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COP6議長案   11.25.2000 アップは11.26.2000




 気候変動防止条約、いわゆる温暖化防止条約の枠組みの詳細が、ハーグにおいて行われているCOP6で議論されていたが、ご存知のように、決裂した。これは、かなり意外な結末で、日本は折れるのかと思っていた。こんなにも無茶に粘るのは、やはり簡単に折れてしまっては、いろいろな問題があるのだろう。ということで、2件の記事をアップします。 


11.25.2000の午後時点。

 京都で行われたCOP3において決まったいわゆる京都議定書は、各国の二酸化炭素発生の削減量は決めたが、どうやってその削減量を算出するのかなどに関して、全く検討されなかった。その後、COP4、COP5と2回の会議が持たれたのだが、余り進展を見なかった。
 今回のCOP6において、議場を騒がせているのは、なんと議定書が作られたCOP3の開催国日本である。アメリカ、カナダと共同で、森林による吸収量を算入することができるように、具体的には、日本については、3.7%の寄与があることを認めさせようとしていたが、どうやらそれは無事に「失敗」に終わったようだ。


C先生:日本、アメリカ、カナダが共同で提案した二酸化炭素の森林吸収分を排出削減だと見なす謀略は、すべての日本からの代表を含めて、分かっていた人は分かっていたように、当然のごとく、受け入れられなかった。まあ、妥当だな。

A君:いや。受け入れられない、絶対0%だと思っていたら、オランダ環境省のプロンク議長提案で0.6%分(朝日新聞だと0.5%)は認めましょうというおまけが付いたのには、逆に驚きました。

B君:あれは、EUのまいた餌だよ。アメリカが議定書にサインすれば、京都議定書は発効する。しかし、そうでなければ流れる。アメリカはもともとサインする訳も気もないのだが、アメリカ向けに、あるサービスをしておいて、それを代表団に認めさせる。そして、あの案を認めただろ、といって後から迫る。

C先生:まあ、そんなことなんだが、まず、その議長案とやらをまとめてくれ。

A君:まず、日本・アメリカ・カナダが主張していた森林吸収分ですが、主張の約15%が認められる方向。となると、日本だと0.6%ぐらいということになります。そのほか、排出権取引の上限を決めようという動きに対しては、これは上限は無いことになり、同様に、先進国が途上国で温暖化防止事業を実施するクリーン開発メカニズム(CDM)も上限はなく、無条件に自国の削減目標から差し引くことができるようです。ただし、CDMとして、途上国で原子力事業を行うことは自主的に控えることということが要求され、自然エネルギー利用などを推奨するという態度になっています。また、罰則規定も作ろうとしており、達成できなかった国に対しては、50%の利子を付けて、前借りをすることになるかもしれません。

B君:だからといって排出量で破産したら強制的に罰金がとれるのだろうか。それとももっと経済制裁など別の手を使うのだろうか。

C先生:そのあたりは良く分からないな。これからの議論だ。
 それにしても、日本で発生するCO2は年間3.2億トン(98年度、炭素換算)で、世界では65億トン。人口一人あたりにすると、世界は、一人当たり約1トン強(炭素換算)だから覚えやすい。日本は、世界平均の2.5倍と覚えれば大体あっている。この不公平な状況を改善するためには、先進国が自らの姿勢を正すことがまず第一なんだろう。特に米国は世界平均の5倍にも及ぶし、カナダも大体同じぐらい。その3ヶ国が揃って削減努力による削減をしないで、森林吸収分で行きたいといったって、やはり認めてくれる訳もない。大体、今回の森林吸収分というものは、実は削減になっていないということをちょっと説明して。

A君:はいはい。森林というと、あるいは植物というと、二酸化炭素を吸収して光合成で栄養源にしていると教えられます。だから、小学生、中学生ぐらいまででしたら、森林は二酸化炭素の吸収源だと思っても不思議ではないのですが、実態は大きく違います。生きている植物は呼吸して二酸化炭素を出すのです。さて、吸う量と出す量とどちらが多いかという話になる訳ですが、なにせ炭素という元素を吸収して出しているのですから、バランスが崩れれば、どこかに炭素が貯まらなければならないことになります。炭素を貯めるか、貯めないか。炭素を貯めている状況であれば、吸う量の方が大きく、貯めないで一定であれば、吸う量と出す量は等しいことになります。さて、木ですが、若いうちは成長しますから、その分二酸化炭素を吸収して幹や葉に貯め込むことになりますが、成木になれば、余り成長はしません。だから幹に貯めることは無くなってくるのです。

