美々川・ウトナイ湖
北海道の中枢である札幌。その表玄関千歳空港にほど近いウトナイ湖は知る人ぞ知る野鳥の楽園です。湖というイメージよりは「湿地帯の中央に大きな水面がある」というような感じで、湿原としてはラムサール条約に1991年に登録されています。
そのウトナイ湖に注ぎ込み、水源になっているのが美々川であり、釧路川以上に自然の流れという風情があります。川としては上流部で川幅3m程度という小規模なため、あまり知られていませんが、原始の流れは素晴らしいものがあります。
これら「ウトナイ湖・美々川」は、千歳川放水路計画に翻弄され、あの美しい流れが存亡の危機に直面していました。その千歳川放水路計画は多くの人たちの反対の声と、バブル崩壊後の公共事業見直しの流れの中で、北海道知事が計画中止の提言を建設大臣(現・国土交通大臣)に提出し、平成11年7月、正式に中止が決定しました。
その太古の流れを久々に訪ねてみました。 (訪問は02.10.27)
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千歳川放水路計画に翻弄された美々川・ウトナイ湖
久しぶりに美々川とウトナイ湖を訪れましたが、原生の流れは何も変わっていませんでした。ここに、千歳川放水路計画が着々と進んでいたことは知っていましたが、もし実行されていたら、北海道、更には日本の至宝が消えてしまうところでした。中途半端に保存された場合、元の原生の姿と比較されてしまうため、尚更公共事業による愚行がクローズアップされ、日本のレベルの低さを世界に露呈する所でした。国土交通省(北海道開発局)による公共事業は役所側として必要性のみ主張するため、害悪については全く触れられません。そして、結果についても全く責任を取らないのが本四架橋などの過去の事例からも分かります。つまり、21世紀の公共事業は納税者、そして有権者である我々が監視し、意見を表明していく必要を強く感じます。
そんなことについて改めて考えを深くした美々川・ウトナイ湖訪問でした。(03.01.01)