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府中市市民講座のアンケート結果 07.22.2001




府中市の市民講座にご参加いただきました方々、ご苦労さまでした。アンケートにお答えいただき誠にありがとうございました。こんな風に解析をして、その後の参考資料として活用させていただきます。その結果の一部を以下に示します。

アンケートの方法
 市民講座は、毎週土曜日連続6回、1回2時間、合計12時間というゼミと称する講座。大学と違って、本当に2時間(マイナス途中休憩5分)なので、充実している。
 講座の第1回目の開始時、および、6回目の終了時に同じアンケートを行ってその比較をした。
 そのアンケートの内容は、
あなたにとって深刻だと思われる環境問題を、できるだけ多数、順番に挙げてください」。回答用紙には、1位から9位まで、合計9件の記述スペースを用意した。

市民講座の内容
 今回、講義中心のプログラムとしたが、それは、最初は知識の程度がばらばらであり、質疑応答やグループ議論をしても、効果が不明であるため。
 講義の内容は、概ね以下のようなもの。

第1回目:21世紀環境問題の特徴=環境負荷は、産業公害型、消費型、中間型に分けることができる。河川水の汚濁、一般的な大気汚染、ダイオキシンの放出量などは、産業公害型のパターンを取り、1970年ごろに最悪で、それ以後は改善傾向である。消費型は、エネルギー消費などに伴う二酸化炭素の放出や固形廃棄物など。これは、経済的な規模を拡大すると並行的に拡大する傾向がある。

第2回目:環境毒物学=毒物学の基本は、「どのような毒物であっても、人体への作用は摂取量で決まる。摂取量が少なければ問題はない」。様々な毒物を解説し、全く無害という毒物は存在しない。ビタミンCですら、致死量というものがある。

第3回目:地球温暖化問題=政治問題化した問題であり、本当の解決には、二酸化炭素の排出量をすぐに半分に削減する必要があるが、二酸化炭素排出量は、経済的発展と同義であり、なかなか合意形成に至らない。アメリカが脱落するという現状で、どのようにすべきか、誠に難しい問題である。

第4回目:廃棄物とリサイクル=廃棄物問題の本質は何か。最終処分地問題なのか。リサイクルをすれば、環境負荷が下がるのか。焼却という方法が本当に悪いのか。ダイオキシンだけが環境問題ではない。

第5回目:「環境にやさしい」とは何を意味するのか=何を守るのが環境問題なのか。あるものの環境負荷だけを減らすことを考えても、どこかで環境負荷が増えてしまう。これをトレードオフという。これを理論的に取り扱うのは、ライフサイクルアセスメントという方法論である。トピックスとして、プラスチックの種類とその判別。

第6回目:環境未来予測=環境問題を人類の持続可能にする問題だとしても、様々な考えるべき要素がある。人口問題、食糧問題、エネルギー供給限界、資源問題、などなど。トピックスとして、パーキンソン病に農薬が関係?

アンケートの解析
 各回答者(ペンネーム)の第1回目開始時の指摘項目、第6回目終了後の指摘項目がどのように変化したかを解析。その解析結果を以下に示す。#は回答者番号。左にDがあるのは、終了後には消えたもの。右がわにNがあるのは、第6回目に新たに追加されたもの。マークの無いものは、両方に存在した項目。

