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生ゴミ処理機は果物がお好き?  09.19.99 




約1ヶ月間使用した生ゴミ処理機の報告です。結構奥が深いようです。
 これまで行って来た観察は、消費電力がどのぐらいのものか、そのデータを取ることでした。すでに報告したように、消費電力はエコワットを使用。本来は、投入したゴミの種類と重量を同時に記録すべきなのですが、やっておりません。結構なんでも投げ込んでいますので、恐らく800gから1kg/日になっていると思われます。

C先生:日立製の生ゴミ処理機BGD−120を買って、約1ヶ月が経過した。大体の傾向が見えて来たので、その報告だ。
 まず、グラフを見てもらおう。図1は、運転電力がどのように変化したかをプロットしたものだ。ちなみに、この機器の定格電力は85W。当初の3日間は、あまりゴミを入れないで、どんな電力消費になるかを見たもので、3日間の平均で約20Wぐらいの運転電力だった。この日立には、運転モードが2種類あって、普通モードと少量モードがある。当初、その差を見るために、切り替えてみたが、少量モードの方が確かに消費電力は少ない。実際どのような運転になっているのかは、不明。日立の技術者の方、情報をいただけませんか。
 
 そんなことで、約1週間後から本格使用に入った。この頃は、いささか臭いが気になった。台所口に置いてあるのだが、そこから玄関まで数メートルだが臭いが流れて、これは困ったなという状況が3日間ほど続いた。それが丁度、10日前後のところで、消費電力が20W程度のところ。今にして思えば、恐らく分解菌の働きが低かったのではないかと思われる。というのは、どうも乾燥しすぎるような感じで、基材(おがくず)がぱさぱさ状態だったから。初期3日間の空運転で、菌を寝かせてしまった可能性大。  
 ゴミの量が足らないのだろうということで、少量モードに切り替えて、それ以後、いくら大量にいれても少量モードのまま運転を続けている。
 
A君:その消費電力の図1ですが、随分と変動するものですねえ。モーターとヒーターからできているだけの装置なのに。

B君:生ゴミが発酵するときに発熱することを考えないからそんな結論になる。生ゴミ処理機はまさに生きているから、お腹の中身で体温の維持ができる場合と、維持できない場合がある。体温が維持できないと、ヒーターで暖まる。まるで人間みたいだ。

C先生:そうなんだ。14日から20日目あたりの1週間で、なんだか菌の調子が上がって来たようで、臭いも気にならなくなったし、また、不思議なぐらい消費電力が下がってきた。発酵熱がかなり出るようになったのだろう。ミニマムを記録したのが、20日目で、4.6Wだった。ゴミは普通に入れている。これがゴミを攪拌するモーターの最小負荷状態だったのかもしれない。モーターがどのようなスケジュールで運転しているか、これは、今のところ観察できていない。大量にゴミを入れるとモーターの負荷が増加するはずなのだが、実際には、余り変わらないように思える。そもそも16リットルもの基材が入っているので、ゴミの量が多少増えても、それによる回転トルクの増大は余り利かないのだろう。

A君:でも、考えてみると妙な話ではないですか。そもそも、最初から基材には、菌が添加されているはずで、それが途中から好調になるとか、不調になるとかがあるのですか。

B君:それはある。当然ながら、湿度も一つの要素だ。丁度良い湿り具合になったのではないだろうか。

C先生:それに、これはコンポストをやっている人々には常識のようだが、菌は途中で変わる。最初にある程度働く菌が添加されているようだが、それが最後まで残っているのではなくて、菌が入れ替わるらしい。その機器に投入される生ゴミの特性に最適な菌が生き残って、徐々に効率が良くなるということのようだ。最初から植え付けてある菌は、実は余り意味はなくて、本当の初期に少しは役に立つということのようだ。

A君:だとすると、菌は無しでスタートしても良いことになりませんか。

B君:そういう主張のメーカーもある。

C先生:丁度14日目から朝と夜の2回記録を付けることにした。昼と夜とで温度が違うはずなので、その違いが消費電力に影響するかどうかを見るため。結果は、図2に示すようになる。ただし、温度は、その日の最高温度と最低温度を記録しているので、実際の温度差を拡大していることになる。生ゴミ処理機は、発酵状態を維持するために、温度をある程度制御している。多分35度とか40度とかは最低でも維持するように設定されているのではないか、と思われる。これも日立の技術者さん、情報をお願いします。ということで、周囲の温度が低くなると、ヒーターが作動して消費電力が上がる。

A君:その結果を見ると、気温の低い夜なのに、消費電力が低い場合がありますね。それが生ゴミ処理機の中身の発熱ですか。

B君:多分そうだ。

C先生:昼と夜の温度差が誇張されているから、その差が6〜8度といった計算になっているが、実際の運転時の外気温度差は、4〜5度だろう。この温度差の誤差は無視しても欲しいが、このデータでも消費電力と温度の相関が見られる。相関係数を計算してみたら、大体−0.6ぐらいであった。図3に、その相関を表示してみた。

A君:大部分は右下がりの楕円の中に入ってますね。しかし、左下に一群のデータがあって、これが消費電力の少ないデータ群で、恐らく、中身による発熱が大きかったのですね。

