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生ゴミコンポスト化の意味 07.01.2001




 環境負荷を低減するために、生ゴミをリサイクル(コンポスト化、堆肥化)するのだろうか。この答えが必ずしも明らかではないが、その一方で、生ゴミを処理するコンポスト機に対して助成をする市町村が増えている。この問題をどのように考えるべきだろうか。


C先生:まず、生ゴミというものが、廃棄物としてどのようなものであるかをまとめてみよう。

A君:はいはい。家庭から出るゴミには様々なものが含まれています。1996年のデータによれば、重量で、42.8%が生ゴミ。家庭ゴミは、比較的軽い紙とか包装材料が多いもので、水分が多い生ゴミは重たい部類。体積にすると、6.2%程度。この水分が多いというところが、一つの鍵です。

B君:生ゴミの内容は、平成9年、重量で調理くず52.8%、食べ残しが35.7%。しかも、この食べ残しのうち、手つかずの厨芥が1/3もあるらしい。これは、環境白書からの引用だが、高月先生の研究結果かもしれない。

C先生:一人一日当たりの家庭ゴミの排出量は、1〜1.1kg。4人家族で、450g×4=1.8kgが毎日排出されると思える。最近週に2回の収集なので、4日分ためると、7.2kgにもなる。

A君:1920年の家庭ゴミの中身はどうだったのか、というと、厨芥類は、12.3%しかなかった。可能性としては、自家処理をしていたか、あるいは、今よりももっと食料を大切に使っていたか、いずれかでしょう。

B君:ちなみに、生ゴミ450gが一人一日あたりの排出量だとしたら、それは、人間が生存するための他の環境負荷と比較して、どのような位置づけなのか。例えば、BODという排水に出される有機汚染量は、一人一日あたり43g。内訳が、し尿が13g、風呂で9g、台所から17g、洗濯等で4g。水の使用量が、台所から40リットル、洗濯に72リットル、トイレ50リットル、入浴に38リットル。合計約200リットル。

C先生:大体のところが分かったようで、この問題をどのような立場で解析をするのか。

A君:ひとことで言えば、ライフサイクルアセスメントLCAでやるしかないですね。

B君:それをどうやるかか。まあ、バウンダリーを合わせることが可能かどうかか。生ゴミをコンポスト化した場合と、しない場合か。

ケース1:
 まず、発生場所でコンポスト機に入れて、出てきた一次処理品をどこかに運搬して、二次処理をして堆肥にする。
生ゴミ → コンポスト機(電気エネルギー) → 一次処理品 → 運搬(輸送エネルギー)  →   農家で二次処理(動力エネルギー) → 農地。
                    
ケース2:
もしも、自治体の回収システムに乗せれば、
生ゴミ → 回収・輸送(輸送エネルギー) → 焼却炉(助燃エネルギー) → 焼却灰を運搬(輸送エネルギー) → 埋立処分(動力エネルギー)。
               
ケース3:
コンポスト機に入れて、それを焼却する場合は、
生ゴミ → コンポスト機 → 一次処理品 → 回収・輸送 → 焼却 → 焼却灰を運搬 → 埋立処分。

C先生:ケース1では、できるものは堆肥だ。ケース2と3では、焼却灰。だから、これをそのまま比較しても、LCAの文法を満たすものにはならない。無理は承知でやることになる。ケース2とケース3の比較は、かなりまともにできるだろう。

A君:考えるべきパラメータとしては、ケース1では、コンポスト機が消費する電力、どのぐらいの頻度で一次処理品を農家に運ぶか。ケース2では、生ゴミをどのぐらいの頻度で回収するか。助燃剤をどのように考えるか。焼却灰の運搬の頻度。ケース3は、ケース1とケースの2を合わせたような条件。

B君:それこそエイヤーの世界でやるしかないな。

A君:まず、生ゴミ処理機ですが、ここでは、3種類を考えています。(1)攪拌式(基材なしのバイオ式)、(2)基材入りのバイオ式、(3)乾燥式、以上の3種です。家庭用としては、(1)は家庭用には商品が存在しないです。
 大体の消費電力とその特徴を、コープ東京との共同研究の結果、次のようにまとめました。
(1)攪拌式: 1〜2.7kWh/kg
    負荷変動が大きい。季節変動も大きい。
(2)バイオ式: 0.7〜1.9kWh/kg
    季節変動は大きい。負荷変動も大きい。
(3)乾燥式: 1.1〜1.6kWh/kg
    季節変動のみ。

B君:負荷変動というのは、その機器の処理能力一杯を使わない場合にどうなるか。乾燥式だと、止まってしまうとして、ほぼゼロと見ている訳だ。

A君:運搬頻度ですが、店舗のような業務の場合には、生ゴミは毎日運搬されることが妥当で、家庭では、週に2回が妥当でしょう。
 ということで、実は、業務用の場合の計算しかできていないのですが、大体のところは、次のようなことになります。

結果:生ゴミ1kgを処理する電力が、1.1〜1.5kWh/kg以下であれば、主として運搬回数が減ることによって節約になる運送エネルギーによって、コンポスト化が正当性を持つ。

B君:となると、消費電力が低いコンポスト機ならば、業務用としては正当性が主張できることになるか。

A君:もっと消費電力が少なければ、コンポスト化した方が良いという結論になるかもしれないですね。

C先生:今回は、ここまでにしよう。論文発表の関係もあるから。家庭用などの場合、ケース3についてなどは、また別の機会に発表する予定としておこう。
 しかし、議論が終わりという訳ではない。まず、コンポスト化を行うことで、経済的負担の構造が変わるか、ということ。

A君:自分でコンポスト機を買ったとしても、そこから出てくる一次処理品が売れる訳ではないですね。もしも、それを二次処理をして、園芸などに使うとしたら、ある程度の土地(面積)が必須。都会のマンション住まいでは、出てくるものに価値があるとも思えない。

B君:しかも、それを動かす電気代にも、またバイオ式だと、基材にかなりのお金が掛かる。そんなものを払ってまで、どうしてコンポスト化をしなければならないのか。なんらかの正当性があるのは、自分で園芸をやっていて、園芸店の高い堆肥を買わなければならない人だけだ、とも言える。

C先生:利便性が全く無いとも言えない。夏など、生ゴミを一度出す機会を失うと、1週間保存していなければならない。コンポスト機があると、そんな場合には楽になる。もっとも魚などはコンポスト機に入れても臭いが出て困る場合もある。いずれにしても、乾いてしまえば、しばらくは貯めることができる。

A君:利便性のために、エネルギーを消費しても良いのですかね。

B君:車・冷蔵庫などが使うエネルギーに比較すればかわいいものだ、とも言える。

C先生:それに、ゴミを出すのが重くて大変だという人の場合には、乾燥式などで一次処理して重さが1/4ぐらいになれば、楽になる。

A君:しかも、乾燥したゴミを受け取る自治体側から言えば、水びしゃびしゃのゴミよりも、運搬するのも楽だし、また焼却をするにしても、エネルギー的節約になる。自分でお金を払ってくれて、自治体を楽にしてくれる良い市民。

B君:だから補助金がでる、とも言える。

C先生:それに教育効果もある。コンポスト機を使い始めると、生ゴミは汚いものだ、という考え方が変わるのが大きいかもしれない。