       第1回目開始時         第6回目終了後
#1 化学物質蓄積汚染 有害化学物質による環境汚染
ダイオキシン汚染の修復 廃棄物処分地の確保
廃棄物処分地確保 各種製品のリサイクル N
閉鎖性水域の環境保全 地球温暖化問題 N
D 地下水汚染の改善 途上国における食糧・砂漠化 N
生物多様性 閉鎖性水域の水質問題
D 食品の化学物質汚染 生物多様性の保全
人と自然の共生 公共工事による生態系破壊 N
人と自然の共生
#2 大気 排出ガス
D エネルギー 人口問題 N
D リサイクル N
D 廃棄物
#3 地球温暖化 地球温暖化
水質の汚染 食糧危機 N
大気の汚染 化学物質汚染
シックハウス、シックビル 気候変動
D 生物種の絶滅 京都議定書の批准 N
地球規模の気候変動 リサイクル、3R N
D 食物の農薬汚染 省エネ N
D バイオ技術などによる汚染 環境教育 N
D オゾン層破壊 ゴミ処理 N
#4 D 家庭ゴミ 車排ガス N
D 家電リサイクル 地球温暖化 N
D 森林保護 人口問題 N
D 不法投棄 食糧供給問題 N
D 汚染者負担の原則
#5 地球温暖化 食糧供給 N
オゾン層破壊 人口問題 N
森林保護 地球温暖化
河川汚染 オゾン層破壊
D 環境ホルモン 地下資源とリサイクル N
D 少子化傾向 砂漠化
D 食品の廃棄 森林保護
ゴミの増加 河川汚染
砂漠化 ゴミ処理
#6 廃棄物の多い生活 個人一人一人の生き方 N
大気汚染 食糧問題 N
水質汚染 人口問題 N
D 森林保護 ゴミ問題
D オゾン層破壊 エネルギー N
地球温暖化 地球温暖化
D 生物種の絶滅 大気や水の汚染
D 環境悪用の活動
#7 京都会議 二酸化炭素
D PCB 温暖化
D 諫早湾の汚染 車社会 N
D ゴミ処分地 食糧 N
D リサイクル法 水質汚染
水質汚染 中国の環境負荷 N
D ゴミの分別 薬害 N
人間の知性の欠如 N
#8 産業廃棄物とダイオキシン 地球温暖化
地球温暖化 廃棄物の処理
D 家庭ごみの処理 環境ホルモン N
D 海洋汚染森林保護
D 交通公害
D 生物種の絶滅
D 土地の汚染ダイオキシン
#9 ゴミ問題 地球温暖化
原子力問題 ゴミ問題
地球温暖化 森林破壊 N
D 大気汚染 酸性雨 N
D オゾン層破壊 原子力
D ダイオキシン
#10 オゾン層破壊 大気汚染
車排気ガス 砂漠化、森林保護
水質汚染 地球温暖化
D ダイオキシン 水質汚染
D 農薬、GMO ゴミ問題
砂漠化 オゾン層破壊
ゴミ問題
地球温暖化
森林保護
#11 地球温暖化 食糧問題 N
ゴミ問題 人口問題 N
D ダイオキシン 大気汚染 N
地球温暖化
オゾン層破壊 N
廃棄物問題
#12 D ゴミ捨てマナー 化学物質の汚染 N
D 医療廃棄物 開発国と途上国の格差 N
D 公園道路の清掃 アメリカの独占意識 N
D 分別に困るゴミ 薬品の開発 N
D 自動車排ガス 海洋汚染 N
D スーパーのゴミ捨て場
#13 ゴミ問題 地球温暖化
ダイオキシン ゴミ問題とリサイクル
D 環境ホルモン 化学物質ダイオキシン
D 自然破壊 大気汚染酸性雨
酸性雨 水質汚濁 N
D オゾン層破壊 エネルギー問題 N
地球温暖化
#14 D ゴミ 大気汚染
D 海洋汚染 N
D 環境ホルモン 地球温暖化 N
D 電気製品の廃棄
自動車排ガス
#15 D ダイオキシン 地球温暖化 N
D 環境ホルモン 水質汚染 N
土壌汚染 土壌汚染
リサイクル N
#16 自動車騒音 自動車騒音
自動車排ガス 自動車排ガス
薬害 ゴミ問題
D 遺伝子組換え 地球温暖化
D 水質汚染 産業廃棄物
ゴミ処理 リサイクル問題 N
産業廃棄物 薬物
地球温暖化 農薬 N
D 自然破壊 大気汚染 N
#17 除草剤の無差別使用 憲法9条 N
森林保護 後世に残すための環境 N
自動車排ガス 除草剤、排ガス、樹木
原子力発電 N
#18 資源枯渇 資源エネルギー問題
D 種々の汚染 地球温暖化
廃棄物処理 食糧危機 N
地球温暖化 廃棄物管理
化学物質の安全管理 N
#19 原子力の放射能 放射能
D オゾン層破壊 大気汚染
大気汚染 水質汚染
水質汚染
D 環境ホルモン
D 山河の破壊
#20 農薬汚染 自動車の排ガス
自動車排ガス 除草剤の散布
水道水の塩素 薬剤の副作用
ゴミ分別ペットボトル
プラスチックの処分
輸入食品の防カビ剤
#21 想像力の欠如 自己の問題発見能力
行動力の欠如 明確な判断基準
地球温暖化 推理能力
森林保護 おおらかな感性の欠如
自然との共生 行動力
都市化
水質・大気汚染
環境ホルモン
#22 空気 食糧問題
水資源
温暖化 農業用水、工業用水
水産資源
森林資源
自然との共生
#23 ゴミ問題 大気汚染
水質汚濁 各種汚染
緑地の減少 ゴミ問題
自動車排ガス エネルギー問題
大気汚染 水質汚染
緑の破壊
#24 廃棄物 食糧供給
地球温暖化 地球温暖化
砂漠化
#25 ゴミ問題 地球温暖化
ダイオキシン 食糧供給
農薬、化学肥料 ゴミ問題
食品添加物 オゾン層破壊
自然の破壊
自動車排ガス
#26 人口問題・南北問題 人口問題
エネルギー問題 南北問題
産業廃棄物処理 地球温暖化
一般廃棄物処理 食糧問題
廃棄物問題
#27 農林業の衰退 ダイオキシン
優雅な生活
容器などのゴミ
農薬の怖さ
水、空気、食べ物
ゴミを捨てる

