SF的 山岳滑空路とは

カモのマーク

1:スピードフライング

SFは「Speed Flying」の略。スピードフライングは、小型の機体で斜面に沿って滑空飛行する、パラグライダー種目のひとつです。ここ数年で発展して来た新たな種目で、スピードライディング、スピードパラなどとも呼ばれます。 小型の機体は強風に対する適応力が高く、通常のパラグライダーでは機体を広げることさえ苦労する状況下でも、滑空を可能にします。重量も軽く、山岳での利用には好都合。 スピードフライング用の機体は翼面積が小さいため、十分な揚力を得るにはスピードを出すことが必要です。パラグライダー初級機では離陸速度は15km/h、巡航速度は30km/hくらいですが、スピードフライング用の機体では、それらが2〜3倍の速度で設計されています。離陸・飛行中の接地・着陸の時、この速さに走力だけで対応するの困難なため、積雪期にスキーを履いて行うのが通常です。

2:用具

山スキー装備一式のほか、小型パラグライダーと専用ハーネスを使います。グライダーの重量は3kg前後、ハーネスは2kg前後、合計で5kgほど。通常のパラグライダーセットは15kgくらいあるので断然軽い。価格はセットで20〜30万円くらい。ただし、購入するにはパラグライダーのライセンスの取得が必要です。山スキーヤーが入門しようとした場合、これはなかなか厳しいハードル。しかし、パラグライダーの知識と技術が必須なのは間違いありません。
ハーネスの背面はデイパックほどの荷物入れになっていますが、登山装備を収納するにはやや容量不足。山で使用する場合は、工夫して装備を切り詰めるか、あるいはハーネスの上からザックを背負う事になりそうです。スピードフライング用のハーネスは、簡易なもので脊髄保護機能などはありません。パラグライダー用のハーネスでひっくり返すとザックになる、オールインワンタイプと呼ばれる物は容量があり、安全面の機能も充実した製品が増えているようです。

3:SF的 山岳滑空路

「SF的 山岳滑空路」は筆者の造語。専用の飛行エリアを持つスキー場はぜひ増えて欲しいのですが、このスポーツが真価を発揮するのは山岳エリアでしょう。勝手な思い入れではありますが、スピードフライングがスピードフライング的であるために、山岳の岩壁帯は必須の舞台装置です。そのような要素を含むルートの事を「SF的 山岳滑空路」と呼びたい。 すでに、2008年の春から何人かの先駆者によって、国内の山岳エリアでスピードフライングは実践され始めているのです。

(2010年1月3日)