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「エコ商品」数点の考察  10.24.99




 エコが売り物になるようになったこと自体、大歓迎すべきことなのだろう。しかし、世の中全体がまだそのような体制になった訳では無い。そんなことを実感させられたことがあったのでご紹介を。それは腕時計の話。ついでに、いくつかの「エコ」のご紹介。ひとつは、日経ECO21。そこからケナフの話になって、もう一つは、生ゴミ処理機2ヶ月である。

目次
 腕時計エコドライブ
 日経ECO21
 ケナフからの紙
 紙製ボールペン
 生ゴミ処理機2ヶ月


腕時計エコドライブ新調
C先生:実は、腕時計が壊れた。そこで、ヨドバシカメラに行って、シチズン製のエコドライブなる時計を買って来た。この時計は、太陽電池によってエネルギー供給がされるために、電池を交換する必要はない。その分、「エコ」だという訳だ。勿論、財布にも軽いはず。防水型の腕時計だと、同時に防水パッキングを交換する必要があるから、1回に3000円近く払うことになる。

A君:前の腕時計はどんな風に壊れたのですか。

B君:前の時計も電池不用のものだったですよね。

C先生:前のものは、セイコーのAGSというもの。最近では、キネティック(kinetic)と呼んでいるかもしれない。やはり自家発電システムをもっていた。昔の自動巻きのような方式で発電機を回して、発生した電気をキャパシタ(コンデンサー)に貯めて、それでクォーツムーブメントを動かしていた。ところが、電気切れで止まるのだ。貯めた電気がすぐなくなる。どうも、キャパシタの能力が落ちたのか、あるいは、汚れのせいで電気がリークするようなったのか。

B君:それで修理に出した?

C先生:いや、出さなかった。なんと、ヨドバシでは修理できないので、メーカー送りになって、料金も1万五千円だそうだ。買った値段は、多分3万円ぐらい。大体4年前だ。修理費にめげて、止めよう、いや直そうか、と悩んだのだが、結論としてしばらくとっておくことにした。

A君:寿命がちょっと短過ぎでは無いですか。もしも電子部品が劣化したのだとしたら。

B君:A君ならどんな部品を使っているのか、その寿命はどんなものか、想像つかないのかい。

A君:キャパシタで小型で大容量といえば、それは、チタン酸バリウムの積層コンデンサ、あるいは、セラミックスの多結晶体を使ったBL(粒界層)コンデンサですかね。

B君:二次電池(蓄電池)を使うのと、どっちが寿命が長い?

A君:二次電池、例えばNi−H電池とか、リチウムイオン電池と違って、キャパシタは化学反応を必要としないデバイスですから、本当なら、寿命は長いはずなのです。電池はモノが動きますからね。キャパシタなら電子が動くだけ。

C先生:「エコ」を実現するには、むしろ長寿命商品を提供することが重要。もしも、故障した場合には、なるべく修理代が掛からないような設計にすることも極めて重要ということだ。セラミックス製電子部品が短寿命の原因なら、セラミックス業界にがんばってもらわなければならない。故障の原因を明らかにするためと、LCAデータを取るために、その時計は分解される運命にあるだろう。
 新しく買ったエコドライブのエコ度、すなわち、寿命がどのようなものなのか、向こう数年間使ってみて長期テストだ。
 

日経ECO21  11月号
C先生:最近、環境雑誌の「日経ECO21」が面白くなってきた。実は、2週間以上前に発売されたのだが、例の臨界事故のせいで、これまで読む暇がなかった。

A君:自分が出ているからという訳ではないですよね(p12)。

B君:たしかに結構面白い。特に、スーパー、コンビニ、ファストフードといった店が実名で評価されている。これは、画期的だ。「暮しの手帳」のように、広告を取らないスタイルになれば、ますます画期的だ。

C先生:先回、信越化学の金川社長の記事で、日経エコロジーを批判し追求してしまったが、多分、あれは企画記事。要するに、信越化学から広告料が出ているのではないかと思われる。日経ECO21が、なるべくなら企画記事に走らないことを期待したい。企画記事をどうしてもやるのならが、日経ECO21としての評価基準を厳しく決めて、それに適合した場合だけ掲載するようにしてほしい。

A君:その意味では、気になる点を指摘しておくべきですね。

C先生:そうだろう。現状、ECO21では、広告特集と明示しているので、まあまあとも言えるのだが。

B君:では早速批判を。あんまりひどいのが無いのが救いだ。
 ゼブラのエコロジー商品だけど、これがペットボトルからのリサイクル樹脂を使っている。それ自身は別に悪くは無いのだが、「ペットボトルの免罪符」になっているということも、意識する必要がある。
 
A君:出光の塩素フリーの潤滑油。その製品自体はエコかと思う。しかし、切削中にダイオキシンが出ないというのがエコという理由なら、どうでしょうか。その程度のダイオキシンの発生で害があるのなら、タバコはどうなんだ、と言われそう。

