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所沢ダイオキシン野菜騒動 その2 02.14.99




 しばらくといっても3泊4日ほどで韓国におりました。帰ってみましたら、その間に状況が変化した部分もあるようですが、まったく変わっていない部分もありました。その後の状況をまとめますと、

1.JA所沢は、ホウレンソウ中のダイオキシン量を報告した。
 値は全国平均よりは高いものもあったが、まあ、それほどの値ではなかった。ニュースステーションの値(環境総合研究所)のものよりも低めであった。特に、ニュースステーションの出した最大値3.8pg/gが突出した印象になった。

2.所沢の農家、テレビ朝日に質問状提出。
 有志30名が8日、放送を放送したテレビ朝日を訪れ「報道で深刻な打撃を受けた」などと抗議。

3.ニュースステーションの出した値に疑義
 環境総合研究所は、「検査対象の農作物とは、野菜の他に木や植物なども含む。テレビ朝日の報道は農作物を野菜と解釈したことによる間違いだ。」
 ホウレンソウは0.75pg/gで、野菜の中ではもっとも濃度が高かった。

4.テレビ朝日も報道の一部不適当を認める。

5.中川農相、テレビ朝日に文句を言う。
 12日記者会見で、テレビ朝日に対して「事実に基づく報道」を求める申し入れを行ったことを明らかにした。申し入れは早河洋報道局長宛で、2月1日の報道について、「あたかも所沢のホウレンソウのダイオキシン濃度が0.64〜3.8pg/gであるかのような報道を行った」と指摘。「事前にホウレンソウのダイオキシン濃度が同0.35〜0.75pg/gであることを知っていたのであれば、意図的に誤解を招く報道をしたこととなる。事後に知ったのであれば、番組の中で訂正し、責任をもって国民に対し科学的知見に基づく説明を行うべきでた。」としている。 中川農相は、「風評被害の最たるもの。放送法に抵触していないかどうかの観点からも調べたい。」と語った。

6.ニュースステーションの反応
 菅沼:県知事が産廃業者に、罰則を付けなければ解決しない。行政サイドがやっと重い腰を動かし話た。非常に難しい問題だが。黙っていたら、煙がもくもくだ。
 久米:60程の焼却施設がまだ動いている。
 などと発言。焼却場に全責任があるかのごとき報道態度。今回の報道が解決のきっかけとなった、やはり我々は正しかった、という程度の認識なのか?

7.JA所沢関係の生産者:「陳謝してほしかったのが、正直な気持ち。」

8.野菜騒動のまとめ記事 2月14日 朝日新聞
 テレビ朝日の報道が引き金になった所沢野菜の販売中止騒ぎ。同局が報道の表現の一部について不適切さを認め、厚生省などが「直ちに健康に影響はない」と宣言したものの、大手スーパーは販売再開に慎重だ。
   川越市の丸広百貨店は所沢野菜の販売を再開
   いなげやも所沢市、入間市の5店に限り、16日から販売を再開する。
   ジャスコ「政府の調査がでるまで様子を見たい」
   サミット「社会的コンセンサスがない」
   西友「JA所沢のデータは2年前で少し古い」
 その他の状況や見解。
   厚生、農水、環境の三省庁は、今年度中に農作物調査に取り組むことにした。しかし、「一体」とは言いがたいのが現状。
   土屋埼玉県知事「農作物の国の基準が必要」
   宮下厚生相「野菜は農水省が中心」
   厚生省内には「食品一つひとつに基準を設けるのは無理」
   所沢市斎藤博市長「今回の騒ぎは安全基準をつくらなかった国、産廃施設を密集させた県の責任」
   地元「所沢周辺に産業廃棄物焼却炉が集中する現状を変えない限り、根本的な解決にはならない」
   県「法的権限がない」と言っていたが、操業停止を求める方針をうち出した。しかし、言葉としては有りうるが、実際には「協力要請」までしかできないはず。
   県廃棄物協会の鈴木勇吉会長「燃やさないとごみはあふれる。今回の騒ぎで、ゴミを持ちこんでくるゼネコンやハウスメーカーが黙っているのはおかしい」



