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所沢新生児死亡率の実像  09.08.99






 櫻井よしこ氏によって引用された棚橋氏の所沢新生児死亡率急増というデータの解析を先回中間報告した。しかし、前回までは死亡実数が分からなかったもので、いささか議論が隔靴掻痒の感があった。

 今回、環境研などのご協力によって、平成元年から4年、5年から9年の5年間×2期間のデータを入手することができた。棚橋氏のデータが、平成元年から5年までとなっており、必ずしも、一致しないのが残念。もう少々努力すれば、同じデータになるのだが、まあ、大体の傾向はわかるので、これにてご勘弁を。

 ちなみに、データの出所は、「人口動態保健所・市区町村別統計」というもの。新しい方は、政府刊行物センターにあったので購入した。5年に1度出版されているようだ。通常の人口動態にもデータがあるようだが、それを調べるには、10年分の本をめくる必要があるので、今回は、省略。

 さて、その解析はどのようになったのだろうか。


C先生:先日中間報告した続きの解析ができる状態になった。所沢市の在住のF氏には各種情報の提供をいただき、また、新しく採択されたCrestチームでは共同研究者になる環境研の寺園さんには、人口動態のデータを探していただいて、大変お世話になりました。ご両名に感謝。

A君:結局、極めてオーソドックスな統計手法、実はF氏の手法も全く同じですが、を採用することにしまして、極めて単純に新生児死亡率を出して、それが起きる確率を計算することにしました。
 結果が次の表です。出生数、新生児死亡数、新生児死亡率は、特に説明を要しません。次のその値以上になる確率というのは、例えば、所沢市ですと、平成元年〜4年では、60名の新生児死亡があった訳ですが、新生児死亡数が60以上の値になる確率を二項分布を仮定して計算しています。といっても、Excelだとすぐできちゃうのですが。

平成元年〜4年

 

 

 

  

 出生数

新生児死亡数

新生児死亡率

その値以上になる確率

埼玉県  

323261

835

0.00258

 

所沢市

16199

60

0.00370

0.005

三芳町  

1685

6

0.00356

0.272

吉田町  

317

4

0.01262

0.010

荒川村  

261

1

0.00383

0.491

川里村  

383

2

0.00522

0.260

 

 

 

 

 

平成5年〜9年

 

 

 

  

 出生数

新生児死亡数

新生児死亡率

その値以上になる確率

埼玉県  

340074

712

0.00209

 

所沢市

16815

40

0.00238

0.230

三芳町  

1584

5

0.00316

0.240

吉田町  

232

0

0.00000

--------

荒川村  

251

1

0.00398

0.409

川里村  

287

2

0.00697

0.122

 
B君:なるほど。これ以上オーソドックスな方法は無いというぐらいオーソドックスだな。
 でも、その値を見ると、結構恐ろしいことが分かると思わないか? 平成元年〜4年の所沢市の新生児死亡率が60以上になることは、確率としては、わずか0.005。すなわち、0.5%だ。これは何かあると考えるべきではないだろうか。

C先生:確かにその通り。200年に1回といった事態が起きたのだろうか。それとも、本当にダイオキシンが効いたのだろうか。しかし、平成5年から9年のデータでは、所沢のデータも、40件の新生児死亡だが、過剰死亡数は4ぐらいだろう。 これなら、そんなに異常ではない。やや多いぐらいで収まっている。産業廃棄物の焼却の状況は、かえって悪くなったと思うから、ダイオキシンが直接原因でないことは確実だろう。もともと、ダイオキシンの大気からの摂取は余り量的に多くないし。
  ダイオキシン以外で何か思い当たる方、是非ご連絡を。例えば、風疹などの感染症が流行ったとか、食中毒があったとか、そんなことかと思うのですが。
 他の地域はどうだ。

A君:やっていて分かったのですが、三芳町は、むしろ問題が無いのではと思います。過剰死亡数は、それぞれ1件ぐらいで、余り有意なデータではないようです。
  平成元年〜4年の吉田町は、確率的に1%程度のことが起きています。出生数317に対して、新生児死亡数4件は余りにも異常です。ところが、平成5年から9年のデータでは、それがゼロになっているのですね。これは、前の5年間の死亡数が全く偶然であったことを意味するものと思います。まあ、そのうち辻褄が合いそうです。

B君:荒川村のデータは何もおかしくないじゃないか。それなのに、棚橋氏は荒川村がおかしい、としているじゃないか。なぜだい。

A君:よく分からないのですが、多分統計的取り扱い上の偶然ではないかと思うのです。恐らく、平成5年に新生児死亡が1件起きていて、棚橋氏のように、平成元年から5年という集計をすると、その1件があるために、荒川村のデータが異常であるように見せることができる、ということでは無いでしょうか。いずれにしても、荒川村は全く正常です。
 川里村の場合も、新生児死亡率がそれぞれ2件ですが、いずれも過剰死亡が1件。ということで、まあ統計的に意味は無いでしょう。

C先生:やはり、こんなことだったのか。統計で嘘をつく方法をきちんとご存知の方の、確信犯的行為だったのだろう。
  告発のためならこんな手法を使うのが許されるのかどうか。ニュースステーションの3.8pg事件とどちらが悪質か? 皆様に議論して貰おう。
 櫻井さんも、この程度の調査をやってから、我々を脅かして欲しい。