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化学物質の定義、様々  02.05.99






本ホームページで、化学物質の定義をお願いしましたところ、さまざまなご意見、ご見解をいただきました。ありがとうございました。




こんにちは、山本です。(C先生:カルシウム21の山本さんです。実名で良いですよね。)
私などは、「化学」という文字を見ただけで(条件反射的に)「亀の甲」が頭に浮かんできます。骨格にベンゼン環を持っているものが「化学物質」である・・・という選別方法では乱暴過ぎますかね?


AB&Cの感想

A君:プロ!!といった見解ですねえ。

B君:確かに。

C先生:正確に言えば、塩素を含む「亀の甲」は体に良いことは無い。農薬などには、だからこそ使えるとも言えるが。細菌にとっても美味しくないみたいで、環境中での分解速度が極めて低い。そこで、POPs(Persistent Organic Pollutants)と呼ばれる。これは世界的に問題になっている「化学物質」だと言える。ダイオキシンも、PCBも、DDTも皆POPsの仲間だ。





TSUR様

「化学物資」とは
天然には存在しないもの + 化学的に合成されたもの。
合成のビタミンCなども化学物質になると思います。(気分的に食べたくないの
で……)

化学物質とは、石油化学製品なのか=○
それとも、天然物も含むのか=×
発酵法などで作ったものは入るのか、微生物が作った物質も含むのか=×
農薬、殺虫剤(家庭用を含む)などはどうなのか。接着剤は、あるいは粘着テープの粘着剤などは? ものによるが、おおむね=○
紙おむつなどに使う高分子吸収材はどうなのだろう。原料がわからないので=△
あるいは、化学物質とは時代の概念をも含んだ言葉であって、例えば50年前から使われている物質は含まれないというような意味か =×

C先生が出した返事メール
「どうも天然物だと安全、人工物だと危険という感触があるようですが、われわれにとっては、素性の知れた人工物の方が、どうしも不純物の多い天然物よりも危険だとは思えないのですか。天然物で結構危険なものが有りますが、それは意識されないのでしょうか。例えばフグ毒、毒キノコなど。それに、ある種のハーブティーは怪しいし、漢方薬には怪しいものが相当あります。現に副作用が報道されているものもあります。」


TSUR様からの再度のご回答
@合成物による被害がマスコミなどによって広められているのが原因ではないでしょうか?
私にも、「母乳」=安全「粉ミルク」=危険。「新薬」=危険、「漢方」=安全。
というイメージがあります。

A天然の物質による被害があっても、「VS自然」なので、あまり反抗する気持ちが無いというかあきらめ感があるので、あまり気にならないのではないかと思っていま
す。対して、合成の物質による被害は文句を言う対象があり、「もしかしたら防げるかもしれなかった」ことだけに被害者意識が倍増するのでは……??
それに「天然の物質による被害」と言われても、なかなかすぐには思い出せないので
すが。(ダイオキシンもよく考えれば天然の物質ですが)

B危険があるという意識はありますが、あまり天然物質を「憎む」気持ちにはなりません。自然界にあるものだし、人間に害があってもそれなりに存在理由があると思うからです。「危険」でも「仕方ない」ような気がするのです。だから取りたてて「危険だ。わーー!! 無くしてー!」とは騒ごうとは思いません。

C天然物質で被害にあって死ぬのと、化学物質で被害にあって死ぬのでは、後者のほうが無念だと思います。(個人的に(笑))それと、化学物質に対しては「わけがわからない物への恐怖」もあるのでは? 合成がすべて危険とは思いませんが、「なんか怪しい〜〜」and「どうやって作っているのかわからないので恐い」とは思います。
 200円くらいでコンビニで売られているカルシウムのタブレットなどは、よく見れば「原料:牛骨粉」とか書かれていて「こんなの食べてもだいじょうぶなのか!?」と驚くこともありますが……。(天然なのに)


