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   狂牛病についての 10.09.2001




N.京子様という方からご質問です。難しくて答えられませんが。。。。。

質問: まず、動物の間では異常プリオンによる病気がそれぞれあるようですが、それぞれの発症の原因は同じなのでしょうか。家畜の飼料以外には、遺伝的? それも含めて突然変異? でも、スクレーピーの話を聞くとある程度の個体数で発生したように聞こえるのですがどうなのでしょう。けんかなどによる血液感染でしょうか? 凝血、血清の感染の可能性はないと書いてありますが、血液はどうなのでしょう。これは動物同士のことですよね。

回答1: 正確な解答はできません。以下の回答はいずれも推測です。
 ヒツジのスクレーピーと狂牛病で、原因は同じかどうかですが、スクレーピーの厳密な話は調べておりませんので、知りません。類似していることは事実でしょうが。それに、血液感染は考えられないと思います。やはり、飼料だと考えております。

回答2:遺伝的な要因について:日本にも120名程度のヤコブ病患者がいます。これは遺伝的要因が原因だと考えられます。すべての人の脳内には、ある確率でかならず異常プリオンは存在していると思われますが、発病するかどうかは、分解酵素による異常プリオンの分解速度と、正常プリオンの構造が考慮すべき要素だと考えます。どのような正常プリオンを作るか、これはDNA配列で決まります。そして正常プリオンと異常プリオンが二量体をつくったときに、異常プリオンに変わりやすい構造をもった正常プリオンなのか、あるいは、変わりにくい正常プリオンなのかといったが、最終的に発病に結びつくほど高濃度の異常プリオンが出現するか否かを決める要因だと考えます。


質問: 牛の血液のなかにも異常プリオンは入り込むけれど、増殖する(変化させる)プリオン組織がないから大丈夫というだけでしょうか? 検出されないというのはどの程度なのでしょう。普通のヴィルスや細菌と同じように、もしあったとしても少量だから大丈夫で片づけて大丈夫なのでしょうか。蓄積して増加していくものですよね。

回答: これも難しくて、回答の能力を超します。推測ですが、次のように考えています。正常プリオンも異常プリオンも、いずれも分解酵素によって分解されます。しかし、脳内の異常プリオンは凝集状態(結晶状態が密?)が違っていて、分解速度が低いようです。しかし、血液中だと、固体状態とはいえない状況なので、恐らく分解が早いのではないでしょうか。


質問: そしてさかんに、種の壁をおっしゃっている先生方がおられますが、人プリオンと牛プリオンにどれほどの違いがあるのでしょう。只の同種の化学物質という認識しかないのですが。

回答:それぞれの正常プリオンの構造が非常に似ているのでしょう。同種の化学物質であることは事実だと思います。二量体を作ったときに、単なる熱力学的な駆動力で正常プリオンが異常プリオンに変化するには、恐らく高次の構造類似性が必要だと考えられるからです。


質問: また、プリオンは刻々と変異をするのでしょうか。プリオンにはいろいろな型があるようですよね。腕の変異か化学反応かわかりませんが・・・だとすると人と牛との間で感染しにくいということがそう簡単に言えるのでしょうか。有機化学ではほんの少しの違いはえらい違いにもなるけれど、その逆もあるのではないですか?

回答: もともとプリオンとは病原性をもった分子という程度の意味のようで、狂牛病の場合には、糖タンパクが実体のようです。他の生物種の場合には、DNAが違いますから、プリオンも構造の異なるタンパクであるということなのではないですか。
 プリオンが刻々と変化するかどうかですが、同一生物種でも、DNAに多様性がでれば、プリオンも多様になるということでしょう。となると、高級哺乳類では刻々と変化するとも思えません。もっともヒトのDNAの多様性は、先進国では最近増えているように思いますが。。。
 そして、人と牛の場合には、正常プリオンの構造が、異常プリオンも含めて良く似ているのでは、と考えます。どのぐらい似ていれば、二量体を作ったときに、正常プリオンから、熱力学的により安定な平板結晶構造を作る異常プリオンに変化するか、これは分かりません。面白い研究テーマのように思います。

質問: アメリカではリスがという話を聞いたことがあるのですが、例えばそんな野生の動物がTSEになったとして、その動物は人の手によらず、死骸となって朽ちはてますよね。その場合、異常プリオンは分解されるのでしょうか。それは土壌汚染になるのでしょうか。アルカリには弱いと書いてありましたが、タンパク質が分解されるように微生物などによって無害なものへと分解されるのでしょうか。極端な話、海へ流れたらどうなるのでしょう。ほ乳動物と魚類とではかなり差があるのでしょうし、海は広いし、そんな馬鹿な心配はしていませんが、異常プリオンは分解または、無害なプリオンに戻ったりするのでしょうか。海の底に溜まったりして。

回答: 正常にせよ異常にせよ、狂牛病に関わるプリオンが糖タンパクだと思えば、それを分解する酵素が体内に、そして分解細菌も昔から自然の中に存在しているように思います。