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ヨーロッパの容器 11.11.2000




 9月末から、デンマークとオランダに出かけ、それからアメリカに渡った。ヨーロッパの中でも、この両国は、環境先進国と言えるだろいう。特に、ライフサイクルアセスメント=LCAの世界では、哲学的な考察と、実質的なシステム開発などで、先進的な役割を果たしており、その意味では、ドイツを遙かに上回る実績を持っている。
 本Webページの目的は、この両国の容器問題の実態をもう一度考え、それとの比較において、日本の容器包装リサイクル法をどのように見直すべきか、という議論をしたい。

 本Webで、日本の容器包装リサイクル法に関して、改善が必要であると主張することをまとめると、以下の通りである。
 自治体がもっと積極的にリサイクルに関与できるように、費用負担の原則を変えること。
 容器の場合には、リサイクル率を強制すること。具体的にはペットは50%以上。
 デポジット製については、事業者が自主的に判断すれば良い。
 ペットボトルのリフィラブル化を認可すること。
 ペットのボトルtoボトルを進めること。
 自主回収容器としての認定を60%回収率まで下げること。
 費用負担の対象事業者からボトラーを外し、容器製造メーカーだけにする。
 包装材料メーカーについても、別途課徴金を考え、使用事業者からは徴収しない。
 グリーン調達における推奨容器をLCA的な検討によって決めること。
 回収法を指導し、東京都区部程度の品質のガラス瓶が集まること。
C先生:先日のヨーロッパ訪問でデンマークとオランダに行った。この両国は、LCA関係でも先進国だということが訪問の理由なのだが、その副産物として、容器の取り扱いについて、先進的なところを見ることができた。今日は、これを基礎にして、日本の容器包装リサイクル法について、改善点を指摘してみたい。

A君:容器包装リサイクル法と家電リサイクル法とを比較すると、やはり家電リサイクル法の単純さに比べて、容器包装リサイクル法における自治体の関与にあり方、特に、やればやるほど損をするという費用負担の原則については、再考の余地がありますね。

B君:いつもは、容器包装リサイクル法については、文句ばかりを言っているが、実は、その果たした2つの役割は非常に大きいのだ。まず、第一に、一般廃棄物である容器材料の処理について、事業者が費用負担をするということは、前代未聞のことであった。第二に、ペットという材料についても、ガラスと同様に、マテリアルリサイクルが可能であるということが証明できたことだ。「プラスチックは燃やすしかない」という理論から、「ペット以外の包装容器に使用されているプラスチックは燃やすしかない」というように、リサイクルの可能性が見えてきたことだ。たとえ、ペットのリサイクル率が20%しかなくて、費用負担が事業者有利になっていることがあるにしても、このような意義があったことはすべての人が認めるべきだろう。
 家電リサイクル法にしてみても、本当に上手くいくかどうか、これはやってみないと分からん。

C先生:まあB君の言うとおりで、容器リサイクル法の悪口ばかり言えるのも、それが一応動いたからだ。この法律ができた1995年という年は、こんな法律が動くと思っていない時代だったから。

A君:自治体もこの法律で、リサイクルなるものがいかなるものか良く勉強した、いや勉強させられた、とも言えますね。

B君:まだ、勉強が足らない部分があるようだが。

C先生:以上で誉めるのは止めて、文句に戻ろう。まあ、最大の文句が、費用負担原則だろう。ここで、見解が若干分かれるのだが、この法律の適用を進めていけば、ペットボトルのリサイクル率はいずれ50%に到達すると思うかどうか、諸君達の意見を聞きたい。

A君:いずれ、という表現では議論できませんね。ここ2年で行かなければ、いよいよこの法律の副作用がでますよ。

B君:ここ2年だったら、良くても、リサイクル率は20%台に留まっているだろう。なぜならば、東京都の特別区をはじめとして、別のルールでやっている自治体は、決してペットの回収を始めようとは言わないから。

C先生:そこだ。個人的には、なんとかペットボトルのリサイクル率が50%になれば、それはそれで、認めても良いように思ってきた。しかし、どうやれば、50%といったリサイクル率になるか、それがいつのことなのか、これが大問題。今後のリサイクル率は伸び悩むように思う。その意味で、B君と同様の予測だ。

A君:ペットのリサイクル率が50%になれば、良いというのは、どんな理由なのですか。

C先生:まあ、あまり理屈があるとも言えないのだが、他の容器材料の回収率やリサイクル材の使用量に対する法律的な規制を考えると、まず、最初に設定すべきハードルは50%かな、というところなのだ。