C先生:こんな経過をたどったようだ。しかし、やはり根本的解決からは程遠い。確かに、すぐ解決できるような簡単な問題ではない。根源的には、現代社会の構造的な問題点を含むからだ。
 ところで両君、現時点で、けしからんと思う登場人物は誰だい。

A君:やはり久米さん、菅沼さんのご両名。やはり、彼らの予測通りにことが進んだに違いない。それが嬉しいのは分かるが、現実に、もっとも弱い農家というところに歪みが集中し、風評被害者が出たことに関してはどのように考えるか、その意見表明が欲しい。

C先生:焼却業者を全国共通の悪者にして、自らは逃げようとしているような感触だね。

B君:焼却業者だって、ビジネスとしては社会的に存在が許容されている訳で、焼却業者だけを悪者にしても始まらない。

C先生:この話は、すぐには解決不能だと思うが、廃棄物の絶対量を減らす方向にどのようにしたら行くだろうか。

A君:エネルギー回収装置(なるべくなら発電装置)を付けた焼却炉以外での焼却を止める。となると、廃棄物処理費が上がって、埋め立てが増えてしまう。そこで、埋め立てには重税を科す。

B君:そんな過激なことを言って良いのか。お宅の会社だって困るだろ。

A君:これは市民の立場からの発言だったのだが、もしも、そんな状況になれば、企業活動もそのような方向に転換する。リサイクル率を上げるためのきっかけにもなる。ただし、製品のコストには跳ねかえるから、消費者の負担増にはなる。

C先生:エネルギー回収をして、そこから生ずる電力を、焼却場近くの住民には、大幅割引で提供するのだろうね。

B君:国の対応も分かりにくいね。厚生省などが言っている、「直ちに健康に影響はない」ってどういう意味なのだろうか。

A君:急性毒性が高いのがダイオキシンだから、致死性は無いということなら、その通り。

B君:そんなのはあたりまえ。本当は発ガン性が問題なのでは。だとすると、将来は分からんよ、ガンになる可能性までは否定してませんよ、とも聞こえる。

C先生:発ガンリスクをきちんと議論して、通常の食品にもある発ガンリスクに比較すれば、問題にならないと定量的に示すべきなのだろう。実際、ワイン1杯の発ガンリスクに比べたら、桁で複数低いだろうから。でも、それをやるには、食品は100%安全ではないことを宣言することになる。もしもそれを言ったら、マスコミに叩かれる。市民の命を守るのが厚生省だとされてね。
 この100%安全の議論は、後でもう一度やろう。
 もう一つの厚生省の意図は、免疫不全のような未知の影響が否定しきれないことを役人用語で述べているのだろうよ。

A君:環境総合研究所の表現も良く分からない。「検査対象の農作物とは、野菜の他に木や植物なども含む。テレビ朝日の報道は農作物を野菜と解釈したことによる間違いだ」、ってどういう意味? 「農作物で、野菜以外のもの」、となると、お茶、桑、などなのだろうか。それとも、サツマイモやサトイモの葉のように、野菜の食べない部分なのだろうか。栗の葉とか、柿の葉とかだろうか。宮田先生が「人間地球系」で研究していたのが、松の葉だったが、松のように、油脂分が多いものは、ダイオキシンを溶かしこんでいる可能性が高いからね。

B君:松が農作物か? 盆栽なら? それは無いな。

C先生:環境総合研究所も、詳細を発表すべきだろうね。もしもそれが「お茶」だと、狭山茶が風評被害の対象になりそうで困るね。でも、お茶なら抗ガン成分を含んでいるらしいから、多少ダイオキシンを含んでいても、差し引きプラスだと思うが。

A君:そういえば、九州医療短大の長山先生が、あの程度の汚染度のホウレンソウなら、食べるとかえってプラスだろうと新聞で言っていたようですね。植物繊維がダイオキシンを吸着して排出するから。

C先生:そういうことだろうね。

B君:もうひとつ、久米さんと同罪なのが、所沢産の野菜を仕入れるのを止めたスーパーだ。ジャスコ、サミット、西友。他にもあるかも知れないが。
 スーパーがどうしてこんな方針になるのか。それは、所沢産の野菜を売ると、一部の消費者が「そんな危険なものを売って、お前のところは責任がとれるのか」と脅迫するからだ。これが恐くて仕入れない。

