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  電磁波 疫学調査でクロ  08.24.2002
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 国立環境研などによる初の全国疫学調査の中間解析の結果で、高圧送電線や電気製品からでる超低周波の電磁波(平均磁界0.4マイクロテスラ以上)で、子供の白血病の発症率が2倍以上になるとの結論。

 電磁波と発症の因果関係は明確ではないが、WHOなどは、昨年、電磁波で小児白血病の発症が倍増するという同じ結果を発表している。

 今後、日本でも欧米並みの電磁波低減対策を求める声が出る可能性がある。

 この調査は、WHOへの研究協力の一環として、99年から今年まで行われた。研究費は7億2千万円。国立環境研と国立がんセンターが各地の大学などの協力で実施。

 各地の白血病の子供(15歳未満)350人と健康な子供700人、家族に協力を求め、室内の電磁波を1週間連続で測定。自宅から送電線までの距離、電気製品の使用状況、それぞれの家庭の平均磁界の強さと発症率を統計処理し、白血病の増加と磁界の強さに関連があるかどうかを分析した。

 その結果、日常環境の電磁波の平均値は、0.1マイクロテスラ前後だが、0.4マイクロテスラ以上の環境だと、発症率が2倍以上に増える傾向が出たという。

 通常、小児白血病の発症率は10万人に3〜5人と言われる。

 日本では、通産省資源エネルギー庁が、「居住環境の磁界により人の健康に有害な影響がある証拠は認められない」、との報告書を93年にまとめ、健康への影響を否定する立場をとっている。

 志賀健・大阪大学名誉教授、今回の調査を統括する総合推進委員会の委員、「家庭内には、もっとリスクの高いタバコの煙や食材などがあり、電磁波だけを針小棒大に扱うのはよくない。送電線の下でどのぐらいの磁界なのかを実測し、リスクの程度を評価すべきだ。ただ、新しい送電線を作る際には、日本も欧米並みにできるだけ学校や住宅などから離していく必要があるだろう」。


C先生:電磁波の健康影響については、本HPでも何回も取り上げてきている。97〜98年当時は、疫学調査の信頼性が低いと考え、また、「いくら強い交番磁場を使っても、実験的には電磁波の影響が見出すことができない」という実験結果から、否定的に考えていた。しかし、疫学調査の信頼性が徐々に高くなってくると、どうも、50〜60Hzの電磁波、というよりは、交番磁場によって小児白血病発症のリスクが増大することを否定できない、という状況になっていると判断するようになり、2000年ぐらいから、本HPでも何回もそのように記述してきた。

A君:しかし、過剰リスクとしては、10万人に3〜5人ということだと、非常に低いリスクですね。このぐらいになると、例えば、水道水・ミネラルウォータ・井戸水を問わず、その中に存在するヒ素のリスクの方が若干大きいぐらい。どう考えるべきか難しいレベルです。

B君:ただ、小児白血病であるというところが若干引っかかる。老齢期になって「がん」になるのは、ある意味で仕方が無いことだ。加齢ということは、そういうことだからだ。しかし、小児白血病は、治癒率が50〜70%で、本当の意味で完全治癒すると言えない部分があって、やはり問題のように思う。

A君:確かに小児性であることは、問題かもしれません。

B君:小児性糖尿病にしても小児性白血病にしても、死亡率もさることながら、QOLが問題になる。

C先生:このように低いリスクが問題になってくるというのは、それだけ、社会が成熟してきたからだ。100年前、東京における乳児死亡率(一歳未満の死亡率)は、1000分の150、なんと10人に1.5人である。それが、今や、1000分の3.2である。このように赤ちゃんが死ななくなり、日本人の寿命が世界最長寿になってくると、それまで全く問題ならなかった小さなリスクが問題にされるようになってくる。電磁波のリスクも、まさにこの構図なのだ。

A君:今、残っている環境中の発がんリスクの中でも、電磁波は、そんなにも高い方では無いでしょうね。

C先生:突然だが、今回、記事を用意している時間が余り無いので、質疑応答方式で行くことにする。

Q&A集

質問:電磁波が小児白血病の原因だということは、テレビも、パソコンも、危ないということか。
回答:疫学上問題なのは、高圧送電線に限っていると考えて良いと思う。報告書の全貌が発表されてから、再度検討する必要があるが。

質問:高圧送電線から電磁波が出ているのか。
回答:50〜60Hzだと電磁波よりは交番磁場というべきだ。

質問:磁場は全部駄目なのか。
回答:静磁場は問題ないとされている。ピップエレキバンなどというものもあるではないか。

質問:低周波は有害なら、それは、電磁波なら全部危ないということではないことを意味するのか。
回答:遠赤外線などというと健康によいことになっている。実際には、その効果は極めて怪しいのだが。遠赤外線とマイナスイオンは似たりよったり。その遠赤外線も立派な電磁波の一種。

質問:危ない電磁波は他には?
回答:γ線、X線、紫外線、など波長の短い電磁波は、がんの原因である。マイクロ波にも若干グレーのものもある。携帯電話もマイクロ波だが、ほぼシロだと思う。

質問:IARCの発がんのランキングから言うと、電磁波はどんなところにランクされるのか。
回答:Magnetic fields (extremely low-frequency) (Vol. 80; 2002)として、クラス2Bにランクされている。

質問:クラス2Bというと、どんなものがそのクラスに分類されていのか。
回答:コーヒー、ディーゼル燃料油、ガソリン車の排気ガス、ガソリン、ピックルス(野菜の漬物)、溶接の煙、などなど。それに様々な化学物質。

何か、読者の皆様でご質問があれば、お寄せ下さい。


本HPでの、これまでの電磁波記事

携帯電話で通勤電車に電磁波充満? 今月の環境2002年6月号 http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/Week020601.htm#label06041

英国で携帯電話の電磁波影響調査 今月の環境2002年1月号 http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/Week020101.htm#label01261

電磁波の人体影響にメラトニン 10.28.2001 http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/Month0110.htm  

AERAの電磁波恐怖記事  06.05.2000 http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/AeraMagWave.htm

異分野交流フォーラム参加 03.20.2000 http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/DFieldJST.htm

また出た「電磁波とがん」の記事 07.21.1998 http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/magnetic2.htm

電磁波は本当に危険か 07.24.1997 
http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/denjiha.htm