________________

JCO事故の終末とチェルノブイリ 05.21.2000




1999年9月30日に起きたJCOの事故だが、本HPでも、10.01から10.11の10日間で6件の記事をアップした。特に、最後にアップした記事、「ウラン臨界事故:人体影響編」では、被曝した3名の作業員の内、2名の被曝量は致死量を超えていると記述した。2名の作業員の方々は、予測が当たり不幸にして、本当に死亡された。いくら現代医学が有能でも、ずだずだになったDNAを修復することは不可能なのだ。合掌。


もう1名の作業員は、恐らく、将来発ガンの可能性は高いものの、機能不全によって死亡することは無いだろう。これで、JCO事故は終末を迎えたように思える。

今回のこの記事は、もともとは自分の記憶のためにメモを作ってあったもので、HPにアップする気はさらさら無かった。ところが、週刊現代5月15日発売の5/27号の記事を見て、何か非常に割り切れない感情にとらわれ、結局アップすることしたものである。しかも、どなたかが興味本位の記事に釣られて買わないように、当該週刊現代の発売が終わった本日アップ。


結論。週刊現代の記事は、やはり記者の功名心と興味本位の記事である。正当化に利用された作家柳田邦男氏の談話は、以下の通り。「核の危険と言う問題は一般の人では想像力が追いつかない。東海村事故に関するこれまでの報道では、その恐怖が一般の人に直接的に伝わっていなかったと思う。この写真では、原子力事故が起きた時の危険性、人体に与える甚大な影響は原爆の被害者と同じであることが一目瞭然です。もちろん遺族には哀悼の意を表します。ですが、被害者のプライバシーという問題を考慮に入れても、原子力事故の真実を全国民が知る必要があるという公共性は絶大です」。

柳田氏は、「自分が無知であること」、を興味本位の記事の正当化に利用している。これは容認しがたい。米国のように、科学技術についてコメントをするすべての人に、分子生物学を強制的に勉学させるべきかもしれない。現在の日本の教育では、科学技術と一般社会の距離は縮まらない。科学技術でしか生きていけない国、日本にとって、これは由々しき事態である。

 「原爆の被害者と同じ」、という柳田氏の大脳の中で行われた理解は恐らく間違っている。熱による「やけど」でもDNAが破壊され、中性子被曝でもDNAの破壊が起きた、という意味で同じと表現したのなら、それは正しい。多分、見かけ上同じという単純な判断だったのではないか。細胞分裂が起きる状況になって初めてずだずだになったDNAの影響が出る中性子線によるDNA破壊の方が、むしろ恐ろしい。


チェルノブイリの犠牲者(04.21.2000、各紙)
 ロシア保健省の発表によれば、1986年に史上最悪の放射能漏れを起こしたウクライナのチェルノブイリ原子力発電所の事故処理に参加した作業員のうち、ロシア国内だけで、これまでに3万人以上が死亡した、と明らかにした。
 同当局者によると、事故処理作業員は、その後、精神的障害に悩まされるケースが多く、死亡者の38%が自殺だった。ロシアにはさらに17万4000人の旧作業員がおり、うち5万人が障害をもっているという。健康上の理由から仕事に復帰できない人も多い。

 ウクライナ政府緊急事態・チェルノブイリ省は、ウクライナだけで被災者は240万人。事故当時子供で甲状腺に深刻な被曝を受けたと推定されるのが約100万人、と説明。

 その後の追加発表によれば、ウクライナやベラルーシにおける元作業員の死亡数を加えると、チェルノブイリの犠牲者は全部で5.5万人になるという。


チェルノブイリから得られる教訓。JCO事故で、これ以上の犠牲者がでるだろうか。医学的には出ないことが予測できる。なぜならば、人体は、DNAの塩基配列に誤りがある程度出ることを前提として、それでも生きることができるように作られている。しかし、過大な精神的ストレスは、その誤りの訂正機能を弱化する。すなわち、今回、被曝をした住民のためにもっとも重要なこと、それは、精神的なケアが十分行われることだ。


 週刊現代の記事を書いた記者、コメントをした柳田邦男氏の両名は、JCO事故で被曝した住民のことを何も考えていない。精神的ケアが必要であるという、今回の事故の最も重要なポイントを見逃している。そんなに住民からも被害者を出したいのか。よって、興味本位と判定せざるを得ない。