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自動車税制運輸省案  11.05.2000




 このところ議論になっている自動車税のグリーン化について、どうやら運輸省がその案を決めたようだ。グリーン税制と言えるものになったのだろうか。


C先生:しばらく前に出された案では、自動車のサイズによって燃費の悪い車と良い車について税率を変えるという案だったと思うが、内外の自動車メーカー総スカンを食った。特に、ドイツ系の有力メーカーからの反発は半端じゃなかった。

A君:今回出されたものの概要ですが、電気やハイブリッド車のような燃費の良い車種と、排ガスに含まれる窒素酸化物などの少ない車種をランク付けし、上位にある年間60〜80万台の新車の自動車税を3年間、10〜20%減額するといものです。
 そして、新車登録から11年以上たった車は、税金を10%重くする。古いディーゼル車は排ガス公害の元凶であるとして、新車に買い替えた場合は軽くする、という仕組み。

B君:なんだそれは!!!! 新車を売るための税制ではないか。

C先生:朝日新聞の社説でもそう言っている。まさにその通り。この日本という国が循環型社会に移行し、環境面での持続可能性を目指すという動きと、全く逆行している。この国はやはり矛盾していることが平然と行われる。そのときの理屈が、必ず経済的な活力維持・向上なんだ。「環境」も経済活力の向上のために使われるのだ。

A君:企業の状況は多少改善されているところがあるとは言っても、まあ景気が悪いという感じがどうしても体の芯に残っていますからね。

B君:そんなことを言っているから、いつまでたっても駄目なんだ。今回、自動車重量税は道路特定財源だからということで、そのままとなったが、それだって、建設業界向けの景気対策。今の景気も全く無視せよとは言わないが、もっと厳しい燃費競争をすることによって、長期的には、日本の技術力が向上し、それが国際的競争力になるという効果が分かっていない。

C先生:まず政治家が悪いな。族議員が利益代表になっている。今回は、道路族議員。今の政治家で、国家国民の長期的利益という観点で政策の議論できる人は、ほとんど居ない。まあ4年が彼らの持つことができるもっとも長期的政策の視野だ。

A君:族議員の名前は分かっているのですか。これを公表することが、重要ではないですか。

B君:確かに。一度、そのようなリストがあるかどうか、聞いてみよう。

C先生:国会の場での発言は議事録があるから分かるが、このような法案が検討される過程で、それに対して誰がどこでどのような文句をいったか、そんな記録が公開されるようにならないと、本当の意味での情報公開にはならない。恐らく、霞ヶ関の現場ではよく分かっているのだろうが。
 ところで、どなたか、HPでそんなものを作りませんか。例えば東京都選出の議員が、環境に関わる法律について何を言ったか、こんな情報をまとめて出すWebページがあれば、次回の選挙のときの大変に参考になるが。

A君:自動車税のグリーン化でもっとも重要なことは、やはり悪い燃費、悪い排出ガスに比例した税制でしょうね。車のサイズは無視しても良いでしょう。なぜならば、車は走行時における環境負荷がもっとも大きいでしょうから。

B君:ディーゼルのRV車を作っているメーカーなどは、当然反対だよな。

A君:ディーゼル車は、燃費で勝負すれば良い。排ガスは対策が可能だから。

C先生:ヨーロッパにおいても、まだまだ車メーカーの圧力は大きいようだ。その国の稼ぎ頭だというところが多いからね。

A君:経済と政治。難しいところですね。

C先生:経済から独立した政治を行うのが理想なのだろが、そうもいかないものだ。先進的なヨーロッパでも、例えば、ドイツが原子力発電を止めることを、ドイツの電力会社がよく認めたと思うかもしれないが、実際には、企業利益面で有利になるように「止め方を決めた」のが実態で、日本の場合でも、今なら全く同じ状況だ。だから日本でも止めるのも一案なんだ。ドイツは、不足する電力を、原子力で70〜80%も作っているフランスから買うことになるだろう。勿論、ノルウェーの水力発電による電力も買うだろう。風力で20%ぐらいは発電するだろう。ドイツ政府は、EUという枠組みの中で、このようなことが可能で、それが自国のエネルギー安全保障にとっても大きな問題を起こさないと踏んだのだ。日本の場合、どこから電力を買うか。買えるのか。周辺で電力が余っている国があるか。電力線は引くことができるのか。これが問題だ。ロシアに日本向け水力発電所を作って、そこから安定供給が行われることがあり得るのだろうか。
 経済と政治という観点から見れば、ドイツと日本で、そんなに差があるとは思えない。そして、唯一「違う」と見えるのが、廃棄物を中心とした環境ポリシーだ。これだけは明らかにドイツの勝ち。
 今回の自動車税の改正は、やらない方が良い。一度やると、5年間は改善が不可能だからだ。