アンケート回答
[岩手県知事]:増田寛也氏
| @日本の環境(自然環境から都市環境まで広い意味で)が現在どのような状態にあると認識していますか。 |
| → WWF(世界自然保護基金)のレポートによれば、現在の日本の社会経済活動は地球の環境容量をはるかに超えており、世界の人々が日本人並に環境負荷を与えれば地球が2.7個分必要だという試算があります。 また、廃棄物問題については、排出量が横ばい傾向になっているとはいえ、最終処分場の残余年数がほとんどないという現状です。 (一般廃棄物で11.2年、産業廃棄物で1.6年) |
| ●同様に岩手県については如何でしょうか。 |
| → 岩手県は、北海道に次ぐ面積を有し、先人のたゆまぬ努力により守り育てられてきた貴重な自然環境に抱かれ、ツキノワグマ、ホンシュウジカ、イヌワシ、クマタカなど多様な野生生物が生息しています。 しかし、近年、首都圏からの産業廃棄物の不法投棄、ダイオキシン等有害化学物質汚染、自然の減少など深刻な環境問題が顕在化しています。 こうしたことから、20世紀における「大量生産、大量消費、大量廃棄」の反省に立って、本県においても、次代に残すべき資産は残し、ツケは残さない、資源が循環する社会を創っていくことが次世代に対する私達の責任だと認識しています。 |
| A日本の環境を改善していくための具体的施策をお持ちですか。 |
| → 環境対策としては、規制的手法と経済的手法、自主的な取り組みなどを有機的に組み合わせるポリシーミックスの考え方が有効であると考えられますが、例えば、地球温暖化対策では、欧米で導入している炭素税のような税の導入、行政によるグリーン購入の推進、廃棄物削減対策では、税やデポジット制度の導入、3Rの徹底等リサイクル法の実効性を確保する施策などが必要であると考えます。 |
| ●同様に岩手県に置き換えた場合は如何ですか。 |
| → 本県では、環境の保全及び創造に関する基本条例(平成10年)、同条例に基づく環境基本計画(平成11年)を策定して「環境首都いわて」の実現を目指した取り組みを進めています。 また、条例による規制等として、平成13年に近年の環境問題に対応した規制の導入等を定めた生活環境保全条例を制定したほか、現在、希少野生動植物の保護に関する条例、廃棄物条例(県外産廃の事前協議、業者の育成等の制度整備)などを検討しています。 具体的な施策の主なものとして ・地球温暖化防止対策 県民や事業者が取り組む行動計画(アクションプラン)を策定するとともに、県民のエコライフ活動を促進するための環境家計簿を全世帯に配布しています。 ・廃棄物対策 「いわて資源循環型廃棄物処理構想」(13年3月策定)に基づく構想の実現を図るとともに、リサイクル機能を持った新たな公共関与の廃棄物処理施設の整備を検討しています。 また、本県と青森県、秋田県の北東北3県が連携して、広域での不法投棄の監視パトロールの実施しているほか、産廃税の導入を含めた広域的な産業廃棄物処理対策の検討を進めています。 ・エネルギー対策 エネルギー対策では、ヒートポンプを使った地熱エネルギーや本県の特性を生かした木質や畜産バイオマスエネルギーなどの導入を進めています。 ・環境教育 子供たちの環境教育として、北東北3県が連携して、自然と触れ合う「子供環境サミット」の開催や小学校5年生向けに環境教育の副読本を作って配布しています。 |
| B京都議定書の批准は正しいと思いますか。 |
| → 日本は、二酸化炭素排出量がアメリカ、中国、ロシアについで世界第4位であるが、具体的に法的拘束力をもった数値目標を定めて国際的に取り組むという内容の京都議定書を締結することは国際的な取り組みを進める上で意義があり、また、京都会議の議長国としての責務であると考えています。 |
| Cその結果、CO2の6%削減により今の経済状況から、産業界ひいては国民全体に更なる負担を強いることについてどう考えますか。 |