B君:それは、要するに、アルミ缶、スチール缶だと70%以上の回収率、ガラス瓶だと改正リサイクル法によって65%以上の再生材料を含むという決まりがある。そこで、まずは、50%ということですか。いささか甘いのと違いますか。

C先生:スチール缶のリサイクル率が70%以上あるということが本当かどうか、という問題があってね。消費者の手を経たスチール缶だけで本来議論すべきなのだが、それ以外のリサイクルルートも混入しているのではないか、という疑いが晴れていない。

A君:そう言えば、環境研の寺園さん達が、神奈川県のY市でやった調査でも、50%程度あるかどうか、という値だったようですからね。ペットも50%でまあまあと言わざるを得ない部分は有りますね。

B君:いや、自分が甘いというのは、先日のC先生のレポート、デンマークでは、基本的に使い捨ての容器は認められておらず、アルミ缶入りのビールにしてもEUと喧嘩をして、とうとう負けたけれど、回収率として95%を強制したという話を聞いて、やはり50%では甘いのではないかと思った。

C先生:確かにね。ただし、環境問題というのは、極めて政治的に決まるので、同じような環境観の国であるオランダでは、ハイネッケンの缶ビールが大量に売られていた。デンマーク製だって、カールスバーグのビールは、海外向けは缶ビールが作られているから、まあ、余り環境だけを考えているという訳ではない国のようだ。でも、スーパーを見ても、ハイネッケンの缶ビールが見つからなかった。まだ、余り一般的ではなく、やはり瓶でビールは買っているようだった。

A君:次がデポジット制ですか。これは、95%とか行った回収率を実現しようとしたら、それこそ、50円から100円といったデポジットを掛けないと駄目でしょうね。

C先生:5円でも集まるビール瓶。これは不思議なんだが、その理由はご用聞き制度にありだからね。店頭販売されているビールは、やはり余り回収率が高く無いようだ。アサヒスタイニーは、リターナブル瓶なんだが、回収率はどうやら70%台にとどまっているようだ。とても、95%とか言った値にはならないらしい。

B君:だから、キリン、サッポロともに、450mlの妙なアルミ製ビール容器を出したのだろうな。ボトルカンとかいうやつ。あれって、500mlのアルミ缶よりも重いと思うな。だから、環境負荷的には×だろう。

A君:あれは、スタイニー瓶が集まらないからといった理由でできたのではなくて、もう一度キャップができることが、ペットボトルの人気の理由の一つということでできたのではないですか。

B君:そうだった。でも、売れているのかな。怪しいもんだ。大体、ビールなどという飲み物は、一気に飲んで美味いものだ。一度栓をしたら、気が抜ける。

C先生:ここらでデポジット制に結論を出すと、どのぐらい回収率を確保したいかによって、事業者側がデポジットが有効だと思えばやればよいし、そんなことをしなくても回収ができると思えば、しなければよい。要するに、回収率ないしリサイクル率を強制的に決めることがまず先決。

A君:それで、ペットボトルは50%のリサイクル率を強制するということですか。まあ分かりましたが。

B君:まずは、ペットtoペットのリサイクルを50%以上の再生材料使用という条件でやって貰えば良いのではないか。大体、50%といったリサイクル率を達成しようとすると、やはり水平に回すのが一番だから。
 ところが、どうやら、マテリアルレベルのリサイクルでは、余り良い品質のペットボトルを作ることができないので、化学リサイクルになりそう。これは、ペットをエチレングリコールなるペットの原料なんだが、溶剤に溶かして、最終的には、再度ペット樹脂の原料にするというやり方。この方法が現実的な方法だと考えられているようだ。

C先生:それは、消費者が品質の良くないペットを衛生的にも問題があると考えるから、そんなことになる。まあ、化学リサイクルは、マテリアルリサイクルよりも高く付くから、当然使用者側は、ペット以外の素材に目を向けるようになるだろう。それはそれで良いのではないか。デポジットと同じで、リサイクルの方法も事業者側が決めることだ。

A君:ヨーロッパのようなペットのリターナブルが採用されたら、それはどのように計算に入れるのでしょうか。

B君:まあ、リターナブルは別途勘定すれば良いのでは。

A君:それでは、リサイクル率が妙なことになりませんか。

B君:ビール瓶のようなものは、自主回収容器とされていて、これは、容器包装リサイクル法の対象外なんだから、同じさ。やはり対象外にすればよい。

C先生:それがだな、現在の自主回収容器の条件は、回収率が90%以上ということのようなんだ。これは余りにも厳しい。そこで、大体2.5回も使えば、バージンでボトルを作るよりも環境負荷が低いという計算ができるので、もっともガラスの場合だが、回収率60%あたりを自主回収容器の条件にするのはどうだろう、という提案なのだ。