E秘書:ご無沙汰です。そうなんですか。木ならどんな木でも、二酸化炭素を吸収するものだとばかり思っていました。でも、ちょっと待って。その話、少し変ですね。木は、落葉樹でも針葉樹でも葉っぱは変わりますね。ということは、いかに太くならない成木であっても、毎年の葉っぱ分は二酸化炭素を余分に吸収していることになりませんか。

A君:なかなか鋭い質問なんですが、木一本一本と森林は違うということなんです。要するに、木としては、葉っぱ分は確かに吸収するのですが、落ちた葉っぱはそのうち腐って、そこから二酸化炭素がでるわけですから、森林全体を一つのシステムとしてみると、結局バランスが取れていることになるのです。

E秘書:ということは、植林をすれば、それは吸収分として認められるということ?

B君:その通り。植林による吸収は、ちゃんとみとめられる。日本が主張していたのは、森林保全活動などによって、吸収分が増えるということらしいけど。それも、どんな保全活動をやるかによりけりだな。保全活動で出る間伐材を炭にして森林内にでも貯めれば、それは二酸化炭素を蓄積したことになるだろう。でも、その炭を売って燃やしてしまったら、また、二酸化炭素になってしまう。

C先生:こんなことは、環境問題を少しでもかじっている人にとっては常識だと思うのだがね。

E秘書:悪かったですね。かじっていなくって。でも、日本の主張がそんなにおかしいということなら、その案は、誰が発案したのですか。優秀な官僚とも思えない。その人の知識は私と同程度、要するに小中学生程度ということになりませんか。

C先生:誰が発案したか? うーん。誰か教えてくれるかな。でもね、発案した人も無知という訳ではなくて、恐らく、そんなことは100も承知だったと思う。 さて、なぜか?

A君:キーワードは外圧ですか?

C先生:その通り。

B君:そう「外圧だ」という主張をするための発案だったのだろうな。

E秘書:どういうことです?

A君:日本の政治の特徴なんですが、例えば訳の分からない議員がぶつぶつ言う。産業界の上の方も良く分かっていながら文句を言う。ところが、外圧がドンと掛かると、皆さんそれなりに黙る。一方、通産省や環境庁が、こんな方針で行きますといくら言っても、「そんなのはけしからん。俺の言うことが聞けないのか」、という議員や、「日本の産業を潰す気か?」、という産業界トップを説得することは不可能。

B君:となると、外圧を利用して日本を変えるという方法を採用する場合がある。

C先生:今回、朝日新聞は杉本記者がハーグにいっているようだが、今回の日本の提案にういて、米国国務省の元幹部も、「こんな案が通るわけがない」、といっているらしいから、まあ、日本の優秀なる官僚諸君はすべて分かっている。要するに、「主張をする」ことは重要だが、それが通ることは最初から考えていない、というのが真意ではないか。

A君:今回、それ以外にも、重要なことが決まりそうですね。例えば、途上国援助ですが、温暖化の影響を受けやすい小島嶼国や最貧国への適応基金と条約基金を設置するとか。これは、当然、先進国の自主的な資金拠出でまかなうのですが。

B君:10億ドルを積み立てて、不足したら排出量取引(最近、排出権取引と言わないみたい)に課金するというらしい。となると、日本はやはりロシアから買うことになるだろうから、一所懸命日本の産業が稼いだお金が、ロシアへと消え、一部は、途上国へと移転されることになるだろう。

C先生:今回のプロンク議長が言うように、各国は削減目標に向かってまじめに努力しなさいということなんだ。

E秘書:分かりました。しかし、そもそもCOP3を日本でやろうなどと言った人は誰なんですか。その人が一体どいう意図だったんですか。その人は、産業界から恨まれてはいないのですか。

C先生:うーん。そこも実は良く分からない。誰かに聞いてみよう。

以上11.25.2000の夕刻に記述