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環境未来予測の悲観派・楽観派  06.23.2001






 京都大学の内藤正明先生は、もと国立環境研の部長で、現在、京都大学工学部の教授である。文部省の重点領域研究「人間地球系」では、大変にお世話になった。このHPを開始した直後に、内藤先生「持続型な社会とは農業型社会だ」、C先生「そうではあっても、ぎりぎりまで製造業依存型社会を維持すべき」、と意見を闘わせたことがある。
 内藤先生も環境未来予測を行って、今後の問題点を洗い出すという方法論を採用されているように思える。しかし、AB&Cに比べると、未来の見通しがかなり悲観的であるように思えるのだ。その違いはどこにあるかを議論する。

C先生: 日本工学アカデミーなる学会(社団法人)がある。この団体は、かなりスノッブな団体ではあって、誰でも入れる訳ではない。そこから送られてくる冊子に、同関西支部で行われた内藤先生の「環境持続社会と循環」なる講演の記録が掲載された。これを読んで、今回のような議論をしたくなった。

A君:それではちょっと拝見して。

B君:うーーーーん。大体分かった。21世紀末までに化石燃料が無くなってしまうと書いてありますね。だから悲観的なのではないだろうか。

C先生:確かにね。それが重要な問題であるのは事実。ただし、だからといって、江戸時代に戻る訳ではないと思うのだ。

A君:そうですね。まず、100年といった短期で化石燃料が無くなるとは思えないですね。この内藤先生の議論にもあるように、恐らく水供給が限界を決めてしまう食糧危機がきて、そんなにむやみに人口を増やすわけにはいかない、ということを世界が理解しはじめていますから、人口予測も結構低いところで収まるのではないでしょうか。となると、化石燃料にとっては、良い方向。しかも、途上国のすべてが中国のように自家用車が走り回り、エアコンを使う社会になるのか、といえば、そのために必要な安価なエネルギーが無い訳ですからね。

B君:もっとはっきり言えば、中国の沿岸地域までが滑り込みセーフなのか、滑り込みアウトなのか、ぎりぎりのところだろうな。インドは、大体からして、国全体が滑り込みはできまい。あくまでも部分的に、だろうな。

C先生:エネルギー価格が上昇を続けるとなれば、エネルギー枯渇はますます先に伸びることになる。ただ、むやみとエネルギー価格は上昇しないだろう。なぜならば、もともと、エネルギー産出コストは、ほぼ開発費用と手間賃だ。しかも、エネルギーというものに、使いやすさは若干あるが、優劣はない。量が価値なのだから、別の形態でもよいことになる。例えば、海水中にはウランが含まれている。このウランを回収することを目指して、吸着剤を開発したり、さまざまな研究が行われた。しかし、実際には、これが実用化されることは無いのではないかと思われる。そこまでエネルギー価格が上がらないのではないだろうか。

A君:ただ、最近の状況ですと、エネルギー枯渇の元凶であるアメリカはますますエネルギー消費型の社会になって行きそうですね。

B君:自国のエネルギーは安全保障のために採掘しないで、輸入エネルギーを使うというすごい国だが。

C先生:日本が自前でどのぐらいのエネルギーが得られるのか、この見通しが無いと、楽観的とも悲観的とも言えない。どう思う。

A君:そうですね。まあ200年後の話ですかね。まあ、現在の総エネルギー使用量基準で行きますか。水力に中小水力を含めて投資をしておいて5%確保。バイオマスエネルギーで5%、地熱を開発して5%、風力・波力・太陽電池で5%、原子力(高速増殖炉)で20%、ここまでは行けるのではないですか。これでまだまだ40%ですが。

B君:高速増殖炉が入ってくれば、海水ウランの回収は、コスト的には合わないものの、エネルギー的には合う、すなわち、エネルギー産出の条件は満たすかもしれない。となると、もっと高速増殖炉で増やせるのではないか。あと10%増しは可能ではないか。ということで50%。

C先生:これから先は、現在存在していないようなエネルギー源になるな。例えば、海洋温度差発電で5%、太陽発電衛星で5%。これで60%か。200年後の人口は何人になっているのだ。こんなもので、なんとか5000万人の生活を維持できれば、となればそんなにも悲観的な数字ではないな。食糧は、まずまず5000万人分自給はできるのではないだろうか。

A君:これで考えられていないエネルギーが、メタンハイドレート、核融合ぐらいですか。これらは余り当てにできそうもないですからね。

B君:当然ながら、一人あたりのエネルギー消費量でみて、今程度は確保されているのですから、まずまずの生活ができることになりませんかね。

C先生:日本の場合、地球の気候変動で確実に雨量は増えるだろう。となれば、かなり重要な生存条件である水の供給は満足できるものと考えられる。となると、エネルギー、食糧が行ければ、大体OKということにならないだろうか。

A君:もしもこのような予測が合っているとしたら、日本は、いくら人口減少で様々な悩ましい状況になったとしても、移民を受け入れないという方針にして、人口減少を当然のこととして受け入れることになりますね。

B君:そこがこの国の一つの分かれ道。

C先生:人口減少をうまく制御しながら、自前のエネルギー源を確保することが、なにはともあれ日本の生存策の基本中の基本。これができないと見れば、将来は真っ暗。しかし、多少でも可能ならば、それなりに何とかなる。

A君:地球温暖化とかあるいは別の環境問題によって人間が生存できないという事態になっていなければ。

B君:そのころになれば、化学物質(変な言葉だが、しょうがないので使う)の制御も上手になっているだろう。核融合などが始まってしまえば、それが新しい環境問題になる可能性が非常に高いが。

C先生:温暖化の議論ときにも言われるのだが、今後の解決の方向は3種類ある。(1)先端技術依存型、(2)循環・節約型、(3)農業回帰型だ。先端技術依存型は、当面原子力発電に依存し、二酸化炭素は分離して地中海中などに処分といった対策をとる。循環・節約型は、なるべく地球を掘らないようにしつつ、解決を図る。農業回帰型は、全員が農業を行って食糧自給を目指す。
 内藤先生は、どうやら(3)が最終解決法だとお考え。私は(2)の循環・節約型が良い考えているということで多少の考え方の違いはある。この影響が見解に出ているような気がする。
 今、隣に居室がある山本良一教授もどちらかと言えば、悲観派だ。このあたり絶対正しいといえるだけの予測は難しいが、今後とも議論を続けたい。