池の違いなのです。なんらかのエネルギーを外から加えない限り、エネルギーが沸いて出るということは無いのです。

C先生:電池は、内部で化学反応が起きて、エネルギーを供給しているから電気が沸いて出る。トルマリンは内部で化学反応が起きている訳ではない。

A君:もしも電気が流れるのがマイナスイオン発生に有効ならば、乾電池でも持ち歩くと良いのでは。できるだけ電圧の高い乾電池を探して。

C先生:まさにその通り。

B君:別の話に行く。トルマリンには圧電性というものもあって、力を加えると、そのエネルギーが変換されて電圧を発生させる。だから、なんらかの機械的な力を加えると、電圧が出る。

A君:次のページは正しいです。
http://www.tdk.co.jp/tjdad01/dad00001.htm

B君:しかし、マイナスイオンが出るためには、コロナ放電が起きるぐらいの電圧になる必要ある。トルマリンにそこまでの能力はないだろう。

C先生:PZTというセラミックスでは、力を加えて歪を作ると高電圧が発生するものもある。また、このPZTは、電圧を掛けると、逆に歪ができる。これをうまく使って、携帯電話のスピーカなどが作られている。

A君:トルマリンではなくて、PZTを持ち歩くと良いかも。

C先生:ワインの話と、水の中にトルマリンを入れる話は?

B君:トルマリンがワインの味を変えるという話は、多分だが、トルマリンが吸着していたホコリがワインの味を変えたか、あるいは、トルマリンから溶け出したMg、Caなどの金属イオンが味を変えたのだろう。

A君:トルマリンが万一マイナスイオンを出すとしても、そもそもマイナスイオンは大気イオンですから、空気中で放電などの現象が起きないと駄目です。

B君:水の中に入れてしまったら、水がトルマリンの電位の偏りを消してしまう。

C先生:最後の最後に決定的な記述をしよう。電磁波のようなものと、有害化学物質とでは、当たり前だが性格が全く違う。有害化学物質、例えばホルムアルデヒドは、それを吸収するような物質、活性炭のようなものを部屋のどこかに置けば、時間は掛かっても、そのうち、そこに吸収されることが期待できる。このような法則は、フィックの式というもので記述が可能。その物質は活性炭の中に溜まる。
 一方、電磁波の挙動は、マクスウェルの方程式というもので記述が可能だが、部屋のどこかに電波吸収体をおいても、その部屋の電磁波が全部吸収されるということは無い。たまたまそこに到達した電磁波が熱に変わるだけ。そこで、発生源があれば、電磁波の通らない物質でそれを覆う以外に電磁波から逃れる方法は無い。パソコン、ディスプレイを電子レンジの窓にあるようなパンチメタルで覆うとういうことになる。そんなことをしたらパソコンが使えないだろうって。その通り。

A君:ですから、パソコンの前に水を置いても、電磁波の効果を減らす効果はほとんどないことになります。たとえトルマリン入りでも。

B君:ただし、ディスプレイの害は電磁波ではないと思う。むしろCRTの表面に溜まる静電気のせいで、ホコリがはじけ飛ぶこと。そのホコリがパソコンを使っている人の目を直撃すること。

C先生:湿度を高くすれば、CRTの表面に溜まる静電気が少なくなって、ホコリがはじけ飛ぶことも少なくなる。冬に加湿することは健康上にも必要だ。
 ということで、電磁波とマイナスイオンは、静電気・ほこり・湿度で結びつくだけのものだろう。


3.質問?メール:その2

 あるある大辞典でとりあげられたマイナスイオンについてです.プラスイオンだのマイナスイオンだの,血液がどうのという説明の部分はインチキくさいというのは判るのですが,マイナスイオン発生機と称する装置(本当にマイナスイオンを発生しているのか,そもそも,なにをもってマイナスイオンといっているのかは,ちょっとおいといて)を置いていると,喘息の咳が出なくなったとか,ペットのにおいやタバコのにおいが気にならなくなったとかという事実もあると思うのです.発生機と称する装置の何が効果を持っていて,どう作用しているかの説明はうそ臭いのですが,症状やにおいが軽減されるのは嘘っぱちではないと思うのですが,どう思われますか? 

○発生機と称する装置を動作させると,咳の出が楽になった,
○においが気にならなくなった -> これは事実
○この効果はマイナスイオンのためという説明 -> インチキくさい
○というふうに,効果のほうは信用してもいいのではないでしょうか? 
もちろん,咳やにおいの話がでっちあげであれば,ぜんぶいんちきではありますが.


C先生:この質問に対しては、こんな解釈ではいかが。
「水型は加湿が効果的、ほこりを落とす可能性あり」。
「オゾン型にもほこりを落とす効果はある。オゾンは有機分子(臭いの元)を酸化・分解する」。


A君:咳は、ハウスダストなどで悪くなる。アレルゲンだからだ。加湿によって、ホコリが飛びにくくなるし、オゾンを出すタイプのマイナスイオン発生装置にも、集塵効果はあるようだ。

B君:加湿型の場合、臭いのことは、よく分からない。しかし、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドのような化合物が原因であれば、水には溶けるから、加湿によって改善される可能性がある。オゾン型なら酸化力があるから、臭いの元を分解する。

C先生:マイナスイオンが体に良いという話は、水が利いているのか、あるいは、マイナスの荷電が利いているのか、それを分けて考えるべきだ。また、ハウスダストなどを落とすことによって良い効果があるかどうか、それは、半導体を作るようなクリーンルームで実験をやると分かるかもしれない。

A君:冬の東京に加湿は必須。

B君:インフルエンザのウィルスは水分に弱いので、かぜの予防にもなる。加湿器は良さそうだ。

C先生:オゾン型がインフルエンザの防止効果を持つかどうか、それは不明。


4.コメントその2.

 イナスイオンの記事を興味深く読みました。怪しいなとは思っています。しかし、自分の経験から信じるたくなる部分も有ります。

 実験室でイオン発生の実験をしており、その時にプラスイオンを発生させるとすごく気分が悪くなります。この場合には埃とかは無関係です。

 しかもはじめはマイナスイオンが出ていると思っていたので、その原因を計り兼ねていたのですが、よく調べてみるとプラスでした。その後数回繰り返しても、なんともいえない不快な気分になります。

 生体にもイオンバランスは有るから、何らかの作用があるのかと考えていました。オゾンの発生もありえますが、他の実験で高濃度のオゾンを使っていますが、あのような不快感は経験していません。

 まだ未解明の事柄があるのではないでしょうか?


C先生:未解明のことは、この世にいくらでもあると思います。とは言え、どのようなことでも、これまでの経験上、科学的な解釈が可能だと思います。
 さて、プラスイオンを出すと気分が悪くなるとのことですが、
それがプラスという電荷のせいなのか、それとも妙な物質を生成しているせいなのか、そこを見極めてください。何か分かったら教えてください。