AB&Cの感想

A君:この無念か無念でないか、という判断基準。これはまったくの予想外。しかし、納得。

B君:人工物でも「よく素性が分かれば安全だ」、と言えるのは、その「素性」をいつも取り扱っているプロだけ。ほんの一部の人間だ。一般市民が分かる訳が無いことをどのように理解するかだな。それに、人工物の合成プロセスの管理だって、完全にできるかと言われれば、まあなんとも言えない部分がある。

C先生:化学業界によく伝えます。





yamag様

 当社の毒劇物専門家によれば、天然物(フグの毒など)も化学物質のうちに含まれるそうです。
私個人は、下記のように考えておりました。

<一般的な文脈において>
人工的に合成・精製・製造された、有機物または/及び無機物に対して何らかの科学的薬理作用または変化をもたらす物質。
(この場合、昆布の中のグルタミン酸ソーダは含まれず、味の素の中のグルタミン酸ソーダは含みます。脳内で合成されるドーパミンは含まれず、パーキンソン病治療のためのL-ドーパは含みます。脳内で合成されるモルヒネは含まれず(怪しい本がありましたね)、末期ガン患者に投与されるモルヒネは含みます。)

<科学的な文脈において>
人工物・天然物であるとを問わず、有機物または/及び無機物に対して何らかの科学的薬理作用または変化をもたらす物質。
(この場合、昆布のグルタミン酸ソーダと脳内のドーパミンと脳内モルヒネは含み
ます。)

一般的な世間話では前者の意味で使い、専門家と話をするときは後者の意味で使っています。

C先生の返事メール:
 「さて、いただいた御意見は、予想された反応に近いのですが、やはり天然物は 安全、人工物は危険という発想があるように思いますが、そうなのですか?
 また、天然物にだってフグ毒、カビ毒、ベロ毒素のように危険なものはあるし、 人工物にだって安全なものはある。だから、この基準は採用不能だと思っております。いささか行政官的発想ですがね。何かクリアーに定義ができれば、それなりの規制を掛けることも不可能ではないかも、というところです。その境目をどうしたら良いのでしょうか。有害化学物質と言えばそれなりに定義はできますが、食塩にしても致死量のある物質ですから、これもなかなか難しい。また農薬の多くのものは毒物でも劇物でもなく普通物だったりしますから。」

yamag様回答メール:
 天然物が安全であるという感じがあるとしたら、それは、たとえば「青梅を食べると死ぬ」とか「フグを食べると当たる」とか「ベニテングタケを食べると笑い出す」といった、経験知が伝承されていて、避けることが容易であるからだと思います。しかし、「ダイオキシンが危険です」とか「ミルクに砒素が入っていました」等という話は、聞いてないよー、というレベルです。以前、学校給食のパンにリジンという物質を添加する話が報道されていましたが、「なぜそんなよけいなことをするの?」というのが素朴な疑問です。こういった経緯が積み重なって、「人工物は危険」という印象があるのだと考えます。
 以前、人体にも微量の砒素や水銀は必要な物質である、と新聞の科学欄で読んだことがあります。要するに、ある物質が有害であるか否かは、まず、量の問題のクリア(蓄積もある)でしょう。
 もう一つは、不適切な適用をするかどうか、下世話な言い方をすると、「カレーに砒素を入れるな」ということだと思います。すごく平凡な結論になりました。
 ただし、行政における規制の基準という問題となると、具体的にどうしたらいいか、まだよくわかりません。よって、もう少し考えてみます。



AB&Cの感想

A君:どうも「聞いてないよ」が重要なポイントで、騙されたと思うかどうかが重要のようですねえ。

B君:天然物で毒性があるのは一部の物質で、ほとんどすべての天然物は毒物だという理解まではないようですね。現時点で健康食品と呼ばれるものは、大部分が発ガン物質を含むものであるということもお分かりではないかも。これは我々も、また中西準子先生も疑問に思っていることですよね。