A君:それは賛成。

C先生:ここで、付録として、2種類のペットボトル、リターナブル(リフィラブル)(右側のジンジャエール。傷だらけなのがお分かりでしょうか)とワンウェイ(左側のコーク)の比較を写真で示そう。どちらもコカコーラ社の製品だが、リターナブルペットば厚い。ワンウェイは薄い。これは当然。しかし、蓋の構造が違うところを良くみて欲しい。ワンウェイは、実はアメリカ製で、赤い蓋用のプラスチックのリングがボトル側に残るが、リターナブルの場合には、黄色いリングが、リングの途中で切れるようになっていて、蓋側に付く。日本のようにペットボトルをマテリアルリサイクルしている国では、当然、蓋側に付くことが望ましい。


A君:さて、日本製はどうなっているのか。皆様調べてください。

B君:話変わって、これは、いわゆるびん商さんから聞いた話なのだが、容リ法によってリターナブル瓶が消滅しつつあるが、その原因の一つが、びん商が使用済みのガラス瓶を例えば1万本集めて、それを使っている地酒メーカーに持ち込んだとしても、2回目の利用でも、使えばそれなりの負担金を払わざるを得ないのが現行ルールだそうだ。これをダブルカウントといって、不合理な制度だと怒っていた。

A君:初めて聞きました。それって、容器を製造するメーカーだけが負担金を払うようにすれば良い話で、ボトラーが払うから、妙なことになるのではないですか。

C先生:それは理屈上全く正しいのだが、メーカーには力関係というものがあって、容器製造メーカーは、ボトラーに頭が上がらない。だから、容器製造メーカーだけが負担金を払うことにしても、価格に100%転嫁できないのではないかと恐れているようだ。ボトラーが横暴だということだ。

B君:それは、不公正だ。しかし、商売上そんなものかもしれんなあ。

A君:しかし、合理的で無いことは合理的で無い。だから、やるしかないのでは。

C先生:この4月から、すべての包装材料が対象になったが、その際、事業者といっても使用する側の事業者から負担金を取ることになっているのだが、対象事業者が多すぎて、すべてカバーできるわけもない。要するに、払う人は払うが、払わない人は払わないという不公平なことにもなっているようだ。だから、包装材料の場合にも、同様の考え方を導入することが良いのだが、何が包装材料で、何が包装材料ではないか。また、何%が包装材料に使われるのかといったことをきちんと決めるのはこれまた不可能に近い。

A君:しかし、やる気になれば、やれるような気がする。

B君:秀才的発想だなあ。この信念が必要なのかもしれないが。

C先生:そろそろ終わりにしよう。その前に、2つだけ。一つ目は、今度グリーン調達法が実施されるが、その際、容器については、すでにLCA的な評価がそろっているのだから、その評価を採用したガイドラインとして欲しいということ。

B君:そうそう。寺園さんのグループが、牛乳容器の材質選定について、教育委員会が権限があるらしいが、どのように決めているのか、さらには、どちらにすべきかというパネル的なアプローチをCREST研究の中で行った。グリーン調達が動き出せば、当然、地方自治体も努力を要請されるのだから、当然だ。LCAを他の製品に先行させるのが、牛乳容器だな。 

C先生:もう一つ。これも地方自治体に関することなんだが、折角資源回収をしているところでも、袋に入れて回収という形式だと、折角の再利用が可能なガラス瓶が傷だらけになってしまう。いろいろと事情はあるだろうが、東京都のような箱での回収にすれば、ほぼ完全な品質が保てることが分かっている。こんな指導を国が地方自治体にしてほしい。

B君:最近、なるべく多くのことを地方分権とか称して、地方に決めさせるシステムにしているが、環境がらみのことは、全国統一が不可欠な部分が多い。その第一がゴミの収集方法に関すること。これを小学校から叩き込む必要があるが、自治体ごとにこんなにもちがっていては、どうしようもない。教育できない。

C先生:全く同感。ゴミ関係は、むしろ全国統一基準なり、全国最低基準なりを決め、自治体はそれよりも厳しい分別法を採用したければ、採用するという方式にすべきだろう。