B君:このグラフから判読できる内部発熱が大きい場合というのに、なにか共通点があるのですか。
 
C先生:それがあるのだ。図1にすでに書き込んでいるのだが、果物、それも腐りかかった果物を放り込んだ場合は、そうなっている。食糧供給危機の存在を主張している身として全く自慢にならないが、味が今一つで、冷蔵庫の中に長時間放置されたぶどう、メロンがいたみ始めて、どうしようということだったのだが、実験だと思って入れてみた。ぶどうは、一粒にばらして、メロンは細かく切った。結果が、消費電力がかなり下がった。内部で急速に発酵したようだ。

A君:そうですか。おもしろいですね。どんなものが発熱が大きいのでしょうか。もしも、非常に優れた特性を示すものが見つかれば、生ゴミ処理機が臭いを出し始めたときの「えさ」になりそうですね。

E秘書:果物をもってきました。今日は、ぶどう。生ゴミ処理機の「えさ」には適しているそうで。お酒になりやすいものは良いのでは無いですか。私も、ワインには好みが色々うるさいですが。

B君:多分、それはある。お酒になるには、糖分が発酵してアルコールになる必要がある。共通点がある。

A君:そうかもしれない。糖分だけなら、砂糖を入れるのでも利くのだろうか。そのうち、実験してみましょう。

C先生:コップの砂糖水が発酵してアルコールになったという話を聞かないがね。
 さて、温度と消費電力の相関図=図4は、冬における消費電力を推測するのにも使える。外部温度が低下して来ると、放熱量はもしも伝熱によって放熱されるとすると温度差に比例する。だから、内部発酵が余り利いていないと思われるデータ群を使って、直線で外挿してみる。冬の平均外気温5〜10度ぐらいだとすると、大体40Wぐらいの運転電力になる。しかし、今のデータは、温度差が誇張されていると考えられるので、いささか水平に近い直線を使うべきだろう。となると、冬には、この機種の定格出力である85Wに近い65Wぐらいの運転電力になることが予測できる。
 

A君:となると、運転電力を下げるには、内部での発熱が多いもの、すなわち、糖分が多くて、お酒になりそうなものを入れると効果的。そんな生ゴミ処理機の「えさ」を探してみましょうよ。

B君:発熱量ということなら、油だって大きい。ただ発酵は遅いかもしれないが。

C先生:まあそうだな。普段、生ゴミ処理機に入るゴミを見ていると、野菜の硬いところ・果物の皮とかいった繊維質のものが多い。セルロースはほとんど発酵しないだろうからね。魚は、一度丸ごと一匹買って来たときに大量に入ったが、魚系のゴミは意外と少ないものだ。ときどき、猫の食べ残したペットフードの魚が入るが。どうも魚も若干発熱効果があったようだ。

A君:猫ってあのパルですか。生ゴミ処理機もなんだかペット化しているような気がするのですがね。

B君:ところで、奥さんはどんな評価なのですか。

C先生:「生ゴミが台所に存在していないと、気持ち良い」、これが感想のようだ。生ゴミといっても、食材の余りなのだから、調理の直後に処理されれば全くキレイなものだ。放置するから臭いがでたりヌメリが出たりするのだ。

A君:最近、生ゴミ関連では、気になることが一つあるのですよ。ディスポーザーです。これは、通常日本では使っていませんが、ディスポーザー設置による生ゴミゼロを売り物にしているマンションのコマーシャルがテレビで流されているし、インターネット上にもディスポーザーは違反では無いからという売り込み広告が有ります。カルシウムの山本さんも気にされているようで。

B君:それはまずいよね。なぜならば、法律的には禁止されていないにしても、全部のマンションがディスポーザーを使うと、下水道の処理能力を超すだろう。となると、早いもの勝ちということになる。下水道局として、どんな見解なのだろう。

C先生:確かにね。
 そろそろまとめ。この夏の平均的な運転電力は、調子が出てからは10W以下だった。これは、0.2kWh/ゴミ1kgぐらいだから、現在直感的に考えている0.5〜1kWh/ゴミ1kgというトレードオフの上限をはるかに下回る。この0.5〜1というのは、これ以上の電力を使うのなら、自治体のゴミ収集ルートに乗せる方が環境負荷が低いだろうという一つの直感的目安なんだが。
 問題は冬だろう。ここ数日、朝の最低気温が22度程度。運転電力が20Wに迫りつつある。0.5kWh/ゴミ1kgに早くも近い値になりつつあることだ。冬に60W以上の運転電力になったら、これは、確実にその時点ではアウト。通年で、どのあたりに来るのか、データを取りつづけよう。
 ヒーターによる電力消費が最大の電力消費だから、冬季の生ゴミ処理機は、「保温が重要」だということになる。冬になったら、保温コートを着せるのが良いかもしれない。日立さん、冬用のコートをオプションで発売しませんか。
 しかし、中身によってこんなにも発熱が消費電力に影響するとは思わなかった。なかなか奥が深い。モーターによる消費電力が余り大きく無いことも予想外だった。となると、最近発売されている手で攪拌機を回すタイプは、低コストであることは評価できるが、消費電力面からは、そんなに変わらないのでは無いだろうか。
 最後に運転コストだが、夏のような条件だと、1ヶ月の運転コストは電力代が250円。それに基材代がプラスだが、基材代(=300円?)の方が高くつく。冬はこれからだが、多分、1000円/月といった電気代になるだろう。
 基材の交換などが起きたら、また報告しよう。多分1ヶ月後だ。