C先生:よく分からないが、発ガンと健康増進には、なんらかの密接な関係があるのかもしれない。ひっとしたら、紙一重なのかもしれない。普通の薬だって、体に毒だから効く。健康増進の食品も大量摂取すれば毒になる物質だからこそ、適量なら体に良いということはあってもおかしくはない。





IN様

さて、「化学物質とは何を意味する言葉なのか」についての私の考えは以下のとおりです(なお、私は理工系の専門的教育を受けたことのない人間です)。


人為的な化学的プロセスにより生成した物質であって、天然には全く存在しないか、または、微量しか存在しないもの。



AB&Cの感想

A君:確かに天然には大量に存在しない物質を大量に作ってしまったことが、人間社会の間違いの一つかもしれない。

B君:それはそうだ。ただし、天然物だと分解がされやすく、人工物だと分解されにくいということは必ずしも無い。まあ、プラスチックを代表的なものだと考えると、分解もしにくいですがね。

C先生:前回の議論の続きになるが、経済性だけを存在意義とするような物質は、本当は不要なのかも知れない。塩化ビニルの存在意義だが、土の中で長時間安定に存在するから温泉水の輸送パイプに塩化ビニル製を積極的に選択するということなら良いが、包装材料になぜ塩ビが使われるのか、これはコストしか理由がない。しかも、社会的コスト、すなわち、塩ビ製包装材料が存在することによって、プラスチックの分別コストが掛かるとか、ペットボトルにどうしても混入するとか、さらには、焼却炉が塩素のおかげで傷むとか、いろいろと社会的なコストを発生させているから、社会全体から見れば、経済的に見てもあまり得策とも思えない。塩ビを無くせという議論に対するコメントとしては、「全部が全部不必要だとは思わないが、少なくとも、焼却炉に入るような用途に積極的に使う理由は無い。」といったところだ。




HAR様

 言われてみれば、確かに、なにをもって「化学物質」とよぶか、など、考えたことはなかったです。感覚的には、配管ぐるぐるの工場や、クリーンな工場で作られ、扱われるようなもの。産業革命以前には存在しなかったもの。微生物の力で土に返すことができないもの。ないとおそらく困るんだろうけど、口にはいれたくない。哺乳瓶の消毒に消毒液をつかわなかったのも、この理由から。いずれかにあてはまるものが「化学物質」と感じます。
●石油製品から作られた製品。
いちばん単純で直感的な定義。
●非常に純度の高い物質。’精製’されたもの。
塩やビタミンの類は自然界にも存在するが、純度99.99%みたいなのはないのでは。それも一種「化学物質」的な感じをうける。
●特に、名前が意味不明なカタカナ名のもので、知らないものはすべて化学物質だと思ってしまう。
※発酵させたり、微生物がつくったものは、「化学物質」という気はしません。不純物も多いような気がします。



AB&Cの感想

A君:この方の特徴は、純度にこだわっているところでしょうか。

B君:純粋すぎると体に悪いというのは、専売公社製(古い言葉)食塩由来の伝説なのだろうか。グラニュー糖あたりにもあるのだろうか。

C先生:これもさっきの健康食品と発ガン物質の話と関係があるのかもしれない。不純物は、多くの場合には悪い方にしか作用しないと思うのが我々の考え方だよね。しかし、例えば温泉の湯が体に本当に良いかどうか、どうみて発ガン物質である砒素が入っているし、普通に考えれば良くないはずだ。ところが、お風呂に入ることによるストレスの改善は別としても、ある種の薬効があるとされている。天然の不純物には全部そんな効果があると判断することも、無理からぬところなのだろうか。

A君:そう言えば、近藤宗平先生のブルーバックス「人は放射線になぜ弱いか」にも書いてありますが、一般に、ホルミシス効果というものがあって、微弱な放射線は長寿の効果有りという話がありますね。

B君:民間伝承をよくよく調べることも、まだまだ意味があるのかも知れない。

C先生:結論にいく。皆様の御協力のお陰で、化学物質の定義に関して、大体の感触が掴めました。また、何か分からなくなったら、質問しますので、よろしく。