| → 二酸化炭素削減対策の中には多額の費用を要するものもあり、現在の社会経済情勢下で、直ちに産業界で取り組むことが困難な場合もあると考えられます。また、国民生活においてもライフスタイルの変革を求めなければならない困難さもあります。 しかし、二酸化炭素の排出量削減をはじめとする地球温暖化対策は、良好な地球環境を将来世代に伝えるためには取り組まなければならない課題であるという認識に立って、国民的な英知と努力を結集して、それぞれの部門で出来る限りの取り組みを多面的に進める必要があると考えています。 岩手県としても、県民や産業界にも理解を求めて全県的な取り組みを進めているところです。 |
| Dまた、経済超大国であるアメリカが離脱したことも含め、日本が国際社会でとるべき方針について意見をお聞かせ下さい。 |
| → アメリカが参加することは地球温暖化対策の実効性を確保し、途上国の参加を促す上で極めて重要であることから、議長国として、今後ともアメリカへの参加を働きかけていくとともに、多くの国が参加するよう行動していくべきであると考えています。 |
| E環境税導入についてどのように考えますか。 |
| → 北東北3県では、廃棄物の発生抑制、リサイクル促進対策等を進めるための経済的手法として有効な手段になりうるものと考え、広域の産業廃棄物税の導入について検討しています。 このような地域における広域的な税の導入が、今後、炭素税なども含めた環境税導入への国全体での議論の端緒になることを願っています。 |
| F諫早湾干拓計画について推進すべきか否か。有明海の生態系と農地拡大政策を含めた総合的な意見を聞かせて下さい。 |
| → 公共事業の実施に当たっては、環境面と経済的な側面を考慮しなければならないのですが、計画時からあまりにも時間が経過したものは見直すという判断もあっていいと考えます。 私は、本県で約30年に及んで事業を進めてきた国立公園内の岩手山の麓から八幡平に通じる山岳道路建設を環境の影響や計画時点からの状況の変化などを考慮して平成10年に中止を決定しました。 なお、諫早湾干拓計画については、地元の情報を十分に承知していないので、判断できかねます。 |
| G企業の環境担当者に対して何かご意見はありますか。 |
| → ISO14001の認証取得企業や環境報告書の作成企業は年々増加しており、企業の環境保全への自主的な取り組みが促進されていると認識しています。しかし、岩手県内でも製造業、大手企業中心の取り組みにとどまっており、今後は非製造業や中小企業における取り組みが必要であることから、 県としても、ISO14001の認証取得への支援など様々な支援策を行っています。 産業全体の環境配慮活動として、10年先20年先を見据え、様々な業種がその特徴を生かして、一層の情報公開や地域住民とのパートナーシップの確立など、できることから取り組んでいくことを期待しています。 |
| H環境NP0に対して何かご意見はありますか。 |
| → 循環型社会を構築するためには市民、企業、行政などの各主体がパートナーシップを形成して、環境保全活動に取り組んでいく必要がありますが、環境NPOは独自の活動はもちろんですが、各主体をつなぐ仲介者的な役割が期待されていると考えています。 また、市民の立場に立ったNPOが持つ公益的、かつ専門的な活動や、多面的なネットワークを生かして、行政の政策立案のための幅広い提言活動を期待しています。 |
| I市民に対して、環境活動に関して、何かご意見はありますか。 |
| → 環境保全活動の主体はあくまでも市民です。そのため、行政はISO14001の認証取得などの率先して活動をしたり、環境保全活動の支援や情報提供などの普及啓発を行っています。 今後とも、一人ひとりの市民が観客席にいるのでなく、プレーヤーとして参加していただき、市民、企業、行政が一体となって地球環境の保全に努めていく必要があると思います。 |
| J その他、環境に関することについてのお考えをご自由にお書きください。 |
|
→ 私は、1992年のリオデジャネイロでの地球サミットに建設省職員として政府代表として参加していました。このとき「持続可能な開発」(サステイナブル・デベロップメント)が初めて言われました。 |
| K このホームページに関する感想をお聞かせ頂けると参考になります。 |
|
→ 全国各地を実際に調査して「環境問題最前線」を作成していることに大変感心しました。 |