B君:ホンダの軽自動車の広告で、軽は環境にやさしいというが、燃費は必ずしも良く無いのでは。一部車種の燃費はヴィッツに負けているはず。

C先生:本当の「エコ」を主張するなら、環境負荷が本当に下がっているというシナリオを書く必要があって、最近のエコ的キーワードだけを取り出して、それが減っているから「エコ」というのでは、まだまだ不充分。本当のグリーンコンシューマに対しては、そんな主張は逆効果になる場合もある。

A君:本文の中にも、多少気になる部分があるんですが。
 スーパーの輸送に関する記事で、天然ガス自動車を使っていることが評価されているのですが、ディーゼルに比べれば環境負荷は低いことは確実でしょうが、燃料の税金をきちんと払っていないので、余り誉められないと思うのですが。
 
B君:それから、ファストフードの包装紙にケナフからのパルプを入れていることが評価されているが、これはなんとも。

ケナフ非木材紙の話
C先生:ケナフの話は、そのうち紙全体についての考察をちゃんとやろうと思うが、確かに非木材紙の環境負荷が低いとは限らない。
 その理由は、以下の通り。
  ケナフの栽培には肥料が必要。化学肥料が使用されていれば、化石燃料の消費になる。ケナフからセルロースを取り出すには、アルカリ溶液で煮る必要があるが、その燃料には化石燃料が使用されているだろう。その後のこの溶液の処理がどのようになされているのか、それが心配。日本に入っているケナフパルプは、大部分がタイからの輸入品だが、現地の環境汚染の原因になっていないだろうか。

B君:一方、木材からのクラフトパルプの場合だと、まずウッドチップが輸入されてくる。木はセルロース分とリグニン分からできているが、リグニン分が黒液として回収されて、その燃焼エネルギーでパルプができてしまう。木は自分自身のエネルギーで、パルプに化けるのだ。だから、紙の場合には、パルプの形で輸入するのはそんなに合理的でもない。

A君:同じ非木材パルプでも、バガスというものは、もともとサトウキビを絞った残りの繊維だから、わざわざ生育したものではない。肥料を使ったとしても、廃物利用だから、ケナフの場合とはかなり違う考え方ができる。バガスを繊維化するには、同様にアルカリ処理する必要があるが、その燃料にもバガスを使えば、化石燃料を使わないで済む。バガスとケナフでは、バガスに軍配が上がる。

C先生:ということになると、ケナフパルプを使って木材パルプを節約することの意味は、森林資源が節約されることにそれを求めることになる。しかし、実態は大体次のようだ。北方林の場合には、50年に一回ぐらいの周期で伐採される。製材所で建築材が取られて、それ以外の部分がウッドチップになる。南方林の場合には、最近は植林された人工林が主流で、ユーカリなどを10年周期ぐらいで伐採している。ユーカリはもともとそこに存在していた森林とは違うので、生態系破壊だと言えなくも無い。しかし、農業だという見方も可能。植物性洗剤のためのパームヤシのプランテーションとの質的な区別は難しい。
 となると、ケナフパルプの使用が森林資源の節約にはなっていることまでは正しいが、それが環境負荷が低いことと同義かどうか、これはきちんと検証する必要がある。多分環境負荷は高いのでは、と推察する。値段がそれを証明しているようにも思える。それに、非木材紙がすべて同じという訳でも無い。
 

シチズンエコドライブの販促で付いてきたコクヨのボールペン
C先生:なんと紙もキャップも再生紙製。コクヨのブランドながら、なんとイタリア製。 

A君:紙は再生資源。セルロースは3回から4回使いたい。紙を旨く使う技術ができると、環境負荷は下がるかもしれない。

B君:紙のリサイクルについても、本当の意味を考える必要がある。これも紙特集をそのうちにやって、ということで。


生ゴミ処理機の2ヶ月
C先生:すでに2ヶ月を経過して、順調に運転中。機械の指示に従えば、本当は基材をかえなければならないのだが、当面このまま行ってみることにした。理由は、まだ使えそうだから。基材がどのようにして劣化するかというと、どうも通気性が悪くなることが一つ。もう一つが、減らなくなること。現時点では、まだ十分通気性は確保されているようだし、もう一つの減らなくなる、というところは、ちょっと減りすぎの様子なのでもう少々経過を見たい。また、我が家では冬になったのでコーヒーカスが出る。これを入れることで、新しい基材もどきが供給できる可能性もある。
 こんな発想が出たのは、新しく売り出された松下電工の生ゴミ処理機は、基材の交換が不要で、セルロース製のバイオボール(生分解性プラスチックのバイオポール=間違いでした、ご指摘感謝−>生ゴミの中川様)を徐々に足すことで、ほぼ永久に使える仕様であることが分かったから。
 
A君:生ゴミ処理機のエサの話は、どうなりました。

C先生:果物は依然として有効。本当に即効性がある。でんぷん類も有効。こちらは遅効性で2日間有効といった感じ。即効性なら糖分なんだろう。

B君:消滅しないものは。

C先生:たまねぎの薄皮。茄子の表皮。ねぎの繊維。これらは、そのうち、消費電力の推移などを含めて詳細に報告する予定。