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  世の中、エネルギー効率より経済効率 09.09.2001




 日経エコロジー10月号の特集が「エネルギー自活の奨め」なる記事であった。その内容は、コージェネなどを使用して、電力会社からの供給に頼ることなく、エネルギー的に自立することを奨めている。しかし、そこでも指摘されていることだが、世の中の流れは、経済効率最優先であって、エネルギー効率的には不利な選択をさせているという。


C先生:エネルギー関係は今後どうなるか。まず日本が直面する問題として二酸化炭素の放出量を削減しなければならないことになるのは確実。COP7で決まるとも思えないが、京都議定書を日本も批准して、これがアメリカ抜きで条約になることは既定事実と言えるからだ。このような観点からは、エネルギー効率を最大限に高めることが重要であるにもかかわらず、実際には、経済効率を追求することが優先されているというのが、日経エコロジーの特集。そういうことは有るだろうと考えてはいたが、実際に行われているらしい。

A君:日経エコロジーが取り上げているのは、まず、コージェネです。これは、発電と同時に発生した熱も有効活用しようとするものです。ある中華料理店では、店を2倍に拡張したけれど、コージェネを導入して、省エネにした。具体的には、8.2kWのガスエンジン発電機を備え、これで店内の照明と店頭にある看板のネオンに電気を供給。同時に、エンジンの廃熱で42℃のお湯を作って炊事場に給湯している。発電設備の価格は300万円。光熱費はガス代になるが月35〜40万円。仮にすべてを電気でやっていたら、60万円近くになったはずなので、コスト削減が月20万円。2年間で元が取れる。

B君:8.2kWというと大きいようだが、実は、11馬力相当に過ぎない。エンジンとしてはきわめて小さなものだ。それこそ、原付バイク程度。セルシオなど高級車が積んでいるエンジンが280馬力程度と言えば、車というものがいかに大食いかということが良くわかるだろう。

C先生:発電効率は20%ぐらいのもので、実は大したものではない。電力会社の発電効率は、送電ロスを入れても38%ぐらいだから勝負にならない。しかし、排熱が使えれば、今の場合にお湯の利用になるが、総合的な熱効率は70〜80%に達する。

A君:同様の例が様々出ていまして、イトーヨーカ堂が熱心とのこと。ただし、熱利用がどこまであるのかが問題で、将来的には、空調施設を吸収型にして熱を利用する形式にする予定とのこと。

B君:これまでコージェネは、電気と熱を大量に使用する場所、たとえば、工場、病院、ホテルといったところが中心だった。そのため、発電容量も数1000kWといった巨大なものばかりだったが、中華料理店の例のように、10kW以下の装置ができて、いよいよ分散電源化が進んでいる。

C先生:将来も、本流はやはり分散電源化だろうと思う。それは電・熱同時供給がエネルギーの使い方として上手いからだ。二酸化炭素排出量を減らすのに、コージェネはもっとも近道なのではないだろうか。大きなマンションの給湯と電力供給だと、やはり給湯能力が余るのが悩み。周辺地域へ熱を売るような方法を考えざるを得なくなるが、実現は難しいか。

A君:東電などの電力会社は、これでは電気が売れなくなって商売が成り立たなくなりそうですよね。

B君:そうも言えない。ピーク電力に合わせて設備を作ってきたが、このようなやり方だと設備の稼働率が落ちて、経営効率も悪い。だから、分散型電源がある程度行き渡ることで、夏のピーク時における冷房負荷を分散できれば、悪くはない。

C先生:要するに、コージェネは優等生。熱効率も60%を超すのでまず上々。ところが、問題がモノジェネなるものが出始めていることだ。すなわち、分散型の発電機を使って電気だけを取る。排熱は利用しないというものだ。

A君:これまでは、機器の開発が不十分で成立しなかったのですが、最近では、ディーゼルエンジンを使うと、170kW前後のものだと、熱効率も34〜37%。となると、電力会社の発電効率(送電ロスを考えた供給端効率)の38%に近い。効率的には微妙ですが、経済的には成立するようなのです。

B君:環境面では、発電効率が若干低いことと、設備の環境負荷と、ディーゼル排気中のNOxを考えれば、総合的に若干マイナス。しかし、最近のスーパーなどへの導入を見ると、コージェネではなくて、モノジェネばかりになっている。
 コニーなるスーパーは、現在46店舗で導入し、総出力も5万5420kWに達するモノジェネを設置している。曰く「窒素酸化物の排出基準が厳しくない地域にある店で、かつ、発電機を置けるスペースがあれば、今後ともモノジェネを導入する」。コニーが所有するディーゼルエンジンの発電効率は27〜28%と低いが、これでも、電気代の1〜2割削減が可能。となると、初期投資も、「3年で元が取れる」。

C先生:これは電力料金の体系に問題があるからだ。業務用電力料金と産業用電力料金が国策で違う。業務用が2〜3割り高い

A君:排熱を空調に使えばよいのにと思いますよね。

B君:西友の西川マネージャー曰く、「排熱を空調に使うと、初期投資が膨らんで、投資回収に5〜8年かかる。経営的に考えれば、投資回収に5年以上を要するような省エネ投資はできない」。これがご時世ということ。

C先生:ニーズのあるところにビジネスあり。そこで、モノジェネの電力を供給する商売が始まった。モノジェネで業務用電力より15〜20%安い電力が供給できるからだ。野村證券金融研究所の橋本尚人氏によれば、「発電原価も1kWhあたり8.6円まで下がっている」。業務用の大口電力料金は、16〜18円だから、これなら商売になる。
 デフレ経済の故か、こんなことがまかり通るということは、環境面での経済的仕組みが不足していることを如実に表している。

A君:やはり、二酸化炭素排出に関する、あるいは、エネルギー消費に関する環境税の導入計画を早期に決めないといけないですね。たとえば、2008年にはこうなるといった長期の計画を決めて、それを粛々と実施するという政策が求められるでしょう。

B君:そうだよな。ディーゼルエンジン以外にも、マイクロガスタービンも注目されている。設備が小さいし音もほとんど問題にならない。マイクロガスタービンも発電効率的には余り大したものではない。大体25〜30%ぐらいなのだが、排熱温度が高くて、空調にも利用しやすい。

A君:その他にも、それこそ燃料電池各種があります。いずれも排熱利用までできれば、かなり効率が稼げます。

B君:かなり品位の低くなってしまった排熱でも、それを生ごみ処理に活用して乾燥をするだけで、かなり減容が期待できる。ごみ処理コストも下がるだろう。

C先生:その通り。熱の多段活用による効率のアップが必須で、この手の技術をさらに磨くことが重要だ。そのためにも、環境税の枠組みの議論をすぐにでも開始し、早く決めないと、社会的に無駄な投資が増え、その利用者が同時に守旧派になってしまうというのが現在の構図だ。速やかな対応が必要だ。技術対策を加速するような枠組み、すなわち、コントラストの利いた税のシステムが必要だろう。