A君:その気持ちは、物を売る身になれば、分からない訳ではない。

B君:何を言っているのだ。食品などというものには、もともと100%安全なものなどは無い。100%安全な環境を要求するだけなら、まだ単なる無いものねだりだが、それに加えて100%以上の利便性を求める消費者は、まったく犯罪的だ。これをスーパーも明言して、社会を良い方向に教育する義務がある。

C先生:食品にもともと100%安全なものは無いということ、それ自体は正しい認識だと思うが、そういう認識の人は、今の日本ではごく少数だろう。化学物質のところで議論したように、天然物が人工物よりも安全だと思っている人が多い。なぜそのように思うか。それは、この世の中がかなり人工的になったお陰で、人が死ななくなった、これが前提条件。そして、テレビなどで自然自然といって賛美されるものは、例えばイエローストーン国立公園のように、人間の手が入った自然であるのに、それを隠してあたかもまったくの天然自然だから美しいですばらしい、と思いこまされている。だから、現時点の生活から自然の方向に少し戻れば、さらに安全で良い生活ができると思い込むのだ。
 これもマスコミの情報提供の態度に問題があるということなのかもね。

A君:今回のスーパーの態度を見ていると、以前にペットボトルのところでも議論したように、営業部などの人々の考え方をまず変えないとだめなのでは。今回、自分達の営業方針変更を、他店との差別化に成功したとでも思っているのでは。この方針を決めた人々は、100%安全な食品が存在すると思い込んでいて、本当のことを何も知らない可能性が高い。

C先生:意識有る市民が、ジャスコ、サミット、西友をボイコットする動きを見せると、多少は変わるかもしれない。少なくとも、我々3名+E秘書は、当面この3店では買い物しないことを、ここに宣言しよう。

AB:はい、宣言します。

E秘書:(お茶をもってきて)はい、これは狭山茶です。私も宣言します。

B君:でも、こんな議論をしていると、何人かに誤解されるかもしれない。「市民のためを思ったら、本当に安全性が確認されるまで、むしろ、ジャスコ、サミット、西友で野菜を買うことを薦めるべきだ。市民の命をなんだと思っているのだ」、と。今回のホウレンソウのリスクが本当に高ければ、確かにその通り。でも、今回は長山先生の言うように、まず問題ない。
 しかも、誰がなんと言おうが、これまでの日本人の生活がどんどん安全になってきて、そのために日本人の平均余命は世界一になったこと、これは厳然たる事実だ。

C先生:そういうことだ。平均余命に関しては、医療という別の要素が大きいが。
 今回の話題のダイオキシン汚染にしても、農薬起源のダイオキシンが減少しつつあるために、日本全体としては、1970年代を最悪として、それ以降は良い方向に向かっている。ただし、ある地域に高濃度汚染地域が存在している状況になったように思う。これは不公平な状態であって、社会正義の見地から見ても、改善する必要がある。
 まず、100%安全な食品があるという幻想から抜け出よう。100%安全など、すべての生命体にとっては、ありえない条件なのだ。これまで人類が存続できたことも、危機を乗り超えるために行われた遺伝子の進化による。危機があったからこそ、ここまで生存できたとも言える。となると、生命の生存が100%安全になったら、途端に遺伝子が劣化しはじめて当然。ある種の自己免疫不全症状(アレルギー)はそんな兆候のように思える。「個人の生命の過度の安全」は、逆に「種として生命の危機」でもあるわけだ。
 個人が重要か、種が重要か。これは永遠の議論の種だけどね。止め止め! この話。余り脱線すると、ナチズムの再来だと言われるから。我々の真意は、本当に健康な生活とは、細菌類とも共生し、泥をさわり、場合によっては泥が口に入ってしまうこともあり、だから子供のときにはお腹を壊したり、青い鼻汁をたらすことなど体調もやや不良になることもあるような状態だが、成人すればたくましくなって、極端に体調を崩すことは無くなる状態だと思っているだけなのだが。今の高齢者が丁度そんな生活をしていた。だから、長寿なのだろう。