________________


京都議定書、紙屑一歩手前 07.15.2001




 米政府は、COP6.5で京都議定書の修正協議をもちかけられても応じないし、代替案も示さないという方針を明らかにした。また、今回ボンで行われるCOP6.5では、日本は批准を表明しないことが明らかになった。カナダは批准するようだが、オーストラリアは米国抜きでは批准しない。となると、日本が批准しなければ、いわゆる55%条項(先進国の二酸化炭素排出量の寄与率で計算)を満たさない。
 しかし、よくよく考えると、本当のキャスティングボードを握ったのは、オーストラリアのようだ。日米が批准しなくても、オーストラリアが行けば、55.4%になる。
 日本政府の真意は、現時点で良く読めない。様々な駆け引きが政府内部でも行われているのではないかと想像できる。参議院選挙前に、態度を明らかにするのを嫌ってるのかもしれない。


C先生:小泉首相が何をどうしようとしているのか、なかなか読めない。この人は、先のハンセン病のときにも想像以上の決断をしてしまった。どうやら人道主義的な主張には弱いタイプのようだ。施政方針演説のときにも、環境問題をかなり優先した考え方を示したので、最終的には、恐らくCOP7前後に、政治的な状況を醸成して、批准をするつもりなのではないか、と一応評価をしているのだが、実は、全く読めない。

A君:現時点の日本で、京都議定書を批准することに対して反対している勢力は誰かという分類をしてみればよいのでは無いですか。

B君:まあ、そうだ。それでは。
(1)経団連:今や日本の最守旧派になってしまった団体だから当然。(2)経団連の中の話だが、トヨタ、ソニーなどは、心の中では、むしろ推進派なのではないか。鉄鋼、化学工業、石油、電力などの基盤的産業は、ダメージが出るに決まっているので、反対だろう。

A君:(3)経済産業省の一部:基盤的な産業を維持する役割の部署。 (4)自由党、保守党:この両党は、環境対応が良く読めない。しかし、環境税には反対らしいので、なんらかの環境税制を考えざるを得ない議定書には反対なのだと思う。 

B君:(5)外務省の親米派:米国との関係さえ確保しておけば、日本は生存できると思っている。 

C先生:現時点で中立あるいは良く読めない重要人物が誰かを考えるか。
(1)小泉首相のことはすでに述べた。
(2)川口環境大臣:良く読めない。もと通産官僚だけに、産業界に気を使っていることだけは確か。最終的には批准派ではないかと思うが、COP6.5は対EU条件交渉の場だと考えているのでは無いだろうか。要するに、親米的なそぶりを示して、できるだけの削減量のバーゲンを貰おうとしている可能性はある。ただ、余りにも親米的そぶりを示すと、EUから全面的反発を食らって、貰えるはずのものも貰えないという状況になるかもしれない。

A君:平均的日本人は何を考えているのでしょうね。まあ「判断不能、分からない」、というのが実状でしょうが。

B君:温暖化がどのぐらい危機的な状況をもたらすのか、実際、よく分からないからな。IPCCの第3次報告書が言うような2100年でプラス5.8度といったことになったら、それは破滅だろう。しかし、あれはかなり極端な計算。平均的に起こりそうな2.5度プラスぐらいで、日本人にとって何がどのように起きるのか、と言われても、判断が難しい。例えば、台風が大型化する、世界的な穀物不足が起きる、熱帯病が日本にも入る、などなどが有りそうだが、これを自分自身に起こる問題だと考えるのは、今の日本人のような「安全ボケ」の国民には想像することが難しいだろう。

C先生:大体、最近は、自分の欲望で自らの行動を支配しているというだけで、大脳は何も考えていない、といったタイプの人間が増えたからな。

A君:しかし、今年の東京は暑いですから、これがあと2.5℃上がったら、大変じゃないか、と思いませんかね。

B君:多少、気候が変動していることは実感できるように、お天道様が配慮してくれたのさ。

C先生:お天道様などは死語では無いのか。B君世代でも使えるのか、そんな言葉。

A君:B君は擬似的老人ですから。

B君:エネルギーを今から15%節約すると何が起きるか、それも分からない人が多いだろう。不良債権処理に伴う痛みもよく分からないが。

A君:自分がエネルギーに払っている代金、電気代、ガス代、灯油代、ガソリン代などを20%削減。荷物、郵便、など10%削減。すべての物資の使用量10%削減ぐらいか。しかし、使い捨て商品を集中的に止めるとか、再使用型商品を作るとか、超小型化商品を開発するとか言った方法で、上手に対処すれば、そんなにひどい生活だとは思えない。

B君:しかし、電力、石油、などの産業は、当然マイナス。大量に消費するタイプの素材、鉄鋼、セメントなどもダメージ。運輸業界はトラックなどを低燃費型にする必要が出て一時的にかなりコスト高。ということは、やはり、雇用の面から言えば、問題が起きるのではないか。

C先生:環境税などが、社会構造を変えてしまうのは事実。組立産業などは、余り被害を受けない可能性が高いし、むしろ将来の産業構造の強化にも繋がる可能性が高い。となると、参議院選挙の前に、温暖化を論点にするのは、不良債権対策の痛みに加えて、環境税の痛みが加わることになるので、どの党にとっても余り有利ではない。だから黙っていたい、のかもしれない。

A君:対米戦略を日本政府は極めて重視しているのかもしれせんが、カナダなる国が批准するということになったら、なんだか意味が無いですね。

B君:対米戦略としては、温暖化などのグローバルな問題は、親米でない方向を取ることがかえって優れた戦略のような気がする。

C先生:最終的な国のあり方を考えると、どう考えても、日本は米国型の国ではない。やはり欧州的国のあり方を模索せざるをえない。どこかで独自政策を表明するしかないが、温暖化がひとつのきっかけになり得るということは、正しい認識だろう。

A君:最悪なのは、オーストラリアが批准をして、日米両国だけが置いて行かれることですね。