講座終了後に重要であるとの指摘が増えた項目
増加した項目 1回目のみ 6回目のみ 両方で指摘
食糧供給 0名 12名 0名
人口問題 0名 5名 1名
砂漠化 0名 2名 2名
地球温暖化 1名 6名 13名
リサイクル 2名 6名 0名
エネルギー問題 2名 4名 1名
資源問題 0名 1名 1名

講座終了時に重要であるとの指摘が減った項目
減少した項目 1回目のみ 6回目のみ 両方で指摘
オゾン層破壊 12名 4名 2名
ゴミ問題 8名 2名 9名
ダイオキシン 6名 1名 3名
環境ホルモン 6名 1名 0名
食品添加物、食品汚染 3名 1名 0名
農薬関係 3名 2名 1名
森林保護 4名 2名 3名
生物多様性 3名 0名 1名


C先生:まず、ご協力感謝。非常に熱心に聴講をしていただいた。さて、講座の効果とでも言えそうな変化を上の2枚の表にまとめてみた。講義後に重要であると新たに認識されたものが、食糧問題、人口問題、砂漠化、がビッグ3。食糧問題が環境問題であるという認識が、普通の方には無いからだろう。環境問題は、実は、人口問題の下位に位置する問題であるという指摘が受け入れられたと思われる。

A君:地球温暖化は、多くの人々が指摘していますが、それでも増えていますね。

C先生:最初、身近な問題に目が行っていたのが、講義を受けて、地球的視野でものを見るように変化したと言えるのかもしれない。

B君:リサイクル、エネルギー問題、資源問題がいずれも増えているのはご同慶の至り。

C先生:減った方としては、オゾン層破壊がもっとも減った。これは、人体影響や生態系影響はこれから強くなるだろうが、人類社会としての環境問題としてはもはや解決しているという説明が利いたのかもしれない。

A君:ダイオキシン、環境ホルモン、それにゴミ問題が大幅減少というのは、環境問題をバランス良く見ようという意識が出てきていると解釈できるのでしょうね。

B君:食品添加物や農薬が減っているのは良いとして、森林保護や生物多様性が減っているのは、これは逆効果なのでは。

C先生:まあな。あまり生物多様性の重要性を述べていないのかもしれない。地球の歴史で見ると、99%の生物種が絶滅している、などと言ってしまうのが悪いのかもしれない。人類もそのうち絶滅するのが運命であるということをまず主張したい。しかし、絶滅あるいは絶滅に近い状況をできるだけソフトランディングするのが、環境問題の解決なのだ、と言いたいので。