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飲料容器の環境負荷比較 その1    12.19.99




 すでに、本HPで報告しているように、ライフサイクルアセスメント(LCA)によって、ミツカン酢の容器の検討を行い、共通リターナブル瓶が成立するような社会になるまでは、青色のリターナブル瓶よりもカレットレベルのリサイクルに適した無色のワンウェイ瓶が優れていることを示した。
 実は、他の容器素材との比較検討も同時に進行中であり、本年中にその結果を発表する予定であった。現時点で、大体の傾向は出てきたのだが、さらに検証を行って発表できるのは、年末ぎりぎりになりそう。今回、実際のLCA計算を行っているのは、東海大大学院の中澤君。
 そこで、今回は、予告編ということで、予備的な情報の提供を行ってみたい。


C先生:今回は、この秋にずっと行ってきた飲料容器のライフサイクルアセスメントの報告だ。最終結果を次回にでも行うとして、その予告編ということで、基本的な情報を提供してみたい。

A君:これまでも飲料容器のLCAがしばしば行われていますが、なんでまたまたやろうということになったのですか。

C先生:LCAの初期段階に、生協連合会が行った例をはじめとして、さまざまな機関が飲料容器のLCAを検討し発表してきている。しかし、どうも完全なものがない。例えば、項目として取り上げられているものが、二酸化炭素の放出量だけだったり、また、容器の製造過程までだったり、ということで、ライフサイクルに渡った結果が発表されているわけでは無い。さらに、今回の最終的な目的は、現在開発中のインパクトアセスメント手法である「時間消費法」や「4軸評価法」などといった方法論の適用も試みてみたいということでもあって、それには、現存しているデータを全部再評価してみよう、ということになったのだ。
 それに、これまで、ガラス瓶のLCA解析については、かなりデータもまた結果も揃ってきたので、本当にリターナブル瓶の環境負荷が低いのかという検証を行うことも目的の一つだった。

B君:一応、様々なお目付け役をお願いしている訳ですね。メンバーについては、正式な報告書をご覧いただくことにしますか。

C先生:実名の発表は正式な報告書で。本HPでは、飲料メーカー、生協、元東京都などの関係者にお目付け役をお願いした、ということで良いだろう。

A君:飲料容器のLCAを全部作り直すというのでは大変ですよね。

C先生:その通り。だから、今回は、すでに存在しているデータの再整理という手法を用いている。本当にそうなのか、と言われるとだから若干つらいところがある。本気でやったら、それぞれの素材について、1年掛かるだろう。また、廃棄シナリオなどのデータが余りきちんとしたものが存在していないので、それにも1年掛かるだろう。

B君:まあ、ガラス瓶の解析レベルを睨みながら、バランスの良さそうなデータと解析手法を選択したというのが実情。

A君:今回は、予告編ということですが、何を予告するのですか。

C先生:まあ、素材というものの特性を再度提示するぐらいか。

A君:それでも興味深いですよね。

C先生:それでは、早速行って見るか。

B君:それでは、今回は当方から。
 まず、取り扱った素材で興味の中心になるのは、次のもの。(1)ペット、(2)ガラス、(3)アルミ、(4)スチール、(5)紙+ポリエチレンラミ。
 調べて見ると、ペットは、旧来から存在しているものと、最近、プラ処理協が発表したデータがある。ということで2種類。アルミについては、ほとんどの環境負荷が電力による負荷だから、その電力をどのようにして得ているか、によって環境負荷が大きく異なる。オーストラリアでは、どうも石炭発電によって電力を得ることが主。一方、北米では、水力発電が主で、それに若干の石炭発電といった状況。そこで、石炭発電、水力発電という2種類のアルミを計算して、後は混合することにした。ということで、合計7種類の素材。
 そして、早くもその結果。比較をどのようにやるか、それも大問題だが、単位質量あたりでやると、余り素材による差が出ない。そこで、まあ他のLCAも同様なんだが、同一容量の容器を作るのに必要な素材量を決めて、比較をした。その結果が図1。この比較は、すべてがバージン素材。だから、実際の容器の比較だと言ったら、この図ではアルミが大幅に不利だ。アルミはざっと言って半分にすべきだ。ガラスが次に不利か。スチール缶は、概ねバージン素材だけを使っているから、まあ、こんなもの。紙容器、ペットはバージンだけだからこのデータで良し。

C先生:ここで示しているのは、二酸化炭素、NOx、SOxだけだ。廃水関係のデータが全部は揃わない。そして、結果的には、紙容器がこの3項目すべてにおいて環境負荷発生量が最小だったもので、ここでは、紙容器の値を1として、規格化したものを示す。

図1 各種バージン素材の環境負荷比較。紙容器=1とした同一容量容器の相対的比較。容器製造プロセスまでのデータのみであり、廃棄プロセスなどは未考慮である。
 PET:ペットの従来のデータ、
  PET−N:プラ処理協の新しい樹脂データ、
  Glass:ガラス瓶はビール、
  Al−Can:石炭発電による電力でアルミ電解を仮定、
  Al−US:北米大陸のように水力発電の電力でアルミ電解、
  Steel−Can:通常のスチール缶、
  Paper:ポリエチをラミネートした紙容器


A君:色々な条件を考慮しても、やはり紙容器は環境負荷が低いようですね。

C先生:まあ当然と言えば当然なんだ。森林は再生資源だから、そこでの資源・エネルギーの消費はかなり低い。植林などをやれば多少エネルギーや肥料などの資源が必要ではあるが。このシナリオでは、紙容器が日本で作られたことになっている。しかし、実態は、輸入品なんだ。だから、ここまで環境負荷が低いかどうか、やや疑問。エネルギー資源として石炭を使ったりすると、SOxの発生量が多いから。しかし、そんなに違うことは無いだろう。

B君:石炭電力使用の場合だが、アルミの環境負荷の大きさがもう一つのポイントか。NOx発生量に至っては、紙の場合の200倍以上だから。それに比較して、水力発電使用の場合には、非常に環境負荷が下がる。アルミが電気の塊だという表現そのままだ。

C先生:ガラスは、ここで使ったものはビール瓶の重さを仮定した。しかし、最近では、ワンウェイでも超軽量瓶というものもあるから、半分以下に減らすことも可能。しかし、それにしても、まだ環境負荷が高い。ペットや紙容器にはかなわない。だから、ガラスはリターナブルだ、と何時も言っているのだ。リターナブルも超軽量リターナブルというものが可能になりつつある。ところが困ったことには、飲料メーカーが、超軽量瓶を好まない。なぜならば、立派に見えないから。消費者は、中身ではなくて、容器の立派さで買うという考え方に凝り固まっている。
 しかし、実際のところ、200mlの牛乳瓶の超軽量瓶は、すごく小型に見えてしまって、本当に中身が200mlも入っているのか、と疑問に思うほどであることは事実。また、900mlのワンウェイ軽量瓶に入った牛乳があるが、なんだからパリパリといった感触のガラスで、割れそうな感じだ。本当に割れることは無いのだろうが。

A君:大体、素材としての特性は分かりましたが、これに何を付け加えているのですか。

B君:当然ながら、回収・廃棄過程の環境負荷。さらには、どのぐらいの量が散乱されるのか、といった評価も加えようとしている。

A君:散乱などの量が分かるのですか。

C先生:分からない。そこで、元東京都のベテランなどの感覚が頼りなんだ。さて、どんなことになるのか、お楽しみに。